【保存版】びわの剪定時期を徹底解説!失敗しない剪定方法とは?
甘くてジューシーな実が人気のびわ。庭木として育てている方も多いのではないでしょうか。びわは放っておくと大きく成長するため、定期的な剪定が欠かせません。しかし、剪定時期や方法を間違えると、実がつかなかったり、枯れてしまったりすることも。そこでこの記事では、びわの剪定時期と剪定方法を徹底解説します。剪定の基本から、失敗しないためのポイントまで、初心者の方にもわかりやすくご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

びわの基本情報:特徴、種類、栽培スケジュール

びわは、バラ科に属する常緑の高木で、学術的には「Eriobotrya japonica」、英語では「loquat」と呼ばれています。日本や中国をルーツとし、昔から人々に親しまれてきました。甘美でジューシーな果実が実ることで知られ、比較的容易に育てられるのが魅力です。大きく育つ印象があるかもしれませんが、剪定を施すことでコンパクトに保つことができ、鉢植えでの栽培も可能です。葉は大きく、長さは20cmほどで、厚みがあり、濃い緑色をしています。

びわの花と花言葉

びわは冬の時期、具体的には12月から2月にかけて、約1~2cmほどの小さな白い花をたくさん咲かせます。冬に花を咲かせる貴重な植物です。びわの花言葉としては、「癒やし」や「ひそやかな想い」といったものがあります。「癒やし」は、びわの種や葉が昔から薬として用いられてきたことに由来し、「ひそやかな想い」は、控えめに咲く花の様子から連想されたと言われています。

びわの果実と名前の由来

びわの果実は、約3~4cmほどの大きさで、薄いオレンジ色をしています。酸味はほとんどなく、みずみずしい甘さを堪能できます。一般的に果樹栽培では病害虫対策として農薬が使われることがありますが、びわは比較的病害虫に強い特性があるため、農薬の使用を減らした栽培や、状況によっては無農薬での栽培も試みやすい果樹と言えるでしょう。びわという名前は、その葉の形状が楽器の琵琶に似ていることが語源とされています。

びわの葉の活用法

びわは果実だけでなく、葉も利用価値があります。びわの葉は、お茶として商品化されており、その飲みやすさとほのかな甘みで人気を集めています。びわを育てれば、いつでも新鮮な葉を手に入れることができるため、自家製のびわの葉茶を楽しむことも可能です。

びわの栽培年間計画

びわを育てるには、一年を通じた手入れが大切です。ここでは、大まかな年間スケジュールをご紹介します。
  • 植え付け・植え替え:2月~3月中旬
  • 施肥:(鉢植え)2月・6月・9月/(地植え)2月
  • 収穫:5月~6月
  • 剪定:結実木は8月~9月、若木は12月~2月
  • 開花:12月~翌年2月

びわの品種:人気の品種をご紹介

びわには多種多様な品種が存在し、果実の風味や大きさに個性があります。ここでは、特におすすめの品種をピックアップしてご紹介します。

田中(たなか):甘みと酸味の絶妙な調和

植物学者の田中氏が長崎県で味わったびわの種を東京へ持ち帰り、育成したことが起源とされる品種です。果実は鐘のような形をしており、茂木に比べてやや大きめです。強い甘みと、程よい酸味が楽しめます。愛媛県、千葉県、香川県、兵庫県などが主な産地で、6月がシーズンです。

長崎早生:繊細な甘さが魅力

長崎早生:「茂木」よりも収穫時期が10日から2週間ほど早いのが特徴の早生品種です。(中略)農林水産省の品種登録データベースによれば、「長崎早生」や「茂木」などの伝統的なビワ品種は、現行の品種登録制度(1998年施行)以前から存在するため、品種登録データベースには登録年の記載がありません。これらの品種は命名年や育成年が明確に記録されていない場合が多く、公式な登録年は存在しません。 (出典: 農林水産省 品種登録データベース, URL: https://www.hinshu2.maff.go.jp/vips/cmm/apCMM110.aspx?MOSS=1, 2025-06-11)

大房:存在感のある大玉

千葉県の南房総市や館山市など、びわの栽培が盛んな地域で多く栽培されている品種です。果実の重さは100g近くになることもあります。「田中」と「楠」を掛け合わせて誕生し、1967年に命名されました。酸味が少なく、ほどよい甘さと豊富な果汁が特徴です。6月頃が旬で、「房総びわ」という名称でも流通しています。

なつたより:栽培しやすい注目の新品種

2009年に品種登録された、比較的新しいびわです。「長崎早生」と「福原早生」を交配して生まれました。60g前後の大きめの果実で、強い甘みと控えめな酸味が特徴。果肉は柔らかく、みずみずしく上品な味わいが楽しめます。収穫時期は5月下旬から6月上旬頃。実が大きく、病害虫に強いことから人気を集めています。

