【プロが厳選】アップルパイに最適!りんごスイーツを極める品種選びの決定版
秋の味覚、りんごを使ったスイーツは格別ですよね。特にアップルパイは、りんごの甘酸っぱさとサクサクのパイ生地が絶妙なハーモニーを生み出す、誰もが愛する定番スイーツです。しかし、いざ作ろうと思っても、スーパーにはたくさんの種類のりんごが並んでいて、どれを選べば良いか迷ってしまうことはありませんか? この記事では、プロの視点からアップルパイに最適な、りんごの品種選びの決定版をご紹介します。甘味、酸味、食感、焼き上がりの美しさ、全てを考慮して厳選した、最高の一品を作るためのりんご選びを、ぜひ参考にしてください。

お菓子作りに合うりんご選びの3つのポイント

秋から冬にかけてお菓子作りで重宝されるりんご。店頭には多種多様な品種が並びますが、どれを選んだら良いのか悩む方も少なくないでしょう。お菓子作りに適したりんごを選ぶ上で大切なポイントは主に3つあります。

①甘みと酸味のバランス

お菓子作りに適したりんごは、甘さと酸味のバランスが取れていることが重要です。甘すぎず、酸っぱすぎず、お菓子の風味を引き立てるようなりんごを選びましょう。

②加熱後の食感(煮崩れにくさ)

アップルパイやタルトタタンなど、加熱するお菓子を作る場合は、煮崩れしにくいりんごを選ぶことが大切です。加熱後も食感が残り、心地よい歯ごたえが楽しめるりんごがおすすめです。

③風味への貢献

りんごはお菓子に豊かな風味、独特の食感、そして自然な甘さを加える上で欠かせない役割を果たします。アップルパイにおいては、りんごの甘酸っぱさが全体の味を引き締め、タルトタタンでは、キャラメリゼされたりんごが格別な風味と食感をもたらします。

今回比べるりんご(4種比較)

秋の初めに旬を迎えるりんごを中心に、「紅玉」を含む4種類のりんごを比較検討しました。それぞれの個性を詳しく見ていきましょう。

シナノドルチェ

信州で生まれたこの品種は、甘さと酸味の絶妙なハーモニーが魅力。ジューシーで、一口食べるとサクサクとした心地よい食感が広がります。

サンつがる

太陽をたっぷり浴びて育った青森県生まれのりんご。甘みが際立ち、酸味は穏やか。ゴールデンデリシャスと紅玉の良いところを受け継いでいます。

きおう

岩手県で生まれた黄色のりんご。「王林」と「千秋」を掛け合わせて誕生しました。果肉はほどよいかたさで緻密、甘味の中にさわやかな酸味があり、果汁が豊富で歯触りのよいりんごです。また香りがとてもよく、風味豊かな味が楽しめます。

紅玉

アメリカ原産のりんご。鮮やかな赤色が目を引きます。果肉はしっかりとしており、加熱しても煮崩れしにくいのが特徴。甘みとともに、キリッとした酸味が楽しめます。

4種類のリンゴを徹底比較検証

厳選した4種類のリンゴを、同一条件下で加熱調理し、その出来栄えを比較検証しました。

検証方法

リンゴの品種、カットサイズ、砂糖の量、加熱時間といった要素を全て統一し、焼き上がりの色味、味わい、そして食感を詳細に比較しました。

シナノドルチェ

加熱後の色合いは濃く、リンゴ本来の風味が豊かに感じられ、甘さと酸味のバランスが取れた仕上がりとなりました。若干の煮崩れが見受けられました。

サンつがる

酸味は控えめで、際立つ甘さが特徴です。今回比較した4種類の中で最も甘みが強く感じられました。非常に柔らかく仕上がり、煮崩れが最も目立ちました。

きおう

口に含むと、まず爽やかな酸味が広がります。りんご本来の甘さよりも、キリッとした酸味が前面に出ているのが特徴です。加熱調理しても形が崩れにくく、シャキシャキとした食感が楽しめます。

紅玉

強い酸味が特徴で、加熱しても煮崩れしにくい品種です。調理後も果肉の食感がしっかりと残り、りんごの風味を存分に味わうことができます。

4種類のりんご比較まとめ

上記でご紹介したりんごの比較結果をまとめました。

酸味

酸味の強さで比較すると、きおうが最も強く、次いで紅玉という結果になりました。

甘さについて

今回試食した中では、サンつがるが飛び抜けて甘みが強く感じられました。他の品種、例えばシナノドルチェやきおう、紅玉などは、ほぼ同じくらいの甘さレベルでした。

煮崩れのしやすさ

煮詰めて調理した場合の形崩れ具合ですが、紅玉が最も原型を維持していました。続いてきおうも比較的煮崩れしにくいという結果が出ています。

お菓子作りに最適なりんごの選び方

お菓子の出来栄えを左右するりんご選び。甘さや酸味は後から砂糖やレモン汁で調整できますが、煮崩れに関しては調整が難しいポイントです。そのため、お菓子を作る際には、できるだけ煮崩れしにくい品種を選ぶことを推奨します。今回の検証では、紅玉が特にお菓子作りに適しているという結論に至りました。また、青りんごの一種であるきおうも、煮崩れしにくい特性があり、お菓子作りに適していると言えるでしょう。

アップルパイに合うりんごとは?

