冬の風物詩ともいえるみかんは、ビタミンCや食物繊維が豊富で、多くの人に親しまれている果物です。こたつで温まりながらついつい手が伸びてしまう、という方も多いのではないでしょうか。その健康への貢献は広く知られており、特定の品種は機能性表示食品としても認められています。この記事では、管理栄養士の監修のもと、みかんに含まれる主要な栄養成分や、それらがもたらす様々な健康効果を詳しく解説します。また、「みかんの皮についている白い筋は取るべき?」「みかんを長持ちさせるにはどうすればいいの?」といった疑問にもお答えし、みかんの保存方法から、たくさん手に入れた際の活用レシピまで、みかんに関するあらゆる情報を網羅的にご紹介します。
みかんの栄養と健康効果を徹底解説!|保存方法や大量消費方法まで
冬の風物詩ともいえるみかんは、ビタミンCや食物繊維が豊富で、多くの人に親しまれている果物です。こたつで温まりながらついつい手が伸びてしまう、という方も多いのではないでしょうか。その健康への貢献は広く知られており、特定の品種は機能性表示食品としても認められています。この記事では、管理栄養士の監修のもと、みかんに含まれる主要な栄養成分や、それらがもたらす様々な健康効果を詳しく解説します。また、「みかんの皮についている白い筋は取るべき?」「みかんを長持ちさせるにはどうすればいいの?」といった疑問にもお答えし、みかんの保存方法から、たくさん手に入れた際の活用レシピまで、みかんに関するあらゆる情報を網羅的にご紹介します。

みかんの主な産地と種類
農林水産省が公表した作物統計調査によりますと、2023年産温州ミカンの収穫量は、和歌山県が14万1700トン、静岡県が8万8500トン、愛媛県が7万6100トンでした。 (出典: 農林水産省 作物統計調査(2023年産), URL: https://newsdig.tbs.co.jp/articles/itv/1942565?display=1, 2024-05-28)次いで愛媛県が17万トン、静岡県が12万トンと続き、この3県が主要な産地として知られています。和歌山県を代表するブランドとしては、「有田みかん」などが挙げられます。静岡県産の「三ヶ日みかん」と同様に、温州みかんの一種として全国的に人気があります。愛媛県では、一般的なみかんに加えて、「紅まどんな」や「甘平」といったオリジナルの品種も栽培されています。特に「紅まどんな」は、その薄い皮とゼリーのような食感で人気を集め、一時期は生産が需要に追いつかず「幻の品種」とも呼ばれていました。地域によって品種や味わいが異なるため、和歌山県や愛媛県など、各地のみかんを食べ比べてみるのもおすすめです。それぞれの土地で育まれたみかんの個性を楽しむことができるでしょう。
冬だけじゃない!みかんが美味しい旬の時期
みかんといえば、冬にこたつで食べるイメージが強いように、一般的には12月頃が旬とされています。品種によって収穫時期は多少異なりますが、冬を代表する果物であることは確かです。日本で最も多く消費されているのは「温州みかん」で、さらに細かく分類すると、「極早生」「早生」「中生」「晩生」の4つのタイプがあり、それぞれ9月から3月にかけて旬を迎えます。例えば、極早生みかんは秋の初め頃から店頭に並び始め、晩生みかんは冬の終わりから春先にかけて楽しむことができます。また、みかんの旬は冬だけではありません。「ハウスみかん」と呼ばれる、温室栽培されたみかんは、5月から9月にかけて旬を迎えます。ハウスみかんは、露地栽培のみかんに比べて甘みが強く、酸味が少ないのが特徴です。このように、みかんは種類によって旬が異なるため、一年を通して様々な味わいを楽しむことができるのが魅力です。
みかんの成分と栄養価
みかんの健康効果をより深く理解するためには、基本的な成分構成を知っておくことが大切です。ここでは、気になる栄養成分はもちろん、ついつい食べ過ぎてしまうという方のために、カロリーや糖質についても詳しく解説します。以下に示す情報は、文部科学省の「日本食品標準成分表」に掲載されている「温州みかん」のデータに基づいています。ただし、みかんの種類によって成分量には若干の差がある点にご留意ください。
カロリーと糖質:みかんは太りやすい?
