料理の風味を格段にアップしてくれるバジル。そのフレッシュな香りをいつでも楽しめるように、プランターでの栽培に挑戦してみませんか?初心者さんでも大丈夫!バジルは比較的育てやすく、ちょっとしたコツさえ掴めば、ベランダやお庭で手軽に収穫できます。この記事では、プランターを使ったバジルの育て方を、種まきから収穫まで丁寧に解説。バジルを育てて、食卓をより豊かに彩りましょう!
バジル栽培の準備
バジル栽培を始めるにあたって、特にプランターでの栽培を考えている初心者の方でも簡単に始められるように、必要なものを事前に確認しておきましょう。バジルの苗は通常、「ポット」と呼ばれる小さな容器に3~5本程度生えた状態で販売されています。ここで言うポットとは、簡易的なプラスチック製の鉢のことです。土は「野菜用培養土」を用意し、1苗あたり約10リットルを目安にすると良いでしょう。プランターを使用する場合は、直径と深さが15~20cm以上の丸いものがおすすめです。その他、水はけを良くするために「鉢底石」、土を扱うための「移植ごて」(小さなシャベル)、栄養を与えるための「野菜用液体肥料または化成肥料」、剪定や収穫に使う「園芸用ハサミ」、そして水やりのための「じょうろ」が必要です。これらの基本的な道具と材料を揃えれば、スムーズにバジル栽培を始めることができます。
栽培開始前に:種まきと苗選びのポイント
バジル栽培を成功させるには、最初のステップである種まきや苗選びで正しい知識を持つことが大切です。丈夫な株を育てるための初期段階での選択が、その後の成長や収穫量に大きく影響します。ここでは、バジルの種まきに最適な時期と方法、そして元気な苗を見分けるためのポイントを詳しく説明します。
栽培の基本と種まきの時期・方法
バジルを種から育てる場合、最も重要なのは適切な「種まきの時期」と「発芽に適した環境」です。バジルの種は、発芽に20℃以上の温度が必要なため、日本では4月下旬から5月頃、つまり気温が安定し、霜の心配がなくなる時期に種まきをするのがベストです。庭に直接植えたい場合は、畑に直接種をまくこともできますが、小さなポットで苗を育ててから植え替える方が、初期の管理がしやすく、安定して育ちます。種をまく際は、種が重ならないように注意し、バジルには「光発芽性」という性質があるため、土を厚く被せる必要はありません。種まき後はしっかりと水を与え、乾燥させないように日当たりの良い場所で管理します。その後、本葉が2~3枚程度に成長したら、密集している部分を間引くことで、残りの株が健全に成長します。間引いた小さな葉は、サラダや料理に利用できるので、無駄なく楽しめます。「光発芽性」とは、種が発芽するために光を必要とする植物の性質のことで、バジルはこの性質を持つため、土を厚く被せると発芽率が大きく下がるので注意しましょう。
健康なバジル苗の選び方:購入時に注意すべき点
バジル栽培を苗から始める場合、生育の良し悪しは苗選びで決まると言っても過言ではありません。元気なバジル苗を選ぶために、いくつかのポイントをチェックしましょう。まず、葉の色をよく見てください。鮮やかな緑色で、葉に元気がない様子や、虫食いの跡、病気による変色がないものが理想的です。特に、葉の裏側も忘れずに確認し、斑点や傷がないか注意深く観察しましょう。次に、茎の状態です。太くてしっかりとしており、節間が詰まっている苗を選びましょう。茎が細くひょろひょろとしていたり、節間が間延びしている苗は、日照不足などが原因で弱っている可能性があります。また、双葉がしっかりと残っていることも、良い苗であることの目安となります。
