黒い実のなる植物図鑑|身近な草花から庭木、高木まで
この記事では、私たちの周りで目にすることのできる、黒い実を付ける様々な植物を詳しく解説します。赤い実を付ける植物と同様に多いのが、黒色または黒紫色の実を付ける植物です。公園の一角や、自然の中の散歩道、あるいは家の庭で静かに、または鮮やかに実る黒い植物は、私たちに新たな発見と喜びを与えてくれます。ここでは、よく見かける雑草に分類される草花から、庭木として愛される低木、さらに堂々とした姿の高木まで、多岐にわたる「黒い実」を持つ植物にスポットライトを当てます。黒い実は赤色ほど人目を引きませんが、同じように鳥たちが集まりやすく、中には私たちが食べられる種類も存在します。それぞれの植物について、特徴や実がなる時期を具体的に解説することで、実際に植物を見つけた際に、名前を特定し、より深く理解していただけるように目指します。地味に見えるかもしれませんが、黒い実にはそれぞれ独自の美しさや魅力があり、その多様性には驚かされます。例を挙げると、アオツヅラフジの青みがかった黒い実、アロニアの中でも人気のあるアロニア・メラノカルパの「チョコベリー」と呼ばれる果実、ウドが秋に放射状に付ける小さな実、オリーブの食用や加工用の実、カクレミノの光沢のある葉に隠れるように実る青みがかった実、観賞用トウガラシの様々な黒い実、クサギの赤い星型の萼に囲まれた宝石のような実、シャリンバイの生垣を飾る実、シロヤマブキの茶花にも使われる実、シルバープリペットが秋にたくさん付ける小さな実、タチシオデの光沢のある実、ツタ類がブドウのように実らせる黒い実、ナツハゼの紅葉と共に楽しめる実、ネズミモチに豊富に実り鳥を引き寄せる実、ブラックベリーやブルーベリーといった甘く生で食べられる実、ペンステモンの黒に近い茶色の実、マートルのオリーブ大の縁起の良い実、ヤブランのグランドカバーに映える光沢のある漆黒の実、ユズリハの子孫繁栄を象徴する実、そしてランタナの鮮やかな花の後につく光沢のある実など、それぞれの植物が持つ独自の魅力を深掘りします。これらの情報を参考に、散歩やガーデニングで、この黒い実の植物図鑑を活用してください。身近な自然に隠された、黒い実の豊かな世界を発見する手助けになれば幸いです。

アカメガシワ
アカメガシワは、トウダイグサ科に分類される落葉高木です。日本の岩手県・秋田県以南から沖縄にかけて広く分布しており、野山や開拓地などで自然に生えている姿をよく見かけます。名前の由来は、春に「赤い新芽」を出すこと、そしてその大きな葉が柏の葉の代わりに使用されたことにあります。樹高は10メートルを超えることもあります。花は6月から7月にかけて咲き、その後7月頃から実を付け始め、9月から10月頃に「黒く熟します」。実の大きさは約8mm程度で、やや平たい球形をしています。たくさんの実が房状に付く様子は独特で、鳥が好んで食べるため、自然界の食物連鎖において重要な役割を担っています。木材は薪や道具の材料として利用されることがあります。丈夫で成長が早く、日当たりの良い場所を好むアカメガシワは、日本の里山の風景に調和する存在です。実は食用には適していません。
アロニア
アロニアは、バラ科アロニア属に属する落葉性の低木の一種です。この属にはいくつかの種類がありますが、特に黒い実を付けることでよく知られているのは、学名がAronia melanocarpa(アロニア・メラノカルパ)という品種です。この品種の黒い果実は、その外観と高い栄養価から「チョコベリー」や「ブラックチョコベリー」という愛らしい名前で呼ばれ、近年非常に人気を集めています。アロニア・メラノカルパは北アメリカ原産で、樹高は通常1メートルから2メートル程度まで成長します。春には白い小さな花が房状に咲き、庭や風景を美しく彩ります。そして、夏から秋にかけて直径約1センチほどの光沢のある黒い実を豊富に実らせます。この実には、アントシアニンやポリフェノール、食物繊維、ビタミンCなどが非常に多く含まれており、特に目の健康維持や抗酸化作用に効果があるとされています。生のままでは渋みが強いため、ジャムやジュース、スムージー、ドライフルーツ、リキュールなどに加工して利用されるのが一般的です。また、美しい紅葉や、冬まで枝に残る黒い実が観賞用としても価値が高く、庭木としても人気があります。丈夫で育てやすく、病害虫にも強いため、初心者でも比較的簡単に栽培できる点が魅力の一つです。健康への意識が高まるにつれて、スーパーフードとしても注目されているアロニアは、見た目の美しさだけでなく、その機能性の面でも高い評価を得ている黒い実の植物と言えるでしょう。
イヌツゲ
イヌツゲは、モチノキ科に属する常緑性の低木です。日本列島の広い範囲、具体的には本州から沖縄にかけて分布しており、個人の庭、公園、そして生垣など、様々な場所で見かけることができます。初夏、具体的には6月から7月にかけて、小さくて白い花をたくさん咲かせ、その後、果実が成熟します。果実が熟すのは10月から11月頃で、直径およそ5mmから6mmの「黒色の果実」が密集して実ります。名前の由来は、木材としての価値がツゲ(ツゲ科)に劣ると判断されたため「イヌ」という接頭語が付けられましたが、剪定に対する耐性が非常に高く、動物の形に刈り込むトピアリーや生垣など、多様な用途で活用できる適応力の高い庭木です。一年を通じて美しい緑色の葉を維持する常緑性も魅力の一つで、特に冬の寒々しい時期には、濃い緑色の葉と黒い果実のコントラストが、庭に落ち着いた雰囲気をもたらします。果実は鳥にとって好ましい食料となりますが、人間が食用とすることには適していません。丈夫で管理が容易なため、様々な環境での栽培が可能です。
イヌホオズキ
イヌホオズキは、ナス科に分類される一年草であり、日本全国の道端、空き地、畑の隅など、様々な場所に自生している、極めて身近な「雑草」の一種です。史前帰化植物であると考えられています。その名前が示すように、ホオズキに似た小さな果実をつけますが、食用には適さないという意味で「イヌ」という言葉が使われています。夏の終わりから秋にかけて(具体的な結実時期は10月頃)、直径8mmから10mm程度の小さな白い花を咲かせ、その後、直径4mmから7mm程度の丸い黒い果実を実らせます。この果実は熟すと「光沢のある」黒色になり、茎からぶら下がるように多数つきます。「郊外の道路脇や空き地に群生している」光景は、多くの場所で見慣れた風景です。見た目は可愛らしいものの、この果実を含むイヌホオズキの全草には、ソラニンなどの有毒成分が含まれており、誤って摂取すると吐き気や腹痛などの症状を引き起こす可能性があるため、絶対に口にしないように注意が必要です。特に小さなお子様がいる環境では、その存在に細心の注意を払う必要があります。
ウリノキ
ウリノキは、ミズキ科に属する落葉性の高木であり、日本全国に広く分布しており、山地の森林内や林縁に自生しています。その名前の由来は、葉の形状がウリ(瓜)に似ていることにあります。この植物の最も際立った特徴は、初夏(5月から6月頃)に開花する花です。花は白色で、細長い花弁が反り返るように開き、長さがおよそ3cmほどになり、中央から黄色い雄しべが垂れ下がる様子は、まるで「人形のような形」と表現されるほど独特で愛らしいです。開花後には果実が実り、秋には直径約1cmほどの黒い果実が熟します。果実の形状はやや球形に近く、熟すと光沢のある黒色になります。この果実は鳥が好んで食べますが、人間が食用とすることには適していません。新緑の美しさや、特徴的な花の形状が観賞価値を高めており、庭木として利用されることもあります。
ウド
ウドは、ウコギ科に属する多年草であり、日本、中国、朝鮮半島などに広く分布しており、野山で自生しているのをよく見ることができます。この植物は、春になると若い茎が伸び、独特の香りとシャキシャキとした食感が魅力の山菜として、古くから多くの人々に親しまれ、珍重されてきました。「ウドの大木」という諺があるように、手入れをせずに放置すると非常に大きく成長し、草丈は1mから2m以上にも達することがあります。春の山菜としてのイメージが強いウドですが、秋になるとその姿は大きく変化します。初夏には白い小さな花を多数つけ、やがてその後に直径数mmほどの小さな黒い果実を放射状に実らせます。この黒い果実は、球形に近い形状をしており、密集して実る様子は独特の景観を作り出します。鳥が好んで食べるため、自然界の食物連鎖の一部を担っています。ただし、この果実は食用には適していません。ウドの葉、茎、根にも薬効があるとされ、民間療法で利用されることもありますが、一般的には春の若芽を食用とするのが主流です。その生命力の強さから、庭に植えることも可能ですが、大きく成長するため十分なスペースが必要です。山菜としてだけでなく、秋にはひっそりと黒い果実をつけるウドの姿もまた、日本の豊かな自然の移ろいを感じさせる存在です。
