日本の果物 生産量ランキング:人気フルーツの収穫量と産地を徹底解説!
日本の食卓を彩るフルーツ。四季折々の気候が育む多様な果物は、私たちの生活に潤いを与えてくれます。この記事では、日本が誇る「フルーツ大国」としての側面を掘り下げ、人気フルーツの全国における果物別収穫量ランキングを徹底解説します。農林水産省のデータ(令和元年(2019年)産)を基に、どの果物がどれだけ収穫されているのか、その驚きの数字と産地情報を詳しくご紹介。日本の豊かな自然が生み出す、美味しい果物の秘密に迫ります。

日本で最も多く生産されている果物は?

四季折々の旬な果物が楽しめる日本ですが、その中で年間を通して最も多く収穫されている果物は何でしょうか?農林水産省の「農林業センサス」令和元年産果樹収穫量データは、日本の農業生産の実態を示す重要な指標であり、主要な果物ごとの生産量を把握する上で欠かせません。ここでは、ランキング上位を占める果物について、それぞれの特徴や歴史、栽培の工夫などを詳しく見ていきましょう。

第1位【みかん】

農林水産省の「農林業センサス」令和元年産果樹収穫量データで、見事1位に輝いたのは「みかん」です。みかん栽培は、約500年前の室町時代に、温暖な気候の熊本県、和歌山県、静岡県などで盛んに行われるようになりました。その起源は、中国大陸との交流を通じて現在の熊本県に伝わったことにあるとされています。特に、和歌山県では糸我村(現在の有田市糸我)の伊藤孫右衛門が、地域活性化への強い思いから熊本県よりみかんの苗を持ち帰り、栽培が大きく発展しました。静岡県では、古くから料理の薬味として使われていた「橘」に由来する「白羽こうじ」という品種が生まれ、その品質の高さから全国的に知られるようになりました。江戸時代に入ると、海上輸送技術の発展により大量輸送が可能になり、みかんは全国へと広がり、日本の代表的な果物としての地位を確立しました。今日までみかんの生産が盛んな理由は、日本の優れた品種改良技術にあります。みかんは本来、冬に旬を迎える果物で、栽培には日当たりの良い場所と水はけの良い土壌、そして風の影響を受けにくい穏やかな環境が適しています。日本の気候がこれらの条件を満たしていることに加え、長年の品種改良によって、10月以前に収穫できる「早生みかん」など、多様な品種が開発されました。さらに、生育に必要な温度や水分を管理できるビニールハウス栽培が普及したことで、みかんは季節に関わらず安定して収穫できるようになり、年間を通して市場に供給されています。これらの要因が複合的に作用し、みかんは日本の果物収穫量で常に上位を維持しています。

第2位【りんご】

日本の果物収穫量ランキングで、みかんに次いで2位にランクインしたのは「りんご」です。みかんとりんごは、3位の日本梨と比較しても生産量に大きな差があり、日本の主要な果物としての地位を確立しています。りんごには様々な品種があり、それぞれに独特の風味や食感があります。全国の品種別生産量(2023年)は、全品種計603,800トンであり、うち「ふじ」は306,900トンで約5割を占めます。りんごもみかんと同様に、長年の品種改良によって日本で広く栽培されるようになりました。その歴史は明治時代に始まり、アメリカから75品種ものりんごが導入されました。これらの外国品種を日本の気候や風土に適応させるための品種改良が行われ、その結果生まれた多様な品種が現在の市場に流通しています。日本の農業技術と研究開発が、全国の食卓に多種多様なりんごを届ける基盤となっています。しかし、近年では地球温暖化による気温上昇が栽培環境に影響を与え、着色不良や虫害の発生といった問題が起きており、これがみかんに生産量で差をつけられた要因の一つと考えられています。