甘いものはカロリーが高いと思われがちですが、みかんはどうでしょうか? 温州みかん(普通)の可食部100gあたりのエネルギーは49kcalです。(出典: 日本食品標準成分表2020年版(八訂), URL: https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/mext_01110.html, 2020-12-25)みかん1個のカロリーはショートケーキの約10分の1程度。これは、みかんのような果物が水分を多く含んでいるため、見た目のボリュームの割にカロリーが低いからです。例えば、甘みが強い桃でも、100gあたり約40kcal。標準的な大きさの桃1個(約200g)で80kcalなので、桃を2~3個食べても、ご飯1杯分程度です。一方、牛肉は脂身の量によりますが、果物の約10倍のカロリーを持つこともあります。また、ポテトチップスは100gあたり約550kcalと、果物の約15倍。果物は、肉やお菓子に比べて低カロリーで、水分が多く腹持ちが良いので、高カロリーな食品の過剰摂取を防ぐ効果も期待できます。みかん75g(1個100gの可食部)の栄養成分は、炭水化物が8.63g(うち糖質8.33g)、たんぱく質が0.53g、脂質が0.08gで、炭水化物と糖質が主な栄養素です。みかん1個(約100g)に含まれる糖質は約9.2g(じょうのう含む場合は8.9g)。これは、バナナ(100gあたり19.4g)、りんご(100gあたり12.9g)などの他の果物と比べても少ないと言えます。みかんに含まれるペクチンは、腸内環境を整え便通を促進し、ダイエットをサポート。β-クリプトキサンチンは、高血圧や糖尿病の予防に役立ち、健康増進に貢献します。さらに、ビタミン、ミネラル、食物繊維など、体に良い成分が豊富なので、みかんは健康と美容に優れた果物と言えるでしょう。ただし、糖尿病などでカロリー制限が必要な場合や、糖質制限をしている場合は、医師に相談することが大切です。一般的に、糖尿病治療中は1日あたり1単位(80kcal)の果物摂取が推奨されています。糖質制限中は、1日1個程度を目安に、体調に合わせて調整しましょう。 ※食品成分含有量を四捨五入し、含有量が0になった場合は含まれていないものとして表示しています。 ※一食あたりの目安は18歳~29歳の平常時女性51kg、一日の想定カロリー1800kcalのデータから算出しています。 ※流通・保存・調理過程におけるビタミン・ミネラル・水分量の増減については考慮していません。 ※計算の過程で数kcalの誤差が生じる可能性があります。

柑橘の品種別栄養成分分析一覧表
ミカンの主な栄養成分(可食部100gあたり) 文部科学省は、「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」を公表しました。本ホームページのデータは八訂成分表(2023年更新分まで)の値となります。(出典: 文部科学省 食品成分データベース, URL: https://fooddb.mext.go.jp, 2023-12) (※ここには、詳細な成分表のデータが本来挿入されますが、テキストデータとしては提供されていません。)
β-クリプトキサンチン:骨の健康維持と生活習慣病予防に
みかんの鮮やかな黄色は、β-クリプトキサンチンによるものです。β-クリプトキサンチンは、ニンジンのβ-カロテンと同じカロテノイドの一種。カロテノイドは、体内で必要に応じてビタミンAに変換され、生命維持活動に利用されます。β-クリプトキサンチンは、特に健康効果が高い成分として知られ、その機能性が科学的に証明され、一部品種は「機能性表示食品」として認められています。例えば、三ヶ日みかんは、β-クリプトキサンチンの骨代謝促進効果が認められ、2015年に生鮮食品として初の「機能性表示食品」として届け出が受理されました(届出番号:A79)。これにより、「骨代謝を助け、骨の健康維持に役立つ」という機能性を表示できるようになりました。β-クリプトキサンチンは、骨の健康維持に役立つことが示唆されています。さらに、血中濃度が高いほど、動脈硬化や糖尿病などの生活習慣病のリスクが低いという研究結果もあり、これらの予防や進行抑制にも役立つと考えられています。
GABA(ギャバ):血圧ケアとリラックス効果
