家庭菜園初心者さん必見!シャキシャキみずみずしいキュウリを自分の手で育ててみませんか?美味しいキュウリを収穫するには、苗を植える時期がとても重要です。この記事では、キュウリ苗の植え付け適期を逃さないための栽培スケジュールを徹底解説。種まきから収穫までの詳しい手順はもちろん、初心者さんが陥りやすい失敗と対策、成功のためのコツをたっぷりご紹介します。この記事を読めば、あなたもきっとキュウリ栽培名人になれるはず!
7月中旬にきゅうりの苗を植えても実はなる?遅植えを成功させる栽培の秘訣と注意点
きゅうりの栽培は、トマトやナスといったナス科の野菜に比べると比較的簡単だと言われています。しかし、育て方や病害虫対策に苦労している方もいるのではないでしょうか。この記事では、7月中旬の遅い時期に苗を植えても、きゅうりを種まきから収穫まで成功させるための具体的な方法と、注意すべき病害虫について詳しく解説します。きゅうりは適切な育て方をすることで、たくさんの実を収穫でき、株自体も長く育てられます。ぜひ参考にしてください。

きゅうりのルーツと特徴
きゅうり(学名:Cucumis sativus L.)は、ウリ科キュウリ属に分類される植物で、インド北西部のヒマラヤ山麓が原産地とされ、暖かい気候を好む性質があります。ただし、極端な低温や高温には弱いため、栽培においては適切な温度管理が非常に大切です。具体的には、発芽に適した温度は25~30℃、生育に適した温度は17~28℃とされており、土の温度が十分に上がってから種まきや植え付けを行うことが成功へのカギとなります。家庭菜園で栽培する際は、遅霜の心配が完全になくなってから畑に植えるのが最も安全です。これは、きゅうりの苗が霜によって大きなダメージを受けるリスクを避けるためです。 また、同じ畑で何度もきゅうりを栽培している場合、土壌病害である「つる割病」が発生する可能性が高まります。このような連作障害を防ぐためには、カボチャの苗にきゅうりを接ぎ木した「接ぎ木苗」を植えることを強くおすすめします。接ぎ木苗は、病気に強いカボチャの苗にきゅうりの品種を接ぎ木することで、病気への抵抗力を持たせた苗であり、連作による病害のリスクを減らす効果が期待できます。きゅうりは連作障害が出やすい野菜なので、一度栽培した場所では2~3年の間隔を空けるのが理想的です。 きゅうりの栽培方法としては、支柱を使って垂直に伸ばす「立ち作り」が一般的ですが、地面に這わせて育てる「地這い栽培」という方法もあります。地這い栽培を行う場合は、それぞれの栽培方法に適した専用の「地這い品種」を選ぶことが重要です。 きゅうりは、様々な病気にかかりやすい作物としても知られています。家庭菜園で元気なきゅうりを育てるためには、できるだけ病気に強い品種を選ぶことが重要です。さらに、農薬の使用をできるだけ避けたい場合は、「多期作」という方法が有効です。具体的には、最初の種まきから1~1.5カ月後に再度種まきを行い、新しい株が収穫できるようになったら、古い株を整理するというサイクルを繰り返します。これにより、病気が広がる前に株を更新し、農薬に頼らずに安定した収穫を長期間にわたって確保することが可能です。きゅうりは成長が早く、短期間で収穫できるため、このような多期作は家庭菜園でも実践しやすい効果的な方法と言えるでしょう。 きゅうりは、その90%以上が水分でできていますが、β-カロテン、カリウム、ビタミンC、食物繊維などが豊富に含まれており、栄養面でも注目されています。特に、利尿作用、むくみの解消、高血圧予防などの効果が期待できるとされています。このように、きゅうりは栽培しやすいだけでなく、健康にも良い優れた野菜と言えます。
きゅうりの歴史と広がり
