この記事では、レモンの爽やかな酸味とオレンジの優しい甘さを兼ね備えた「マイヤーレモン」について徹底解説します。一般的なレモンに比べて酸味が穏やかで、ほんのりとした甘みがあるため、まるごと美味しく食べられるのが魅力です。この記事を通して、マイヤーレモンの特徴や旬、育て方から、保存方法、バラエティ豊かなレシピまで、その魅力を余すところなくお伝えし、爽やかな食生活を始めるお手伝いをします
マイヤーレモンの基礎知識と特徴
マイヤーレモンは、ミカン科に属する、オレンジとレモンが自然交配して生まれた柑橘系の果物です。英語では「Meyer Lemon」と表記され、メイヤーレモンと呼ばれることもあります。一般的なレモンとの大きな違いは、甘みが強く、酸味が穏やかな点です。果実はレモンよりやや大きめで丸みを帯びており、表面は滑らか。完熟すると、鮮やかな濃いオレンジ色に変化します。この美しい色合いは、オレンジの血を引くマイヤーレモンならではの魅力です。味は、甘みが際立ち、酸味が控えめであると同時に、上品な香りを持ち、皮の苦味も少ないのが特徴です。レモンの爽やかさとオレンジの芳醇な風味を同時に堪能できる、贅沢な味わいです。レモンは8か国から輸入されています。輸入先トップはアメリカで輸入量は約1万8,518トン、全体の40%以上を占めています。2位はチリの約1万7,093トンで全体の40%近くを占めています。3位はオーストラリアの約2,645トン。4位は約2,403トンのトルコと続きます。ニュージーランドは主要な輸入先としては記載されていません。(出典: 財務省貿易統計(2023年), URL: https://www.kudamononavi.com/zukan/lemon.htm, 2023-01-01)収穫後のかんきつ類等の作物に使用される農薬は、一般的にポストハーベスト農薬と呼ばれています。このうち、かび等による腐敗・変敗の防止など「防かび」目的に用いるものは、「食品の保存の目的」で食品に使用するものに該当することから、食品添加物として、使用基準等の設定をし、違反する食品の輸入・販売を禁止しています。なお、消費者庁において、防かび剤の表示が義務づけられています。(出典: 厚生労働省『輸入食品監視業務FAQ』, URL: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000072466.html, 2024-06-01)

マイヤーレモンのルーツ
マイヤーレモンの原産地は中国だと考えられています。20世紀初頭、アジア各地で植物を収集していたフランク・N・マイヤー氏が中国で発見し、アメリカに持ち帰ったことが、マイヤーレモンの名前の由来となっています。その後、アメリカでは家庭菜園で広く栽培されるようになり、カリフォルニアにある有名なレストラン「Chez Panisse(シェパニーズ)」のシェフや、著名な料理研究家が料理に取り入れたことで注目を集めました。現在では、日本でも家庭菜園で栽培する人が増えています。
マイヤーレモンの産地、旬、上手な選び方
マイヤーレモンの旬は、産地によって異なります。海外産、特にニュージーランド産は、日本の夏にあたる6月から10月頃に多く輸入され、店頭に並びます。一方、国内では、三重県や和歌山県などの紀伊半島、静岡県などで栽培されていますが、生産量は少なく、非常に希少価値が高いとされています。国産マイヤーレモンは、10月頃から早摘みの緑色の「グリーンレモン」の収穫が始まり、その後、12月から3月頃にかけて、完熟して濃いオレンジ色になったものが販売されます。伊丹市東野地域で栽培が始まったのは、1960年ごろ。今でも栽培に力を入れている。(出典: 伊丹市提供写真付き記事(ラジオ関西), URL: https://jocr.jp/raditopi/2022/03/31/420331/, 2022-03-31)
青いマイヤーレモン(グリーンレモン)ってどんなもの?