チョコレートに含まれることで注目されているGABA(ギャバ)。正式名称は「γ-アミノ酪酸」です。血圧が高めの方の血圧を下げる効果や、睡眠の質の向上、精神的なストレスの緩和効果などが知られています。三ヶ日みかんの成分分析では、100gあたり平均12.3mg以上のGABAが含まれていることが判明しました。β-クリプトキサンチンに続き、2020年に「機能性表示食品」として登録されています(届出番号:F330)。三ヶ日みかんは、β-クリプトキサンチンとGABAの2つの機能性を表示した初の生鮮食品として注目を集めています。
ビタミンC:免疫力アップと美肌をサポート
みかんは、ビタミンCを豊富に含んでいます。成人が1日に必要とするビタミンC推奨摂取量は100mgです。みかん1個には約35mgのビタミンCが含まれているため、みかんを3~4個食べることで、1日に必要なビタミンCを摂取できます。毎日の食事に加えて、みかんを1つ食べるだけでも、効率的にビタミンCを摂取できます。ビタミンCは、風邪などの感染症に対する免疫力を高めたり、ストレスを和らげたり、肌の健康を保つなど、様々な効果が期待できます。みかんを食べると疲労回復が促進され、風邪予防につながると言われるのは、このビタミンCの効果によるものです。
ヘスペリジン(ビタミンP):血管を丈夫にし、冷え対策にも
ヘスペリジンは、みかんなどの柑橘類の薄皮(じょうのう)や、果肉と皮の間にある白い部分(アルベド)に多く含まれる成分です。ビタミンPとも呼ばれるビタミン様物質の一種で、みかんの果実を紫外線から守るために作られると言われています。ヘスペリジンには、毛細血管を保護して血管を強くする働きがあり、脳卒中の予防に役立つと考えられています。また、がん予防効果も報告されています。
ペクチン(食物繊維):お腹の調子を整え、コレステロール対策にも
みかんの薄皮(じょうのう)に多く含まれるのが、ペクチンという食物繊維です。みかんには、ビタミン類だけでなく、食物繊維も豊富に含まれています。ペクチンは、腸の働きを活発にするだけでなく、腸内細菌によって分解され、体外へ排出される際に腸内の有害物質を一緒に取り除くことで、便秘予防にも役立ちます。さらに、食後の血糖値の急な上昇を抑えたり、血液中の悪玉(LDL)コレステロール値を下げる効果も期待できます。例えば、食事で糖質を摂ると血糖値が上がりますが、体はインスリンというホルモンを分泌して血糖値を下げようとします。血糖値が緩やかに上昇する場合は問題ありませんが、急激な上昇が起こるとインスリンが過剰に分泌されます。過剰なインスリンは、血中の糖分を脂肪に変えて体内に蓄積してしまうため、食物繊維の摂取が重要になります。「ダイエットには食物繊維が大切」と言われるのは、血糖値のコントロールと脂肪蓄積の抑制に関係しているからです。
クエン酸:疲労回復を助け、ミネラルの吸収を促進
クエン酸は、みかんやレモン、グレープフルーツなどの柑橘類の酸味成分です。体内で糖分を分解し、エネルギーに変える働きがあります。また、マグネシウムやカルシウムなどのミネラルを吸収しやすい形に変えたり、体内に蓄積される疲労物質を分解したりして、疲労感を軽減する効果があります。
その他の主要成分
みかんには、上記で挙げた成分以外にも、体内でビタミンAに変換されるプロビタミンAをはじめ、ビタミンE、ビタミンB1、葉酸、パントテン酸、ナイアシンといった様々なビタミンが含まれています。さらに、カリウム、銅、マグネシウムといったミネラル、そして少量の塩分、脂肪酸、アミノ酸も含まれており、栄養バランスに優れていることがわかります。果実だけでなく、葉や根にも健康に良い成分が含まれているのが特徴です。
「機能性表示食品」として認められている効果
みかんは、その健康効果が認められ、特定の品種が「機能性表示食品」として消費者庁に登録されています。これは、特定の地域で栽培されたみかんに、健康をサポートする機能が科学的に証明されていることを意味します。例えば、和歌山県の「有田みかん」、静岡県の「三ヶ日みかん」や「西浦みかん」などが機能性表示食品として知られています。特に三ヶ日みかんは、β-クリプトキサンチンによる骨粗しょう症予防効果と、GABAによる高血圧予防効果の2つの機能性が認められており、生鮮食品としては初めての事例です。これらの効果から、みかんの摂取は骨の健康維持だけでなく、動脈硬化や糖尿病などの生活習慣病の予防や、症状の進行を抑制する効果も期待されています。

みかんは白い部分や皮ごと食べる方が健康に良い?