アップルパイを作る上で、りんご選びは成功の鍵を握ります。単に甘いだけでなく、りんご本来の豊かな風味を最大限に活かすためには、「酸味」に着目することが大切です。適度な酸味を持つりんごを選ぶことで、パイ全体の風味が引き締まり、甘ったるさを抑えた、爽やかな味わいのアップルパイに仕上がります。アップルパイ作りで忘れてはならないのは、ただ甘いだけのりんごを選ぶのではなく、りんご本来の美味しさを引き出すことです。そのためには、「酸味」の存在が非常に大切になります。なぜなら、酸味がほどよく効いたリンゴを使うことで、アップルパイ全体の味が引き締まり、甘ったるさを抑えた、バランスの取れた味わいになるからです。酸味は甘味と見事に調和し、一口食べるごとに奥深い風味をもたらします。

アップルパイにグラニースミスと紅玉が愛される理由

奥深い風味:甘味と酸味の絶妙なバランスが、アップルパイに複雑で豊かな風味を与えます。

独特の食感:加熱すると果肉がほどよく柔らかくなりながらも、一部にしっかりとした歯ごたえが残るため、食べた時の満足感が高いです。

アップルパイに最適な性質:焼いても形が崩れにくく、果肉感を保ちます。これにより、パイの中でりんごの存在感が際立ち、見た目も食感も楽しめます。

広く愛される品種:アップルパイの材料として広く認知されており、多くのレシピで指定されています。伝統的なレシピにもよく用いられ、焼き菓子全般に適した品種として高く評価されています。

酸味が甘さを際立たせる:りんごの酸味が加わることで、全体の味が引き締まります。焼くことでりんごの甘みが増し、香りがより一層引き立つため、甘いアップルパイでありながら、りんご本来の風味を堪能できます。

アップルパイ作り、りんごのブレンドが鍵

アップルパイ用のりんご選びでは、単一の品種にこだわることなく、複数の品種を組み合わせるのが一般的です。甘さ控えめのもの、酸味が際立つもの、甘みが強いもの、ほどよい酸味のものなど、様々なりんごを組み合わせることで、味に深みが増します。場合によっては、一つのパイを作るのに6〜8種類ものりんごを使うことも珍しくありません。スーパーで手に入るりんごの種類を調べ、最適な組み合わせを考えるのは、アップルパイ作りの醍醐味の一つと言えるでしょう。

アップルパイと相性抜群!おすすめりんご8選

果肉がしっかりとしていて、シャキシャキとした食感が楽しめるりんごが特に適しています。
一年を通して比較的入手しやすく、アップルパイ作りに適したリンゴを8種類厳選してご紹介します。

ふじ

10月下旬頃から市場に出回り始め、流通量が豊富で価格も安定しているのが特徴です。強い甘みが持ち味なので、酸味のあるリンゴと組み合わせることで、より一層美味しく仕上がります。紅玉やグラニースミスと合わせて使うことで、甘みと酸味のバランスが取れた、奥深い味わいのアップルパイになります。
「ふじ」と「サンふじ」の違いは、栽培方法にあります。袋をかけて丁寧に栽培されたものが「ふじ」、袋をかけずに太陽の光をたっぷり浴びて育ったものが「サンふじ」と呼ばれます。サンふじは太陽光を多く浴びる分、甘みが凝縮され、より濃厚な味わいになります。

つがる

早生品種のつがるは、8月頃から店頭に並び始め、9月中旬頃まで収穫期を迎えます。さっぱりとした酸味が特徴で、甘みの強い品種と組み合わせることで、味のバランスが整います。ジョナゴールドや紅玉と一緒に使うと、食感と風味のハーモニーが楽しめます。
良質なつがるを見分けるポイントは、表面の色付き具合です。シーズン初期に出回るため、全体的に淡い色合いのものもありますが、お尻の部分が黄色みを帯びていれば十分に熟しています。また、果汁をたっぷり含んだものは重みがあるので、手に取った際にずっしりとした感触があるものを選びましょう。果皮の表面が少しべたついているものは、完熟しているサインです。
つがるには、袋をかけて栽培されるものと、袋をかけずに太陽をたっぷり浴びて育った「サンつがる」があります。サンつがるは、見た目の色はやや薄めですが、太陽の恵みをたっぷりと受けて育つため、より甘みが凝縮されていると言われています。

