何千年もの間、人類の食生活に不可欠だった豆類。栄養価の高さ、種類の豊富さ、調理法の多様さで、食卓を豊かに彩ってきました。タンパク質、食物繊維、ビタミン、ミネラルといった健康維持に必要な栄養素が詰まっており、「畑の肉」と呼ばれるほど。手頃な価格で健康的な食品として、世界中で親しまれています。乾燥豆、缶詰、新鮮な豆など、様々な形で生活に溶け込んでいますが、それぞれの豆が持つ特徴や栄養、最適な活用法を詳しく知っている人は意外と少ないのではないでしょうか?
この記事では、日本で馴染み深い大豆や小豆から、世界中で愛されるひよこ豆やインゲン豆まで、主な豆の種類を幅広く紹介します。それぞれの豆の歴史、名前の由来、旬の時期、栄養成分、健康効果、おすすめの調理法、注意点などを徹底的に解説。豆類の魅力を再発見し、日々の食生活に賢く取り入れるヒントを見つけてください。

豆類全般の魅力と基礎知識:食を支える貴重な資源
豆類は、世界各地で古代から重要な食料源として利用されてきました。その歴史はメソポタミア文明に遡り、日本への伝来時期については諸説ありますが、9~10世紀頃に遣唐使によって伝えられたとする説や、江戸時代に伝来したとする説があります。人類の発展と深く関わってきた豆が重宝されてきたのは、栄養価の高さと長期保存ができる点です。適切に保管された乾燥豆は長期間保存でき、飢饉の際の貴重な食料となりました。
豆類に共通する魅力は、栄養バランスの良さです。特に、肉に匹敵する良質なタンパク質を豊富に含みながら、低脂肪である点が大きな特徴。また、食物繊維は便通を整え、糖尿病や肥満の予防に役立つと考えられています。ビタミンB群、鉄、カルシウム、マグネシウム、亜鉛などのミネラルもバランス良く含まれており、これらの栄養素が複合的に作用することで、生活習慣病の予防に役立つことが期待されています。豆類は、単なる食材としてだけでなく、健康的な食生活をサポートする強い味方となるでしょう。
乾燥豆と生豆の基本知識と調理のポイント
豆には、乾燥豆、生豆、缶詰など、様々な形態があります。それぞれの形態に合った適切な扱い方を知ることで、豆の持つ美味しさを最大限に引き出すことができます。
乾燥豆を使う場合、調理前に十分な時間をかけて水に戻すことが重要です。通常、数時間から一晩水に浸すことで、豆が水分を吸収して柔らかくなり、調理時間の短縮や消化を助ける効果が期待できます。ただし、水に浸しすぎると栄養素が流れ出たり、風味が損なわれる可能性があるため、豆の種類に合わせた適切な時間を守りましょう。水に戻した豆は、スープ、ディップ、付け合わせ、メイン料理など、様々な料理に活用できます。
そら豆、グリーンビーンズ、クランベリービーンズ、黒目豆などの生豆は、冷蔵保存(約5日間)し、調理前に鞘から取り出す必要があります。生豆の中には、生のまま、または加熱が不十分な状態で食べると有害な成分を含むものもあるため、必ず十分に加熱調理してから食べましょう。例えば、ライマメ(白インゲン豆)は生の状態だと毒性のあるシアン化合物を生成するため、完全に煮るか加熱する必要があります。また、キドニービーンズ(赤いんげん豆)などのインゲン豆類にはレクチンという有毒な成分が含まれているため、十分に加熱調理する必要があります。使用する前に水でよく洗い、アク抜きをすることで、お腹がゴロゴロしにくくなる効果も期待できます。缶詰の豆は、ほとんどが調理済みで手軽ですが、塩分が含まれている場合があるため、使用前に軽く水洗いするのがおすすめです。
大豆とその加工品:畑の肉と多様な栄養
大豆は、栄養価の高さから「畑の肉」と呼ばれ、日本だけでなく世界中で重要な豆類として位置づけられています。我が国の大豆の自給率(重量ベース)は、令和4年度(2022年度)で6%となっています。食用大豆に限った自給率は約26%です。 (出典: スマート農業を推進するWEBマガジン『SMART AGRI』による農林水産省大豆担当者へのインタビュー記事(「農水省に聞く、日本の食料安全保障における『国産米・小麦・大豆…』」), URL: https://smartagri-jp.com/agriculture/9121, 2024-02-13)。また、輸入大豆のうち約7割弱がアメリカ産となっています。次いでブラジル、パラグアイなどとなっています。大豆全体の需要の約8割は製油用ですが、煮豆、惣菜、納豆、豆腐、油揚げ、凍り豆腐、味噌、醤油などの食品用も2割を占めており、特に国産大豆はほぼ全量が食品用として利用されています。日本人の食卓に欠かせない存在であり、その用途の広さは他の豆類と比べても群を抜いています。