エノキ
エノキ(榎、学名: Celtis sinensis)は、アサ科エノキ属の落葉高木。別名では、ナガバエノキ、マルバエノキともよばれる(出典: エノキ - Wikipedia(標準和名・学術的分類記載), URL: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%8E%E3%82%AD, 2005-03-12)。日本各地で昔から見られ、特に街道沿いの一里塚の場所に大きく育ったものが、旅人の休憩場所や道標として利用されてきました。樹皮の色は薄めで、年を経ると縦方向に深い割れ目が現れます。秋の終わりから冬の初め(具体的には10月から11月頃)にかけて、直径1センチメートル前後の丸い実をつけます。熟した実は黒色を帯び、乾燥すると表面にしわが寄るのが特徴です。実はほんのり甘く、野鳥が好んで食べるため、バードウォッチングをする人にも喜ばれています。エノキは生命力が旺盛で、大きく成長するため、街路樹や公園などにも植えられています。その堂々とした姿は、日本の自然景観に欠かせない要素となっています。
西洋橄欖
西洋橄欖は、モクセイ科オリーブ属の常緑高木であり、地中海地域が発祥の地です。その特徴的な点は、銀色がかった美しい緑色の葉で、風にそよぐ様子はエキゾチックな雰囲気を醸し出し、観賞樹として世界中で愛されています。成長すると樹高は5メートルから10メートルを超えることもあり、長い間栽培されてきた木の中には、樹齢が数百年にもなるものも存在します。春から夏の初めにかけて、白い小さな花をたくさん咲かせ、受粉が成功すると、秋から冬にかけて黒い実をつけます。実は最初は緑色をしていますが、熟していくにつれて徐々に紫色から黒色へと変化します。実の大きさは種類によって異なりますが、一般的には1センチメートルから3センチメートル程度の長さです。食用としても知られていますが、生のままでは苦味が強いため、食用には適していません。これは、オリーブの実に含まれる「オレウロペイン」という成分によるものです。そのため、塩水に漬けたり、アルカリ性の溶液で処理するなどの加工が必要です。加工されたオリーブは、そのままピクルスとして食べたり、サラダやパスタの材料として使われたり、オリーブオイルの原料として利用されています。オリーブオイルは健康に良いとされ、世界中で広く使われており、オリーブの実の栄養価の高さを物語っています。また、オリーブの木は平和と豊穣のシンボルとされ、その実は人類の歴史と深く関わっています。観賞用としても、食用としても、非常に価値の高い黒い実をつける植物です。
隠蓑
隠蓑は、ウコギ科カクレミノ属の常緑高木で、日本や朝鮮半島、中国などに自生しており、庭や公園、お寺などでよく見かけることができます。名前の由来は、葉の形が昔話に出てくる隠れ蓑に似ていることからきており、特に日本の庭園では、独特な葉の形が特徴的です。一年を通して濃い緑色の葉を保つのが特徴で、若い木では葉が手のひらのように深く切れ込んでいることがありますが、成長するにつれて切れ込みが減り、楕円形に近づきます。葉が密集するため、目隠しや生垣として利用されることが多く、日陰でも育ちやすいことから、建物の北側など、日当たりの悪い場所でも育てやすいとされています。夏には黄緑色の小さな花を咲かせ、その後、実をつけます。実の熟す時期は秋から冬にかけてで(特に10月から11月頃が見頃ですが、冬まで残ることもあります)、青みがかった黒色の実をつけます。実の大きさは直径1センチメートルほどで、丸い形をしています。実の表面には、白い粉のようなものが付いていることがあります。冬の庭に彩りを添えるアクセントとなり、目を引きます。実は人間には適していませんが、野鳥にとっては大切な食料となり、自然界の生態系を支えています。隠蓑は、「才能を引き出す」や「子孫繁栄」といった意味を持つ縁起の良い木としても知られており、日本の庭園文化に深く根付いています。丈夫で手入れが簡単なため、多くの家庭や公共の場所で親しまれています。
観賞唐辛子
観賞唐辛子は、ナス科トウガラシ属の一年草で、実の色や形、葉の美しさを楽しむために栽培される園芸植物です。一般的な食用唐辛子と同じ種類ですが、品種改良によって多様な姿を見せてくれます。実がなる時期は長く、通常は6月から12月頃まで楽しめます。この植物の魅力は、葉や実の色、形、大きさの種類が豊富なことです。実の色は赤、黄、オレンジ、紫、白など様々ですが、中には非常に濃い黒色の実をつける品種もあります。「黒真珠」や「黒太子」といった品種は、光沢のある黒い実が特徴で、観賞価値が高いです。実の形も円錐形や球形、細長いものなどがあり、株全体がコンパクトにまとまる品種が多いため、鉢植えや寄せ植え、花壇の飾りとして人気があります。育てやすいことも人気の理由で、日当たりと水はけの良い場所であれば比較的簡単に栽培できます。黒い実をつける観賞唐辛子は、おしゃれでモダンな雰囲気を演出し、他の植物との色の違いを楽しむことができます。また、実が熟すにつれて色が変化する品種もあり、その変化も楽しめます。観賞用とされていますが、食用唐辛子と同じ仲間なので、品種によっては非常に辛い実をつけるものもあります。そのため、取り扱いには注意が必要です。
クサギ
クサギはシソ科の落葉低木で、日本や中国、朝鮮半島に広く分布しています。人里近くの野山や公園など、親しみやすい場所で見かけることができます。名前の由来は葉を傷つけると放つ独特の臭気ですが、美しい花を咲かせることでも知られています。夏から秋にかけて、純白で清楚な花を咲かせ、甘い香りを漂わせます。花は筒状で先端が5つに分かれ、長い雄しべが特徴的です。花が終わると、秋には魅力的な黒い実をつけます。実の成熟期は10月から11月頃で、直径5mmから7mmほどの光沢のある球形です。クサギの最大の特徴は、黒い実の周りを囲む、鮮やかな赤い星形のガクです。花の時期には緑色だったガクが、実が熟すにつれて赤色に変化し、実を包み込むように開きます。黒い実と赤いガクのコントラストは美しく、アクセサリーのような可愛らしさがあります。生け花やフラワーアレンジメントの素材としても人気です。実は食用には適しませんが、鳥が好んで食べるため、自然界の食物連鎖を支えています。若葉は山菜として食用にされ、灰汁抜きをしてから調理されます。実は草木染めにも利用されてきました。葉の臭いとは対照的に、花や実の美しさ、山菜としての利用価値など、様々な魅力を持つ植物です。
クスノキ
クスノキはクスノキ科の常緑高木で、日本、中国、台湾に分布し、街路樹や公園樹として身近な場所でよく見られます。長寿であり、巨木として知られる木も存在します。樹高は20mから30mに達し、幹は太く、樹皮には縦に深い割れ目が入ります。5月頃に白い小さな花を咲かせ、その後、実をつけます。実は10月頃に熟し、直径約9mm程度の黒い実になります。実は球形に近い楕円形で、熟すと艶やかな黒色になります。クスノキ全体に独特の芳香があり、特に葉を傷つけると強い香りがします。この香りは防虫効果があり、仏像やタンスの材料として利用されてきました。樟脳の原料としても知られています。鳥が実を好んで食べるため、野鳥を呼び寄せる効果も期待できますが、人間にとっては食用には適しません。堂々とした樹形、芳香、防虫効果など、古くから人々の生活と深く関わってきた植物です。
クマノミズキ
クマノミズキはミズキ科の落葉高木広葉樹で、日本の本州以南に分布し、山地や林の縁に自生しています。名前は三重県熊野地方で発見されたことに由来するとされています。樹高は10m以上になり、枝を大きく広げて成長します。6月から7月にかけて、新枝の先に白い小さな花が密集して咲きます。花は4枚の花弁を持ち、清楚な印象を与えます。花の後に実をつけ、10月から11月頃に直径約5mmの黒い実をつけます。実は球形をしており、熟すと艶やかな黒色になります。この実は鳥が好んで食べるため、自然界の食物連鎖において重要な役割を果たします。材は緻密で、家具や彫刻の材料として利用されることがあります。新緑から紅葉まで四季折々の美しい姿を見せ、秋には黒い実が彩りを添えます。日本に馴染み深い植物ですが、実は食用には適しません。
クロモジ
クロモジはクスノキ科の落葉低木で、日本の山地に広く分布し、早春の山で見かけることができます。名前の由来は、樹皮に見られる黒い斑点です。最大の特徴は、3月頃、葉が出るのと同じ時期に、透明感のある黄色い花が丸い形状で咲くことです。同じクスノキ科のダンコウバイやアブラチャンにも似た可愛らしい花を咲かせます。そして、花の後に実をつけ、9月から10月頃に直径約5mmから6mmほどの黒い実をつけます。実は球形をしており、熟すと光沢のある黒色になります。クロモジは枝を折ると特有の良い香りがすることでも知られており、この芳香から高級楊枝である「黒文字楊枝」の材料として古くから利用されてきました。また、葉や枝から精油が採取され、アロマオイルとしても利用されることがあります。実は鳥が好んで食べますが、人間にとっては食用には適しません。その香りと繊細な花、秋に実る黒い実が魅力的な植物です。