青いマイヤーレモン、別名グリーンレモンは、まだ熟していない若い状態のマイヤーレモンのことを指します。特徴は何と言ってもその緑色の外皮。完熟したレモンに比べて酸味が際立ち、甘さは控えめです。しかし、その分爽やかな香りとほのかな苦味が、お酒や料理の風味を格段に引き立ててくれるのです。
おいしいマイヤーレモンを見分けるコツ
最高のマイヤーレモンを選ぶには、いくつかポイントがあります。まず、皮の色をチェック。鮮やかでツヤがあり、ピンとハリのあるものを選びましょう。また、手に取った時にずっしりと重みを感じるものは、果汁がたっぷり詰まっている証拠です。甘さを求めるならオレンジがかった色のもの、酸味と爽やかさを楽しみたいなら黄色や黄緑色のものがおすすめです。これらのポイントを押さえれば、あなたの用途にぴったりのマイヤーレモンが見つかるはずです。
マイヤーレモン、どうやって保存するのが正解?
マイヤーレモンを新鮮な状態で長く楽しむためには、適切な保存方法が欠かせません。丸ごと保存する場合は、レモンと同じように、保存袋に入れて野菜室へ。こうすることで、約2週間は鮮度をキープできます。必要な時にいつでもフレッシュなマイヤーレモンを使えるのは嬉しいですね。カットしたマイヤーレモンは、切り口が乾燥しないようにラップで丁寧に包み、保存袋に入れて野菜室へ。ただし、カットしたものは空気に触れる面積が増えるため、丸ごとの場合よりも品質が劣化しやすくなります。できるだけ早めに使い切るようにしましょう。さらに長期保存したい場合は、冷凍保存がおすすめです。冷凍保存の方法も、一般的なレモンと同様。使いやすい大きさにカットしてから冷凍するのが基本です。冷凍庫で約3〜4週間保存できます。凍ったまま、または半解凍の状態で料理やお菓子作りに使えるので、たくさん手に入れた時や、すぐに使い切れない時に重宝します。特に、果皮をすりおろして使いたい場合は、凍ったまますりおろすと、より手軽に繊細な香りを楽しめます。

マイヤーレモンを育ててみよう!購入方法もご紹介
マイヤーレモンは、その見た目の美しさと独特の風味で、家庭菜園でも人気を集めています。庭木として育てれば、自宅で収穫した新鮮なマイヤーレモンを、思う存分楽しむことができます。苗木は園芸店やオンラインショップなどで購入できます。価格は苗の大きさや状態によって異なりますが、15cmポットの接木苗などが一般的に流通しています。自宅で栽培すれば、農薬の使用を自分で管理できるため、安心して食卓に並べることができます。比較的育てやすい品種なので、適切な管理をすれば、きっと豊かな実りをもたらしてくれるでしょう。
マイヤーレモンの美味しい食べ方と活用術
マイヤーレモンは、その成熟度合いによって風味が変化するため、それぞれの特性を活かした食べ方が可能です。特に、完熟したマイヤーレモンは、一般的なレモンと比較して酸味が穏やかで、ほのかな甘みが際立ちます。この甘みを最大限に引き出すには、砂糖や蜂蜜に漬けてそのままデザートとして味わうか、自家製ジャムやマーマレードに加工するのがおすすめです。タルトやケーキ、マフィンなどの焼き菓子に加えると、爽やかなレモンの香りと優しい甘さが調和し、特別な風味をもたらします。生でサラダに添えれば、料理全体にフルーティーな酸味と香りをプラスでき、そのままフルーツとして楽しむこともできます。また、果汁を絞ってジュースやゼリーにしたり、自家製ドレッシングのベースにするのも良いでしょう。一方、早摘みの緑色のマイヤーレモンは、完熟したものとは異なる魅力があります。甘みは控えめで、フレッシュな香りと、通常のレモンよりもやや強めの酸味、そしてほのかな苦味が特徴です。