大豆の栄養価と健康への恩恵
大豆は、約35%のタンパク質と約20%の脂質を含有する、栄養豊富な食品です。大豆タンパク質はアミノ酸バランスに優れ、特に成長期に不可欠な必須アミノ酸であるリジンが豊富です。加えて、ビタミンB1、B2をはじめとする多種多様なビタミンを含んでいます。脂質にはリノール酸やオレイン酸などの不飽和脂肪酸が多く、レシチンやリパーゼといった成分が、コレステロールが血管壁に付着するのを抑制し、動脈硬化や高血圧の予防に寄与すると考えられています。また、食物繊維も豊富で、腸内環境を整え、糖尿病や肥満の予防にも役立ちます。大豆に豊富に含まれるサポニンは、血中脂質の酸化を防ぎ、イソフラボンは女性ホルモンに似た作用によって、骨粗鬆症の予防や更年期症状の緩和に効果が期待されています。
大豆イソフラボンは、エストロゲン受容体に作用するため、体内のホルモンバランスによってプラスにもマイナスにも影響する可能性があります。更年期前の女性の場合、大豆が抗エストロゲン作用を示すことがあります。一方、閉経後の女性では、大豆がエストロゲンのように作用し、ほてりなどの症状を軽減する効果が期待できます。調理済み大豆1カップには約31gのタンパク質が含まれており、効率的なタンパク質源として優れています。旬は9月から11月頃ですが、加工食品として年間を通して入手可能です。
青大豆と黒豆:大豆の多様性
大豆には、一般的な黄大豆に加えて、青大豆や黒豆といった種類があります。青大豆は、主にきな粉や煮豆(ひたし豆)として利用されますが、近年では豆腐や納豆などにも使用されることが増えています。栄養価は大豆と同様に良質なタンパク質が豊富で、ビタミン類、カルシウム、鉄分、レシチンなども含まれています。特にレシチンは、脳機能を活性化し、集中力、記憶力、学習能力を高める効果や、脳の老化を抑制する効果があると考えられています。
黒豆も大豆の一種であり、表皮にアントシアニン系の色素を多く含むため、黒い色をしています。栄養成分は大豆とほぼ同じで、必須アミノ酸を豊富に含む良質なタンパク質をはじめ、ビタミンB1、B2、脂質が豊富に含まれています。脂質も大豆と同様に不飽和脂肪酸が主体であるため、コレステロールや中性脂肪の増加を抑制する効果が期待できます。さらに、サポニンやアントシアニンには強力な抗酸化作用があり、これらの相乗効果によって動脈硬化や高血圧などの生活習慣病を予防します。特に黒豆に多く含まれるビタミンB1は、エネルギー代謝を促進し、疲労回復や夏バテに効果的であり、冷え性や二日酔いにも効果があると言われています。青大豆、黒豆ともに旬は9月から11月頃です。
小豆:日本の食文化を彩る豆
小豆は、和菓子の餡の材料としてだけでなく、お祝いの赤飯、小正月の小豆粥、お彼岸のおはぎなど、慶事や年中行事と深く結びついた食品であり、日本人にとって特別な存在です。これは、小豆には邪気を払う力があると信じられていたためです。特に、食品を染める赤い色は、魔除けの効果が高いとされ、普段とは異なる特別な日を象徴する色として用いられてきました。小豆は中国から日本に伝来しました。「古事記」や「日本書紀」にも「あずき」の名前が登場しますが、これは「あかつぶき(赤粒木)」から変化したと言われています。旬は9月から11月頃です。
小豆は、ビタミンB群、ミネラル、鉄分が豊富であり、特にビタミンB1の含有量は豆類の中でもトップクラスです。さらに、便通促進や利尿作用を持つサポニンや、抗菌作用のあるタンニンといった薬効成分も含まれています。海外では「レッドビーンズ」とも呼ばれ、アメリカのルイジアナ州では定番料理として米と一緒に提供されることが多いです。レッドビーンズはキドニービーンズに似ていますが、実際には異なる種類であり、小豆の方が小ぶりで丸みを帯びています。日本では主に餡として甘い料理に用いられますが、生の小豆には毒素が含まれているため、完全に煮るか加熱してから摂取する必要があります。
えんどう豆とその仲間:古くから親しまれる多様な豆