バジル苗は、早い時期から店頭に並ぶことがありますが、露地栽培を考えている場合は、ゴールデンウィーク以降の購入がおすすめです。バジルは寒さに弱いため、気温が低い時期に植えると、生育不良や枯れてしまう原因になります。特に、4月中旬までは夜間の気温が低くなることがあるため注意が必要です。もし、4月中旬までに苗を購入した場合は、夜間は室内に取り込むなどして、寒さから守るようにしましょう。そうすることで、バジル苗を寒さによるダメージから守り、安心して育て始めることができます。
バジルの植え付け:最適な時期と場所、正しい手順
バジルは太陽の恵みをたっぷりと受けて育つハーブです。そのため、植え付ける場所は「日当たりが良く、風通しの良い場所」を選ぶことが大切です。適切な場所に植え付けることで、バジルは丈夫に育ち、香り高い葉をたくさん収穫することができます。また、植え付けの時期や方法も、バジルの生育に大きく影響しますので、しっかりとポイントを押さえておきましょう。
植え付け時期とバジルが好む環境
バジルの植え付け時期は、気温が安定する「5月以降」が基本です。4月はまだ気温が不安定な日もあるため、バジルにとっては厳しい環境となることがあります。特に、露地栽培やプランター栽培の場合は、春先の気候変動に注意が必要です。バジルが最も良く育つ温度は25℃前後と言われており、暖かくなる5月から7月にかけて苗を植えるのが最適です。日当たりが良く、風通しの良い場所を選ぶことで、バジルは病気になりにくく、元気に成長します。理想的な環境で育てることで、バジルはその香りを最大限に引き出すことができるでしょう。
植え付けの手順と株間を空ける重要性
苗をポットから取り出す際は、根を傷つけないように丁寧に扱いましょう。根鉢を崩してしまうと、バジルは一時的に元気をなくしてしまうことがあります。植え付けの際は、苗の根元が少し隠れるくらいの深さに植え、たっぷりと水をあげて土と根を密着させます。市販のバジル苗は、一つのポットに複数の芽が出ていることが多いです。その場合は、生育の良い芽を一つだけ残し、他の芽は根元からカットすることをおすすめします。切り取った芽は、サラダなどに利用できます。複数の芽をそのまま育てると、株同士が密集してしまい、風通しが悪くなるだけでなく、栄養を奪い合って生育が悪くなる可能性があります。バジルは成長すると大きく育つため、植え付けの際は「十分な株間」を確保することが大切です。株間を空けることで、それぞれの株が十分に日光を浴びることができ、風通しも良くなり、病害虫の予防にもつながります。地植えの場合は20cm~30cm程度、鉢植えの場合は鉢の大きさに合わせて余裕を持たせましょう。植え付け後1~2週間経ったら、生育の良い茎を2本残して間引き、さらに1~2週間後に最も元気な1本を残すようにすると、より良い株に育ちます。間引いた茎は、挿し木にして増やすこともできます。
プランターでの植え付け手順
バジルは種から育てることも可能ですが、苗から栽培する方が早く収穫でき、比較的容易なため、初めての方にもおすすめです。プランターでバジルを育てる具体的な手順を以下に説明します。最初に、プランターをきれいに洗い、底に鉢底石を敷き詰めます。次に、野菜用の培養土を入れますが、プランターの縁から2cm程度のスペースを残しておきましょう。これにより、水やり時に土が溢れるのを防ぐことができます。苗のポットと同じくらいの大きさの穴を掘り、ジョウロで水をゆっくりと注ぎます。水が土に染み込んだら、ポットから苗を根を傷つけないように注意しながら取り出します。苗を取り出す際は、根元を軽く押さえ、ポットを逆さまにして慎重に引き抜くのがポイントです。取り出した苗を穴に入れ、根元に土をかぶせて軽く押さえます。最後に、プランターの底から水が出てくるまで、たっぷりと水を与えます。苗を植え付けた後は、風通しの良い日当たりの良い場所に置いて育てましょう。この手順に従うことで、バジルの苗は新しい環境に馴染み、順調に成長を始めます。