第3位【日本梨】

国内で収穫される果物の量に基づいたランキングにおいて、3位に位置するのは「日本梨」です。海外から導入された多くの果物とは異なり、日本梨は早い段階から日本の文化に深く根付いてきました。その歴史は古く、最も古い記録では弥生時代後期には栽培されていたとされ、その起源の深さが窺えます。昭和初期まで、日本梨は主に乾燥させて保存食として広く利用され、当時の日本人にとって重要な食料源でした。その後、農業技術と品種改良の進展により、水分が豊富で甘く美味しい果物として、現代に至るまで多くの人々に愛されています。この変化は、日本の農業における品種改良の努力と、消費者の嗜好への適応の結果と言えるでしょう。令和4年(2022年)の日本梨の全国生産量は196,500トンであり、主要産地の千葉県は19,200トン、茨城県は17,800トン、栃木県は17,000トンとなっています。(出典: 農林水産省「作物統計」令和4年(2022年), URL: https://region-case.com/rank-r4-product-japanese-pear/, 2023-06)

日本は世界有数のフルーツ天国!国産フルーツの多様な世界

ランキングを見ると、スーパーマーケットでよく見かける果物が上位を占めていることがわかります。四季折々の気候に恵まれた日本は、世界でも多様な果物を育む「フルーツ天国」です。上位3種の果物だけでなく、地域に根ざした様々な国産フルーツが各地で栽培されており、その栽培方法や産業形態も多様です。ここでは、他の国産フルーツに焦点を当て、その魅力と栽培の背景を探ります。

観光農園にワイン造り…多岐にわたる【ぶどう】栽培

関東地方には多くのぶどう園があり、都心から車で1~2時間でぶどう狩りが楽しめるため、身近な農業として認識されています。近年では、観光農園でのぶどう狩りだけでなく、国産ワインの生産など、新たな形態のぶどう栽培が増加しています。2019年のぶどう収穫量データでは、山梨県と長野県が全体の約4割を占め、中部地方を中心に全国で生産されています。ぶどうの収穫期は8月から10月頃で、栽培作業は多岐にわたります。ワイン用ぶどうの生産では、収穫・選別後、破砕作業や発酵、熟成作業が行われ、農業の6次産業化に携わりたい方におすすめです。観光農園では、観光客への接客も収入源となる農業形態が確立しています。

みかんに似ている?国産【キウイフルーツ】栽培とは

一年を通してスーパーで見かけるキウイフルーツは、日本の食卓に定着していますが、意外な県が最大の生産量を誇っています。2020年のキウイフルーツ全国生産量1位は愛媛県であり、みかんだけでなくキウイフルーツの生産も盛んであることに驚く人もいるでしょう。愛媛県は30年以上連続でキウイフルーツの生産量1位を維持しています。これは、キウイフルーツがみかんと同様に、日当たりが良く温暖な気候を好むため、愛媛県での生育が盛んになったことが要因です。キウイフルーツの旬は9月下旬から12月で、高品質なキウイフルーツを生産するためには、収穫に向けて適切なタイミングで果実の成長を管理することが重要です。キウイ農園では、手作業で受粉を行う作業があります。キウイフルーツはオスとメスの個体が別々に存在するため、自然任せでは受粉が効率的に行えず、春の4月から5月頃に、人の手で丁寧に受粉作業を行います。他の果物や野菜は虫に受粉を任せることが多いですが、キウイ栽培では手作業での受粉が特徴的です。

特別な国産フルーツ【パイナップル】

次に紹介するのは、ちょっと贅沢な気分を味わえる「パイナップル」です。令和元年は、沖縄県で国産パイナップルのほぼ全てが栽培されており、産出額は13億円、栽培面積は578ha、収穫量は7,460トンとなっています。(出典: 沖縄県『沖縄県農業のすがた 令和元年版』, URL: https://www.pref.okinawa.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/010/533/nougyou21-30_1.pdf, 2020-03) 残りのごくわずか0.1%が鹿児島県産です。日本で消費されるパイナップルの大半はフィリピン産で約97%を占め、国産は約3%に過ぎません。そのため、国産パイナップルは輸入品に比べて価格が高めですが、特別な品種が一部の高級フルーツ店やデパート、オンラインショップなどで販売されています。温暖な沖縄の気候が、パイナップルの生育に非常に適しているのです。パイナップルは水はけの良い土地と高温の環境を好むため、沖縄の独特な栽培環境が最適なのです。沖縄県産のパイナップルは、甘さと酸味の絶妙なバランスが特徴で、特に旬の時期である4月から8月頃にかけて、多くの人々から愛されています。収穫時期は気温が高くなるため、収穫作業は大変です。パイナップルは乾燥に強いので、栽培にはほとんど水やりは不要で、毎日のお手入れもそれほど必要ありません。収穫されたパイナップルは全国に出荷されるため、船への積み込みに間に合うように、迅速に選別・梱包する作業も重要なポイントです。