ゲッケイジュ
ゲッケイジュは、クスノキ科の常緑樹で、地中海地域が故郷です。日本には明治時代にフランスからやってきて、庭や公園でよく見られるようになりました。月桂樹の葉は、古代ギリシャで勝利者に与えられた冠に使われ、「栄光のシンボル」とされてきました。樹高は10メートルを超えることもあり、葉が生い茂ります。葉を少し傷つけると良い香りがし、料理の香りづけやハーブティー、ポプリにも使われます。春から夏にかけて、薄い黄色の小さな花をたくさん咲かせ、その後、実をつけます。秋には直径8ミリから10ミリほどの「黒い実」がなります。この実は丸みを帯びた形で、熟すと光沢のある黒色になります。鳥が好んで食べますが、人が食べるのには向きません。丈夫で育てやすく、一年を通して美しい葉を楽しめるため、庭のアクセントやシンボルツリーとして人気があります。古くからの歴史と文化を持つ、香りの良い黒い実をつける植物です。
サカキ
サカキは、ツバキ科の常緑高木で、日本の本州から沖縄にかけて広く分布しており、特に神社やお庭によく植えられています。「神様」と「木」をつなぐ「境の木」が名前の由来とも言われ、昔から神事に使われてきました。別名で「真榊」や「本榊」とも呼ばれています。葉は一年中鮮やかな緑色で、厚みと光沢があるのが特徴です。葉のふちにギザギザがないのが特徴です。また、葉が枝に平面的につき、葉先が鎌のように尖っています。6月頃に白い花を咲かせ、その後、実をつけます。実が熟すのは11月頃で、直径5ミリから7ミリほどの「黒い実」をたくさんつけます。実は丸い形をしており、熟すとつややかな黒色になります。この実は鳥が好んで食べますが、人間が食べることはできません。同じように神事に使われるシキミは仏事に、サカキは神事に用いられることが多いです。シキミは葉が枝の先端に集まってつき、葉をちぎると独特の香りがするので、サカキと見分けることができます。神聖な木として、また一年中緑を保つ縁起の良い木として、日本の文化に深く根ざした黒い実の植物です。
シャリンバイ
シャリンバイは、バラ科の常緑低木で、日本や朝鮮半島、中国南部に自生しています。特に、太平洋側の温暖な地域や、潮風に強いことから海岸付近でよく見られます。名前の由来は、葉が枝の先に車輪のように集まって生える様子と、梅に似た花を咲かせることからきています。シャリンバイの魅力は、厚みのある濃い緑色の葉が密集して生い茂る点です。一年中緑色を保つため、公園や庭で生垣や目隠し、防風林として利用されています。刈り込みに強く、形を整えやすいため、庭木としても適しています。丸や四角に刈り込まれた庭木として見かけることも多いでしょう。春の終わりから初夏(5月頃)にかけて、梅の花に似た白い小さな花をたくさん咲かせます。花びらは5枚で、清楚な印象を与えます。花の後に実をつけ、秋(10月頃)になると直径1センチから1.5センチほどの「黒い実」がなります。実は丸みを帯びた形で、表面に白い粉をかぶることがあります。黒い実は冬まで枝に残ることが多く、鳥の餌になるだけでなく、冬の庭に彩りを添えるアクセントにもなります。神社や海辺に生育することが多いですが、地域によっては少ない場合もあります。実は食用には適しません。また、シャリンバイの樹皮や木材は、タンニンを多く含むため、昔から染料としても使われてきました。乾燥や大気汚染にも強く、育てやすいため、実用性と観賞価値を兼ね備えた、有用な黒い実の植物です。
シロヤマブキ
シロヤマブキは、バラ科の落葉低木で、中国原産ですが、日本には古くから伝わり、庭木や公園樹として親しまれています。ヤマブキという名前の植物は他にもありますが、シロヤマブキはヤマブキ属ではなく、花の色が白いのが特徴です。ヤマブキが黄色い花を咲かせるのに対し、シロヤマブキは春の終わりから初夏(4月から5月)に、真っ白な花を咲かせます。花びらは4枚で、ヤマブキの5枚とは異なります。花の直径は2センチから3センチほどで、枝いっぱいに咲く姿はとても美しいです。白い花の後に、シロヤマブキは特徴的な黒い実をつけます。実が熟すのは秋(9月から11月頃)で、直径5ミリから7ミリほどの丸い「黒色の実」が、ガクに包まれるようにして複数個(通常4個)固まってつきます。「実は4つで一組が多い」のが特徴で、四角い形に見えることもあります。この黒い実は、独特の形と色合いから、茶花として茶道で使われることがあります。また、鳥が好んで食べるため、自然界では冬の食料源となります。実には毒性はないとされていますが、食用には適していません。丈夫で育てやすく、日当たりの良い場所から日陰まで、様々な環境で育ちます。白い花と黒い実のコントラストが美しいシロヤマブキは、日本の四季を感じさせる魅力的な黒い実の植物です。
クロミノニシキギ
クロミノニシキギは、ニシキギ科ニシキギ属に属する落葉低木で、日本各地の山林に自生しています。ニシキギの仲間で、特に秋の紅葉が美しいことで知られていますが、その名前の由来にもなっている「黒い実」もまた、大きな特徴です。樹高は通常1メートルから3メートル程度に成長し、日当たりの良い場所を好みます。葉は対生し、楕円形で、縁には鋸歯があります。秋になると葉は鮮やかな赤色に紅葉し、山野を美しく彩ります。花は5月から6月頃に咲き、淡い緑色で目立ちませんが、紅葉が終わった後の秋に、直径7~8ミリほどの球形の「黒い実」をつけます。この「黒い実」は熟すと黒紫色になり、葉が落ちた後も枝に残るため、冬の間の庭や風景に彩りを添えます。果実は裂開せず、そのままの状態で越冬します。実は野鳥にとって貴重な食料源となります。庭木としても利用されることがありますが、日当たりと水はけの良い場所を好むため、植える場所を選ぶ必要があります。また、剪定にも比較的強く、好みの樹形に整えることができます。秋の紅葉と「黒い実」の両方を楽しめる、庭木として魅力的な植物です。
アオツヅラフジ
アオツヅラフジは、ツヅラフジ科ツヅラフジ属に分類されるつる性の落葉樹で、日本各地の山野に自生しています。他の樹木やフェンスなどに絡みつきながら成長し、緑のカーテンとしても利用されることがあります。葉は円形に近い形で、つるに互い違いにつきます。雌雄異株で、花は6月から7月頃に咲き、淡い黄緑色の小さな花を多数つけます。花自体は目立ちませんが、秋になると雌株に「黒い実」をつけます。実は直径7~10ミリほどの球形で、熟すと光沢のある黒色になります。この「黒い実」は、葉が落ちた後も冬の間枝に残り、寒空の下でひときわ目を引きます。実は鳥たちが好んで食べるため、野鳥を呼び寄せる効果も期待できます。ただし、人間にとっては有毒な成分が含まれているため、食用には適しません。特に子供が誤って口にしないよう注意が必要です。丈夫で育てやすく、日陰にも比較的強いことから、庭植えや鉢植えとしても利用されます。つるを誘引することで、フェンスや壁面を緑で覆うことができ、自然な景観を作り出すことができます。緑のカーテンとして利用すれば、夏の日差しを遮り、涼しく過ごすことができます。秋には「黒い実」がなり、季節の変化を感じさせてくれるでしょう。
ヤマブドウ
ヤマブドウは、ブドウ科ブドウ属に分類されるつる性の落葉樹で、日本各地の山野に自生しています。日本原産の野生ブドウで、古くから山で採集され、食用や薬用として利用されてきました。つるは他の樹木などに絡みつきながら成長し、長いものでは10メートル以上にもなります。葉は円形に近い形で、縁には鋸歯があります。夏には緑色の小さな花を咲かせ、秋になると果実が熟します。果実は直径1センチメートルほどの球形で、熟すと濃い紫色、ほとんど「黒色」に見える実をつけます。この「黒い実」は、野生的な風味と濃厚な甘みが特徴で、生食はもちろん、ジャムや果実酒、ジュースなどに加工されます。特にヤマブドウを使ったワインは、独特の風味があり、人気があります。また、果実にはポリフェノールが豊富に含まれており、健康効果も期待できます。ヤマブドウは、日当たりの良い場所を好みますが、半日陰でも育ちます。庭植えにする場合は、つるが伸びるスペースを確保する必要があります。また、支柱やフェンスなどを設置して、つるを誘引すると良いでしょう。秋には紅葉も楽しむことができ、「黒い実」とともに、季節の移り変わりを感じさせてくれる植物です。
イヌビワ