きゅうりは、もともとインド北西部のヒマラヤ山麓が原産地であると言われています。日本では平安時代に中国から伝わったとされていますが、実際に食用として広く栽培されるようになったのは昭和初期からです。現代の食卓には、熟す前の緑色のものが並んでいますが、昔は黄色く完熟した実が食べられていました。完熟したキュウリは苦味が強く、また当初は薬として使われていたこともあり、江戸時代末期まではあまり人気のある野菜ではありませんでした。しかし、キュウリの品種改良が進み、成長が早く味や食感の良いものが栽培されるようになりました。その結果、キュウリは酢の物、和え物、サラダなどの生食や、炒め物などにも使われるようになり、私たち日本人の食卓に欠かせない身近な野菜の一つとなったのです。
きゅうりの種類と選び方
きゅうりは非常に多くの品種があり、世界中で500種類近くの品種が栽培されています。現在では,白イボキュウリが市場流通のほとんどを占めている。(出典: 日本における果菜類の生産と市場流通の地域的変化(鹿児島大学農学部学術報告 第69巻), URL: https://ir.kagoshima-u.ac.jp/record/14188/files/AN00408529_v69_p27-72.pdf, 2019-03-31)キュウリの種や苗を選ぶ際に最も重要なことは、病害虫への抵抗力や環境への適応力が高い品種を選ぶことです。例えば、うどんこ病に強い「夏バテ知らず」や「うどんこつよし」、うどんこ病とべと病の両方に強い「シャキット」「VR夏すずみ」「よしなり」、さらにウイルス病への耐性もあり、葉が茂りすぎない「Vシャイン」など、自分の栽培目的に合った品種を選びましょう。安価で販売されている苗は、丈夫さを犠牲にしてコストを下げている場合もあるので注意が必要です。

ブルームキュウリとブルームレスキュウリ
きゅうりの表面に見られる白い粉状のものを「ブルーム」と呼びます。これはきゅうり自身が作り出す天然の保護膜で、外部の暑さや寒さ、水分の蒸発から身を守り、不要な物質を排出する役割を持っています。ブルームはきゅうり由来の成分なので、人体に有害なものではありません。以前は、このブルームが付いた「ブルームキュウリ」が主流でしたが、約30年前からブルームが出ない「ブルームレスキュウリ」が一般的になりました。ブルームレスキュウリが普及した背景には、ブルームが残留農薬と誤解されることや、ブルームがない方が見た目が良く、日持ちが良いといった理由があります。現在では、市場に出回るきゅうりの約9割がブルームレスキュウリであり、スーパーマーケットでよく見かけるのは、ほとんどがブルームレスキュウリです。
7月中旬のきゅうり苗植え:遅植えでも収穫は可能か?
きゅうりの栽培は、種から育てる場合、春、夏、秋と種まきの時期を変えることで、4月から10月まで長い期間楽しむことができます。もし7月中旬にきゅうりの苗を植え付けた場合、通常よりも遅い時期であるため、十分に収穫できるのかどうか疑問に思う方もいるかもしれません。一般的に、きゅうりの最適な植え付け時期は、霜の心配がなくなる4月下旬から6月上旬頃とされています。しかし、結論から言うと、7月中旬の遅植えでも、きゅうりを収穫することは十分に可能です。きゅうりの生育には適切な温度が必要であり、7月中旬以降の気温が収穫の成否を左右しますが、夏の時期であれば、露地栽培で約30日、ハウス栽培で約20日で収穫できるまでに成長します。つまり、適切な管理と環境が整っていれば、短期間で収穫を開始し、その後も継続して収穫できる見込みがあります。具体的には、十分な日照時間の確保、肥沃な土壌、適切な水やり、そして病害虫対策が重要となります。 「秋キュウリ」と呼ばれる栽培方法は、遅植えの代表的な例で、8月から9月頃に苗を植え付けて栽培します。