みかんを食べる際、果肉を包む薄皮(じょうのう)や、果肉についている白い筋(アルベド)を一緒に食べるべきか悩む方もいるかもしれません。これらの部分を食べるかどうかは個人の好みによりますが、栄養面から見ると、薄皮や白い筋には豊富な食物繊維が含まれています。食物繊維は、腸内環境を整えるだけでなく、食後の血糖値の上昇を緩やかにしたり、血中のコレステロール値を下げるなど、様々な健康効果をもたらします。食後に糖分を摂取すると血糖値が上がりますが、食物繊維は糖の吸収を遅らせ、血糖値の急上昇を防ぐ役割を果たします。血糖値の急上昇を防ぐことは、過剰なインスリン分泌を抑制し、脂肪の蓄積を抑えることにも繋がります。しかし、薄皮や白い筋は食感が気になる場合もあるため、無理に食べる必要はありません。ご自身の好みや食べやすさに合わせて摂取するのが良いでしょう。また、普段捨ててしまいがちなみかんの皮にも、果肉以上に多くのビタミン類が含まれており、有効活用できます。特に、皮には紫外線や害虫から果実を守るための抗酸化物質であるポリフェノールや抗菌作用のある成分が豊富です。みかんの皮を乾燥させたものは「陳皮」として古くから漢方薬に利用されており、咳や痰の緩和、胃もたれや吐き気などの消化器系の不調に効果があるとされています。家庭で陳皮を作るには、みかんの皮をよく洗い、風通しの良い場所で1週間ほど乾燥させます。乾燥した皮を細かく刻み、砂糖と共にお湯に溶かして飲むと良いでしょう。また、入浴剤として利用するのもおすすめです。乾燥させたみかんの皮をガーゼやお茶パックに入れて浴槽に入れると、みかんの香りが広がり、リラックス効果を高めることができます。このように、みかんは冬だけでなく、夏にも楽しめる果物であり、ビタミンCや食物繊維などの栄養素を豊富に含んでいるため、生活習慣病の予防や、ダイエット、美肌を目指す方にもおすすめです。旬の時期に、様々な品種のみかんを味わってみてください。
果物を食べる習慣を!
「朝の果物は金」ということわざがあるように、果物、特にみかんに含まれる糖分は、体内で素早くエネルギーに変換されます。睡眠中に消費されたエネルギーを朝に補給することで、脳と体を活性化させ、一日を気持ちよくスタートさせることができます。海外では果物を野菜と同じように健康的な食品と認識している国が多いのに対し、日本では嗜好品と捉えられがちです。日本人の1人当たりの年間果物消費量は、先進国の中でも低い水準にあり、世界平均を大きく下回っています。健康的な食生活を送るために、ぜひ食卓に果物を積極的に取り入れ、みかんの豊富な栄養を生活に取り入れましょう。
一日の始まりに、午後の休憩に、果物を!
成長期のお子様は活発に動き回るためエネルギーをたくさん消費します。しかし、まだ胃が小さいため、3回の食事だけでは必要な栄養を十分に摂取できないことがあります。そこで、おやつの時間が重要になりますが、幼い頃からの歯の健康を考えると、甘いお菓子よりも果物を選ぶのがおすすめです。果物は自然な甘みと同時に、成長に必要な栄養素を手軽に補給できるため、お菓子に代わる最高の選択肢と言えるでしょう。幼少期から果物を食べる習慣をつけることは、生涯にわたる健康の土台を築きます。栄養豊富で低カロリーなみかんを、朝食やおやつに取り入れて、お子様の健やかな成長を応援しましょう。
みかんを長持ちさせる保存術
冬になると、箱入りみかんをたくさんいただく機会が増えます。しかし、正しい保存方法を知らないと、せっかくのみかんをすぐにダメにしてしまうことがあります。ここでは、みかんをできるだけ長く美味しく保つための、重要な保存方法をご紹介します。
〈みかん保存の基本〉
まず、段ボール箱でみかんを保存する場合は、箱の状態と温度管理が重要です。保存を始める前に、箱の中身をチェックし、カビが生えていたり、柔らかくなっているみかんを取り除きましょう。傷んだみかんがあると、他の新鮮なみかんまで腐らせてしまう可能性があるからです。次に、段ボールの底に新聞紙やキッチンペーパーを敷き、その上にみかんを丁寧に並べます。みかんが重さで潰れないように、重ねるのは二段までが良いでしょう。もし二段にする場合は、一段目と二段目の間に新聞紙やキッチンペーパーを挟むことで、衝撃を吸収し、通気性を良くすることができます。この際、みかんのヘタを下にして並べると、水分の蒸発を抑え、乾燥を防ぐ効果が期待できます。さらに、段ボールの底や側面にいくつか穴を開けておくと、風通しが良くなり湿気がこもるのを防ぎ、みかんをより長く保存できます。
みかんを飽きずに楽しむ!大量消費レシピ
たくさんのみかんをいただいた時、そのまま食べるだけでは飽きてしまったり、傷んでしまうことがあります。でも、工夫次第でみかんの楽しみ方は無限に広がります。ここでは、簡単でおいしい、みかんの大量消費アレンジレシピをご紹介します。
温州みかんを焼いて楽しむ