千秋

千秋は、9月中旬頃から11月頃までが旬のりんごです。中でも10月頃が最も多く出回ります。ふじやつがるなど、異なる食感のりんごと組み合わせることで、それぞれの個性を引き立て、より豊かな味わいになります。特に、甘みを強調する役割があります。
千秋の果皮は、緑黄色のベースに、褐紅色の縞模様が入っています。全体的に色づきが良く、お尻の部分に少し緑色が残っているのが特徴です。千秋は、「秋映」や「美希ライフ」、「きおう」など、多くの品種の親としても知られています。
美味しい千秋を選ぶには、果皮が鮮やかな赤色に着色し、手に持った時にずっしりとした重みを感じるものを選びましょう。また、果皮に張りがあるかどうかも重要なポイントです。表面がべたつくものは、完熟していて甘みが強い証拠です。
りんごの中には、熟成が進むにつれて果皮の表面にロウ物質が分泌される種類があり、千秋もその一つです。これは、リノール酸やオレイン酸などの脂肪酸が増加し、ロウ物質として皮に含まれるために起こる現象です。そのため、果皮がべたついていても品質に問題はありません。

紅玉

紅玉は、9月下旬から11月上旬頃までが旬のりんごです。甘みの強いりんごとの相性が抜群で、紅玉の酸味が全体の味を引き締め、深みを与えます。ふじやジョナゴールドと組み合わせることで、より一層美味しく味わえます。
紅玉は、多くの品種の親としても優れた特性を持っており、ジョナゴールド、つがる、ひめかみ、あかねなど、様々な品種を生み出しています。
美味しい紅玉を選ぶポイントは、手に持った時に重みを感じるかどうかです。重いものは果汁を豊富に含んでいる証拠です。紅玉はもともと小ぶりな品種なので、サイズが小さくても気にする必要はありません。
紅玉は日持ちがあまり良くないため、冷蔵庫または温度の低い冷暗所で保存し、早めに消費するようにしましょう。また、紅玉はエチレンガスを多く放出するため、一つずつ新聞紙で包んで保存すると、鮮度を保つことができます。他のりんごに比べて、価格がやや高めであることも特徴です。

ジョナゴールド

ジョナゴールドは、10月から11月頃が旬ですが、貯蔵性に優れているため、翌年の夏頃まで出荷されます。紅玉やグラニースミスといった酸味のあるりんごと組み合わせることで、甘みと酸味のバランスが絶妙になり、より奥深い味わいを楽しむことができます。
ジョナゴールドの果皮は、つややかな鮮やかな赤色が特徴です。完熟したものは表面が少しべたつくことがありますが、これは「油あがり」と呼ばれる現象で、品質には問題なく、美味しく食べられます。
ジョナゴールドは、乾燥を防ぐために新聞紙で包んでポリ袋に入れ、冷暗所で保存すると日持ちします。皮ごと食べるのがおすすめです。また、切れ目を入れてウサギの形にカットすると、見た目も華やかになり、ジャムやコンポート、スムージーなど、様々な用途で活用できます。

グラニースミス

収穫時期は11月中旬から12月頃。強い酸味が特徴なので、甘味の強いふじや津軽と組み合わせることで、全体の風味が調和します。
グラニースミスは、1868年にマリア・アン・スミスという女性がオーストラリアで偶然発見した青リンゴです。その名の通り、「スミスおばあちゃんのリンゴ」として親しまれています。
オーストラリア生まれのリンゴですが、スミス夫人は元々イギリス出身。ナポレオン戦争後の困窮した生活から逃れるためオーストラリアに移住し、その地でこのリンゴが誕生しました。
紅玉と並び、プロのパティシエにも重宝されるグラニースミス。酸味が強いため、「酸っぱいリンゴは苦手」という方でも、アップルパイには最適な品種です。
果肉は硬く締まっており、皮は鮮やかな薄緑色を選びましょう。
抗酸化作用のあるポリフェノールを豊富に含み、特に高濃度な品種です。さらに、ワシントン州立大学の研究によると、グラニースミスは難消化性化合物も多く含んでおり、肥満対策にも効果が期待できるとされています。

秋映(あきばえ)

