甘く芳醇な香りで私たちを魅了するマンゴー。その種類は世界中で数百種を超えると言われています(要出典)。それぞれに個性的な味わいと特徴があります。日本でもおなじみの品種から、その土地でしか味わえない希少な品種まで、マンゴーの世界は奥深く、探求心をくすぐります。この記事では、世界の人気マンゴー品種を徹底解説。それぞれの特徴や味わいの違いを知れば、マンゴーの楽しみ方がさらに広がることでしょう。
マンゴーとは?基本情報と魅力
トロピカルフルーツの代表格であるマンゴーは、「大航海時代に東南アジアでマンゴスチンを、西インド諸島でパイナップルを、南米ペルー高地でチェリモヤを食べた探検家たちは、そのおいしさに感激し、これらを世界の三大美果として称賛しました。」との記載があります。(出典: 国立国会図書館レファレンス協同データベース, URL: https://crd.ndl.go.jp/reference/entry/index.php?page=ref_view&id=1000232983, 2017-12-07)その起源は東南アジアの熱帯地域に遡り、マンゴーの栽培化はインドで始まりました。(出典: マンゴーミニ事典 | 国際農研, URL: https://www.jircas.go.jp/ja/database/mango/mini-synopsis, 不明(国際農研による公式データベース))今日では、インド、タイ、フィリピン、メキシコなど、世界中の様々な国や地域で栽培されており、その品種は500を超えるとも言われています。
十分に熟したマンゴーは、その豊富な果汁となめらかな舌触り、そして独特の芳醇な香りと濃厚な甘みが特徴です。そのまま食べるのはもちろんのこと、プリンやケーキ、アイスクリームといった様々な加工品としても広く利用されています。近年では日本国内での生産も増加しており、より身近なフルーツとなりました。
マンゴーの栄養価と期待できる効果
マンゴーは、ただ甘くて美味しいだけでなく、様々な栄養素を豊富に含んでいます。特に、抗酸化作用を持つビタミンA、ビタミンE、ビタミンCが豊富であり、美容効果も期待できます。また、カリウムなどのミネラルも含まれているため、夏の水分不足やミネラル不足対策にも適しています。
さらに、貧血予防に効果的な葉酸や鉄分も含まれているため、特に女性にとっては嬉しい果物と言えるでしょう。βカロテンも豊富に含んでおり、体内でビタミンAに変換されることで、皮膚の健康維持や、がん予防への効果も期待されています。食物繊維も比較的多く含まれており、腸内環境を整える効果も期待できます。
国産マンゴーの種類と特徴
国産マンゴーは、主に沖縄県、宮崎県、鹿児島県などで栽培されています。国内で広く流通しているマンゴーのほとんどが、アップルマンゴー(アーウィン種)です。国産マンゴーは、一般的に海外産のものに比べて、甘さ、舌触り、そして香りの全てにおいて高品質であると評価される傾向にあります。
アップルマンゴー(アーウィン種):国内生産の中心
アップルマンゴーは、熟すと果皮がリンゴのように鮮やかな赤色に染まるのが特徴です。果肉は美しいオレンジ色で、たっぷりの果汁を含み、非常に滑らかな食感が楽しめます。甘味の中に程よい酸味が感じられ、濃厚で豊かな味わいが魅力です。日本国内で栽培されているアップルマンゴーの96.5%がアーウィン種です。特に、樹上で完熟し、自然に落下したものを収穫する「完熟マンゴー」は、非常に高い糖度を誇り、より一層濃厚な甘さを堪能できます。
沖縄県の宮古島は、温暖な気候、水はけの良い土壌、そしてミネラルを豊富に含んだ大地という、アップルマンゴーの栽培に最適な条件が揃った地域です。
キーツマンゴー:めったに出会えない希少種