美味しいびわを育てるための環境づくり

びわは、太陽光が十分に当たる、水はけの良い場所を好みます。日当たりが悪いと実付きが悪くなり、甘味も不足しがちです。主力品種のうち、寒害に強いとされる「田中」は-5.0°C、弱いとされる「長崎早生」は-2.9°Cで寒害が発生すると推定できる。主産県における春季のビワ幼果の生存率と年最低気温との間には強い相関があり、その回帰式から、主力品種の寒害発生気温は、「田中」が-5.0°C、「茂木」が-4.1°C、「なつたより」が-3.4°C、「長崎早生」が-2.9°Cである。 (出典: 農研機構『ビワの品種別寒害発生気温』, URL: https://www.naro.go.jp/project/results/4th_laboratory/nifts/2016/nifts16_s26.html, 2016) そのため、関東地方より西側の温暖な地域での栽培が推奨されます。寒冷地で栽培する場合は、鉢植えで育て、冬場は暖かい室内で管理するなどの対策が必要です。また、耐寒性の強い品種を選ぶことも重要です。

びわ栽培に適した土壌

びわは、水はけの良い土壌を好みます。過剰な水分は根腐れを引き起こし、株を弱らせる原因となります。
  • 鉢植えの場合:小粒の赤玉土を7~8割、腐葉土を2~3割混ぜ合わせたものを使用します。市販の果樹用培養土も利用可能です。
  • 地植えの場合:植え付けを行う前に、土壌を耕し、排水性を高めておくことが重要です。

びわへの水やり

びわを育てる上でのポイントは、やや乾燥気味に管理することです。
  • 鉢植えの場合:土の表面が乾いたタイミングで、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと水を与えます。特に夏場は、気温の低い朝夕に水やりを行いましょう。日中の水やりは、土中の温度を上昇させ、根腐れの原因となることがあります。冬場は、気温が上がる日中に水やりを行います。毎日の水やりは避けましょう。
  • 地植えの場合:基本的に自然の降雨に任せます。ただし、夏季に日照りが続く場合は、適宜水を与えてください。

びわの施肥

びわの肥料には、地植え、鉢植えともに有機肥料、または化成肥料(即効性)を使用します。適切な施肥は、実付きを良くし、果実の甘みを増します。
  • 鉢植えの場合:2月、6月(収穫後)、9月の年3回施肥を行います。
  • 地植えの場合:2月に、緩効性の有機質肥料を施します。
施肥の際は、リン酸を多く含む肥料を選ぶと、実の付きが促進されます。窒素過多の肥料は、葉の成長を優先させ、花芽の形成を妨げる可能性があるため、注意が必要です。

びわの植え付けと移植

びわの苗木の選び方から、実際の植え付け、および植え替えの手順について詳しく解説します。

苗木の選び方

健康なびわを育てるためには、苗木の選び方が重要です。幹がしっかりとしていて太く、生き生きとした葉や芽が豊富についているものを選びましょう。不自然に伸びすぎている枝や、樹皮にツヤがなく状態が良くないもの、樹皮が剥がれているものは避けるのが賢明です。

植え付けの時期

びわの植え付けに最適な時期は、2月から3月中旬にかけてです。厳寒期の植え付けは避け、気温が穏やかになるのを待ちましょう。びわは根が浅く張る性質があるため、植え付けの際は根を傷つけないよう丁寧に扱いましょう。

植え付け方法

  • 地植えの場合: 植え付けを行う2月頃に、事前に植え付け場所の土壌を深く耕し、堆肥や腐葉土などの有機物を混ぜ込んで土壌改良を行います。 苗木を植えるための穴を掘り、根を丁寧に広げた状態で植え付けます。 植え付け後は、株元にたっぷりと水を与え、活着を促します。
  • 鉢植えの場合: 鉢底に水はけを良くするための鉢底石を敷き、その上に培養土を入れます。 苗木を鉢に入れ、根を広げて丁寧に植え付けます。 植え付け後は、たっぷりと水を与えます。

植え替え

鉢植えでびわを栽培している場合は、定期的な植え替えが必要です。植え替えの頻度は、鉢のサイズや木の成長具合によって異なりますが、通常は2~3年に一度を目安に行います。新しい土に替えることで根詰まりを予防し、びわの生育を促進します。樹を大きくしたくない場合は、同じサイズの鉢に植え替えることも可能です。植え替えに適した時期は3~4月です。鉢からびわを取り出し、軽く根をほぐしながら古い土や傷んだ根を取り除きます。植え付け方法で説明したように、根が土の中で十分に広がるように植え付けるのがポイントです。