9月下旬から11月初旬にかけて市場に出回る、長野県生まれのオリジナル品種です。ふじやジョナゴールドと組み合わせると、甘み、酸味、食感のバランスが絶妙なアップルパイに仕上がります。
果汁が豊富で甘みも強く、程よい酸味とのバランスがとれており、全体的に甘酸っぱい味わいが特徴です。
一般的に、果皮が濃い赤色に染まっているものは長野県南部産、赤黒い色合いのものは青森県などの寒冷地産とされています。果皮の色で産地をある程度推測することが可能です。
深紅色の濃厚な果皮が特徴的で、果梗部のくぼみ周辺に黄緑色が残っていることが多いのも秋映の特徴です。
秋に出荷される秋映は、独特の食感と豊富な果汁が魅力。信州を代表するリンゴとして、確固たるブランドを確立しています。

シナノゴールド

10月下旬から翌年5月下旬頃までと、比較的長い期間出回ります。主な産地は長野県と岩手県。程よい酸味があるので、ふじや津軽と合わせることで、まろやかで甘みが際立ち、食べやすいアップルパイになります。

完熟すると鮮やかな黄色になるため、緑がかったものより黄色いものを選びましょう。軸の周辺に薄茶色のサビが見られることがありますが、これは甘味と酸味が凝縮されている証拠です。果汁が多いものは、同じサイズでもずっしりとした重みがあります。

ジューシーでサクサクとした食感が楽しめ、甘みと程よい酸味、豊かな香りが特徴です。貯蔵性に優れているため、翌年の初夏頃まで店頭に並びます。

この品種の栽培権はイタリアにも輸出されており、イタリアでも人気の品種となっています。食文化が豊かなイタリアで広く受け入れられており、今後、イタリアでのリンゴ生産の40%を占めるようになると予想されています。

イタリアでは、見た目の色から「イエロー」という名前で親しまれています。他の黄色いリンゴと比べても、酸味と甘みのバランスが絶妙で、その品質は高く評価されています。

誰かを思って作るアップルパイ/そのひと工夫が思いやりに

手作りならではの魅力は、食べる人の好みに合わせてアレンジできる点にあります。アップルパイには、一般的に加熱しても煮崩れしにくく、程よい酸味と食感があるグラニースミスのような果肉がしっかりしたリンゴが適しています。しかし、高齢者や小さなお子様には、柔らかく煮込みやすい品種を選ぶのも良いでしょう。特に高齢者には、口当たりの優しいものが好まれる傾向があります。そこで重要なのが、「誰のために作るのか」を考えることです。リンゴの品種を選ぶ段階から相手の好みを想像し、その人に合わせたアップルパイを作る。これこそが、手作りの醍醐味ではないでしょうか。ぜひ、あなたらしい工夫で、食べる人の心を掴むアップルパイ作りに挑戦してみてください!

作りたいお菓子に合わせてりんごを選ぶ喜び

今回、4つの品種で比較してみましたが、その差は歴然でした。これほど違いがあると、同じレシピでも全く異なる仕上がりになることでしょう。これからさらに様々な種類のりんごが登場します。色々なりんごを試して、作りたいお菓子に最適なものを見つけるのも、りんごを使ったお菓子作りの醍醐味と言えるでしょう。この記事が皆様のりんごのお菓子作りのお役に立てれば幸いです。

まとめ

お菓子作り、とりわけアップルパイ作りにおけるりんご選びは、出来上がりの味を大きく左右する、非常に重要なポイントです。それぞれの品種が持つ特性を把握し、甘さ、酸味、食感、そして煮崩れしにくさを考慮することで、理想とするお菓子作りが実現します。ぜひ今回の情報を参考に、多彩なりんごを試してみて、あなたにとって最高のお菓子作りを見つけてください。

質問1:アップルパイに最適な品種は何ですか?

回答1:アップルパイには、酸味と甘みの調和がとれており、加熱しても形が崩れにくい品種が適しています。例えば、紅玉やグラニースミスなどが挙げられます。これらのりんごは、焼き上げ後も食感を保ち、美味しくいただけます。

質問2:お菓子作りでりんごを別の品種で代用する場合、何が良いですか?

回答2:紅玉が入手困難な場合は、酸味を持つ別の品種、例えばジョナゴールドや秋映などを代わりに使うことができます。これらの品種も加熱することで風味が際立ち、お菓子に奥深さを加えます。

質問3:りんごを長持ちさせるには、どんな点に注意すれば良いでしょうか?

回答3:りんごは熟成を促進するエチレンガスを発生させます。そのため、他の食品と一緒に保管すると、それらの品質を損ねる可能性があります。りんごを保存する際は、一つずつ新聞紙などで包み、ポリ袋に入れて冷蔵庫で保管すると良いでしょう。
りんごのスイーツアップルパイ