秋キュウリの旬は10月から11月で、関東地方では6月から7月に種まきを行い、7月から9月に植え付けを行うのが一般的です。寒冷地を除けば、9月末頃まで植え付けが可能です。秋キュウリの最大の特徴は、生育が非常に早く、植え付けから収穫までの期間が短いことです。植え付けから約30日で収穫が始まります。一般的に、7月中旬に苗を畑に植え付けた場合、適切な管理を行うことで8月上旬頃に初収穫できる栽培例もあります。このように、一般的に遅いとされる時期の植え付けでも、工夫次第で十分に収穫を楽しめる可能性が高いと言えます。以下では、遅植えのきゅうり栽培における具体的な課題と、それらを克服するための栽培技術や注意点について詳しく解説していきます。
きゅうりの育苗と定植の準備
きゅうりは家庭菜園でも比較的簡単に育てられる野菜です。しかし、たくさんのきゅうりを収穫するためには、種まきや土作りの段階から注意すべき点がいくつかあります。
きゅうりの種まきと発芽・育苗管理のポイント
きゅうりを種から育てる場合、初期の管理が後の生育と収穫量に大きく影響します。夏野菜の栽培では、接ぎ木苗を利用することが一般的ですが、ウリ科の作物はナス科の作物に比べて比較的丈夫で、種からでも育てやすいのが特徴です。育苗施設がない家庭菜園では、苗から育てる場合に比べて定植が遅くなる傾向がありますが、園芸の楽しみや収穫の喜びは大きくなります。種から育てる場合は、4月に育苗ポットに種をまき、5月に植え付けを行います。春先は地温が低いため、直接畑に種をまくと発芽しないことがあります。可能であれば、ポットで育苗してから畑に定植しましょう。6月に入り、気温が十分に高くなれば、畑に直接種をまくこともできます。 種まきの方法には、「ポットまき」と「箱まき」の二通りがあります。ポットまきでは、3号ポット(直径9cm)に市販の種まき用土を入れ、ポットの中心に直径3cm、深さ1cm程度の穴を作り、その中に種を2~3粒、間隔を空けてまきます。または、ポリポットに指で3箇所くぼみを作り、そこに種を1粒ずつ入れて土をかぶせる方法でも良いでしょう。こうすることで、発芽後の間引き作業が容易になります。箱まきの場合は、幅2cm、深さ1cm程度の溝を作り、種を1.5~2cm間隔で横向きに並べます。種を横向きにまくことで、根がまっすぐ下に伸びやすくなり、発芽後の生育が安定します。どちらの方法でも、種をまいた後は5mm程度の土で覆い、軽く鎮圧してからたっぷりと水やりを行います。市販の種まき用土は、植物の発芽と初期成長に必要な肥料分が含まれており、雑草の種や病害虫が混入していないため、必ず使用しましょう。発芽を促すために、箱まきの場合は水やり後に濡れた新聞紙を発芽するまでかぶせておくと、土の乾燥を防ぎ、温度と湿度を保つことができます。 発芽までの温度管理は非常に重要で、箱まき・ポットまきともに25~30℃に保つことがポイントです。特に夏まきでは、発芽後の苗床が高温になりすぎないように、白い遮光ネットをかけると効果的です。この温度範囲を維持することで、効率的かつ均一な発芽が期待でき、通常4~5日で発芽が揃います。 発芽後の育苗管理も、健康な苗を育てる上で欠かせません。育苗の際に特に注意したいのは、水切れと気温です。ポットは地植えよりも保水力が低いため、こまめな水やりが必要です。子葉が完全に開いたら、元気な2本を残して間引き、さらに本葉が1枚になる頃には最も生育の良い1本に間引いて一本立ちにします。秋キュウリの場合、種まきから約1週間後に双葉が開き、本葉が出始めます。本葉が2~3枚出てきたら、形や生育の悪いものをハサミで切り取り、1ポット1株にして植え付け時期まで育てます。箱まきの場合は、子葉が完全に開いたら、根を傷つけないように慎重に、一つずつ小さいポットに移植します。