秋の味覚、さつまいも。焼き芋はもちろん、煮物やスイーツなど、その用途は多岐にわたります。しかし、保存方法を間違えると、風味を損ねたり、傷んでしまったりすることも。この記事では、さつまいもを美味しく長持ちさせるための保存方法を、常温、冷蔵、冷凍の3つの観点から解説。それぞれの保存方法のメリット・デメリット、保存期間の目安、具体的な手順、そして保存したさつまいもを活かせるレシピもご紹介します。この記事を読めば、さつまいもを最後まで美味しく味わえるでしょう。
さつまいも保存の基礎知識:適温と湿度管理がポイント
さつまいもの鮮度を保つためには、温度と湿度のコントロールが非常に重要です。サツマイモの貯蔵適温は13~15℃、湿度が80~90%とされています。(出典: 日本いも類研究会『さつまいもMiNi白書』, URL: https://www.jrt.gr.jp/q_a/spqa_hozon/, 2018-09-05) 10℃以下の環境下では、低温障害を引き起こし、甘みや食感が低下するだけでなく、腐敗を早める原因となります。逆に、高温多湿な場所では、カビの発生や腐敗のリスクが高まります。また、乾燥も品質劣化を招きます。水分が失われると、食感がパサつき、本来の美味しさが損なわれてしまいます。これらの点に注意し、季節や保管場所の状況に合わせて適切な保存方法を選ぶことが、長期保存の第一歩となります。
常温保存:秋から冬にかけての涼しい時期に最適
秋から冬の涼しい時期であれば、常温での保存がおすすめです。常温保存の最大の利点は、その手軽さにあります。また、さつまいも本来の風味を損ないにくいのも魅力です。
常温保存のポイント
1. 水濡れ厳禁:さつまいもは湿気に弱いため、洗わずに、土がついたまま保存するのが基本です。もし濡れてしまった場合は、風通しの良い場所で完全に乾燥させてから保存してください。
2. 新聞紙で丁寧に包む:さつまいもを一本ずつ新聞紙で包むことで、適度な通気性を保ちながら乾燥を防ぎます。新聞紙の代わりに、キッチンペーパーを使用することも可能です。
3. 風通しの良い冷暗所を選ぶ:新聞紙で包んださつまいもは、風通しの良い冷暗所に保管します。床下収納や玄関など、直射日光が当たらず、涼しい場所が適しています。
4. 段ボールや紙袋を活用(必要に応じて):大量のさつまいもを保存する場合は、新聞紙で包んだ後、段ボールや紙袋に入れて保存すると良いでしょう。通気性を確保するため、段ボールや紙袋に穴を開けることをおすすめします。
5. 立てて保存する:横にして積み重ねるよりも、立てて保存する方が傷みにくいという意見もあります。
常温保存の期間
常温で保存する場合、大体1ヶ月から3ヶ月程度が目安となります。土がついた状態のさつまいもであれば、保存状態が良ければ半年ほど保存できることもあります。しかし、スーパーなどで売られている、既に洗われているさつまいもは、土付きのものと比べて傷みやすい傾向があるので、なるべく早く使い切るようにしましょう。
常温保存の注意点
- 温度管理:さつまいもの保存に最適な温度は、およそ13℃から15℃です。暖房が効いた部屋など、温度が高すぎる場所には置かないように注意しましょう。
- 湿度管理:乾燥を防ぐため、風通しが良すぎる場所は避けましょう。
- 定期的な確認:保存中は定期的にさつまいもの状態を確認し、傷んでいるものがあれば取り除くようにしましょう。
冷蔵保存:春夏の暑い時期や、洗浄済みのさつまいもに
春から夏にかけて気温が高くなる時期や、購入した時点でさつまいもが既に洗われている場合は、冷蔵庫での保存が適しています。冷蔵保存することで、常温保存よりも長く品質を保つことができます。
冷蔵保存の手順
1. 水洗いする:さつまいも全体を水で洗い、表面の土や汚れを落とします。
2. 水に浸す:さつまいもを切った状態で冷蔵保存したいなら、水にひたしておくと変色が抑えられます。保存期間は2日ほど。保存中は1日1回、水を替えて。水にひたして保存すると味や栄養素が多少は抜けますが、この便利さにはかないません。(出典: キッコーマン公式サイト『さつまいもの保存方法!常温・冷蔵・冷凍別の保存期間』, URL: https://www.kikkoman.co.jp/homecook/tsushin/tips0014/, 2024-11-22)