イヌビワは、クワ科イチジク属に分類される落葉高木で、関東地方以西の温暖な地域に自生しています。名前の由来は、果実の見た目がビワに似ているものの、味が劣ることから「犬」という言葉がつけられたと言われています。樹高は5メートルから10メートル程度に成長し、幹は灰褐色で滑らかです。葉は広卵形で、互生します。雌雄異株で、花は6月から7月頃に咲きますが、イチジクと同様に、花嚢の中に隠れて咲くため、外からは見えません。果実は、直径1センチメートルほどの球形で、秋に熟すと黒紫色になります。この「黒い実」は、イチジクに似た甘みがあり、生食することもできますが、あまり美味しくはないようです。一般的には、ジャムや果実酒などに加工して利用されます。また、果実は鳥や動物たちにとっても貴重な食料源となります。イヌビワは、日当たりの良い場所を好みますが、半日陰でも育ちます。比較的乾燥に強く、やせ地でも育つため、育てやすい樹木です。庭木として植えられることもありますが、成長が早く、大きくなるため、植える場所を選ぶ必要があります。秋には、「黒い実」がなり、野鳥が集まる様子を観察することができます。
ツタの仲間
ツタの仲間は、ブドウ科ツタ属のつる性植物の総称で、ナツヅタ、ヘンリーヅタ、アメリカヅタなどが代表的です。これらの植物は、日本を含む東アジアや北米など、広い範囲に分布しており、庭、公園、山野、崖など、身近な場所で見られます。ツタの大きな特徴は、気根や吸盤状の付着根で壁や岩、他の樹木に吸着し、高く這い上がることです。建物の壁面を覆うグリーンカーテンとして利用され、夏の暑さ対策や景観向上に役立ちます。葉の形は品種によって異なり、ナツヅタのように3つに分かれるもの、ヘンリーヅタのように5つの小葉からなる掌状複葉、アメリカヅタのように5枚の小葉を持つものなどがあります。秋には葉が赤や黄色に美しく紅葉し、魅力の一つとなっています。夏には小さな花を咲かせ、秋(9月~10月頃)になるとブドウのような「黒い実」をつけ、熟します。実の大きさは直径5~8mm程度で、球形またはやや扁平で、房状にたくさん実ります。「林縁で他の木に絡みつく小さなブドウ」のような外観は目を引きます。熟した実は濃い黒色で、表面に白い粉(ブルーム)を帯びることがあります。この実は鳥が好んで食べるため、庭に野鳥を呼び寄せる効果も期待できます。ただし、人間には食用に適さず、種類によってはシュウ酸カルシウムなどの刺激成分を含むため、口にしないように注意が必要です。成長が早く丈夫で育てやすいため、庭の景観を豊かにするつる植物として広く利用されています。
トウネズミモチ
トウネズミモチは、モクセイ科イボタノキ属の常緑高木で、ネズミモチに似ていますが、全体的に大きく育つのが特徴です。葉はネズミモチよりも大きく、光沢のある濃緑色をしています。中国原産で、日本には明治時代に渡来しました。6月~7月頃に白い花を咲かせ、秋から冬(具体的な結実期は10月~12月頃)にかけて、直径10~12mm程度の「黒い実」を豊富に実らせます。実の成熟は11月頃で、庭木や街路樹として植えられた場合、冬の景観に彩りを与えます。鳥の食料源としても重要で、多くの野鳥が実を食べに訪れます。野鳥による種子散布で分布を広げており、日本では「要注意外来生物」に指定されています。丈夫で育てやすく、生垣や目隠しとしても利用されますが、急激な増加や生態系への影響も考慮する必要があります。実には有毒な成分が含まれているため、口にしないように注意が必要です。
ナツハゼ
ナツハゼは、ツツジ科スノキ属の落葉低木で、日本、朝鮮半島、中国に自生しています。日本の山地や丘陵地に多く見られ、庭や公園などでも植えられています。春に新しい葉を広げ、夏にはスズランのような白い小さな花を下向きに咲かせます。秋には葉がモミジのように鮮やかな赤色や橙色に紅葉し、庭や山野を彩ります。「紅葉が美しい低木」として、その色彩の豊かさは特筆されます。8月~10月頃には、直径5~8mmほどの光沢のある「黒い実」をつけます。実は球形またはやや扁平で、熟すと深い藍色から黒色になります。ブルーベリーと同じスノキ属の仲間であるため、ナツハゼの実は「ブルーベリーのよう」とも言われ、食用可能です。生で食べると甘酸っぱい風味ですが、やや渋みを感じることもあります。ジャム、果実酒、ジュースなどに加工して利用されることが多いです。風味はブルーベリーに似ており、ビタミンCやアントシアニンなどの栄養素も豊富です。小さく仕立てた盆栽としても人気があり、美しい紅葉と秋に収穫できる黒い実の両方を楽しめます。耐寒性があり、育てやすいのも魅力です。日本の自然の恵みを感じさせるナツハゼは、観賞価値と実用価値を兼ね備えた、魅力的な黒い実の植物です。
ネズミモチ
ネズミモチは、モクセイ科イボタノキ属の常緑高木で、日本、朝鮮半島、中国に自生しています。名前の由来は、実の形がネズミの糞に似ていること、モチノキ科の植物に似ていることなどが挙げられます。庭、公園、街路樹、生垣など、身近な場所でよく見られる庭木です。「自然に生える」ほど生命力が強く、様々な環境に適応します。光沢のある濃い緑色の「葉は小さく、深緑色」で、一年中茂っているのが特徴です。葉は厚く、病害虫にも強く、丈夫で育てやすいことから、公園整備や工場緑化などにも利用されます。刈り込みにも強く、「丸や四角に刈り込まれることが多い」ため、生垣や目隠し、トピアリーなどにも適しています。初夏には白い小さな花を多数つけ、甘い香りを漂わせます。花の後には実がなり、秋から冬(10月~12月頃)にかけて直径5~10mmほどの「真っ黒な実」をたくさん実らせます。実は球形または楕円形で、熟すと艶やかな黒色になります。枝いっぱいに実がつく様子は圧巻で、冬の景色の中で目を引きます。熟した実には、ヒヨドリ、ツグミ、ムクドリなどの野鳥が集まり、バードウォッチングを楽しめます。ただし、ネズミモチの実は有毒成分を含むため、誤って口にしないように注意が必要です。生薬として利用されることもありますが、一般的には食用には向きません。生命力の強さと、四季を通じて楽しめる景観が、多くの人に愛されている黒い実の植物です。
ハナイカダ
ハナイカダは、ミズキ目ハナイカダ科に属する落葉性の低木であり、その生育範囲は北海道以南の日本列島、そして中国にまで及びます。その独特な名前は、葉の中央部分に花や果実が形成される様子が、かつて木材輸送に用いられた筏を彷彿とさせることに由来しており、葉の上に花を咲かせるという特異な性質を持つ植物としても知られています。樹高は一般的に1メートルから2メートル程度まで成長します。開花時期は春から初夏にかけて(4月から5月頃)で、葉の中心から淡い緑色の小さな花を咲かせます。ハナイカダは雄株と雌株が存在し、それぞれ雄花と雌花をつけます。雌株においては、開花後、夏から秋にかけて(果実が成熟するのは9月頃)直径およそ7ミリメートルから10ミリメートルほどの「黒い果実」を結実させます。この果実は丸い形をしており、熟すと光沢のある黒色を呈します。鳥類はこの果実を好んで食しますが、人間が食用とするには適していません。その他に類を見ない花の咲き方や、秋に葉の上に実る黒い果実は観賞価値が高く、庭木や鉢植えとしても親しまれています。特に、雌株と雄株を対で育てると、結実の様子をより一層楽しむことができます。古くからその珍しさで大切にされてきた黒い果実の植物です。
ヒイラギ
ヒイラギは、モクセイ科モクセイ属に分類される常緑性の小高木で、日本国内では福島県以南、国外では台湾に分布しており、山間部や庭園などで広く見られます。名前の由来は、葉に存在する鋭い「棘」に触れると「疼(ひいら)ぐ」、つまり痛みを感じることにちなむと言われています。この棘は、節分の際に「魔除け」として伝統的に用いられてきました。しかし、樹齢を重ねると棘が消失し、「丸みを帯びた」葉を持つようになるのが特徴です。この棘は、野生のヒイラギが動物による食害から身を守る役割も果たしています。ヒイラギは雌雄が分かれており、開花期は晩秋から冬にかけて(10月から12月)で、葉の付け根に白い小さな花を多数咲かせ、甘い香りを周囲に漂わせます。開花後には果実が実り、翌年の初夏(6月から7月頃)には直径約12ミリメートルから15ミリメートルほどの「黒い果実」へと成長します。果実は球形または楕円形をしており、熟すとつややかな黒色になります。この果実は鳥が好んで食べるため、庭に野鳥を誘引する効果が期待できますが、人が食べるのには適していません。稀に、サルが果実を目当てにやってくることもあります。特徴的な葉、冬に咲く花、そして初夏に実る黒い果実が、庭に四季折々の表情と防御機能をもたらしてくれる黒い実の植物です。
ヒオウギ
ヒオウギは、アヤメ科アヤメ属に属する多年草であり、日本の本州から九州にかけての山地や草原、また中国などに自生しています。その名前の由来は、葉が扇状に広がる様子が、平安時代の宮廷で使用された「檜扇」という扇に似ていることに起因します。開花時期は夏(7月から8月頃)で、オレンジ色を基調に濃い斑点が入った美しい花を咲かせます。この花は切り花としても人気があります。花が終わると果実が実り、秋(具体的には9月頃)には、直径およそ4ミリメートルほどの「黒い果実」を結実させます。この果実は熟すと光沢のある漆黒色になり、数珠のように連なる様子から、「ヌバタマ」とも呼ばれ、古くから和歌に詠まれるなど、風情のある存在として愛されてきました。果実の中には丸くて硬い種子が形成されます。この果実は鳥に好まれますが、人間の食用には適していません。根茎は薬用として用いられることもあります。その個性的な葉の形状、鮮やかな花、そして秋に実る黒い果実が魅力的な黒い実の植物です。