びわの増やし方:種子、接ぎ木、挿し木

びわは、主に接ぎ木や挿し木といった方法で増やすことができます。具体的な方法については、専門書や詳しい情報を参照してください。

接ぎ木・挿し木の適期

最適な時期は、おおよそ2月から3月にかけてです。

接ぎ木による増やし方

接ぎ木とは、別の植物を根の部分として利用し、そこに切り取った枝や芽を結合させて育てる方法です。

挿し木による増やし方

挿し木は、植物の枝や芽を切り取り、直接土に挿して発根させ、新しい株として育てる方法です。

種から育てる喜び

びわの種を土に蒔くと、芽が出て成長していく過程を楽しめます。ただし、種から育てた場合、実がなるまでにはおよそ8年から10年という長い時間が必要です。実の収穫を早く楽しみたいのであれば、苗木を購入して育てるのがおすすめです。苗木から育てると、通常2~3年ほどで実が期待できます。びわは比較的丈夫で、手間をかけなくても育つため、観葉植物として育てるのも良い選択です。種まきは5月~6月頃が適期です。苗がある程度の大きさになったら、鉢や庭に植え替えましょう。

びわの剪定:最適な時期と方法、注意すべき点

びわは生育が旺盛なため、剪定をせずに放っておくと、樹形が崩れ、内部の日当たりや風通しが悪化します。適切な剪定を行うことで、美しい樹形を保ち、実のつきを良くし、病害虫の発生を予防することができます。

剪定のタイミング

びわの剪定を行う時期は、木の年齢によって異なります。
  • まだ実がなっていない若い木の場合:12月~2月頃に、翌年の花をつける花芽を残しながら剪定を行います。花芽の見分けが難しい場合は、開花時期の2月頃に剪定を始めると、花芽の位置を確認しながら作業できます。
  • 実がなったことがある成木の場合:収穫を終えた後の8月~9月頃に剪定を行います。この時期は翌年の花芽が作られる時期なので、花芽を誤って切り落とさないように注意が必要です。

剪定の仕方

びわの剪定では、「間引き剪定」と「切り戻し剪定」という2つの方法を組み合わせて行います。
  • 間引き剪定:枝が密集している部分の枝を、付け根から切り除くことで、太陽光が入りやすく、風通しの良い状態にします。
  • 切り戻し剪定:木の高さをおさえたい時や、樹の形を整えたい場合に、枝の途中から切ります。

剪定のコツ

  • 古くなった枝、樹の内側に向かって伸びている枝、密集している枝などを中心に剪定を行いましょう。
  • 太い枝を切断した際は、切り口に癒合剤(切り口の乾燥や病原菌の侵入を防ぐための保護材)を塗布して保護してください。
  • 一度に多くの枝を切るのではなく、毎年少しずつ剪定することを心がけましょう。

剪定の注意点

  • 強い剪定は避ける:大胆な剪定は木への負担が大きく、実の付きが悪くなる原因となります。
  • 切断面の保護:剪定を行った後の切り口には、癒合剤を丁寧に塗り、保護しましょう。病害虫の侵入を防ぐ効果があります。
  • 花芽の確認:剪定作業を行う前に、花芽の位置をしっかりと確認し、誤って切り落とすことのないように注意しましょう。

美味しいびわを育てるためのポイント

美味しいびわを収穫するためには、剪定以外にも重要なポイントがいくつか存在します。

摘蕾(てきらい)と摘果(てきか)

摘蕾とは、不要なつぼみを間引く作業を指します。びわは非常に多くの花を咲かせますが、全てを結実させると、果実が十分に大きく育ちません。摘蕾を行うことで、残された実に栄養が集中するため、大きく、そして美味しい実を育てることが可能になります。摘蕾に最適な時期は、おおよそ10月~11月頃です。摘果とは、実った果実を間引く作業のことです。摘蕾と同様に、摘果もまた美味しい果実を収穫するために欠かせない作業となります。びわの果実は、3月~4月頃にかけて大きく成長します。一つの房に対して、大粒の品種であれば1~3個、小粒の品種であれば3~5個を目安に果実を残し、残りは摘果します。大きく、形が良いもの、そして傷がないものを選んで残しましょう。

袋かけ

摘果が終わったら、同時期に袋かけを行うのがおすすめです。丹精込めて育てた果実が、鳥獣に食べられたり、強風などで落下したりするのは避けたいものです。袋かけをすることで、収穫時期まで安心して見守ることができます。実が大きい場合は一つずつ、小さい場合は房ごと袋に入れましょう。