えんどう豆は、人類が古くから栽培してきた豆類の一つであり、メソポタミアが原産地とされています。日本へは遣隋使によって10世紀頃に伝えられましたが、本格的な栽培は明治時代以降に始まりました。えんどう豆には様々な品種が存在し、それぞれの特徴を活かして多様な料理に利用されています。
青えんどう:定番の煮豆やお菓子
青えんどうは、実の色で赤えんどうと区別されます。煮豆や甘納豆、うぐいす餡、炒り豆、フライビーンズなどの材料として用いられる一方、赤えんどうはおもに、みつ豆や豆大福、落雁などに使われます。日本で昔から親しまれている豆で、やさしい風味と独特な食感が魅力です。旬は9月から11月頃とされています。
ひよこ豆(ガルバンゾー):世界中で愛される万能豆
ひよこ豆は、スペイン語由来の「ガルバンゾー」という名前でも知られ、そのユニークな形と風味で世界中で人気があります。もっとも一般的な食べ方は、ペースト状にしたひよこ豆を主原料とするフムスですが、水煮やロースト、カレー、サラダなど、さまざまな料理に利用されています。ローストしたひよこ豆は、ノンカフェインのコーヒーの代替品としても使用されるなど、幅広い用途があります。また、ひよこ豆の缶詰の液には「アクアファバ」というタンパク質とデンプンを含む液体が含まれており、アクアファバは増粘性があるため、卵の代替品として料理や製菓に活用できるという特徴もあります。旬は9月~11月頃です。
ひよこ豆は、タンパク質、葉酸、食物繊維、鉄分、リンが豊富に含まれており、その栄養価の高さも人気の理由の一つです。血中コレステロール値の低下だけでなく、体重管理や糖尿病など、さまざまな健康上の問題の改善に役立つとされています。古代から人々の食生活を支えてきた歴史を持つ豆であり、その汎用性と健康効果から、現代の健康志向の食生活においても重要な位置を占めています。
ブラックアイドピーズ(黒目豆):幸運をもたらす豆
有名なバンド名にもなっている黒目豆は、アメリカ南部の伝統料理「ホッピン・ジョン」に使われる豆の一種です。えんどう豆とは異なり、他のササゲ豆と同様に、ササゲ属に分類されます。アメリカ南部では、この豆は幸運を象徴し、繁栄をもたらすと信じられているため、元旦に食べる習慣があります。カリウム、鉄分、食物繊維が豊富で、スモーキーな肉や柑橘系のサラダとの相性が抜群です。旬は9月から11月頃です。
そら豆(ファバビーンズ):旬の味覚と注意点
そら豆は英語で「ファバビーンズ」や「ブロードビーンズ」と呼ばれることがあり、その名の通り、豆が育つ際に上(空)を向くことから「空豆」と名付けられたといわれています。有名な物語「ジャックと豆の木」に登場する豆も、このそら豆であるという説があります。旬は9~11月頃ですが、生の鞘付きのものは春から初夏にかけて市場に出回ります。鞘や薄皮を剥くのに手間と時間がかかるだけでなく、価格も比較的高めですが、その独特な風味と食感は多くの人々を魅了しています。料理人からの人気も高く、鞘から取り出した豆は生で味わうこともできます。缶詰を選ぶ場合は、加熱したものをパスタに混ぜても美味しくいただけます。
そら豆は食物繊維、ビタミンB群、ミネラルを豊富に含み、栄養価が高い食品です。しかし、特定の人にとっては注意が必要な豆でもあります。グルコース-6-リン酸脱水素酵素欠損症(G6PDD)という代謝異常を持つ人は、そら豆を摂取すると「ファビズム(そら豆中毒)」と呼ばれる溶血性(赤血球の破壊)反応を起こしやすいので、摂取を避ける必要があります。この点に注意し、適切な知識を持って楽しむことが重要です。
世界で愛される多様なインゲン豆の世界
インゲン豆は、世界中で非常に多くの種類があり、様々な用途に使われている豆類の一つです。インゲンマメ属に分類され、色、形、大きさも多種多様です。ここでは、特に代表的なインゲン豆の種類と、それぞれの特徴を詳しくご紹介します。

赤いインゲン豆:食卓を華やかに彩る
赤いインゲン豆は、特徴的な鮮やかな赤紫色をしており、煮込み料理やサラダなど、幅広い料理で活躍します。日本でよく知られている金時豆も、このグループに属しています。
金時豆とレッドキドニー:代表的な赤いインゲン豆の仲間