この移植作業は、根が2cmほど伸びてきたタイミングで行うのが適切です。移植後は、根の活着を促すために新聞紙で覆って土の乾燥を防ぎ、温かい場所で管理します。ビニール袋で簡易的な囲いを作り、昼間は窓際など日当たりの良い場所に置くと、温度と湿度を安定させることができます。 発芽後は、苗が徒長するのを防ぎ、病気を予防するために、風通しを良くして適度に温度を下げることを心がけましょう。定植までの育苗期間は約30日前後で、本葉が3~4枚になった苗が理想的な定植サイズとされています。この育苗期間中は、徐々に温度を下げるように管理し、定植前には外気に慣れさせるために20℃くらいに調整することが重要です。ポットの苗の葉が隣同士触れ合うようになったら、間隔を広げて風通しを確保します。定植予定日の約1週間前には、日光に慣れさせるために遮光ネットを外し、徐々に日光に当てる時間を増やしていくと、定植後の環境への適応がスムーズになります。きゅうりの種をまいて栽培する場合は温度管理が重要になるため、家庭菜園初心者の場合は、無理をせずに市販の苗を購入して栽培することをおすすめします。
健康なきゅうり苗の見分け方
きゅうりの栽培を始めるにあたって、苗から育てるのは手軽で初心者の方にもおすすめです。良い苗を選ぶことが、栽培成功への第一歩となります。接ぎ木苗や、病気や暑さに強い品種を選ぶことで、その後の栽培管理が非常に楽になります。例えば、「Vアーチ」や「夏すずみ」といった品種は、病害虫に強く育てやすいでしょう。店頭では様々な状態の苗が販売されていますので、以下の点に注意して、元気な苗を選びましょう。
これらの条件を満たす苗を選ぶことで、定植後の生育が順調に進み、収穫量も期待できます。

定植前の準備と土作り:根を育む環境づくり
きゅうりの定植を成功させるためには、土作りが不可欠です。きゅうりはpH6.0~6.5の土壌を好むため、酸度調整を行いましょう。定植の2週間以上前から準備を始めると良いでしょう。まず、苦土石灰を1平方メートルあたり100gを目安に畑全体に散布し、土壌の酸度を調整します。散布後、土を丁寧に耕し、苦土石灰を土に馴染ませます。定植1週間前には、堆肥を1平方メートルあたり2kg(秋きゅうりの場合は3kg、または完熟堆肥4kg)を施します。元肥としては、バランスの取れた化成肥料(N:P:K=8:8:8など)を、1平方メートルあたり150~200g(秋きゅうりの場合は300g)を目安に施し、再度深く耕します。この施肥により、きゅうりの成長に必要な栄養素を供給します。堆肥は土壌の保水性、排水性、通気性を向上させ、根の健全な発育を促進します。これらの要素は、きゅうり栽培において非常に重要です。土を混ぜ終えたら、畝を作りましょう。1列で栽培する場合は、畝幅60cm、高さ10~15cmの平畝が良いでしょう。地温を保ち、雑草の繁殖を抑えるために、黒マルチの使用をおすすめします。黒マルチを張ることで、地温が安定し、雑草の成長を抑制し、きゅうりの根が養分を効率的に吸収できます。黒マルチシートは、定植前に敷いておくことで地温が上昇し、初期生育を促進します。マルチシートを使用する際は、水はけに注意が必要です。畝の表面が平らでないと、シートがたわみ、水が溜まって病害虫の原因となる可能性があるため、畝立ての際に水平を保つようにしましょう。
立ち作りで栽培する場合は、支柱を50cm間隔で設置するか、きゅうり用のネットを張ります。畑栽培では、つるが伸びてきたら畝の外側に支柱を斜めに立て、上部で交差させて固定します。支柱やネットを設置する場所に合わせて、マルチに植え穴を開けておきましょう。きゅうりの植え付けは、遅霜の心配がなくなる時期、一般的にはゴールデンウィーク頃が良いでしょう。苗の販売は4月頃から始まりますが、早すぎると霜の被害を受ける可能性があります。植え付けの目安は地温15℃です。黒マルチを張っている場合は地温が確保されているため、定植後の根の成長が促進されます。植え付けは晴れた日の午前中に行い、ポットと植え穴にたっぷりと水を与えることで、活着が良くなります。