この特性を活かすには、料理に直接絞って風味を加えたり、お酒に添えてカクテルにアクセントを加えたりするのが最適です。例えば、焼き魚や揚げ物、カルパッチョなどに絞れば、料理全体の味を引き締め、さっぱりとした後味をもたらします。完熟と早摘み、それぞれの個性を理解し使い分けることで、マイヤーレモンの多彩な魅力を最大限に引き出し、食卓を豊かに彩ることができるでしょう。さらに、マイヤーレモンは、皮が薄く、苦味が少ないため、皮ごと食べられるのが魅力です。皮を細かく刻んで、お菓子作りや料理の風味付けに使用できます。また、レモンピールとして砂糖で煮詰めたり、乾燥させてスパイスとして利用することも可能です。無農薬栽培のマイヤーレモンであれば、安心して皮まで堪能できます。
マイヤーレモンを使った絶品レシピ
マイヤーレモンは、レモンの爽やかな酸味とオレンジの優しい甘さが調和した独特の風味を持ち、様々な料理に活用できる万能な食材です。素材本来の味を邪魔することなく引き立てながら、マイヤーレモンならではの個性をプラスしてくれます。
料理レシピ
ここでは、マイヤーレモンをメインに、あるいは隠し味として使用したおすすめの料理レシピを6つご紹介します。 1. **キンと冷やして!マイヤーレモンとチーズの爽やかカクテル** 2. **見た目も華やか。かんぱちのマイヤーレモンカルパッチョ** このサラダ以外にも、レモン果汁とブラックペッパーを使った「レモンペッパーチキンサラダ」のようなアレンジもおすすめです。市販のサラダチキンも、下味を加えて湯煎するだけで簡単にしっとりとした食感に仕上がり、さっぱりとスパイシーな味わいが楽しめます。 3. **風味豊か。マイヤーレモンが香るピリ辛鶏むね肉のたたき風** 鶏むね肉を使った料理では、「鶏むね肉のマスタードマリネ」のように、ピーラーで筋を取り除き、揚げ焼きにした鶏むね肉を粒マスタードが効いたマリネ液に漬け込むレシピも人気で、手軽に作れて見た目も美しく、おもてなしにもぴったりです。 4. **マイヤーレモンの土佐酢仕立て!白子ともずくのさっぱり酢の物** 5. **隠し味がポイント。マイヤーレモン風味の米と雑穀のリゾット** 6. **レモンをたっぷり絞って!鯛とあさりの旨味たっぷりアクアパッツァ**
スイーツレシピ
甘味と酸味のバランスが良いマイヤーレモンは、スイーツ作りにも最適です。焼き菓子や冷菓など、様々なスイーツに活用することで、爽やかな香りと上品な風味を加えることができます。ここでは、マイヤーレモンを使ったおすすめのスイーツレシピを4つご紹介します。 7. **簡単につくれる。マイヤーレモンとりんごの自家製サングリア** 8. **マイヤーレモンで風味付け。さつま芋のレモン風味甘煮** 9. **手作りデザート。マイヤーレモンジンジャーゼリー** 10. **ホットケーキミックスで簡単。マイヤーレモンマフィン** これらのレシピ以外にも、マイヤーレモンの使い方は様々です。汎用性の高い「塩レモン」は、仕込むだけで様々な料理に深みを与える万能調味料となり、重宝します。また、手軽に作れる「レモンの砂糖漬け」や「はちみつレモン」は、そのまま食べても美味しく、デザートやドリンクの材料としても活躍します。レモンの皮を丸ごと利用したい場合は、調理前に「果物のワックスを落とす方法」を参考にすることで、安心して皮ごと料理に使用することができ、レシピの幅が広がります。
自家製マイヤーレモン蜜漬け
薄切りにしたマイヤーレモンを、上質な蜂蜜に浸すだけの簡単レシピです。冷蔵庫で一晩寝かせれば、マイヤーレモンの芳醇な香りが蜂蜜に移り、格別な風味になります。ヨーグルトにかけたり、温かい紅茶に加えて楽しんだり、パンケーキやトーストに添えるのもおすすめです。