金時豆は、インゲン豆の中でも特に有名な種類で、主に北海道で栽培されており、北海道産のインゲン豆のおよそ6割を占めています。代表的な品種は「大正金時」で、その名の通り鮮やかな赤紫色が目を引きます。この名前は、昭和初期に北海道の十勝地方、幕別村で発見され、その後大正村(現在の帯広市内)で大量生産されたことに由来します。金時豆は、形が美しく、味も優れているため、煮豆に最適とされ、甘納豆の原料としても重宝されています。旬の時期は、おおよそ9月から11月頃です。
一方、「レッドキドニー」も赤いインゲン豆の一種で、金時豆と非常によく似ています。「キドニー」とは英語で腎臓を意味し、その豆の形が腎臓に似ていることから名付けられました。レッドキドニーは、チリビーンズやチリコンカルネといった、メキシコやアメリカ南部の料理によく使われます。金時豆もレッドキドニーも、脂質はほとんど含まれておらず、糖質とタンパク質が主な成分です。さらに、日本人が不足しがちなビタミンB1をはじめとするビタミン類や、鉄分、カルシウムなどのミネラルも豊富に含んでいます。食物繊維もたっぷり含まれており、便通を促進する効果や、糖尿病や肥満の予防、さらにはがんの予防にも効果が期待できます。特にレッドキドニーは、鉄分とカルシウムが豊富で、不溶性食物繊維も多く含んでいるため、便秘や肌荒れの改善に役立ちます。
ただし、レッドキドニー(赤いインゲン豆)は、生のまま、あるいは十分に加熱されていない状態で食べると、有毒な成分が含まれているため、必ず加熱調理してから食べるようにしてください。α-ガラクトシドという不溶性食物繊維が多く含まれており、多量に摂取すると鼓腸や下痢を引き起こす可能性がありますが、高食物繊維食品は結腸の健康をサポートし、結腸がんのリスクを低減する効果があるとも言われています。豊富なビタミンやミネラルが含まれているため、注意点に留意すれば健康的な食材と言えるでしょう。
白いインゲン豆:滑らかな食感と多様な用途
白いインゲン豆は、その滑らかでクリーミーな食感と、穏やかな風味が特徴で、スープや煮込み料理、サラダなど、様々な料理に利用されています。
花豆(大黒花豆・白花豆):観賞から食卓へ
花豆は、インゲンマメ属の紅花インゲンに分類され、目を引く赤い大きな花をつける「大黒花豆」と、純白の大きな花を咲かせる「白花豆」が存在します。日本へ花豆の種子が伝来したのは江戸時代末期ですが、その美しい花が愛でられ、当初は観賞用として栽培されていました。食用としての栽培が始まったのは明治時代で、本格的な栽培は大正時代からです。現在では主に北海道で栽培され、一部は東北地方や長野県などの冷涼地でも栽培されています。ちなみに、中国からの輸入品は花芸豆という名で知られています。大粒で煮崩れしにくい特性から、煮豆や甘納豆として親しまれています。旬の時期は9月から11月頃です。
花豆は、50%以上が糖質で構成されており、タンパク質も約20%と豊富に含んでいます。さらに、日本人が不足しがちなビタミンB1をはじめとするビタミン類や、カルシウムも豊富です。食物繊維もたっぷり含まれているため、便通を促進し、糖尿病や肥満の予防、さらにはがん予防にも効果が期待されています。
カネリニビーンズ:イタリア料理に欠かせない存在
カネリニビーンズは、その外観と大きさが特徴で、「ホワイトキドニービーンズ」とも呼ばれます。イタリア料理では、スープ、シチュー、パスタなど、様々な料理に用いられる定番の豆です。高い栄養価に加え、素材本来の味と食べ応えがあり、調理しても煮崩れしにくいのが魅力です。カネリニビーンズは低脂肪であり、マグネシウム、タンパク質、食物繊維の優れた供給源となります。旬は9月~11月頃と言われています。
ネイビービーンズ:船員の食料から世界へ
「ネイビービーンズ」という名前は、アメリカ海軍によって名付けられました。1800年代半ばから船員の常備食として重宝されていたそうです。ネイビービーンズの生産は、栄養価の高い食料を手頃な価格で供給する方法として、第二次世界大戦中にオーストラリアに駐留していたアメリカ軍によって開始されました。ネイビービーンズは小粒で穏やかな風味が特徴で、コレステロール値と血糖値を下げる効果や、鉄分を補給してエネルギーを高める効果があります。特に、月経中に鉄分が不足しがちな女性にとって、これは大きなメリットとなります。高鉄分のハンバーガーと比較すると、脂肪ゼロで低カロリーなネイビービーンズの方が、はるかに健康的な選択肢と言えるでしょう。旬は9月~11月頃です。
彩り豊かな斑点模様の豆