キーツマンゴーの大きな特徴は、完熟しても果皮が緑色のままであることです。主に沖縄県で栽培されていますが、収穫できる期間が短く、栽培農家も限られているため、市場に出回る量は非常に少なく、貴重な品種として知られています。沖縄県内での生産量も全体のわずか1割程度であるため、「幻のマンゴー」とも称されています。
食べ頃のキーツマンゴーは、糖度が15度を超えることもあり、メロンに匹敵するほどの甘さを堪能できます。アップルマンゴーと比較して繊維が少ないため、とろけるような滑らかな食感が楽しめます。また、400gから2kg程度と大きくなるものが多く、食べごたえも抜群です。
その他の国産品種
国内では、てぃらら、夏小紅、愛紅、レッドキンコウといった品種も栽培されています。
海外産マンゴーの種類と特徴
海外産のマンゴーは、メキシコ、タイ、フィリピンなど、様々な国から輸入されています。それぞれの産地や品種によって、風味や香りに独特の特徴があります。一般的に、海外産マンゴーは国産マンゴーに比べて価格が安価なため、お菓子などの加工品に利用されることが多いです。
アルフォンソマンゴー:インドを代表するマンゴー
アルフォンソマンゴーは、主にインドで栽培されており、「マンゴーの王様」とも呼ばれています。非常に高い糖度と、芳醇な甘みが特徴です。加熱加工しても風味が損なわれにくいため、日本ではスイーツの材料としてよく用いられています。インドは世界のマンゴー生産量の約6割を占めており、その品種数は40種類以上にも及ぶと言われています。
ペリカンマンゴー(カラバオ種):フィリピンを代表するマンゴー
フィリピンを代表する品種、ペリカンマンゴー。正式にはカラバオ種と呼ばれ、その形状がペリカンのくちばしに似ていることが名前の由来です。国産マンゴーに比べると、やや酸味が強めなのが特徴。しかし、繊維質が少なく、なめらかでとろけるような口当たりと、甘みと酸味の絶妙なバランスが魅力です。ドライマンゴーとしても広く親しまれています。
メキシコマンゴー(ケント種):輸入量No.1のマンゴー
メキシコ産のアップルマンゴーとして知られるケント種は、鮮やかな赤色の果皮が目を引きます。メキシコは日本への輸入マンゴーの約4割を占めており、その輸入量は海外産マンゴーの中でトップを誇ります。
タイマンゴー(ナンドクマイ):日本人に愛される品種
タイマンゴーは、フィリピンのペリカンマンゴーと似た、黄色い外皮と先端が尖った形状が特徴です。柔らかい果肉と穏やかな酸味が、日本人の味覚によく合うと言われています。
特にナンドクマイ種は「花のしずく」を意味し、ヘタ側が丸みを帯び、反対側が尖っているのが特徴です。マンゴーの中でもトップクラスの甘さを誇り、程よい酸味とのハーモニーが楽しめます。
ピーチマンゴー(ケンジントン・プライド種):オーストラリア生まれのマンゴー
オーストラリア産のピーチマンゴーは、その名の通り、ほんのり桃色を帯びた外皮が特徴です。正式名称はケンジントン・プライド種ですが、日本ではピーチマンゴーの愛称で広く知られています。海外産マンゴーの中でも、特に強い甘みが際立つ品種です。
台湾マンゴー(愛文):アップルマンゴー発祥の地
台湾は、日本でも人気のアップルマンゴー(アーウィン種)の主要な産地の一つです。台湾では「愛文(アイウェン)」と呼ばれ、とろけるような果肉と濃厚な甘みが特徴です。アーウィン種は元々アメリカのフロリダで育成された品種ですが、台湾に導入されて栽培が広まり、現在では台湾を代表するマンゴーの一つとなっています。
その他の海外品種
世界には、トミーアトキンス、ヘイデン、ケントといった品種のほか、フィリピン産のカラバオ、パキスタン産のチョウサ、インド産のバンガンパリなど、様々なマンゴーが存在します。
美味しいマンゴーの見分け方
美味しいマンゴーを選ぶためには、いくつかの重要な点に注目する必要があります。