3. 密閉する:蓋つきの保存容器や、ポリ袋などを使用して、しっかりと密閉します。
4. 野菜室で保存する:冷蔵庫の野菜室で保存します。冷蔵室は温度が低すぎるため、さつまいもが傷む原因になります。
5. 毎日水を交換する:さつまいもの鮮度を保つために、毎日水を取り替えましょう。
冷蔵保存の期間
冷蔵庫で保存した場合、大体1週間程度が保存期間の目安です。さつまいもを冷蔵した際、保存期間の目安は約1週間です。時間の経過とともに鮮度が落ちるため、冷蔵保存したさつまいもは2~3日で食べきることをおすすめします。(出典: さつまいもの正しい保存方法とは?長持ちのポイントを解説!, URL: https://oimobicho.jp/basic/preserving-sweet-potatoes-2/, 2025-04-28)
冷蔵保存の注意点
- 低温障害:冷蔵室での保存は避け、野菜室を利用しましょう。
- 乾燥:保存中はこまめに水の量をチェックし、さつまいもが乾かないように気を配りましょう。
- 早めの消費:冷蔵保存は一時的な手段と考え、できるだけ早く食べるようにしましょう。
冷凍保存:長期保存や余ったさつまいもに
さつまいもをたくさん手に入れたものの食べきれない、あるいは冷蔵よりも長く保存したい場合は、冷凍保存が便利です。冷凍することで、およそ1か月程度の保存が可能になります。
冷凍保存の種類
冷凍保存の方法としては、生のまま冷凍する方法と、加熱調理後に冷凍する方法の2パターンがあります。
<生のまま冷凍保存>
生のさつまいもを冷凍する際は、使いやすいようにカットしてから冷凍するのがおすすめです。
手順:
1. さつまいもを、約3cm程度の輪切り、または料理に合わせて短冊切りやスティック状にカットします。
2. カットしたさつまいもを約5分間水に浸し、アクを取り除きます。アク抜きをすることで、変色を抑える効果があります。 3. キッチンペーパーで丁寧に水気を拭き取り、ラップでしっかりと包むか、冷凍保存用の袋に入れて冷凍庫で保存します。冷凍保存袋を使用する際は、中の空気をできる限り抜いてから密閉してください。
<加熱してから冷凍保存>
加熱後のさつまいもを冷凍保存する場合は、用途に応じた加熱方法を選択するのが良いでしょう。
手順:
1. さつまいもを加熱調理します。電子レンジ、蒸し器、茹でるなど、ご自身に適した方法を選んでください。
2. 加熱したさつまいもが十分に冷めたら、ラップで丁寧に包むか、冷凍保存用の袋に入れて冷凍庫で保存します。冷凍保存袋に入れる際は、空気をしっかり抜いて密封してください。 3. マッシュ状にして冷凍することも可能です。マッシュ状にしたさつまいもは、お菓子作りや離乳食、スープなど幅広い料理に活用できます。
冷凍保存の期間
冷凍保存した場合、保存期間の目安はおおよそ1ヶ月です。1ヶ月を超えると、風味や品質が低下する可能性があるため、できるだけ早く消費するように心がけましょう。
冷凍保存の注意点
- 急速冷凍: なるべく素早く冷凍することで、品質劣化を最小限に抑えられます。金属製のトレーに並べて冷凍すると、より速く冷凍できます。
- 解凍方法: 解凍する際は、冷蔵庫での自然解凍がおすすめです。電子レンジでの解凍は、水分が出て食感が損なわれることがあります。
- 再冷凍: 一度解凍したさつまいもの再冷凍は避けるべきです。品質が著しく低下してしまいます。
さつまいもが傷んでいるかの見分け方
さつまいもを保存する上で、品質を見極めることは非常に大切です。劣化したさつまいもを口にすると、体調を崩したり、食中毒の原因となることがあります。以下に、さつまいもの状態が悪くなっているサインをまとめました。
- 異臭: 不快な臭いや、カビのような臭いがする場合は、腐敗が進んでいると考えられます。
- 変色: 表面に黒色や緑色の斑点が見られる場合は、カビが発生している疑いがあります。
- 軟化: さつまいもがふにゃふにゃと柔らかくなっている場合は、水分過多で腐敗が進んでいる兆候です。
- 異質な液体: 表面にぬめり気がある場合は、細菌が増殖している可能性があります。