バジルを育てる土、肥料、水やりの基本
バジルを元気に育て、たくさんの収穫を得るためには、適切な土、肥料、そして水やりが非常に大切です。これらの要素はバジルの成長に大きく影響するため、それぞれの重要な点を理解し、きちんと行うことが大切です。
バジルに適した土壌の条件と土壌改良の手順
バジルは、水持ちが良く、有機物を豊富に含んだ肥沃な土を好みます。畑の土がすでにこれらの条件を満たしている場合は、特に土壌改良をしなくてもすぐに植え付けができます。しかし、土の状態がバジルに適していない場合は、元気に育てるために植え付け前に土壌改良を行う必要があります。特に、畑の土が酸性になっている場合は、植え付けの約2週間前に石灰を混ぜ、土を深く耕してよく混ぜ合わせます。石灰は土の酸性度を調整し、バジルが栄養を吸収しやすいようにします。土の酸性度は、市販の測定キットなどを利用すれば手軽に調べられます。石灰を混ぜてから1週間後には、完熟堆肥と元肥を土に混ぜ込み、さらによく馴染ませます。堆肥は土の保水性や排水性を高め、有機物を供給し、元肥は植え付け初期の生育に必要な栄養を与えます。ここで注意したいのは、窒素を含む肥料は、石灰と同時に使用しないことです。石灰と窒素分が混ざると、窒素分がアンモニアガスに変化して空気中に逃げてしまい、肥料の効果がなくなってしまうだけでなく、バジルに悪い影響を与えることもあります。この場合の石灰とは、主に消石灰や苦土石灰を指します。すぐに植え付けたい場合は、牡蠣殻などの有機石灰を使うと良いでしょう。有機石灰は消石灰や苦土石灰とは性質が異なるため、有機石灰、完熟堆肥、有機肥料を同時に混ぜることができ、作業後すぐに植え付けが可能です。プランターでバジルを育てる場合は、市販されているハーブや野菜用の培養土を使うのが簡単でおすすめです。これらの培養土は、バジルの生育に必要な栄養バランスが考慮されているため、初心者でも安心して使えます。
バジル栽培における肥料の与え方と注意点
バジルをたくさん収穫するためには、適切なタイミングで肥料を与えることが大切です。まず、植え付け時に元肥を与え、初期の成長を助けます。その後、バジルの成長期である5月から9月にかけては、定期的に肥料を与えましょう。特に、葉が10枚以上になったら、土の中の栄養が不足してくるため、追肥が必要です。液体肥料を使う場合は、1週間に1回、水やりの際に与えるのが目安です。化成肥料を使う場合は、製品のパッケージに記載されている使用方法と規定量を守り、2週間に1回を目安に追肥します。バジルは成長が早いので、肥料不足になりやすいです。もし肥料が足りないと、株の下の方の葉が黄色くなり始め、最終的には落ちてしまうことがあります。このような状態になったら、すぐに追肥をして、バジルが再び元気に育つようにしましょう。
バジルの水やり:地植えと鉢植えでの違いと夏の管理
バジルの生育において、水やりは非常に大切な作業です。しかし、地植えと鉢植えでは水やりの方法が異なります。地植えの場合、基本的には自然の雨に任せて問題ありません。ただし、土がひび割れるほど乾燥するようなら、バジルの状態を見て水をあげましょう。鉢植えのバジルは乾燥に弱いため、水切れには特に注意が必要です。鉢の土の表面が乾いて白っぽくなったら、鉢底から水が出るまでたっぷりと水を与えましょう。特に暑い時期は乾燥しやすいので、土の表面をこまめにチェックし、乾いていたらすぐに水を与えてください。水やりの時間帯は、朝早くが最適です。日中の気温が高い時間帯に水を与えると、土が高温になり、水が温まって根を傷める可能性があります。真夏は特に土が乾燥しやすいので、朝に水を与えても夕方にはバジルがぐったりしている場合は、再度たっぷりと水を与えてください。適切な水やりを行うことで、バジルはみずみずしい葉を保ち、元気に育ちます。
