冬の食卓を彩る代表的な柑橘類、みかん。その甘酸っぱさと手軽さから、多くの人に愛されています。自分で育てたみかんを味わえたら、さらに格別な体験になるでしょう。この記事では、みかん栽培の第一歩となる苗選びから、美味しい実を収穫するための育て方のコツまで、初心者の方にもわかりやすく徹底解説します。さあ、あなたもみかん栽培にチャレンジしてみませんか?
温州みかんとは
冬の定番フルーツといえば、温州みかん。日本の食卓を彩る代表的な柑橘類の一つです。種が少ないため、手軽に食べられるのが魅力です。そのルーツは鹿児島県長島にあり、遣唐使が持ち帰った柑橘の種から偶然生まれたと伝えられています。海外では「サツマオレンジ」の名で親しまれています。
温州みかんの品種を選ぶ

温州みかんには多種多様な品種が存在し、それぞれに個性的な味わいがあります。初めて栽培に挑戦する方には、育てやすい早生品種がおすすめです。甘みが凝縮された晩生品種も人気があります。代表的な品種としては、愛媛中生温州や青島温州などが挙げられます。
愛媛中生温州
愛媛中生温州は、ジューシーで程よい甘さが特徴。酸味が少なく、香り高いみかんです。南柑20号よりも色づきが早く、糖度も高めです。皮がむきやすく、内側の薄皮も柔らかいので、とても食べやすい品種と言えるでしょう。
青島温州
青島温州は、濃厚なコクと強い甘みが魅力の、温州みかんの中でも特に人気の高い品種です。お正月に欠かせないみかんとしても知られています。果実は扁平で、皮はやや厚めですが、手で簡単にむくことができ、家庭栽培にも適しています。三ケ日みかんや有田みかんといった有名な産地でも栽培されています。
温州みかんの育て方:基本

温州みかんは、太陽の光をたっぷり浴びることができ、強い風が直接当たらない場所で育てるのが理想的です。プランター栽培と地植えのどちらでも育てられますが、それぞれに適した管理方法があります。
植え付け
植え付けに最適な時期は、春か秋です。庭に植える場合は、50~60cmほどの深さの穴を掘り、堆肥などの有機物を混ぜて土壌を豊かにします。鉢植えの場合は、苗の大きさに合わせて8~10号の鉢を用意します。用土は市販の『果樹・花木用の培養土』を利用すると手軽です。ご自身で配合する場合は、一例として赤玉土(小粒)6、腐葉土3、川砂1の割合で混ぜ合わせたものを使用します。
水やり
鉢植えの場合、土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出るくらいたっぷりと水を与えましょう。特に開花時期は水切れを起こしやすいので、注意が必要です。地植えの場合は、植え付け後すぐや、雨が降らず乾燥している時期に水やりを行います。
肥料
温州みかんでは春、夏、秋の3回に分けて施肥します。9~10月に窒素肥料が効きすぎると浮き皮や着色遅れが発生しやすいので、年1回施肥では収穫期から翌春の発芽期までの施肥が適当と考えられます。(出典: 静岡県農林技術研究所『あたらしい農業技術』, URL: http://www.pref.shizuoka.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/025/696/638.pdf, 2013-03)有機肥料(乾燥鶏糞や油粕など)や化成肥料(玉肥など)を、木の根元から少し離れた場所に施します。夏肥を施用するなど施肥時期が遅れると,慣行施肥に比べて果皮は厚くなり日焼け果の発生が増加し,着色は遅れるうえ,糖度もやや低くなることが明らかとなった。(出典: 極早生ウンシュウにおける果実成熟期の気温(熊本県農業研究センター報告), URL: https://www.pref.kumamoto.jp/uploaded/attachment/6634.pdf, 2010-03)
温州みかんの育て方:さらに深く
温州みかんの生育をさらに向上させるには、剪定や病害虫への対策が欠かせません。
剪定
剪定は、樹の生育バランスを整え、日光の当たり具合や風通しを改善するために実施します。不要な枝や密集している枝を切り払い、樹の形を整えます。みかんの剪定時期は、デコポン、温州みかん、清見オレンジなど品種にかかわらず2~3月です。4月中旬になると実になる花芽の形成が始まるので、剪定は控えましょう。花芽がつく前に剪定を済ませておけば、不要な枝に養分が取られるのを防ぎ、花芽に養分を集中させられます。(出典: みかんの剪定方法!剪定時期や実を付けるためのコツを解説(MeetsMore), URL: https://meetsmore.com/services/tree-trimming/media/101149, 2025-02-14
病害虫対策
温州みかんは、アブラムシ、カイガラムシ、ハダニといった害虫や、黒点病、かいよう病といった病気に侵されることがあります。定期的な観察を行い、害虫を発見したら迅速に駆除してください。薬剤を使用する際は、必ず対象作物(みかん)に登録がある農薬を選び、ラベルに記載された使用方法、希釈倍率、使用時期、総使用回数などの規定を厳守してください。不適切な使用は法律で罰せられる可能性があります。予防策として、風通しを良くすることや、肥料の過剰な使用を避けることも重要です。