ヒサカキ
ヒサカキは、ツバキ科サカキ属に分類される常緑性の小高木であり、日本の本州から沖縄にかけて広く分布し、山地や森林の縁、庭木としても利用されています。サカキに似ていますが、樹木全体や葉がサカキよりも「小さい」ことから「姫」という字が冠されています。葉の縁に「鋸歯」が見られる点がサカキとの大きな違いです。古くからサカキやシキミの代替品として「仏事や神事の供え物」として用いられてきました。開花期は春(3月から4月頃)で、葉の付け根に白い小さな花を多数咲かせ、独特の香りを放ちます。開花後に果実が実り、秋(10月から11月頃)には直径約4ミリメートルから5ミリメートルほどの「黒い果実」を結実させます。果実は球形をしており、熟すと光沢のある黒色を呈します。この果実は鳥が好んで食べますが、人間が食べることはできません。日陰でも生育しやすく、丈夫で育てやすいため、庭の下草や目隠しとしても利用されることがあります。日本の伝統文化と深く関わりのある黒い実の植物です。
ヒメヤブラン
ヒメヤブランは、スズラン亜科ヤブラン属に属する多年生の常緑植物で、日本国内では北海道の南西部以南に分布しています。名前の由来は、同じ仲間のヤブランに比べて、花や葉のサイズが「小さい」ことに由来します。花は通常6枚の花弁を持ち、淡い紫色で直径は約5mmと控えめな美しさです。葉は細長く、ヤブランと同様に、地面を覆うグランドカバーとしても利用されています。開花時期は夏の終わりから秋にかけて(8月~9月頃)で、花茎を伸ばし、その先端に淡紫色の小さな花を穂状に咲かせます。結実期は晩秋から冬(11月頃)にかけてで、直径4mmから6mmほどの「黒い果実」をつけます。果実は丸い形状で、熟すと光沢を帯びた漆黒色になります。鳥が好んでこの実を食べますが、人間が食用とするのには適していません。日陰に強く、手間がかからないため、庭のグランドカバーや日陰の庭園に適しています。小さく可憐な姿と、秋に実る黒い実が魅力的な植物です。
ブラックベリー
ブラックベリーは、バラ科キイチゴ属に分類される落葉性のつる植物で、原産地は北アメリカですが、現在では世界中で広く栽培されています。ラズベリーと同じキイチゴの仲間で、甘酸っぱい黒い果実は世界中で愛されています。一般家庭の庭や家庭菜園でも育てやすく、比較的容易に栽培できるため、身近な存在となっています。ブラックベリーの茎には、品種によってトゲがあるものとないものがあり、つるを伸ばして成長します。春の終わりから初夏にかけて、白や淡いピンク色の可愛らしい花を咲かせます。花びらは通常5枚で、房状に花を咲かせることが多いです。そして、開花後には実を結び、初夏から夏にかけて「漆黒の果実」を実らせます。果実は最初は緑色で、次第に赤みを帯び、完熟すると光沢のある濃い黒色へと変化します。複数の小さな果実が集まって一つの塊を形成する「集合果」であり、見た目は桑の実やラズベリーによく似ています。完熟したブラックベリーは、甘さと程よい酸味が調和しており、生で食べるのに最適です。収穫したての新鮮な実をそのまま味わうのが一番ですが、ジャムやジュース、パイ、タルト、スムージーなど、様々なデザートや料理にも利用できます。また、アントシアニン、ビタミンC、食物繊維などの栄養素が豊富に含まれており、健康にも良いとされています。栽培は比較的簡単で、日当たりが良く、水はけの良い土壌を好みます。つるが旺盛に伸びるため、フェンスや支柱などを利用して育てることが一般的です。夏の収穫期には、自宅で手軽に新鮮な果実を楽しめる魅力的な植物です。
ブルーベリー
ブルーベリーは、ツツジ科スノキ属に分類される落葉性の低木で、原産地は北アメリカです。名前の通り、青みがかった黒色の果実を実らせることで広く知られており、健康食品としても非常に人気のある果樹です。家庭の庭や菜園でも育てやすいため、多くの場所で栽培されています。ブルーベリーの樹高は品種によって異なりますが、一般的には1メートルから3メートル程度まで成長します。春には、スズランのような釣鐘型の可愛らしい白い花をたくさん咲かせます。開花後、実を結び始め、成熟期は初夏から夏にかけてです。最初は緑色の実が、徐々に赤みを帯び、最終的には濃い青紫色から黒色へと変化します。お店などで見かける黒色のブルーベリーも、実際にはピンクがかった美しい紫色を経て完熟を迎えます。完熟に近づくと、たった1日で目に見えて大きく成長するほどの生命力を見せ、熟した果実の表面には白い粉(ブルーム)が付着し、より一層青みがかった印象を与えます。果実の大きさは直径1センチメートルから2センチメートル程度で、丸くてふっくらとした形をしています。栽培には、やや酸性の土壌を好み、適切な水管理が重要ですが、比較的丈夫で病害虫にも強く、美しい花と、美味しくて健康にも良い黒い実を同時に楽しめる、非常に魅力的な庭木です。
ブルーベリーの果実は、甘味と酸味のバランスが絶妙で、特に完熟したものは甘さが際立ち、「酸っぱい」というイメージを覆すほどの美味しさです。生食が最もおすすめで、摘みたてをそのまま食べるのはもちろん、ジャムやパイ、マフィン、ヨーグルトのトッピング、スムージーなど、様々な形で楽しむことができます。特筆すべきは、その高い栄養価です。アントシアニンが豊富に含まれており、目の健康を維持したり、抗酸化作用に優れているとされ、「スーパーフード」としても注目されています。さらに、食物繊維やビタミンC、ミネラルなどもバランス良く含まれています。収穫した果実は冷凍保存も可能で、例えば、ブルーベリー、ヨーグルト、牛乳(好みでバナナなどのフルーツ)をミキサーで混ぜ、生のブルーベリーをトッピングしたスムージーは、夏にぴったりの手軽なデザートになります。収穫体験においては、ブルーベリーの木は大人の身長ほどの高さまで成長し、根元の方にも実がなるため、2~3歳ほどの小さな子供でもブルーベリー狩りを楽しむことができ、家族でのレジャーにも最適な果樹と言えるでしょう。
ペンステモン
ペンステモンは、オオバコ科ペンステモン属に分類される常緑多年草で、主に北アメリカに約250種以上が自生しています。その美しい花を観賞するために栽培されることが多く、庭や花壇で人気の高い多年草です。花の色、形、草丈など、非常に多様な品種が存在し、ガーデニングの可能性を広げてくれます。開花時期は春から夏にかけてで、筒状の可愛らしい花を穂状に咲かせます。ペンステモン全体としては花の美しさが際立ちますが、実の色が特徴的な品種も存在します。特に「ペンステモン・ダコタバーガンディ」は、葉の色が深く紫がかった色をしており、非常にシックで美しいのが特徴です。他の黒っぽい葉色の品種も、「黒光りする」ような葉色で庭に深みを与えます。この品種は、開花後にできる実の色も特徴的で、熟すと黒に近い茶色になります。実の大きさは数ミリメートル程度と小さいものの、濃い葉の色と相まって、独特の雰囲気を醸し出します。実そのものを観賞の主な目的とすることは少ないですが、全体の景観の一部としてその色合いが評価されます。ペンステモンの多くは丈夫で育てやすく、日当たりと水はけの良い場所を好みます。一度植えれば毎年花を咲かせてくれるため、手間をかけずに楽しむことができます。花壇の背景や寄せ植えのアクセントとして、その独特の葉の色と、それに続く黒っぽい実が、庭に深みと落ち着きを与える植物です。ただし、実は食用には適していません。
マートル
マートルは、フトモモ科に属する常緑性の低木であり、地中海地域が原産です。学術的にはMyrtus communisと呼ばれ、別名として「銀梅花(ギンバイカ)」の名でも親しまれています。この名は、梅に似た白い花と、光沢のある葉に由来します。ハーブとしても知られ、葉を軽く揉むと、ユーカリやローズマリーを思わせる清々しい香りが広がります。個人の庭だけでなく、商業施設や公園など、私たちの身近な場所でも見かけることができます。樹高は一般的に1メートルから3メートル程度まで成長し、生い茂る葉が特徴的です。初夏の頃には、愛らしい白い小花をたくさん咲かせます。5枚の花弁を持ち、中心部から放射状に伸びる多数の雄しべは、まるでブラシのように見えます。ヨーロッパでは、マートルは古くから愛と純潔のシンボルとされ、結婚式などの慶事に用いられてきました。花の後には実を結び、秋になると黒い果実をつけます。果実の大きさは約1センチメートルほどで、オリーブの実とほぼ同じくらいです。熟すと、光沢のある濃い黒色になり、表面には白い粉を帯びることがあります。食用可能で、甘みと独特の風味があり、生食の他、ジャムやリキュールに加工されることもあります。ただし、日本では一般的ではありません。芳香のある葉と白い花、秋に実る黒い実が魅力的な、歴史と文化に深く関わる植物です。
