黒柿(くろがき)とは?希少な銘木の特徴、育て方、味について解説
独特の風合いで珍重される「黒柿(くろがき)」。その美しい模様は古くから茶道具や家具に用いられてきました。この記事では、黒柿と呼ばれる柿の木、およびその木の実について、特徴や育て方、気になる味について解説します。黒柿の魅力を深く知り、日々の生活に取り入れてみましょう。

黒柿とは?特徴と基本情報


黒柿は、カキノキ科の植物で、学名はDiospyros kakiです。日本では北海道を除く全国に分布し、アメリカ東部や中国でも見ることができます。
黒柿の最大の特徴は、幹・枝・根の断面に現れる黒色の部分です。特に、心材や辺材に縞状の美しい模様「孔雀杢(くじゃくもく)」が現れるものは、非常に希少で価値が高いとされています。この孔雀杢は、千本に一本、時には万本に一本しか現れないと言われるほど珍しいものです。(出典:田崎和江ほか「希少銘木『黒柿』の物理化学的特徴と生体鉱物化作用」地球科学 第71巻, 2017, 金沢大学リポジトリ)
こうした希少性のため、市場に出回ることはほとんどなく、地域の特産品を扱う店や農産物直売所などで、まれに販売されることがあります。また、観賞用として園芸店などで苗木が販売されることもあります。
一般的なオレンジ色の柿とは異なり、黒っぽい実をつける品種もありますが、これは品種による違いです。果実の大きさは品種によってさまざまですが、果肉は通常の柿と同様にオレンジ色をしています。

黒柿の旬な時期と産地

黒柿が収穫される旬の時期は、一般的な柿と同様に、10月下旬から11月下旬頃とされています。黒柿は特定の地域で大規模に栽培されているわけではなく、全国各地で個人が庭木として育てたり、小規模に栽培されているケースが多いようです。地域によっては、柿の産地として知られる山梨県や鳥取県などでも黒柿が育てられていることがありますが、生産量はごくわずかです。

黒柿の味わい:甘味と渋味

黒柿の甘さは、糖度でいうと15~16度ほどで、一般的な柿と遜色ありません。ただし、個体によっては強い渋みを感じることがあります。これは、黒柿が「不完全甘柿」という種類に分類されるためで、完全に熟していない状態だと渋みが残りやすいのです。渋みの少ない黒柿を選ぶためには、十分に時間をかけて熟させるのがおすすめです。また、種が多いものほど渋みが抜けやすく、果肉の色が濃くなる傾向があると言われています。

黒柿の選び方と食べ方

黒柿を選ぶ際には、表面の色と硬さをチェックしましょう。表面が黒っぽく、触った時に十分に柔らかくなっているものが食べ頃です。すぐに食べない場合は、常温で保存して追熟させます。食べる時は、一般的にはくし形に切ってそのままいただきますが、熟しすぎてとろとろになったものは、スプーンですくって食べるのも良いでしょう。もし渋みが気になる場合は、さらに追熟させるか、加熱調理をして食べるのがおすすめです。

黒柿の歴史と利用

黒柿がいつ頃から存在していたのか、詳しい記録は残っていません。しかし、その木材は昔から貴重なものとして扱われてきました。特に、独特の美しい模様を持つ黒柿は非常に価値が高く、高級な和風家具や床柱、建築物の装飾、茶道具などに加工され、珍重されてきました。今日では、果実だけでなく、木材としての魅力にも再び注目が集まっています。

黒柿の種類と品種

黒柿には様々なタイプが存在しますが、明確な品種分けはされていません。一般的に「黒実柿」と呼ばれるものも黒柿の一種として認識されています。これらの柿は、果皮が光沢のある黒色を帯びているのが特徴で、庭木としても人気があります。品種による味の違いは明確ではありませんが、育成環境や栽培方法によって、甘さや渋みに差が生じることがあります。

黒柿の栽培と注意点

黒柿は、個人宅の庭木として育てられることが多いです。日当たりが良く、水はけの良い場所を選びましょう。適切な剪定を行い、風通しを良くすることで、病気や害虫の発生を抑えることができます。黒柿の果実を収穫する場合は、不完全甘柿に分類されるため、収穫時期の見極めが重要です。収穫が早すぎると渋みが強く、遅すぎると果肉が傷んでしまうことがあります。

結び

黒柿は、希少な銘木として古くから珍重されてきました。果実として味わう場合は、不完全甘柿であるため、熟度を見極めることが大切です。もし黒柿を見かけたら、その独特の風味をぜひお試しください。苗木から育てるのもおすすめです。

黒柿はどこで購入できますか?

黒柿(の果実)は、普通のスーパーマーケットではほとんど見かけることはありません。農産物直売所や道の駅などで、まれに入手できることがあります。また、庭木として、園芸店などで苗が販売されていることもあります。

黒柿が黒くなるのはなぜですか?

黒柿(の果実)の皮が黒色を帯びるのは、品種固有の性質によるものです。詳しい理由はまだ解明されていませんが、アントシアニンなどの色素が影響していると考えられています。

黒柿の渋抜き方法を教えてください。

黒柿(の果実)の渋抜きは、十分に熟させて柔らかくするのが一般的です。アルコールや炭酸ガスを使った方法もありますが、ご家庭で手軽に行うのは難しいかもしれません。
黒い柿