独特な斑点模様を持つ豆は、その美しい見た目だけでなく、風味と栄養価の高さで世界中の食卓を豊かにしています。特に、煮込み料理やサラダに使うことで、その魅力を最大限に引き出すことができます。
うずら豆(ピントビーンズ):煮込み料理に最適
うずら豆、別名ピントビーンズは、淡い茶色の地に赤紫色の斑点が入った、うずらの卵のような模様が特徴的な豆です。明治時代にアメリカから種子が導入され、北海道で栽培が始まりました。日本では煮豆や甘納豆として親しまれ、海外では煮込み料理やスープによく使われます。メキシコ料理のブリトーに添えられるリフライドビーンズに使われていることも多く、アメリカでは非常にポピュラーな豆の一つです。食物繊維や葉酸などの必須栄養素が豊富に含まれており、脂質も1gと少ないため、積極的に食事に取り入れたい食材です。研究では、LDLコレステロールとHDLコレステロールを下げる効果も報告されています。旬は9月から11月頃です。
クランベリービーンズ:見た目も美しい万能豆
クランベリービーンズは、ピンクがかった赤色の可愛らしい見た目が特徴的な豆です。新鮮な鞘付きのものと、乾燥させたものが手に入ります。調理するとクリーミーで豊かな風味になり、スープやサラダ、ピントビーンズと同様にメキシコ料理にも良く合います。食物繊維、たんぱく質、鉄分、ビタミン、ミネラルなど、栄養価も非常に高く、優れた豆と言えるでしょう。旬は9月~11月頃です。
その他のいんげん豆
いんげん豆には、上記以外にも様々な種類が存在します。それぞれの豆が独自の風味、栄養価、そして活用方法を持っています。
ブラックビーンズ(黒いんげん豆):健康効果の宝庫
ブラックビーンズ(黒いんげん豆)は、その名の通り、黒色のいんげん豆で、豊富な栄養素を含み、健康をサポートする豆として知られています。消化促進や減量効果、肥満や心臓病のリスク軽減、髪の健康や美肌効果など、様々な効果が期待できます。鉄分、カルシウム、マグネシウム、亜鉛などのミネラルも豊富で、骨の健康維持にも役立ちます。さらに、カリウム、カルシウム、マグネシウムの組み合わせは、血圧を下げる効果も期待できると言われています。旬は9~11月頃です。
グリーンビーンズ(さやいんげん):若き莢の恵み
「さやいんげん」や「三度豆」の名で親しまれるグリーンビーンズ。私たちが口にしているのは、インゲン豆の若い未熟な莢と、その中に育つ果実の部分です。グリーンビーンズは、食物繊維を豊富に含み、葉酸(妊娠中の女性に不可欠)や、骨の健康維持と血液凝固機能を助けるビタミンKの供給源としても優れています。最も美味しい時期は9月から11月頃ですが、生のさやいんげんは夏に旬を迎えます。
リマビーンズ(ライ豆):奥深い風味の魅力
リマビーンズは、別名「ライ豆」とも呼ばれます。その名前は、南米ペルーの首都リマに由来すると言われています。アメリカでは「バタービーンズ」と呼ばれることも一般的です。薄皮を剥く作業は手間がかかるため、既に加工され缶詰になっている製品を利用すると便利でしょう。調理前にしっかりと水洗いし、アク抜きをすることで、消化を助け、お腹がゴロゴロするのを防ぐことができます。キドニービーンズと同様に、リマビーンズは生のまま摂取すると有害なシアン化物を生成するため、必ず十分に加熱調理してください。旬の時期は9月から11月頃です。
まとめ
本記事では、大豆、小豆、えんどう豆、いんげん豆といった様々な種類の豆について、そのルーツ、特徴、旬の時期、豊富な栄養価、健康への恩恵、そして具体的な調理方法や注意点まで詳しく掘り下げてきました。豆類は、古代から人々の食生活を支え、多くの文化において特別な意味を持ってきました。現代においても、タンパク質、食物繊維、ビタミン、ミネラルをバランス良く含んだ「畑の肉」として、健康的な生活に欠かせない食品です。それぞれの豆が持つ独自の風味や食感を活かし、伝統的な日本の料理から世界各国の多様な料理まで、様々な形で私たちの食卓を豊かに彩っています。
生のままでは食べられない豆の存在や、特定の疾患を持つ人が摂取を控えるべき豆があることなど、安全に美味しく豆を楽しむための情報も提供しました。この記事を通じて、それぞれの豆が持つ個性を理解し、日々の食事に上手に取り入れることで、より健康的で豊かな食生活を送るための一助となれば幸いです。豆の奥深い魅力を、ぜひご家庭でも体験してみてください。
生で食べられない豆はありますか?