柑橘類を加熱するという発想は、あまり一般的ではないため、想像しにくいかもしれません。しかし、みかんは温めることで、普段とは違った風味を体験できます。調理方法は非常にシンプルで、アルミホイルの上にみかんを置き、オーブントースターで加熱するだけです。両面焼きのトースターであれば約5分、片面焼きの場合は表と裏をそれぞれ約5分ずつ温めます。外側の皮は少し焦げますが、中の果肉は熱で温まる程度です。加熱されたみかんは、甘味が濃縮されてふっくらとした食感となり、まるで焼き芋のような芳ばしい香りが特徴で、一度食べたら病みつきになるかもしれません。東洋医学では、温めたみかんは血行を良くすると考えられており、風邪の引き始めや冷え対策に取り入れられています。ただし、効果には個人差があります。
みかんの皮を再利用
普段は捨ててしまいがちなみかんの皮ですが、実は果肉以上にビタミンC以外の栄養素が豊富に含まれており、その有効活用が可能です。昔から、みかんの皮を乾燥させたものは「陳皮(ちんぴ)」という生薬として使われてきました。陳皮は、咳や痰など喉の不快感の緩和、胃もたれや吐き気など消化系の不調に効果があると言われ、幅広い効能が期待されています。さらに、陳皮は日本料理や中華料理において香り付けや隠し味として使用され、料理に奥深さを加える役割も担います。家庭で実践する方法としては、まずみかんの皮を丁寧に洗い、風通しの良い場所で1週間ほど乾燥させます。乾燥した皮を細かく刻んで、砂糖と一緒にお湯に溶かして飲むという方法もあります。また、手軽な活用法として、お風呂に入れることもできます。4〜5個分のみかんの皮を同様に乾燥させて、ガーゼやお茶パックなど通気性の良い袋に入れて口を閉じます。浴槽にお湯を張る前から入れておけば、みかんの爽やかな香りが広がり、リラックス効果を高めることができます。このように、みかんは冬の味覚としてだけでなく、夏でも楽しむことができ、豊富な栄養成分によって、健康維持のサポートはもちろん、美容に関心のある方にもおすすめの果物です。さまざまな品種が旬を迎えるみかんを、ぜひ美味しい時期に味わってみてください。
健康のために最適な摂取量
甘くてジューシーなみかんは、ついつい手が伸びて食べ過ぎてしまうことがあります。食べ過ぎは身体に良くないのか気になりますが、1日にどれくらいの量を食べるのが良いのでしょうか。結論から言うと、健康への効果と栄養バランスを考慮すると、1日に2〜3個が適量とされています。特にβ-クリプトキサンチンとGABAが豊富な三ヶ日みかんであれば、3個食べることで1日に必要なGABAやβ-クリプトキサンチンを十分に摂取できると言われています。みかんはβ-クリプトキサンチンやGABA以外にも多様な栄養成分を含んでおり、水分量が多く、重さあたりのカロリーが比較的低い為、安心して食べることができます。
食べる際の注意点
ただし、いかなる食品も過剰な摂取は避けるべきです。特に、糖尿病のようにカロリーや糖分の摂取量を厳密に管理する必要がある場合は、医師に相談し、適切な量を守って美味しいみかんを楽しみましょう。例えば、糖尿病の治療を受けている方には、1日に80kcal相当の果物を摂取することが推奨されています。また、糖質制限を行っている方は、1日あたり1個程度に抑えるなど、自身の体調や食事内容に合わせて調整しましょう。
まとめ
手軽に入手でき、栄養満点なみかんは、健康的な生活をサポートする頼もしい存在です。和歌山県や愛媛県をはじめとする産地では、様々な品種が栽培されており、極早生から晩生、ハウス栽培まで、季節ごとに異なる味わいを楽しめます。特に、低カロリーでありながら、ビタミンC、プロビタミンA(β-クリプトキサンチン)、GABA、ヘスペリジン、ペクチン(食物繊維)、クエン酸など、健康に役立つ成分が豊富に含まれている点が魅力です。β-クリプトキサンチンは、骨の健康維持や生活習慣病の予防に役立ち、GABAは血圧の管理やリラックス効果が期待できます。静岡県の三ヶ日みかんのように、β-クリプトキサンチンとGABAの2つの機能性で「機能性表示食品」として認められているものもあります。さらに、薄皮や白い筋、果皮にも食物繊維やポリフェノール、抗菌成分が含まれており、血糖値の上昇を抑えたり、腸内環境を整えたり、血管を強くするなど、様々な健康効果が期待できます。日本人の果物摂取量は少ない傾向にあるため、みかんを朝食やおやつに取り入れることは、子供から大人まで、健康的な食生活を送る上で非常に有効です。1日に2~3個を目安に摂取することで、みかんの恩恵を最大限に受けられます。箱買いしたみかんを長持ちさせる保存方法や、焼きみかん、陳皮としての活用方法を知っていれば、無駄なく、色々な楽しみ方ができます。みかんの持つ健康効果を理解し、積極的に生活に取り入れて、美味しく健康な毎日を送りましょう。
みかんは食べ過ぎると太りますか?
