平安貴族が愛した甘味の世界:甘葛と果実が彩る雅なお菓子
平安貴族が愛したのは、現代の煌びやかなスイーツとは一線を画す、自然の恵みを活かした雅(みやび)な甘味の世界でした。貴重な甘味料であった甘葛(あまづら)を中心に、果実や木の実をそのままに味わう菓子は、彼らの心を潤し、豊かな宮廷文化を彩りました。この記事では、今へと続く和菓子の原点ともいえる、平安時代の甘味の世界を覗いてみましょう。

平安時代の甘味の世界

平安貴族が楽しんだ菓子の種類

平安時代の貴族はフルーツと唐果子を区別せずに扱っており、「唐から来た果物」としてお菓子を扱っていたことが窺えます。(出典: 糖尿病に悩む人が多かった!実は不健康な平安貴族の食生活, URL: https://nazology.kusuguru.co.jp/archives/151373, 2024-06-16) 具体的には、甘葛(あまづら)の他に、柿、梨、梅などの季節の果物、そして米や麦から作られた餅などが食されていました。また、中国から伝来した唐菓子も珍重され、貴族の間で嗜まれていたようです。

甘葛(あまづら)とは?

平安時代の甘味料として欠かせない甘葛(あまづら)は、現在ではその正体が複数の植物に由来する可能性が指摘されています。有力な候補として「アマヅル樹液」「アマヅル果実」「ツタ樹液」が挙げられており、それぞれの成分や風味に違いがあったと考えられます。(出典: 立命館大学・ブルーバックスアウトリーチ『甘葛を現代によみがえらせる挑戦』, URL: https://outreach.bluebacks.jp/project/home/20, 2021-01-04) この甘葛を煮詰めて作られた「甘葛煎」は、貴重な甘味料として珍重されました。

まとめ

平安時代の甘味は、現代の洗練された菓子とは異なり、素材そのものの風味を活かした質素なものでした。しかしながら、その簡素さの中に、当時の人々の暮らしや文化が感じられます。フルーツと唐果子を区別せずに扱っていたことから、「唐から来た果物」としてお菓子を扱っていたことが窺えます。(出典: 糖尿病に悩む人が多かった!実は不健康な平安貴族の食生活, URL: https://nazology.kusuguru.co.jp/archives/151373, 2024-06-16) 古典の世界に思いを馳せながら、平安時代の甘味に触れてみるのも興味深いかもしれません。

よくある質問

平安時代には、どのような甘味料が用いられていたのでしょうか?

主として甘葛(あまづら)という植物から得られる甘味料が使用されていました。最新の研究によると、甘葛は「アマヅル樹液」「アマヅル果実」「ツタ樹液」の3つの候補すべてが甘葛である可能性が出てきています。(出典: 立命館大学・ブルーバックスアウトリーチ『甘葛を現代によみがえらせる挑戦』, URL: https://outreach.bluebacks.jp/project/home/20, 2021-01-04) その他には、果物なども甘味として用いられていました

平安時代の甘味は、どのような人々が食していたのでしょうか?

主に貴族階級の人々が嗜んでいました。一般庶民が、日常的に甘いものを口にする機会は少なかったと考えられます。

平安時代の菓子は今も味わえる?

当時の製法を完全に再現するのは困難ですが、芥川龍之介の名作にも書かれた古代の究極のデザート「芋粥」に使われた幻の甘味料「甘葛」の正体の究明と調理の再現に挑むプロジェクトがあります。今回のプロジェクトでは、甘葛の原料と考えられる3つの候補すべてから実際に甘葛の復元を試みます。そして成分をすべて確かめたうえで、幻の甘味料「甘葛」を用いた古代のスイーツを再現します。 (出典: 立命館大学『甘葛(あまづら)を復元し『枕草子』『今昔物語集』に登場した究極古代スイーツを作る』プロジェクト, URL: https://outreach.bluebacks.jp/project/home/20, 2021-01-04) 当時の菓子をヒントにした現代風の和菓子も存在します。