はい、いくつかの豆は生のまま、または十分に調理されていない状態で摂取すると、有害な成分を含むため、必ず加熱調理が必要です。特にキドニービーンズ(赤いんげん豆)やリマビーンズ(ライ豆)は、毒性のあるシアン化合物を生成するため、完全に煮るか加熱してから食べる必要があります。また、そら豆は特定の体質を持つ人に「ファビズム(そら豆中毒)」を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。
豆の健康に対する利点は?
豆類はその栄養価の高さから「畑の肉」とも呼ばれ、健康に多岐にわたる恩恵をもたらします。良質なタンパク質に加え、食物繊維、ビタミンB群、鉄分、カルシウム、マグネシウム、亜鉛といったミネラルを豊富に含んでいます。これらの成分が、便秘の解消、糖尿病や肥満の予防、動脈硬化や高血圧といった生活習慣病のリスク低減、骨の健康維持、脳の活性化、疲労回復に貢献します。さらに、一部の豆には抗酸化作用や、女性ホルモンに似た働きをするイソフラボンが含まれており、更年期症状の緩和にも役立つと考えられています。
乾燥豆を料理する際のコツは?
乾燥豆を美味しく調理する上で最も大切なのは、十分な「水戻し」を行うことです。数時間から一晩かけて水に浸すことで、豆が十分に水分を吸収し、柔らかくなります。これにより、煮込み時間を大幅に短縮できます。また、水戻しに使用した水は一度捨て、新しい水で煮ることで、豆に含まれる不要な成分が取り除かれ、お腹の張りの原因となるガスが出にくくなる効果が期待できます。豆の種類によっては、下茹で(アク抜き)も重要な工程となります。
大豆イソフラボンは女性ホルモンにどう作用する?
大豆に含まれるイソフラボンは、女性ホルモンの一種であるエストロゲンに似た構造と機能を持つことで知られています。そのため、摂取する人の体内のホルモンバランスによって、異なる影響を与える可能性があります。例えば、更年期を迎えていない女性の場合、イソフラボンはエストロゲンの働きを抑制する方向に作用することがあります。一方、閉経後の女性においては、エストロゲンに似た働きによって、ほてり(ホットフラッシュ)などの更年期症状を和らげる効果が期待されています。
特定の豆類を避けるべき人はいますか?
はい、特定の豆を避けるべき人が存在します。グルコース-6-リン酸脱水素酵素(G6PD)欠損症という遺伝性の代謝異常を持つ方は、そら豆を摂取すると「ファビズム」と呼ばれる重篤な溶血性貧血を引き起こすリスクがあるため、そら豆の摂取は厳禁です。ご自身の健康状態に不安がある場合や、特定の食品に対する懸念がある場合は、必ず医師や栄養士に相談し、適切なアドバイスを受けるようにしてください。
豆の缶詰の液、アクアファバの活用法とは?
豆の缶詰に入っている液体は、「アクアファバ」という名で知られています。これは、主にタンパク質とデンプンが混ざり合ったものです。トロミがある性質から、卵白の代わりに様々な料理やお菓子作りに使用できます。たとえば、メレンゲやムースといったデザート、マヨネーズ、ヴィーガンバターなど、泡立てる、または乳化させる工程があるレシピでその特性を活かすことができます。













