清々しい香り、初夏の味覚「甘夏」。爽やかな香りとジューシーな果肉は、そのまま食べるのはもちろん、ジャムやジュースなど様々な用途で楽しめますよね。でも、甘夏を毎日食べることで、私たちの体にどんな変化があるのでしょうか? 美容や健康に嬉しい効果が期待できる一方で、注意すべき点も存在します。今回は、甘夏を毎日食べることで得られる効果と、知っておきたい注意点について詳しく解説します。
甘夏とは?基本情報と特徴
甘夏は、夏みかんから生まれた品種で、正式には川野夏橙と呼ばれています。大分県の川野豊さんの農園で見つかり、その後、愛媛県などで昭和30年頃から広く栽培されるようになりました。果肉は甘さと酸味が調和したみずみずしい味わいが特徴で、さっぱりとした甘さの中に、かすかな苦味がアクセントになっています。
旬の時期
甘夏の旬は、春から初夏にかけての2月~6月頃です。多くの柑橘類が冬に旬を迎える中で、甘夏は春に楽しめる貴重な存在です。収穫は1月~3月頃に行われますが、その後数ヶ月間貯蔵することで甘みが増し、5月~6月頃が最も美味しい時期となります。
他の柑橘類との違い
甘夏の特徴として、他の柑橘類に比べてカロリーと糖質がやや低い点が挙げられます。例えば、100gあたりのカロリーと糖質量は、甘夏が約42kcal/8.8gであるのに対して、温州みかんは約49kcal/11.5g、デコポンは約56kcal/12.3gです。また、冬みかんよりも酸味が強く、貯蔵期間を経て甘みが増しても、温州みかんほどの甘さにはならない点が異なります。
甘夏の栄養価と健康効果
甘夏には、ビタミンC、クエン酸、カリウム、ナリンギン、オーラプテンなど、健康維持や美容に役立つ栄養素や機能性成分が豊富に含まれています。また、薄皮や袋には食物繊維も含まれており、お腹の調子を整えるのに役立ちます。
ビタミンC:輝く肌と抵抗力アップ
甘夏はビタミンCをたっぷり含んでいます。ビタミンCは強力な抗酸化作用を持ち、体内の活性酸素を抑制することで、肌、髪、血管などの組織を生き生きと保つサポートをします。さらに、体の防御機能を高め、風邪などの感染症から体を守る手助けにもなります。
クエン酸:元気回復とエネルギー生成促進
甘夏のさわやかな酸っぱさの元であるクエン酸は、エネルギー産生に不可欠な「クエン酸サイクル」において重要な役割を果たします。クエン酸を摂取することで、エネルギー代謝が活発になり、疲労回復を促す効果が期待できます。レモンや梅干しにも多く含まれますが、甘夏のように手軽に食べられる柑橘類で摂取するのがおすすめです。
カリウム:すっきりボディと血圧ケア
甘夏に含まれるカリウムは、体内の水分バランスを調整する働きがあり、過剰なナトリウムの排出を促し、むくみ改善や血圧の安定に貢献します。現代の食生活では塩分過多になりがちなので、カリウムを積極的に摂ることが重要です。
ナリンギン:アレルギー症状の軽減
甘夏などの柑橘類に存在するナリンギンは、アレルギー反応を抑える作用があり、花粉症などのつらいアレルギー症状を和らげる効果が期待されています。
オーラプテン:健康を支える注目の成分
近年、甘夏の皮に豊富に含まれるオーラプテンが、健康に良い影響を与える可能性が研究で示されています。具体的には、がんに対する抵抗力を高めたり、記憶力や判断力といった脳の機能をサポートする効果が期待されています。
甘夏の味わい方:多彩なアレンジで楽しむ
甘夏は、フレッシュな果肉を味わうだけでなく、皮も工夫次第で美味しく活用できます。さまざまな方法で甘夏を楽しみましょう。
基本の食べ方
甘夏のヘタ(上部)とお尻(下部)を薄く切り落とし、側面に縦に4~6本ほど、皮の厚みまで切り込みを入れると、手で簡単に剥がせます。また、内側の薄皮も厚いので、取り除いてから果肉を食べるのがおすすめです。薄皮を剥く手間を省きたい場合は、グレープフルーツのように半分にカットし、スプーンで果肉をすくって食べるのも手軽でおすすめです。
