繊細なレースのような葉が印象的なチャービルは、ほのかな甘みと爽やかな香りが特徴のハーブです。アニスやパセリに似た風味は、フランス料理では欠かせない存在。卵料理やサラダ、魚料理など、幅広い料理に活用できます。この記事では、チャービルの特徴、風味、使い方、保存方法、おすすめレシピを詳しく解説し、その魅力を余すところなくお伝えします。ぜひ最後までお読みください。

チャービルとは?基本情報と魅力
チャービルは、セリ科シャク属に属する一年草のハーブで、ロシア南部から西アジアが原産です。その最大の特徴は、繊細で美しいレース状の葉です。フランス料理でよく使われることから、「美食家のパセリ」とも呼ばれています。草丈は通常10~50cm程度ですが、生育環境によっては60cmに達することもあります。初夏には可憐な白い花を咲かせますが、ハーブとしての風味を活かすには、花が咲かないように摘み取るのがおすすめです。チャービルの風味は、ほのかな甘みと爽やかさが特徴で、香りは穏やかでマイルドです。加熱すると香りが飛びやすいため、生のまま料理に加えるのが最適です。鮮やかな緑色と美しい葉の形は、料理やデザートのトッピングとして、食卓を華やかに彩ります。チャービルは「セルフィーユ」とも呼ばれますが、これはフランス語名です。英語ではチャービル(chervil)、日本では「茴香芹(ういきょうぜり)」という和名もあります。
チャービルと他のハーブとの違い
チャービルは、見た目や風味において、他のハーブと混同されることがありますが、それぞれに明確な違いがあります。特にパセリとの比較、および「セルフィーユ」との関係性を理解することが、チャービルを使いこなす上で重要です。
チャービルとパセリの違い
チャービルは、特にイタリアンパセリと見た目や風味が似ているため、「フレンチパセリ」と呼ばれることがあります。しかし、風味には明確な違いがあります。パセリ、特にイタリアンパセリが持つシャープな香りとほのかな苦味に対し、チャービルはマイルドで繊細な風味で、ほのかな甘みが特徴です。チャービルはパセリのような強い苦味がなく、料理の素材本来の風味を損なわないため、幅広い料理に合わせやすいという利点があります。この穏やかな特性は、素材の味を引き立てたい場合に特に役立ちます。
チャービルとセルフィーユの同一性
ハーブの一種である「セルフィーユ」という名前を聞いたことがあるかもしれません。結論から申し上げますと、チャービルとセルフィーユは同じ種類のハーブを指しています。チャービル(chervil)は英語圏で一般的に使われる名称であり、セルフィーユ(cerfeuil)はフランス語圏での呼び方です。したがって、料理本などでどちらの名前を見かけても、同じハーブとして使用できます。このように異なる言語で名称が存在することは、チャービルが世界中で広く親しまれ、料理に使われてきた証と言えるでしょう。
チャービルの効果的な使い方と鮮度維持の保存方法
チャービルは、その爽やかでほのかな甘みを持つ独特な風味と、繊細で美しい葉の形状により、様々な料理やデザートに彩りと香りを添えることができます。しかし、チャービルの持つデリケートな特性を理解し、適切な使い方と保存方法を実践することが、その魅力を最大限に引き出すための重要なポイントとなります。

料理での使い方
チャービルの穏やかで繊細な香りとほのかな甘みは、加熱によって失われやすい性質があります。そのため、風味を最大限に楽しむには、加熱調理の最後に加えるか、生のまま料理のトッピングとして使うのがおすすめです。チャービルは、スープや魚料理、卵料理、サラダなど、パセリと相性の良い料理によく合います。主張しすぎない香りは、素材本来の味を邪魔することなく、料理全体の風味を豊かにしてくれます。特に、レースのような美しい葉は、料理に添えるだけで華やかな印象を与え、食卓をより魅力的に演出します。また、その繊細な香りは料理だけでなく、フルーツやクリームを使ったデザートのトッピングとしても利用され、見た目の美しさと清涼感をプラスします。さらに、チャービルはフランス料理でよく使われるミックスハーブである「フィーヌゼルブ」の主要な材料の一つです。フィーヌゼルブは、チャービルの他にフレンチタラゴン、チャイブ、イタリアンパセリなどを細かく刻んで混ぜ合わせたもので、ハーブバターや魚介類のソース、サラダドレッシングに加えたり、オムレツなどの卵料理の風味付けに使われます。使いきれずに余ったチャービルを、フィーヌゼルブとして活用するのも良いでしょう。
鮮度を保つ保存方法
チャービルは非常にデリケートなハーブであり、鮮度を保つためには乾燥を防ぐことが大切です。適切な保存方法を行うことで、美しい見た目と風味をより長く楽しむことができます。具体的な保存方法としては、まずチャービルを水で軽く湿らせ、水気を軽く絞ったキッチンペーパーで優しく包みます。それをポリ袋に入れ、袋の口を軽く閉じて冷蔵庫の野菜室で立てて保存します。この際、注意すべき点があります。チャービルを洗った後、水気を十分に切らずに放置すると、葉が変色したり、しおれてしまう原因となります。そのため、保存する前にしっかりと水気を拭き取ってからキッチンペーパーで包むようにしましょう。このひと手間を加えることで、チャービルの鮮度と見た目の美しさをより長く保つことができます。