マルミノヤマゴボウ
マルミノヤマゴボウは、ヤマゴボウ科に分類される多年生の草本で、中国、台湾、そして日本の関東以西に分布し、野山や道端などに自生しています。名前の由来は、葉の形がゴボウに似ていることと、丸い果実をつけることにあります。草丈は1メートルから2メートルほどにまで成長し、茎は赤みを帯びていることが多いです。開花時期は夏から秋にかけて(6月頃から)で、茎から上に向かって伸びる総状花序に、赤い小さな花を多数咲かせます。花の後には実がなり、夏の終わりから秋にかけて(8月頃から)直径約8ミリメートルほどの黒い果実を実らせます。果実は球形をしており、熟すとつややかな黒色になります。この果実は鳥が好んで食べますが、人間が食用とするには適していません。特に、根や果実には毒性があるため、誤って口にしないように注意が必要です。ヨウシュヤマゴボウとよく似ていますが、マルミノヤマゴボウの花や果実が上向きに咲くのに対し、ヨウシュヤマゴボウは下向きに咲くという点で区別できます。秋の野原に、独特の彩りを添える植物です。
ミズキ
ミズキは、ミズキ科の落葉高木であり、日本、中国、朝鮮半島などに広く分布し、山地や森林の縁に自生しています。その名の由来は、春に新芽が出る際に大量の水を吸い上げ、枝を切ると水が滴り落ちる様子からきています。5月頃の山では、ヤマボウシなどと同時期に、小さな白い花が多数集まって大きな花序を形成し、木全体を白く覆う姿がよく見られます。開花後、秋(9月頃)には直径約5ミリメートルから7ミリメートルほどの黒い果実を実らせます。果実は球形をしており、熟すと光沢のある黒色になります。この果実は鳥が好んで食べるため、野鳥を呼び寄せる効果が期待できますが、人間が食用とすることはできません。材は緻密で、家具材や彫刻材、ろくろ細工などに利用されてきました。新緑、白い花、そして秋の黒い実と、四季折々の表情を見せてくれる、日本の山に馴染み深い植物です。
ムクロジ
ムクロジは、ムクロジ科の落葉高木で、アジアの熱帯から亜熱帯地域、そして日本では新潟県・茨城県以西に分布しています。その名前は「子が患わない」という意味を持つ「無患子」という漢字が当てられ、子供の健康を願って神社や寺に植えられてきました。古くから正月の羽根突き遊びの羽根の玉として使われるなど、縁起の良い木として親しまれています。樹高は10メートル以上にも成長し、大きく育ちます。開花時期は初夏(6月頃)で、淡い黄緑色の小さな花をたくさん咲かせます。花の後には実がなり、秋から冬にかけて(10月から11月頃)直径約10ミリメートル程度の黒い果実を実らせます。果実は球形をしており、熟すとつややかな黒色になります。この果実の果皮にはサポニンという成分が豊富に含まれており、水に濡らすと泡立つことから、石鹸の代用品として利用されてきました。種子は丸く硬いため、数珠や羽根突きの羽根の玉に使われます。実生で増やすことが可能ですが、種を蒔いてから実をつけるまでに20年ほどかかることもあります。果実は鳥が好んで食べますが、人間が食用とすることはできません。歴史的、文化的な背景と、実用的な利用価値を兼ね備えた、縁起の良い植物です。
クロガネモチ
クロガネモチ(黒鉄黐)は、モチノキ科モチノキ属に属する常緑高木です。その名の通り、葉や幹が丈夫で、金属のような光沢を持つことから名付けられました。本州以南、四国、九州に分布し、庭木や公園樹として広く植えられています。生育は旺盛で、高さは10メートルから20メートルに達します。クロガネモチは、初夏に小さな白い花を咲かせますが、特に目立つのは秋から冬にかけて実る果実です。雌株には、直径5ミリメートルから8ミリメートルほどの丸い実が多数なり、熟すと美しい光沢のある「赤い実」へと変化します(出典: 沖縄タイムス(現地取材記事), URL: https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1516125, 2025-01-29)。この実は、冬の寒さの中でひときわ目を引き、野鳥たちの食料となります。ただし、人間が食用とすることはできません。クロガネモチは、その美しい樹姿と実の色の変化から、観賞価値が高く、庭のシンボルツリーとしても人気があります。また、防火樹としても利用されることがあります。一年を通して緑の葉を保ち、秋には赤い実が楽しめる、季節の彩りを感じさせる植物です。
ヒメシャリンバイ
ヒメシャリンバイ(姫車輪梅)は、バラ科シャリンバイ属に分類される常緑低木です。暖地の海岸近くに自生し、庭木や公園樹、生垣などとして広く利用されています。シャリンバイよりも小型であることから、この名前が付けられました。葉は小さく、光沢があり、密に茂ります。初夏には、白い小さな花を多数咲かせ、甘い香りを漂わせます。花の後に実をつけ、秋から冬にかけて(10月~12月頃)、直径1センチメートルほどの丸い実が熟します。最初は赤色をしていますが、熟すと徐々に色が濃くなり、最終的には光沢のある「黒い実」へと変化します。この実は、鳥たちが好んで食べますが、人間が食用とすることはできません。ヒメシャリンバイは、潮風や乾燥に強く、剪定にも強いため、育てやすい植物です。コンパクトな樹形と、可愛らしい花と実が魅力で、庭のアクセントとしても最適です。年間を通して緑の葉を茂らせ、秋には美しい黒い実をつける、一年を通して楽しめる黒い実の植物です。
イヌビワ
イヌビワ(犬枇杷)は、クワ科イチジク属に分類される落葉小高木です。本州、四国、九州に分布し、日当たりの良い場所に自生します。名前の由来は、実の見た目がビワに似ているものの、食用には適さないことから「犬」という言葉がつけられました。葉は大きく、掌状で、表面はざらついています。初夏に小さな花を咲かせますが、花は果嚢の中に隠れているため、外からは見えません。秋になると、直径1センチメートルから2センチメートルほどの丸い実が熟します。実は最初は緑色ですが、熟すと赤黒くなり、最終的には「黒い実」へと変化します。この実は、鳥や動物たちが好んで食べますが、人間が食べると美味しくありません。イヌビワは、比較的成長が早く、生命力が強い植物です。庭木として利用されることは少ないですが、自然な風情があり、雑木林のような庭によく合います。秋に熟す黒い実は、野鳥を呼び寄せる効果もあります。自然な景観を作り出す、黒い実の植物です。
シロダモ
シロダモ(白だも)は、クスノキ科ハマビワ属に分類される常緑高木です。関東地方以西の本州、四国、九州に分布し、暖地の山地に自生します。樹皮が灰白色で滑らかなのが特徴で、名前の由来となっています。葉は厚く、光沢があり、裏面は白い粉を吹いたように見えます。春に黄緑色の小さな花を咲かせ、秋に実をつけます。実は直径1センチメートルほどの球形で、最初は緑色ですが、秋から冬にかけて赤色に変わり、最終的には光沢のある「黒い実」へと変化します。赤と黒の実が混ざり合って見られる時期もあり、美しいコントラストを生み出します。この実は、鳥たちが好んで食べますが、人間が食用とすることはできません。シロダモは、庭木や公園樹として利用されるほか、材木としても利用されます。その美しい樹姿と、実の色の変化が魅力で、庭に彩りを与えてくれます。一年を通して緑の葉を保ち、秋には美しい黒い実が楽しめる、季節の移ろいを感じさせる黒い実の植物です。
ユズリハ
ユズリハはユズリハ科に属する常緑性の高木で、日本をはじめ、中国やインドなどの地域に分布しています。その特徴的な名前の由来は、新しい葉が生える際に、古い葉がちょうどその時に落ちるという生態にあります。この様子が「世代交代」を象徴するものとして捉えられ、「家系の繁栄」や「子孫の永続」といった意味を持つ縁起の良い木とされ、古くから庭木や正月の飾りとして利用されてきました。街中の公園や街路樹、寺社など、私たちの生活圏内で見かける機会も多いでしょう。風格のある姿から「街や公園によくある大きな木」として親しまれています。成長すると樹高は10~20メートルに達し、葉は大きく、光沢のある深い緑色をしており、裏側はやや白っぽいのが特徴です。また、「葉柄が赤みを帯びている」こともあり、新芽が出る時期には特にその鮮やかさが際立ちます。ユズリハは「初夏に葉が一度に入れ替わる」ことで知られ、生命の息吹を感じさせてくれます。春には、淡い黄緑色の小さな花を多数咲かせます。雌雄異株であり、雄株には雄花、雌株には雌花が咲きます。雌株に花が咲いた後、秋から初冬(おおよそ10月から11月、実の成熟時期は11月から12月)にかけて、直径5~12ミリほどの「黒い実」をつけます。実は丸みを帯びた楕円形で、熟すと光沢のある濃い黒色になります。この黒い実が、新しい葉と古い葉が入れ替わる時期と重なることで、生命の循環を視覚的に感じさせてくれます。ただし、実には毒性があるため、食用には適しません。実生で増えることもあり、時には鹿などの動物による食害も見られます。縁起の良い木としての歴史的・文化的背景に加え、一年を通して緑を保つ常緑性、そして秋から冬にかけて実る黒い実が、ユズリハを日本の庭園文化において重要な存在にしています。その威風堂々とした樹形は、シンボルツリーとしても人気です。