バジルの病害虫対策:殺虫剤を使わない駆除法
食用として収穫するバジルは、病害虫対策が特に重要です。アブラムシやハダニ、アザミウマなどの害虫を見つけたら、すぐに駆除しましょう。バジルは葉を直接食べるため、殺虫剤の使用はできるだけ避けたいものです。殺虫剤を使わずに害虫を駆除するには、まず葉を一枚ずつ丁寧に確認し、害虫を直接取り除くのが効果的です。被害が大きい場合は、害虫が付着している葉や茎ごと切り取ってしまうのがおすすめです。どうしても殺虫剤を使用する場合は、バジルに使用できる登録がある農薬を選び、ラベルに記載された使用基準(使用回数や収穫前日数など)を必ず守ってください。日頃から風通しを良くし、バジルを健康な状態に保つことが、病害虫の発生を抑える上で最も大切です。
バジルを長く、たくさん収穫するための剪定術:摘心と切り戻し
バジルは暖かい地域が原産のため、気温が高いとどんどん成長し、新しい葉を次々と出します。この特性を活かして適切な剪定を行うことで、収穫量を大幅に増やすことができます。しかし、剪定せずに茎を伸ばし続けると、7月後半から8月にかけて花が咲き始めます。花が咲くと、バジルは種を作ることにエネルギーを使うため、葉を出す力が弱まります。その結果、葉が硬くなり、風味も落ちてしまうため、葉の収穫を目的にバジルを育てている場合は、適切なタイミングで摘心という剪定作業を行うことが重要です。
摘心と切り戻し剪定の目的と重要性
バジル栽培における摘心と切り戻し剪定の主な目的は、株の成長を調整し、収穫量を最大化すること、そして葉の品質を維持することです。花が咲くと、植物のエネルギーが花や種に集中してしまい、葉の成長が止まり、硬く風味も落ちてしまいます。苗を植えてから2ヶ月ほどで花が咲き始め、花穂ができると葉の味が落ちてしまうため、美味しくたくさんの葉を収穫し続けるには、花芽ができる前に摘心や切り戻しを行い、植物のエネルギーを葉の成長に向けさせることが大切です。これらの剪定作業によって、バジルは側枝が増え、より多くの葉をつけるようになります。
摘心の最適な時期と手順
バジルの摘心を行うのにベストなタイミングは、苗が「高さ20cm程度」に成長した頃です。茎が20~30cmほどになったら、収穫も兼ねて摘心を行いましょう。この段階で摘心を行うことで、わき芽の成長が促進され、株全体のボリュームアップにつながります。摘心のやり方は簡単です。地面から数えて2~3節目にあるわき芽の少し上を、清潔なハサミでカットしてください。わき芽を傷つけないように注意しましょう。摘心によって、今まで一本だった茎から新しい茎が複数伸び始め、最終的に収穫量を増やすことができます。中心の茎の先端をハサミで切り取る「摘芯」も重要で、茎と茎の間から生える小さな芽にも栄養が行き渡り、収穫量の増加に貢献します。
切り戻し剪定の時期と方法
バジルの「切り戻し剪定」は、株の形を整え、風通しを良くし、より多くの葉を収穫するために行います。バジルの開花時期は7月半ばから8月にかけてなので、開花前の「7月上旬ごろ」に行うのがおすすめです。この時期に、株全体の3分の1から半分程度を大胆に切り戻します。切り戻し剪定は、わき芽の成長を促すだけでなく、特に湿度が高く蒸れやすい梅雨の時期には、株内部の風通しを良くし、病害虫の発生を抑える効果も期待できます。ただし、株があまり成長していない場合は、無理に行う必要はありません。剪定したバジルの葉は、料理に使うだけでなく、水に挿して「水耕栽培」を楽しむこともできます。