チャービルを添えて楽しむ、おすすめ料理
チャービルの繊細な葉と爽やかな香りは、お料理に優雅な風味と彩りを与えます。ここでは、特別な日のディナーにも、普段使いにも最適な、チャービルを使った選りすぐりのレシピをご紹介します。ぜひ、これらのレシピを通して、チャービルの奥深い魅力を発見してください。
赤玉ねぎとプロシュートのマリネ
さっぱりとした口当たりが魅力の、赤玉ねぎとプロシュートのマリネ。鮮やかな色彩のマリネ液に、フレッシュなチャービルを添えることで、食卓が一層華やぎます。チャービル特有の甘く爽やかな香りが、絶妙なアクセントとなり、お酒のお供にも最適です。サラダのトッピングや、ちょっとした箸休めにもぴったり。手軽に作れるので、ぜひお試しください。
材料(2人分):
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赤玉ねぎ :1/4個
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プロシュート :60g
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チャービル :適量
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ピンクペッパー :適量
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[A]エクストラバージンオリーブオイル :大さじ1
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[A]白ワインビネガー :大さじ1
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[A]メープルシロップ :小さじ1
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[A]塩 :ひとつまみ
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[A]挽きたて黒胡椒 :少量
作り方:
1. 赤玉ねぎは薄くスライスし、5分ほど水に浸した後、しっかりと水気を切ります。
2. ボウルに[A]の材料を入れ、よく混ぜ合わせます。
3. 2に赤玉ねぎとプロシュートを加え、全体を優しく混ぜ合わせます。
4. 器に盛り付け、チャービルとピンクペッパーを散らして完成です。
ポイント:赤玉ねぎの代わりに、普通の玉ねぎを使用しても美味しく作れます。漬け込み時間は、お好みで調整してください。このレシピにはメープルシロップを使用しています。1歳未満のお子様には与えないでください。メープルシロップは、砂糖やアガベシロップで代用できます。甘さはお好みで調整してください。
海老とコーンのマヨ和え ズッキーニボート
海老を贅沢に使った、見た目も楽しいズッキーニボートはいかがでしょう。ズッキーニを器に見立て、中をくり抜いて具材を詰めて焼き上げる、簡単ながらも印象的な一品です。パーティーやおもてなしの席で、テーブルを華やかに彩ること間違いありません。チャービルとピンクペッパーをトッピングすれば、さらに見た目も美しく仕上がります。ぜひ、お試しください。
材料(2人分):
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ズッキーニ :1本
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海老 :100g
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コーン(クリーム缶): 50g
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マヨネーズ :大さじ2
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おろしニンニク :小さじ1/2
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塩胡椒 :少々
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チャービル :適量
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ピンクペッパー :適量
作り方:
1. ズッキーニは縦半分にカットし、スプーンで中身をくり抜きます。
2. 海老は殻と背ワタを取り除き、塩胡椒で下味をつけます。
3. ボウルに海老、コーン、マヨネーズ、おろしニンニクを入れ、よく混ぜ合わせます。
4. ズッキーニのくり抜いた部分に3を詰めます。
5. オーブントースターで10分ほど、海老に火が通るまで焼き上げます。