ヨウシュヤマゴボウ
ヨウシュヤマゴボウはヤマゴボウ科に分類される多年草であり、原産地は北アメリカです。日本には「帰化植物」として持ち込まれ、現在では道端、空き地、畑など、全国各地で見られます。名前の由来は、ゴボウのように「太い根」を持つことと、海外から来た植物であることに由来します。草丈は1~2メートルまで成長し、茎は赤紫色を帯びることがあります。開花時期は初夏から秋(6月頃から)にかけてで、茎から垂れ下がる「総状花序」に、小さな白い花をたくさん咲かせます。花が終わると実がなり、夏の終わりから秋(具体的には9月頃)にかけて、直径約8ミリの「黒い実」をつけます。実は球形、またはやや平たい形をしており、熟すと光沢のある黒色になります。鳥が好んでこの実を食べますが、人間にとっては食用には適しません。実、根、葉など、植物全体に有毒な成分(サポニン、フィトラッカトキシンなど)が含まれており、誤って摂取すると、吐き気、嘔吐、下痢などの深刻な中毒症状を引き起こす可能性があるため、絶対に口にしないようにしてください。生命力が強く、秋の野原で鮮やかな実の房が目を引きますが、毒性を持つ黒い実の植物です。
ランタナ
ランタナはクマツヅラ科に属する半耐寒性の常緑低木で、原産地は熱帯アメリカです。日本には江戸時代に伝わりました。「シチヘンゲ(七変化)」という和名は、学名である「Lantana camara」に由来しており、その名の通り、花の色が咲き進むにつれて変化するという特徴を持っています。そのため、一つの株に赤、黄、オレンジ、ピンクといった様々な色が混ざり合った、色鮮やかな花を長い期間咲かせます。開花期間は非常に長く、春から秋(5月から10月頃)まで、ほぼ途切れることなく花を咲かせ続けます。温暖な地域では、常緑のまま屋外で冬を越すことができ、霜の心配がない地域では一年を通して楽しむことができます。個人の庭や公園、鉢植え、ハンギングバスケットなど、様々な場所でその華やかな姿を見ることができます。この色鮮やかな花の後に、ランタナは実をつけます。実の成熟期は秋から冬にかけてで、直径数ミリから5ミリほどの光沢のある「黒い実」をつけます。実は球形をしており、熟すと艶のある黒色になります。この実を鳥が好んで食べるため、庭に野鳥を呼び寄せる効果も期待できます。ただし、ランタナの未熟な実や葉、茎にはランタニンという有毒成分が含まれており、人間や家畜が摂取すると中毒症状を引き起こす可能性があるため、絶対に口にしないよう注意が必要です。特に小さな子供やペットがいる家庭では、管理を徹底する必要があります。丈夫で育てやすく、病害虫にも比較的強いため、園芸初心者にもおすすめです。その豊かな色彩、長い開花期間、そして秋に実る黒い実が、庭を彩る魅力的な植物です。
39フルーツパークの概要と魅力的な施設
黒い実をつける植物の中でも、甘酸っぱい味わいで特に人気のあるブルーベリーは、収穫体験を通してその魅力をより深く味わうことができます。富山県氷見市にある「39フルーツパーク」は、旬のブルーベリー摘み取り体験ができる人気の観光農園で、アクセスの良さが魅力です。能越自動車道高岡インターチェンジから車で約10分、氷見駅からも車で8分と、市街地からのアクセスも良く、山間部にある一般的な観光農園とは異なり、気軽に訪れることができます。このパークは、氷見市で河川工事や橋梁の改築などの土木事業を手掛ける三久建設株式会社によって運営されており、「39」という名称も同社の社名に由来します。農園の隣には広々とした芝生広場が併設されており、家族連れにとって魅力的な空間となっています。子供たちは、人工的に作られた小高い芝生の丘で安全に芝生滑りを楽しんだり、ブランコやボールなどで自由に遊んだりすることができます。多少転んでも芝生がクッションとなるため、保護者は安心して子供たちを遊ばせることができ、フルーツ狩りに加えて、充実したアウトドアレジャー体験を提供しています。さらに、園内にはドッグランも併設されており、愛犬と一緒に訪れて楽しむことも可能です。カフェの前にはリードフックが設置されているため、買い物の間も愛犬を安全に待たせることができます。
フルーツパークでの、ブルーベリーそっくりな黒い実摘み体験と魅力
フルーツパークでは、園長自らが丹精込めて育てた、ブルーベリーにそっくりな黒い実の摘み取り体験ができます。 摘み取り方だけでなく、美味しく食べられる黒い実の見分け方も教えてくれるので安心です。 実は、ピンク色から濃い黒色に変わる過程で甘みが増し、たった一日で大きく成長するものもあるそうです。 スーパーでは見られない、黒い実の色鮮やかな変化を観察できるのは、農園ならではの特権です。 収穫シーズンは約2ヶ月と長く、夏休み期間中は家族連れで賑わいを見せています。 来園者は容器を受け取り、黒い実を探す宝探しのように摘み取りを楽しみます。 スタッフも丁寧にサポートしてくれるので、美味しい黒い実を逃すことはありません。 今まで「黒い実は酸っぱい」と思っていた人も、きっとその甘さに驚くはずです。 特に都市部から来た人にとっては、初めての黒い実摘み体験が忘れられない思い出になるでしょう。 黒い実の木は、子供でも手が届く高さなので、家族みんなで収穫を楽しめます。 容器の蓋が閉まればOKというルールなので、黒い実をぎゅうぎゅうに詰めるのも醍醐味の一つです。 収穫した黒い実は、そのまま食べるのはもちろん、冷凍保存してスムージーなどにして、長く楽しめます。
カフェで味わう、黒い実を使ったメニューとフルーツ体験
黒い実摘みでリフレッシュした後は、カフェで特別なひとときを過ごしましょう。 新鮮なフルーツをたっぷり使った、魅力的なドリンクやスイーツが豊富に揃っています。 黒い実のヨーグルトや、数種類のベリーをミックスしたソーダ、桃ミルクなど、どれも試してみたくなるものばかりです。 店内には涼しい席が用意されているほか、天気の良い日には外のベンチで、子供たちが遊ぶのを見ながらゆっくりと味わうのもおすすめです。 ドリンクだけでなく、フルーツパフェやクロッフルなど、見た目も華やかなスイーツも充実しており、何度も通いたくなるでしょう。 お土産には、黒い実を使ったジュースやりんごジュースなどがおすすめです。全国配送も可能なので、遠方の方にも喜ばれます。 フルーツパークでは、黒い実だけでなく、秋にはりんご狩りも楽しめます。一年を通して旬のフルーツを堪能できる、魅力的なスポットです。 ドライブの途中に気軽に立ち寄って、手ぶらでフルーツ狩りを楽しめるのが嬉しいポイントです。
フルーツパーク 店舗情報
所在地:富山県氷見市十二町240-6 電話番号:080-2644-7294 営業時間:10:00~17:00 定休日:月曜
まとめ
この記事では、庭や公園で見かける身近なものから、存在感のある高木まで、さまざまなブルーベリーに似た黒い実のなる植物を紹介しました。 アオツヅラフジの実や、アロニア・メラノカルパ、ウドの実、食用オリーブ、カクレミノの実、鑑賞用トウガラシの実、クサギ、シャリンバイ、シロヤマブキ、シルバープリペット、タチシオデ、ツタ、ナツハゼ、ネズミモチ、ブラックベリー、ブルーベリー、ペンステモン、マートル、ヤブラン、ユズリハ、ランタナなど、それぞれの特徴や時期、環境、利用方法、注意点などを解説しました。 さらに、エノキ、トウネズミモチ、イヌホオズキ、アカメガシワ、イヌツゲ、ウリノキ、クスノキ、クマノミズキ、クロモジ、ゲッケイジュ、サカキ、スイカズラ、タラノキ、ハナイカダ、ヒイラギ、ヒオウギ、ヒサカキ、ヒメヤブラン、マルミノヤマゴボウ、ミズキ、ムクロジ、マンゲツロウバイ、ヤブニッケイ、ヤブミョウガ、ヨウシュヤマゴボウといった植物も加え、30種以上の黒い実の植物を網羅しました。 赤や黄色の実と比べて地味に見えるかもしれませんが、黒い実には落ち着きと美しさがあります。 光沢や白い粉、コントラスト、葉の上の実など、一つ一つの個性が豊かです。 多くの黒い実は野鳥の食料となり、生態系で重要な役割を果たしています。 ただし、有毒な実もあるので、安易に口にしないように注意しましょう。 この記事が、身近な黒い実の植物に興味を持つきっかけになれば幸いです。 散歩や庭の手入れの際に、この記事を参考に自然の魅力を再発見してみてください。 きっとあなたの日常に新たな彩りを与えてくれるでしょう。
黒い実をつける植物は全て食べられる?