摘心・切り戻し剪定の具体的な方法と注意点
バジルの茎には、葉の付け根(葉腋)に「小さなわき芽」が左右対称にできます。これらのわき芽は、将来的に新しい茎になる部分です。摘心剪定を行う際は、このわき芽の少し上をカットするのが正しい方法です。わき芽の上を切ることで、その下にある小さな葉(わき芽)が成長し、新しい葉や茎になります。その結果、一本の茎から複数の茎が伸び、株全体の葉の量が増加します。また、梅雨の時期など、葉が密集して蒸れやすい場合は、「葉茎を間引く目的」で切り戻しを行うのも効果的です。株がすっきりすることで風通しが良くなり、病気のリスクを減らせます。これらの作業を適切に行うことで、バジルは健康な状態を維持し、継続的に豊かな葉を提供してくれます。
摘心による収穫量アップのメリットと仕組み
バジルの剪定方法、特に「摘心」を行うかどうか、またそのやり方によって、ワンシーズンに収穫できる葉の量には大きな差が出ます。摘心の最大のメリットは、収穫量が大幅に増えることです。摘心によって、今まで一本だった茎からわき芽が成長し、二本の茎になります。この摘心を適切なタイミングで繰り返すことで、茎がどんどん増え、それに伴い葉の収穫量も大幅にアップします。もし摘心をせずに夏に花を咲かせてしまうと、バジルは開花後に種をつけ始め、新しい葉を出すよりも子孫を残すためのエネルギーを優先します。その結果、新しい葉が出にくくなり、葉の質も低下してしまいます。しかし、摘心を定期的に行うことで、バジルは「次の開花のために」、つまり子孫を残すために、新しい葉を積極的に出そうとします。この植物本来の生命力を利用することで、収穫期間が長くなり、結果として収穫量を大幅に増やすことが可能です。摘心は、バジルを長く、そしてたくさん収穫するための、非常に有効なテクニックです。
摘心・間引き後の茎の再利用と水耕栽培での増やし方
間引きや摘心で出たバジルの茎は、捨てずに新しい苗として活用できます。バジルを増やしたい時や、別の場所で栽培を始めたい場合に役立つ方法です。手順は簡単で、切り取った茎を水に1週間から10日ほど浸けておくと、切り口から根が生えてきます。根が十分に伸びたら、別の鉢や土に植え替えることで、同じように元気なバジルを育てられます。この水耕栽培による増殖は、手軽に株を増やせるだけでなく、間引きや摘心の副産物を有効利用できるため、家庭菜園の楽しみが広がります。簡単にバジルを増やしたい方におすすめです。
バジルの収穫方法と適切な時期
バジル栽培の魅力は、収穫した葉を料理に使えることです。しかし、収穫時期や方法が適切でないと、株の成長を妨げたり、収穫量が減る原因になります。ここでは、バジルの収穫を始める時期と、どこを摘み取れば良いのかを詳しく解説します。
バジルの収穫開始時期について
5月頃に植えたバジルは、すぐに収穫せず、株を大きく育てる期間が必要です。草丈が20cm程度になるまでは、株を大きくすることに専念しましょう。早く摘み取ると、株のバランスが崩れ、見た目が悪くなるだけでなく、生育にも影響が出ます。茎の高さが20~30cmになったら収穫開始です。地面から3節ほど葉を残して最初の摘心を行い、その後も摘心を繰り返しながら収穫します。本格的な収穫は、一般的に7月頃が目安です。この頃には、バジルは十分に成長し、新しい葉を次々と出す準備ができています。上部の柔らかい葉から必要な分だけ、ハサミで切って使いましょう。
バジルを摘む場所のポイント
バジルを収穫する際は、葉を一枚ずつ摘むのではなく、茎の「わき芽の上」でカットするのが基本です。わき芽は、葉の付け根から伸びる新しい芽のことで、このわき芽を傷つけないように、その上で茎を切ることで、残ったわき芽が成長して新しい茎になります。こうすることで、一つの株から継続的に多くの葉を収穫できます。わき芽の上でカットすることを意識し、清潔なハサミや手で丁寧に摘み取りましょう。この方法で、バジルは次々と新しい葉を出し続け、長く収穫を楽しめます。