- 色:品種によって理想的な色は異なりますが、一般的には色が均一で濃いものを選ぶと良いでしょう。特にアップルマンゴーの場合は、鮮やかな赤色が目安となります。
- 形:ふっくらとした丸みを帯びた形状のものがおすすめです。
- 香り:甘く、芳醇な香りが漂うものを選びましょう。
- 触感:手に取った時に、適度な弾力があり、柔らかすぎないものが良いでしょう。
- 重さ:同じくらいの大きさのマンゴーであれば、より重いものの方が果汁を豊富に含んでおり、美味しい可能性が高いです。
マンゴーの保存方法
マンゴーの保存方法は、熟しているかどうかで異なります。
- まだ熟していないマンゴー:常温で保存し、追熟させることが大切です。直射日光を避け、風通しの良い場所に置くと、追熟を促すことができます。
- 熟したマンゴー:冷蔵庫での保存が適しています。冷蔵庫に入れる際は、乾燥を防ぐためにビニール袋に入れるか、新聞紙で包んで保存しましょう。
カットしたマンゴーは、冷蔵庫で保存し、できるだけ早めに食べきるようにしましょう。変色を防ぐためには、レモン汁を少量かけるのが効果的です。
マンゴーが美味しい時期
マンゴーの食べ頃は、栽培地や品種によって変動します。国産マンゴーの場合、一般的に最盛期を迎えるのは5月から8月にかけてです。輸入マンゴーに目を向けると、メキシコ産はおおよそ4月から7月、タイ産は3月から5月、フィリピン産は4月から6月頃が入手しやすい時期となります。
乾燥マンゴーであれば、旬を気にせず一年を通して味わうことが可能です。
マンゴーに関するデータ
農林水産省の作物統計(果樹、2021年)によると、マンゴーの収穫量は沖縄県が最も多く、次いで宮崎県、鹿児島県となっています。また、財務省貿易統計(2021年)では、マンゴーの主な輸入相手国はメキシコ、次いでベトナム、タイの順です。最新の情報は各省庁のウェブサイトでご確認ください。
マンゴーをさらに美味しく
マンゴーは、そのまま食べるのが一番ですが、工夫次第で色々な楽しみ方ができます。例えば、スムージーやジュースに加工したり、ヨーグルトやアイスクリームのトッピングとして使用したり、ケーキやタルトなどのデザートの材料にするのも良いでしょう。また、サラダやカレーなどの料理に取り入れるのもおすすめです。
まとめ
本記事では、マンゴーの種類、選び方のポイント、保存方法、栄養価について詳しく説明しました。多種多様なマンゴーを味わい、その美味しさと栄養を十分に堪能してください。旬の時期には、ぜひ新鮮なマンゴーを味わってみてください。また、乾燥マンゴーも手軽に楽しめるので試してみてはいかがでしょうか。
最も甘いマンゴーの品種は?
マンゴーは品種ごとに甘さが異なりますが、特にアルフォンソやキンミツといった品種は、糖度が高く、濃厚な甘さを誇ります。また、十分に熟した状態のアップルマンゴー(アーウィン種)も、非常に高い甘味があります。
キーツマンゴーとアップルマンゴーの違い
キーツマンゴーは、熟しても果皮が緑色のままなのに対し、アップルマンゴーは成熟すると果皮が鮮やかな赤色に変わります。加えて、キーツマンゴーはその大きさと、とろけるような食感が特徴です。一方、アップルマンゴーは、甘さと酸味の調和がとれており、滑らかな舌触りが魅力です。
緑色の果皮を持つマンゴーの品種
緑色の果皮を持つマンゴーとして代表的なのは、キーツマンゴーです。完熟しても緑色の外観を保つため、食べ頃の判断が難しいですが、芳醇な香りが強くなり、わずかに黄色みを帯びて果実が柔らかくなれば、美味しくいただけるサインです。
日本で栽培されているマンゴーの種類
日本国内で生産されるマンゴーの大部分は、アップルマンゴー(アーウィン種)です。主に沖縄県、宮崎県、鹿児島県などで栽培されています。また、キーツマンゴーも沖縄県で栽培されています。