みかんは甘い果物ですが、1個あたりのカロリーは、ショートケーキの約1/10と非常に低いです。水分が豊富なので、見た目のボリュームがある割にカロリーは低く、同じ量の肉や菓子類と比較すると、カロリーは大幅に少ないです。適量を守って食べる分には、太る心配はほとんどありません。ただし、どんな食品でも、食べ過ぎは禁物です。特に、糖尿病などの持病がある方や、糖質制限をしている方は、事前に医師に相談するようにしましょう。
みかんの白い筋や薄皮も食べた方が良いですか?
はい、みかんの白い筋(アルベド)や、果肉を包む薄皮(じょうのう膜)には、食物繊維やヘスペリジン、抗酸化作用のあるポリフェノール、抗菌作用を持つ成分が豊富に含まれています。食物繊維は、腸内環境を整えるだけでなく、食後の血糖値の急激な上昇を抑制したり、血液中のコレステロール値を下げる効果が期待できます。ヘスペリジンは、血管を丈夫にし、冷え性の改善にも役立つと言われています。食感が気になる場合は、無理に食べる必要はありませんが、健康効果を最大限に引き出すためには、一緒に食べることをおすすめします。
みかんは一年中食べられますか?
一般的に、みかんの旬は冬の12月頃とされていますが、品種によって収穫時期は異なります。温州みかんだけでも、「極早生」、「早生」、「中生」、「晩生」と種類があり、9月から3月にかけて、それぞれの旬を迎えます。さらに、「ハウスみかん」と呼ばれる、施設で栽培されたみかんは、5月から9月頃に旬を迎えるため、一年を通して様々な品種のみかんを味わうことができます。
みかんを長持ちさせる保存方法は?
みかんを箱で保存する際は、まず傷んでいるものを取り除くことが重要です。箱の底に新聞紙やキッチンペーパーを敷き、みかんのヘタを下にして並べます。重ねる場合は、二段までにとどめ、間に新聞紙などを挟むと良いでしょう。通気性を確保するために、段ボールにいくつか穴を開け、冷暗所で保存するのがおすすめです。この方法で、みかんの乾燥や腐敗を遅らせることができます。
みかんの皮は再利用できますか?
はい、みかんの皮は様々な用途で活用できます。乾燥させたみかんの皮は「陳皮」と呼ばれ、漢方薬として使用され、咳や胃の不調に効果があると言われています。果肉よりも多くのビタミン類や、抗酸化作用のあるポリフェノール、抗菌作用を持つ成分が含まれています。家庭では、乾燥させた皮を細かく刻んでお湯に入れて飲んだり、乾燥させた皮4〜5個をガーゼに包んでお風呂に入れると、リラックスできる入浴剤として楽しめます。
機能性表示食品であるβ-クリプトキサンチンとGABAとは?
機能性表示食品とは、事業者の責任において、科学的根拠に基づいた機能性を表示した食品のことです。みかんに含まれるβ-クリプトキサンチンは「骨の代謝を助け、骨の健康を維持する」機能が、GABAは「高めの血圧を下げる、睡眠の質の向上、精神的なストレスの緩和」機能が認められています。特に三ヶ日みかんは、これらの二つの機能性を生鮮食品で初めて表示したことで注目を集めています。
みかんは風邪の予防に役立ちますか?
はい、みかんには免疫力アップに効果的なビタミンCが豊富に含まれています。ビタミンCは、風邪などの感染症に対する免疫力を高めたり、ストレスを軽減する効果があるため、風邪予防に繋がると考えられています。さらに、疲労回復を促すクエン酸も含まれており、体の抵抗力を高める手助けとなります。