様々なバジルの種類と特性
バジルと一口に言っても、その種類は多岐に渡り、葉の色、形、風味、そして用途も様々です。多種多様な品種を知ることで、栽培する目的や作りたい料理に最適なバジルを選び、より一層バジル栽培を楽しめます。ここでは、代表的なバジルの種類とそれぞれの特性をご紹介します。
主なバジルの種類
最もポピュラーなのは「スイートバジル」ですが、他にも個性的なバジルは数多く存在します。例えば、「濃い色の葉が特徴的なダークオパールバジル」は、その鮮やかな紫色が美しく、料理のアクセントとしてはもちろん、観賞用としても楽しまれています。また、「ブッシュバジル」は、名前の通り株が茂るように成長し、葉が小さいのが特徴です。「バジリコ・ナーノ」という名前でも知られており、コンパクトな見た目から鉢植えや寄せ植えにも適しています。公園などで見かけることのある黒みがかったバジルは、食用としてだけでなく、その美しい色から「カラーリーフ」としても重宝されています。料理に奥深さと彩りを添えるだけでなく、庭やベランダのワンポイントとしても活躍してくれるでしょう。
バジルの花の魅力と活用方法
バジルの花は、種類によって「白や薄いピンク色」などがあり、穂状に可愛らしい花を「夏に咲かせ」ます。食用として葉を主に収穫する場合は、栄養が花や種に集中してしまうのを防ぐために、つぼみの段階で摘み取るのが一般的です。しかし、観賞用として、あるいは花の見た目を楽しみたいのであれば、あえて花を咲かせてみるのも良いでしょう。バジルの花は、その愛らしい姿から、フラワーアレンジメントや食卓の彩りとしても活用できます。また、一部の品種の花は、ハーブティーとして楽しんだり、サラダに散らして風味を加えることも可能です。花を咲かせると葉の収穫量は減るかもしれませんが、バジルの新たな魅力を発見できるかもしれません。
バジルの越冬と保存方法
バジルは、その清涼感あふれる香りと味が特徴的なハーブとして広く親しまれていますが、実は「寒さに弱い」という性質があります。そのため、日本の冬を屋外で乗り越えることは難しく、秋の終わりには適切な対応が求められます。ここでは、バジルの越冬に関する情報と、収穫したバジルをより長く楽しむための保存方法について詳しく解説します。
バジルの寒さに弱い性質と冬を越すためのポイント
バジルは、原産地が温暖な地域であるため、日本の冬の寒さには弱い植物です。特に、秋が深まり冷たい風が吹くようになると、葉が黒ずんでくることがあります。これは寒さによって傷んでしまったサインであり、この状態になると回復は難しく、徐々に枯れてしまいます。そのため、バジルを長く楽しむためには、本格的な寒さが来る前に、株を整理し、残っている葉はすべて収穫しておくことが大切です。この時期に収穫したバジルは、そのまま料理に使ったり、これからご紹介する方法で保存することで、冬の間もバジルの風味を味わうことができます。
収穫したバジルの保存方法について
秋の終わりにたくさん収穫したバジルや、株を整理した際に出たバジルは、様々な方法で保存できます。すぐに料理に使うのが一番ですが、使いきれない場合は長期保存できる方法を選びましょう。特におすすめなのは、乾燥させて「ドライハーブ」として保存する方法です。ドライバジルは、乾燥させることで香りが濃縮され、パスタや肉料理、スープなど、様々な料理に使うことができます。作り方としては、収穫したバジルを丁寧に洗い、水気をしっかり拭き取ってから、風通しの良い日陰で数日間乾燥させます。完全に乾燥したら、手で細かく砕いたり、そのまま保存容器に入れて保存します。その他にも、バジルペースト(ジェノベーゼソース)にして冷凍したり、オリーブオイルに漬けて「バジルオイル」にするなど、色々な方法があります。これらの保存方法を活用すれば、一年を通してバジルの豊かな香りと味を楽しむことができます。