自家製マイヤーレモンドレッシング
マイヤーレモンのフレッシュな果汁に、香り高いオリーブオイル、天然塩、粗挽きブラックペッパーをブレンドするだけで、他にはないオリジナルドレッシングが作れます。サラダにかけるのはもちろん、淡白な白身魚やジューシーな鶏肉料理にもぴったりです。お好みで新鮮なハーブや風味豊かなガーリックを加えてアレンジするのも良いでしょう。
マイヤーレモンのパウンドケーキ
マイヤーレモンの果皮と果汁を惜しみなく使ったパウンドケーキは、一口食べると爽やかな香りが広がります。上質なバター、グラニュー糖、新鮮な卵、薄力粉、ベーキングパウダーを混ぜ合わせ、そこにマイヤーレモンの皮のすりおろしと果汁を加えて丁寧に焼き上げます。焼き上がった熱々のケーキに、マイヤーレモンシロップを染み込ませれば、より一層風味豊かに仕上がります。

まとめ
中国原産で、レモンとオレンジの自然交配によって生まれたマイヤーレモンは、独特の甘さと上品な香りで、日々の食卓を華やかに彩る魅力的な果物です。国産のマイヤーレモンもわずかに生産されていますが、市場に出回っているものの多くはニュージーランド産です。完熟したマイヤーレモンは、一般的なレモンに比べて酸味が穏やかで、ほんのりとした甘みがあるため、そのまま生で味わうこともできます。収穫時期が早いマイヤーレモンはグリーンレモンとして販売され、こちらは甘みが少なく、キリッとした酸味が特徴です。ご家庭でも栽培することができ、農薬の心配が少ないマイヤーレモンは、皮ごと安心して食べられるため、環境に優しく、持続可能な食生活にも貢献します。旬の時期にはぜひマイヤーレモンをお試しいただき、お料理からデザートまで、様々なシーンで活躍するその多様な魅力を存分にお楽しみください。
マイヤーレモンと通常のレモン、何が違うの?
マイヤーレモンは、オレンジとレモンの自然な交配によって生まれた品種です。一般のレモンと比較して、酸っぱさが穏やかで、ほんのりとした甘みが感じられるのが特徴です。また、皮の表面が滑らかで苦味が少ない点も魅力。完熟すると、果皮が鮮やかなオレンジ色に変化します。
マイヤーレモンはどんな場所で育つのでしょう?
原産地は中国で、現在ではアメリカやニュージーランドといった国々で広く栽培されています。日本国内では、三重県、和歌山県、静岡県などで栽培されていますが、生産量は限られており、希少な存在です。市場にはニュージーランド産のものが多く出回っています。
マイヤーレモンの美味しい時期は?
海外産(主にニュージーランド産)は、6月から10月頃にかけてが旬を迎えます。国産のマイヤーレモンは、10月頃からまだ緑色の若い状態で収穫が始まり、12月から3月頃にかけて、熟したオレンジ色の実が店頭に並びます。
マイヤーレモン、どうやって保存するのがベスト?
丸ごと保存する場合は、保存用の袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保管すると、約2週間程度美味しく保てます。カットした場合は、切り口をしっかりとラップで覆い、保存袋に入れて野菜室へ。なるべく早く使い切るようにしましょう。冷凍保存も可能で、カットしてから冷凍すれば、3~4週間程度保存できます。凍ったまま、すりおろして使用することもできます。
マイヤーレモンは生のまま食べられる?
ご安心ください。十分に熟したマイヤーレモンであれば、酸味が穏やかでほのかな甘みも感じられるため、生のままでもお召し上がりいただけます。サラダなどに加えても美味しくいただけます。まだ熟していないグリーンレモンは酸味が強めで少し苦味があるため、料理やカクテルなどに果汁を絞って使うのがおすすめです。