6. 器に盛り付け、チャービルとピンクペッパーを散らして完成です。
コツ:トースターの機種によって焼き加減が異なるため、焼き時間は調整してください。今回は1000W200℃で加熱しています。
洋梨のチーズデニッシュ風
冷凍パイシートで手軽に作れる、洋梨を使ったおしゃれなデニッシュをご紹介します。バニラの風味を効かせた、リッチな洋梨のコンポートと、濃厚なクリームチーズの組み合わせは、ちょっと贅沢な味わいです。市販のパイシートを使えば、手間をかけずに本格的なデニッシュが楽しめます。チャービルを添えれば、見た目も可愛らしいアクセントになります。ぜひ、ご家庭でお試しください。
材料(4個分):
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冷凍パイシート :2枚
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洋梨 :1/2個
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クリームチーズ :50g
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溶かしバター :10g
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[A]グラニュー糖 :20g
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[A]白ワイン :大さじ1
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[A]バニラエッセンス :少量
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チャービル :適量
作り方:
1. 洋梨は皮を剥き、種を取り除いて薄切りにします。
2. 鍋に洋梨と[A]を入れ、弱火で5分ほど煮詰めます。
3. 冷凍パイシートを解凍し、それぞれ4等分にカットします。
4. パイシートの中央にクリームチーズを乗せ、その上に洋梨を並べます。
5. 溶かしバターを表面に塗り、200℃に予熱したオーブンで15分ほど、焼き色がつくまで焼き上げます。
6. 器に盛り付け、チャービルを添えて完成です。
ポイント:オーブンは、必ず予熱を完了させてから使用してください。予熱機能がない場合は、設定温度で10分ほど加熱してから焼き始めてください。オーブンの機種や使用状況によって、火力が異なる場合があります。焼き時間は目安として、調整してください。焦げ付きそうな場合は、アルミホイルを被せてください。
このレシピには白ワインを使用しています。加熱によりアルコール分は飛びますが、お子様やアルコールに弱い方、妊娠中・授乳中の方はご注意ください。運転時、スポーツ時、入浴時の飲酒はお控えください。
まとめ
チャービルは、ほのかな甘みと清涼感が特徴的な、セリ科シャク属の一年草ハーブです。その繊細で穏やかな香りは、加熱によって失われやすいため、生のまま料理やデザートの飾りとして使うことで、その持ち味を最大限に引き出せます。レースのように繊細で美しい葉の形状は、料理に添えるだけで食卓を華やかに演出し、特に特別な日の食卓を上品に彩るのに最適です。「セルフィーユ」というフランス語名でも親しまれており、パセリよりも苦味が少なく、上品な風味がどんな食材の味も引き立てます。ご紹介したレシピのように、メイン料理からスイーツまで、幅広い料理で活躍するチャービルを、ぜひご家庭の食卓に取り入れて、その爽やかな風味と美しい彩りを楽しんでみてください。
チャービルのよくある質問
チャービルとセルフィーユは同じハーブですか?
はい、チャービルとセルフィーユは同じ種類のハーブを指します。チャービル(chervil)は英語名であり、セルフィーユ(cerfeuil)はフランス語名です。
チャービルはどのような風味ですか?
チャービルは、ほのかな甘みを含む、軽やかでフレッシュな味わいが魅力です。その香りは穏やかでクセがなく、パセリのような強い苦味がないため、素材本来の味を活かす名脇役として活躍します。
チャービルは加熱調理に向いていますか?
チャービルのデリケートな香りは、熱によって失われやすい性質を持ちます。そのため、その風味を最大限に堪能するには、生のまま料理に散らしたり、加熱する場合は仕上げに加えるのがおすすめです。
チャービルとパセリ、どこが違うの?
チャービルはイタリアンパセリと似た外見をしていますが、風味は大きく異なります。パセリよりもずっと優しく、甘みを感じさせるチャービルは、苦味が少なく、様々な料理と調和します。
チャービルを長持ちさせる保存方法は?
チャービルの鮮度を維持するためには、乾燥対策が不可欠です。湿らせたキッチンペーパーでふんわりと包み、ポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室で立てて保存しましょう。保存する前に、水分を丁寧に拭き取るのがポイントです。