まとめ
バジルは、適切な育て方をすれば、たった一株でも秋まで次々と葉を収穫できる、とても魅力的なハーブです。種まきから苗選び、日当たりと風通しの良い場所を選ぶこと、適した土と水やり、そして何よりも「摘心」や「切り戻し」といった剪定作業が、収穫量を大きく左右します。特に、花芽を摘み取ることで、植物の栄養を葉の成長に集中させることができ、柔らかい葉をたくさん収穫できます。バジルは一度植えると、3~4ヶ月もの間、たくさんの葉を収穫できます。自宅で育てれば、必要な時に必要な分だけ新鮮な葉を摘んで、料理に贅沢に使うことができます。もし使いきれないほどたくさん収穫できたら、バジルペースト(ジェノベーゼソース)にして冷凍したり、天日干しで乾燥させてドライハーブにしたりと、色々な方法で保存して、一年中その風味を楽しむことができます。苗は秋頃まで手に入るので、ぜひこの機会に育ててみてはいかがでしょうか。
バジルの種まきに最適な時期はいつですか?
バジルの種まきは、発芽に適した温度が20℃以上であるため、日本では4月下旬から5月頃、気温が安定し、霜の心配がなくなった時期に行うのがおすすめです。バジルは光発芽種子なので、種をまいた後は土をかぶせず、水をあげて管理しましょう。
バジルの苗、選び方の秘訣は?
元気なバジルの苗を見分けるには、葉の色をチェックしましょう。鮮やかな緑色で、虫に食われた跡や病気の兆候がないものが理想的です。茎はしっかり太く、節の間隔が詰まっている方が丈夫に育ちます。双葉が付いている苗を選ぶと、さらに良いでしょう。屋外で育てる場合は、ゴールデンウィーク以降に購入するのがおすすめですが、それより早く手に入れた場合は、夜間は室内に取り込んで寒さから守ってあげてください。
バジルを豊作にするには?
バジルをたくさん収穫する秘訣は、「摘心」と「切り戻し」にあります。草丈が20cmくらいになったら、地面から2~3節目の少し上で摘心し、わき芽の成長を促しましょう。そして、花が咲く前の7月上旬頃に、株全体の1/3から半分程度を切り戻すと、長く収穫を楽しめます。
水やり、地植えと鉢植えで違いはある?
はい、水やりは栽培方法によって異なります。地植えの場合は、基本的に雨水に任せ、土がひび割れるほど乾燥している場合にのみ水を与えます。鉢植えの場合は乾燥に弱いので、鉢の表面の土が乾いたら、朝早くにたっぷりと水を与えましょう。特に真夏は水切れしやすいので、夕方に葉がぐったりしている場合は、追加で水やりが必要です。
バジルは冬を越せる?収穫後の保存方法は?
バジルは寒さに弱い植物なので、日本の屋外で冬越しさせるのは難しいでしょう。木枯らしが吹く前に葉が黒ずんで枯れてしまうため、晩秋には株を整理し、残った葉はすべて収穫しましょう。収穫したバジルは、生のまま料理に使うのはもちろん、天日干しにして乾燥ハーブにしたり、バジルソースにして冷凍保存したりすることで、長期保存が可能です。
バジル栽培における病害虫対策の重要ポイント
バジルを栽培する際、アブラムシやハダニ、アザミウマといった害虫の被害に遭うことがあります。これらの害虫は葉を食害するため、できれば殺虫剤は使わず、発見した場合は手作業で取り除くか、被害が深刻な葉は摘み取るのが良いでしょう。普段から風通しを良くし、バジルの株を健康に保つことが、害虫予防に繋がります。