必ずしもそうではありません。黒い実をつける植物の中には、食用可能なものも存在しますが、そうでないものも多くあります。例えば、ブラックベリー、ブルーベリー、アロニア、ナツハゼ、適切に加工されたオリーブ、マートル、エノキなどは食べられる実をつけます。しかし、ネズミモチ、シルバープリベット、未熟なランタナの実、ツタ類、アオツヅラフジ、ウド、カクレミノ、クサギ、シャリンバイ、シロヤマブキ、タチシオデ、ペンステモン、ヤブラン、ユズリハの実、イヌホオズキ、アカメガシワ、イヌツゲ、ウリノキ、クスノキ、クマノミズキ、クロモジ、ゲッケイジュ、サカキ、スイカズラ、タラノキ、ハナイカダ、ヒイラギ、ヒオウギ、ヒサカキ、ヒメヤブラン、マルミノヤマゴボウ、ミズキ、ムクロジ、マンゲツロウバイ、ヤブニッケイ、ヤブミョウガ、ヨウシュヤマゴボウ、そしてトウネズミモチ(侵略的外来種として注意が必要で、食用不可または毒性を持つ場合がある)などは、人体に有害な成分を含んでいたり、食用に適さないとされています。特に注意すべきは、毒性のある実を誤って摂取した場合、腹痛、嘔吐、下痢などの症状を引き起こす可能性があることです。そのため、名前のわからない植物の実は、決して口にしないようにしてください。食用可能な植物であっても、野生のものを採取する際には、確かな知識と注意が求められます。

黒い実の植物はいつ頃に実をつける?
黒い実が実る時期は、植物の種類によって大きく異なります。一般的には、多くの植物が夏の終わりに開花し、秋から冬にかけて実を熟成させる傾向があります。具体例として、アオツヅラフジ(10~11月)、カクレミノ(10~11月)、クサギ(10~11月)、シャリンバイ(10月頃)、シロヤマブキ(9~11月頃)、シルバープリベット(秋)、タチシオデ(10月頃に実がなり、11月に熟す)、ツタ類(9~10月に実がなり、6~7月頃に熟す)、ナツハゼ(8~10月頃)、ネズミモチ(10~12月頃)、マートル(秋)、ユズリハ(10~11月頃に実がなり、11~12月頃に熟す)、ランタナ(秋から冬)、エノキ(10~11月頃)、トウネズミモチ(10~12月頃)、イヌホオズキ(10月頃)などが、主に秋から冬にかけて黒い実をつけます。その他、アカメガシワ(9~10月)、イヌツゲ(10~11月)、ウリノキ(秋)、クスノキ(10月頃)、クマノミズキ(10~11月)、クロモジ(9~10月)、ゲッケイジュ(10月)、サカキ(11月頃)、スイカズラ(10~11月頃)、タラノキ(10~11月頃)、ハナイカダ(9月頃)、ヒイラギ(6~7月)、ヒオウギ(9月頃)、ヒサカキ(10~11月)、ヒメヤブラン(11月頃)、マルミノヤマゴボウ(8月頃から)、ミズキ(9月~)、ムクロジ(10~11月頃から)、マンゲツロウバイ(9~10月)、ヤブニッケイ(10~11月)、ヤブミョウガ(9月~)、ヨウシュヤマゴボウ(9月頃)など、様々な植物が該当します。一方、ブラックベリーやブルーベリー、一部の観賞用トウガラシは、初夏から夏にかけて、またはそれ以上の期間、実を楽しむことができます。ウドは秋、オリーブも秋から冬にかけて実をつけます。ペンステモンの実も秋口には黒に近い色合いに変化します。このように、季節ごとに異なる黒い実を観察できるため、一年を通して自然の変化を楽しむことができます。
庭に黒い実の植物を植える利点は?
庭に黒い実の植物を植えることには、いくつかの魅力的な利点があります。まず、その独特な色合いが庭の風景に奥行きと落ち着きをもたらします。特に、冬の寒々とした時期には、黒い実が庭のアクセントとなり、庭全体に彩りを添えてくれます。また、多くの黒い実は野鳥にとって貴重な食料となるため、様々な種類の鳥を庭に呼び寄せ、バードウォッチングを楽しむことができます。これは、自然との触れ合いを深める絶好の機会となります。さらに、オリーブ、ブラックベリー、ブルーベリー、ナツハゼ、マートル、エノキなど、食用可能な実をつける種類を選べば、家庭で収穫した新鮮な果実を味わうことができます。加えて、カクレミノ、シャリンバイ、ネズミモチ、トウネズミモチ、イヌツゲのように、常緑で葉が密集する種類は、生垣や目隠しとして利用でき、プライバシー保護や防風効果も期待できます。比較的丈夫で育てやすい品種が多く、手間をかけずに美しい景観を維持できる点もメリットと言えるでしょう。
黒い実の植物を育てる際の注意点は?
黒い実の植物を育てる際には、注意すべき点がいくつか存在します。最も重要なのは、その実が食用に適しているかどうかを正確に把握することです。有毒な実をつける植物も少なくないため、特にお子様やペットがいる家庭では、誤って口にしてしまうリスクを避けるために、植物選びを慎重に行うか、実がならないように剪定するなどの対策を講じる必要があります。例えば、ランタナの未熟な実、イヌホオズキ、マルミノヤマゴボウ、ヨウシュヤマゴボウ、ムクロジ、マンゲツロウバイ、ヒイラギなどは有毒であるため、庭で育てる場合は特に注意が必要です。次に、植物の生育特性(低木、高木、つる性など)や最終的なサイズを考慮し、十分なスペースを確保することが大切です。つる性の植物の場合、適切な誘引のための支柱やフェンスが必要となることがあります。また、多くの植物は日当たりと水はけの良い環境を好みますが、ヤブランのように日陰でも育つ種類も存在するため、植える場所の環境に適した植物を選ぶことが成功の鍵となります。病害虫の発生にも注意し、必要に応じて適切な対策を講じることで、健全な成長を促し、美しい実を楽しむことができます。適切な剪定は、樹形を整え、実のつきを良くするためにも重要です。さらに、トウネズミモチのように「要注意外来生物」に指定されている植物もあるため、植栽する際には慎重な検討が求められます。
図鑑に載っていない、ブルーベリーに似た黒い実をつける植物はありますか?
はい、この図鑑で取り上げている植物以外にも、私たちの身近な環境には、ブルーベリーに似た黒い実をつける植物が数多く存在します。例えば、街路樹や公園などでよく見かける植物の中には、クロガネモチ(モチノキ科)のように、最初は赤い実をつけますが、熟すと黒っぽく変色するものがあります。また、野草では、特徴的な名前を持つ「ヘクソカズラ」(アカネ科)や、春に親しまれる「カラスノエンドウ」(マメ科)なども、黒い種子(実)をつけます。つる性の植物である「アケビ」(アケビ科)も、熟した実は紫色を帯びますが、その種子は黒色をしています。本記事でご紹介したイヌツゲ、アカメガシワ、ウリノキ、クスノキ、クマノミズキ、クロモジ、ゲッケイジュ、サカキ、スイカズラ、タラノキ、ハナイカダ、ヒイラギ、ヒオウギ、ヒサカキ、ヒメヤブラン、マルミノヤマゴボウ、ミズキ、ムクロジ、マンゲツロウバイ、ヤブニッケイ、ヤブミョウガ、ヨウシュヤマゴボウなども、比較的目にしやすい、黒い実をつける植物の仲間です。このように、普段私たちが何気なく見過ごしている場所にも、多様な姿の黒い実を持つ植物が生育しています。この情報が、皆様が周囲の植物に興味を持つきっかけとなり、新たな発見に繋がることを心から願っています。