まとめ

この記事では、日本の豊かな果物文化にスポットを当て、農林水産省の「農林業センサス」のデータをもとに、果物の収穫量ランキングを詳しく解説しました。みかんが長い歴史の中で品種改良を重ね、ビニールハウス栽培が普及したことで、長年にわたりトップの座を維持していること。りんごが多様な品種を生み出し、明治時代から改良されてきたものの、地球温暖化の影響を受けていること。日本梨が弥生時代から親しまれ、保存食からデザートへと変化してきた一方で、近年生産量が減少していることなどを明らかにしました。さらに、ぶどう、キウイフルーツ、パイナップルといった他の国産フルーツについても、それぞれの栽培方法の特徴や主要な産地、そして関連する産業の広がりを掘り下げてご紹介しました。同じ果物でも、種類や歴史、栽培が盛んな地域は様々です。日本は四季折々の気候と、たゆまぬ農業技術の進歩によって、世界でも有数のフルーツ大国としての地位を築いています。これからも多様な果物が、私たちの食卓を豊かに彩ってくれるでしょう。国産フルーツの魅力を改めて感じ、それぞれの果物が持つ物語や背景に想いを馳せてみてはいかがでしょうか。


日本で一番多く作られている果物は何?

農林水産省の「農林業センサス」(令和元年産)のデータによると、日本で最も多く収穫されている果物は「みかん」です。長年の品種改良と、ビニールハウス栽培の普及によって、年間を通して安定した供給が可能になっています。

みかんはどこで多く栽培されているの?歴史は?

みかんは室町時代に熊本県、和歌山県、静岡県といった温暖な地域で栽培が始まりました。特に和歌山県では伊藤孫右衛門が苗木を導入し、静岡県では「白羽こうじ」が産出されたことが、発展のきっかけとなりました。みかんは日当たりと水はけの良い土壌、温暖な気候を好み、品種改良とビニールハウス栽培が生産を支えています。

リンゴ「ふじ」の名産地はどこですか?また、気候変動は影響を与えていますか?

リンゴの代表品種「ふじ」といえば、青森県が名高く、世界中で知られています。しかしながら、近年の地球温暖化に伴う気温上昇は、栽培環境に変化をもたらし、色付きが悪くなったり、害虫被害が増加したりするなど、生産量に少なからず影響が出ています。

日本ナシはいつ頃から栽培されているのですか?

日本ナシは、海外から日本へ伝わった果物の中でも特に長い歴史を持ちます。最も古い記録では、弥生時代後期の遺跡からナシの痕跡が見つかっています。昭和初期には保存食として重宝され、その後の品種改良によって、甘くみずみずしい果物として発展しました。

ブドウの主要な産地はどこですか?どのように消費されていますか?

2019年の統計によると、山梨県と長野県が国内ブドウ生産量の約4割を占めています。ブドウは、観光客に人気のブドウ狩りや、高品質な国産ワインの原料として利用されるなど、多様な形で楽しまれており、農業の多角的な発展に貢献しています。

キウイフルーツ栽培ならではの特徴はありますか?

キウイフルーツ栽培の大きな特徴として、雄株と雌株が別々に存在することが挙げられます。自然に任せた状態では効率的な受粉が難しいため、春先の4月から5月にかけて、人の手による受粉作業が欠かせません。全国で最も多くキウイフルーツを生産しているのは愛媛県で、ミカンと同様に温暖な気候が栽培に適しています。

国産パイナップルの主要産地は?

国産パイナップルのほとんどは沖縄県で栽培されており、その割合は全体の99.9%を占めます。温暖な気候がパイナップル栽培に適しており、沖縄県が国内生産をほぼ独占しています。2023年のデータでは、収穫量は390トン。残りのごくわずかは鹿児島県で生産されています。

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