びわの病害虫対策

びわは比較的病害虫に強い果樹として知られていますが、油断は禁物です。適切な対策を講じることで、より健康なびわを育てることが可能です。

注意すべき病気

  • 灰斑病:葉に灰白色の斑点が発生する病気です。この症状が見られる葉を発見したら、速やかに取り除き、殺菌剤を使用しましょう。日当たりと風通しを確保し、適切な剪定を行うことで、発症リスクを軽減できます。日頃からこまめに手入れを行い、ビワの木を健康に保つことが重要です。

注意すべき害虫

  • モモチョッキリ:4月下旬から6月上旬にかけて、実が大きくなり始める頃に現れる害虫です。果実に穴を開けて産卵し、孵化した幼虫は果肉を食い荒らします。袋がけは、モモチョッキリから果実を守る有効な手段です。ネットを使用する場合は、できるだけ網目の細かいものを選ぶと、より効果的な対策となります。

びわが実らない原因とその解決策

ご自宅でびわを栽培されているのに、なかなか実がならないという経験はありませんか?実がならない原因はいくつか考えられます。

日光不足

びわは太陽の光を好む植物です。日照時間が不足すると、花芽が形成されにくくなり、結果として実がつかないことがあります。可能な限り、日当たりの良い場所へ植え替えるか、周囲の枝を剪定して光が当たるように工夫しましょう。

寒さの影響

びわはある程度の寒さに耐えることができますが、-2℃を下回るような厳しい寒さに見舞われる地域では、花芽が凍結し、実がならなくなることがあります。寒冷地にお住まいの場合は、鉢植えでの栽培をおすすめします。冬の間は室内へ移動させるなど、寒さ対策を施しましょう。

栄養不足

肥料が足りないと、花芽が十分に育たず、実を結ばないことがあります。定期的な施肥を心がけましょう。特に、リン酸を多く含む肥料は、花芽の成長を促進する効果が期待できます。

剪定の失敗例

剪定は、時期や方法を間違えると、翌年の実のつき具合に大きく影響します。特に、花芽を誤って切り落としてしまうと、実が全くならないという事態も起こり得ます。剪定を行う前に、適切な時期や方法をしっかりと把握しておきましょう。

剪定を専門業者に依頼する場合の費用

びわの剪定は、ご自身で行うことも可能ですが、木の高さや枝の張り具合によっては、危険を伴う作業になることもあります。また、美しい樹形に整えたり、より多くの実を収穫するためには、専門的な知識や技術が必要となる場合もあります。そのような場合は、無理をせず、専門業者に依頼することを検討しましょう。庭木の剪定料金は、主に以下の2つの方法で算出されます。
  • 日当制:剪定作業を行う職人の人数と作業日数によって料金が決定します。一般的な相場としては、職人1人あたり1日1万5千円から2万円程度が目安となります。
  • 単価制:木の高さや枝ぶりなど、木のサイズに応じて料金が変動します。例えば、高さ3m以下の木であれば1本あたり1千円~5千円程度、4~7mの木であれば8千円~2万円程度が相場です。
業者を選ぶ際は、複数の業者から見積もりを取り、料金だけでなく、サービス内容や実績などを比較検討することが重要です。剪定後の清掃や、万が一の事態に備えた保証制度の有無なども確認しておくと、より安心して依頼できるでしょう。

まとめ

びわは、甘くジューシーな果実が魅力的な果樹です。適切な剪定と日頃の管理を行うことで、毎年豊かな収穫を期待できます。この記事でご紹介した情報を参考に、ぜひご自宅でびわの栽培に挑戦してみてはいかがでしょうか。

質問1:びわは種からでも育てられますか?

回答:はい、びわは種から育てることが可能です。しかし、種から育てた場合、結実するまでに一般的に8年から10年程度の長い年月を要します。また、種から育ったびわは、親木とは異なる性質を受け継ぐ場合もあります。そのため、比較的早く確実に収穫を楽しみたい場合は、接ぎ木された苗木から育てることをおすすめします。

質問2:びわの剪定は毎年行うべきですか?

回答:はい、原則としてびわの剪定は毎年実施することが望ましいです。定期的な剪定によって、樹の形を維持し、内部への採光と通風を促進し、結果として実の品質向上に繋がります。加えて、病気や害虫の発生を抑制する効果も期待できます。

質問3:びわの果実に袋かけは必要でしょうか?

回答:袋かけは必ずしも必要ではありませんが、実施することをお勧めします。袋をかけることで、鳥獣や有害な虫から果実を保護し、表面の傷や汚れを軽減できます。さらに、袋かけによって果実の糖度が増加するという利点もあります。

びわ