皮の活用術:マーマレード、ピール、バスタイムにも
甘夏の皮は、爽やかな香りが特徴です。マーマレードやピールに加工すれば、美味しく皮まで食べられます。特に、皮に含まれるオーラプテンを効果的に摂取したい場合は、加熱による損失が少ないマーマレードやピールが適しています。さらに、甘夏の皮はお風呂に入れることで、入浴剤としても活用できます。リモネンの香りでリラックスしたり、血行促進効果も期待できます。
美味しい甘夏の選び方と保存方法
甘夏を選ぶ際は、いくつかのポイントを抑えることで、より美味しいものを見つけられます。また、保存方法も工夫することで、甘夏を長く楽しむことができます。
選び方のポイント
美味しい甘夏を選ぶためのポイントは以下の通りです。
- ヘタ:新鮮な緑色をしているものがおすすめです。
- 皮:表面に張りがあり、鮮やかな色合いのものを選びましょう。
- 重み:手に持った時に、ずっしりとした重みを感じるものが良いでしょう。
- 香り:爽やかで甘酸っぱい香りが漂うものがおすすめです。
保存方法
- 室温保存:直射日光を避け、風通しの良い涼しい場所で保管しましょう。
- 冷蔵保存:乾燥を防ぐため、ビニール袋などに入れて冷蔵庫の野菜室で保存します。
- 冷凍保存:皮や薄皮を取り除き、果肉のみを冷凍用保存袋に入れて冷凍します。シャーベットのように楽しむこともできます。
食べ過ぎるとどうなる?注意点
甘夏は栄養価が高い果物ですが、過剰に摂取すると体に悪影響を及ぼす可能性があります。腹痛や下痢といった消化器系の不調、血糖値の急上昇、カリウムの過剰摂取による高カリウム血症などを引き起こすこともあります。適切な量を守って、美味しくいただきましょう。
消化器系のトラブル
甘夏に含まれる豊富なビタミンCも、摂りすぎるとお腹の不調を招くことがあります。腹部の痛み、下痢、吐き気、嘔吐といった症状が現れる場合、摂取量を見直してみましょう。
血糖値の急上昇
甘夏は美味しい果物ですが、糖質も含まれています。過剰に食べ続けると、血糖値が上がりやすくなり、体重増加につながることも考えられます。特に血糖値が高い方は、食べる量に注意することが大切です。
カリウム過多のリスク
甘夏にはカリウムも含まれています。たくさん食べすぎると、腎臓に負担がかかり、高カリウム血症を引き起こす可能性があります。
1日の摂取量の目安
甘夏を1日に食べる量の目安は、約1個が良いでしょう。ダイエットなどでカロリーを制限している場合は、さらに量を減らすことを検討しましょう。
まとめ
春から初夏にかけて旬を迎える甘夏は、爽やかな甘みと酸味が特徴的な柑橘類です。豊富な果汁と独特の風味は、多くの人々を魅了します。また、ビタミンC、クエン酸、カリウムなど、健康維持に役立つ栄養素もたっぷり。美容、疲労回復、むくみ対策など、様々な効果が期待できる優れものです。そのまま味わうのはもちろん、皮まで余すことなく活用することで、甘夏の様々な魅力を堪能できます。旬の時期に、ぜひ甘夏を食生活に取り入れてみましょう。
甘夏は妊婦が食べても大丈夫ですか?
甘夏は、妊婦さんにとっても嬉しい栄養素が豊富に含まれています。特にビタミンCは、積極的に摂取したい栄養素の一つです。ただし、体を冷やす作用があるため、食べ過ぎには注意し、適量を心がけましょう。
甘夏は子供に食べさせても大丈夫ですか?
甘夏は、お子様の成長に必要な栄養素を含んでいますが、酸味が強いため、最初は少量から試すようにしましょう。また、種がある場合は、誤って飲み込まないように、必ず取り除いてから与えてください。
糖尿病の人が甘夏を食べても良いのでしょうか?
甘夏にはある程度の糖質が含まれていますので、糖尿病を患っている方は食べる量に気を配る必要があります。かかりつけの医師や栄養指導を受けている場合は、甘夏の摂取量について相談し、指示された量を守るように心がけましょう。