温州みかん栽培における留意点
温州みかんはある程度の耐寒性を持っていますが、霜に当たるとダメージを受けることがあります。特に若い木や鉢植えの場合は、冬の間は屋内に移動させるか、霜よけを施すと良いでしょう。また、日照不足は実の付き具合に悪影響を及ぼすため、日当たりの良い場所への植え付けを心がけてください。
加えて、特に若い木は体力が少ないため、実がなりすぎると翌年は実をつけない『隔年結果』という現象を起こしやすくなります。これを防ぐには、実が多いうちに一部を摘み取る『摘果』作業が重要です。
樹上で熟成させた完熟果実の魅力
自家栽培の柑橘類の一番の魅力は、なんといっても樹上でじっくりと熟成させた、採れたての新鮮な果実を味わえることでしょう。特に温州みかんは、樹上で熟させることで酸味が抜け甘みが増す特性があります。ただし、収穫が遅すぎると果実の味がぼやけたり、鳥の被害にあったり、木自体が弱ったりするリスクもあります。最適なタイミングを見極めるのも、自家栽培の醍醐味です。手間暇かけて育てたみかんを口にした時の感動は、言葉では言い表せないほどです。
結び
温州みかんの栽培は、苗木の選定から始まり、植え付け、剪定、そして病害虫への対策まで、幅広い知識と細やかな手入れが求められます。しかし、愛情を込めて育てたみかんがたわわに実った時の喜びは、何にも代えがたい格別なものです。この記事が、皆様の温州みかん栽培への挑戦の一助となり、甘くて美味しいみかんを味わう喜びにつながれば幸いです。
温州みかんの苗木はどこで購入できますか?
温州みかんの苗木は、お近くの園芸店やホームセンター、またはインターネット通販などで手に入れることができます。購入の際は、信頼のおける業者を選び、品種の特徴や育て方について詳しく相談することをおすすめします。
温州みかんの肥料はどのようなものを使えば良いですか?
温州みかんの肥料としては、有機肥料(例:乾燥鶏糞、油粕など)や化成肥料(例:柑橘専用肥料、玉肥など)が利用できます。肥料の種類によって、与え方や適切な時期が異なりますので、使用前に説明書をしっかりと確認するようにしてください。
温州みかんにアブラムシが発生した場合、どのような対処法がありますか?
温州みかんにアブラムシが発生してしまった際は、適切な薬剤を散布するのが効果的です。もしくは、粘着テープなどを活用して物理的に取り除くことも可能です。薬剤の使用を避けたい場合は、牛乳を水で薄めたものをスプレーしたり、石鹸水を使用するなどの自然な方法も試してみる価値があります。