- カビ: 白っぽい、緑色、または黒色のカビが見られる場合は、明らかに腐敗している状態です。
上記の兆候が見られた場合は、安全のために食べるのをやめ、廃棄するようにしましょう。
保存したさつまいもをおいしく食べるレシピ3選
せっかく保存したさつまいもですから、美味しい料理にして味わいたいですよね。ここでは、保存方法に合わせた、さつまいもを使ったおすすめのレシピを3つご紹介します。(レシピの材料の分量については、あくまで目安であり、個人の好みに合わせて調整してください。)

常温保存したさつまいも:焼き芋
常温で保存したさつまいもは、水分が抜け甘みが際立ち、焼き芋に最適です。
- 材料:
- さつまいも 200中1本(約g)
- 作り方
- 1. さつまいもを丁寧に洗い、水分を拭き取ります。
- 2.アルミホイルでさつまいも全体を包み、オーブントースターや専用の焼き芋器でじっくりと時間をかけて焼き上げます。
- 3. 竹串などで中心部を刺し、火が通っているかを確認し、熱々のうちに召し上がってください。
ルミホイルでさつまいも全体を包み、オーブントースターや専用の焼き芋器でじっくりと時間をかけて焼き上げます。 3. 竹串などで中心部を刺し、火が通っているかを確認し、熱々のうちに召し上がってください。
冷蔵保存したさつまいも:しっとり甘いさつまいも甘煮
冷蔵庫で保存したさつまいもは、甘煮にすることで、そのしっとりとした食感を最大限に引き出すことができます。
- 材料:
- さつまいも 中1本(約200g)
- 砂糖 大さじ2
- 醤油 大さじ1
- みりん 大さじ1
- 水 100ml
- 作り方:
- 1. さつまいもは丁寧に水洗いし、皮を剥いて食べやすい大きさにカットします。
- 2.鍋にカットしたさつまいもを入れ、砂糖、醤油、みりん、水を加えて中火でじっくりと煮込みます。
- 3.さつまいもが十分に柔らかくなったら火を止め、粗熱を取ってから冷蔵庫で冷やして、美味しくいただきましょう。
冷凍保存したさつまいも:手作りスイートポテト
冷凍保存したさつまいもは、スイートポテトにすると風味豊かに美味しく味わえます。
- 材料:
- 冷凍さつまいも(解凍済みのもの)200g
- バター 30g
- 砂糖 大さじ2
- 卵 1個
- 牛乳 大さじ2
- バニラエッセンス(お好みで加える)
- 作り方:
- 1. 解凍したさつまいもを滑らかになるまで丁寧に潰し、バター、砂糖、卵、牛乳、お好みでバニラエッセンスを加えて、均一になるまで混ぜ合わせます。
- 2.クッキングシートを敷いた型に生地を丁寧に流し込み、表面に艶出し用の卵黄を塗ります。
- 3.180℃に予熱しておいたオーブンで約20分間焼き、粗熱が取れるまで冷ましてからお召し上がりください。
まとめ
今回は、さつまいもの保存方法として、常温、冷蔵、冷凍の3つの方法を詳しくご説明しました。それぞれの保存方法には長所と短所があり、気温や湿度、保存期間などの状況に合わせて最適な方法を選ぶことが重要です。適切な保存方法を実践してさつまいもを無駄なく活用し、日々の食卓をより豊かに彩りましょう。
質問1:さつまいもを保存する前に水で洗っても大丈夫ですか?
回答:いいえ、さつまいもは水分に弱い性質があるため、保存する前に水洗いは避けるようにしましょう。土が付いた状態のまま保存するのが基本です。もし誤って濡らしてしまった場合は、風通しの良い場所でしっかりと乾燥させてから保存してください。
質問2:さつまいもから芽が出てきたけれど、食べても問題ない?
回答:ご安心ください。さつまいもから発芽しても、その部分を取り除けば問題なく食べられます。芽に含まれる可能性のあるソラニンという成分が気になるかもしれませんが、さつまいもの芽に含まれる量はごく微量なので、通常は健康への影響は心配ありません。ただ、念のため、芽の周りを少し広めにカットしてから調理することをおすすめします。
質問3:冷凍したさつまいもは、解凍せずにそのまま調理しても大丈夫?
回答:はい、冷凍さつまいもは解凍なしで調理できます。例えば、煮物やお味噌汁などに使う場合は、凍ったまま鍋に入れて加熱調理して大丈夫です。ただし、焼き芋やスイートポテトのように、食感が重要な料理を作る際は、解凍してから調理した方が、より美味しく仕上がります。