本葉が3~4枚程度の苗を植え付けます。苗をポットから取り出す際は、根を傷つけないように注意深く行います。筆者の経験では、ポットの土を軽くほぐすことで、根が伸びやすくなります。根鉢を崩さないように慎重に扱い、根を傷つけないように優しく扱います。根鉢よりも一回り大きな植え穴を掘り、苗を植え穴に入れ、土をかぶせて軽く押さえます。この際、浅植えを心掛けると良いでしょう。深く植えすぎると、接ぎ木部分から病気になる可能性があります。植え付け後、たっぷりと水を与えます。株間は40~70cm程度空けます。家庭菜園では、株間を70cm程度にすると、風通しが良くなり、害虫の被害を抑えられます。アブラムシやウリハムシなどの害虫を防ぐために、「行灯(あんどん)」を利用するのも有効です。市販の苗を選ぶ際は、節間が短く、茎が太く、葉に傷みや病気がない、本葉3~4枚の丈夫な苗を選びましょう。接ぎ木苗を使用する場合は、接ぎ木部分が土に触れないように浅めに植え付けることが重要です。深く植えすぎると、病害虫に感染しやすくなります。
きゅうりは連作障害を起こしやすい作物です。夏に栽培した場所に続けて秋きゅうりを植えるのは避けましょう。同じウリ科の作物(ゴーヤ、スイカ、カボチャなど)を同じ場所で栽培した場合も同様です。家庭菜園では連作を避けるのが難しい場合もありますが、できる限り畑をローテーションし、数年空けるのが理想的です。連作を避けられない場合は、堆肥や腐葉土などの土壌改良材を大量に投入し、土壌の状態を改善することが重要です。接ぎ木苗を使用したり、コンパニオンプランツ(ネギなど)を利用するのも対策となります。接ぎ木苗は連作障害だけでなく、他の病気にも強いため、家庭菜園に適しています。また、ジャガイモ、トマト、ナスなどのナス科植物を栽培した後の畑にきゅうりを植えるのも避けるべきです。真夏にきゅうりの苗を植える際は、暑さ対策が重要です。秋きゅうりを畑に植え付ける時期は、8月~9月が適期です。植え付け直後や日差しの強い日には、苗が暑さで弱らないように、不織布などで日よけを作り、直射日光を遮ってあげましょう。水やりは、朝夕の涼しい時間帯にたっぷりと行い、土中の温度上昇を抑えるためにマルチングも有効です。これらの対策を行うことで、秋きゅうりの栽培を成功させることができます。
プランター栽培の注意点
7月中旬以降にプランターで秋キュウリを栽培する場合、いくつかの注意点があります。日当たりの良い場所を選ぶことは非常に重要です。きゅうりは日光を好みます。プランターは大型で、深さが30cm以上のものを選びましょう。これにより、根が十分に張り、健全な生育を促します。水はけを良くするために、鉢底石や砕いた発泡スチロールを網に入れて底部に敷き詰めます。土は市販の野菜用培養土を使用すると便利です。土はプランターの8分目まで入れ、ウォータースペースを確保することで、水やりの際に水が溢れるのを防ぎます。
秋キュウリは大きく成長するため、一つのプランターに1~2株が目安です。苗を選ぶ際は、節間が短く、茎が太く、葉に傷みや病気がない、本葉3~4枚の丈夫な苗を選びましょう。苗の植え付けの際は、苗の株元を2本の指で挟み、ポリポットを逆さにして根鉢を崩さないように取り出します。植え穴に入れ、土をかぶせて軽く押さえますが、根元を強く押さえつけず、浅く植えるようにします。植え付け後、たっぷりと水を与えます。仮支柱を立てる場合は、根を傷つけないように斜めに挿します。植え付け後は、風の弱い日当たりの良い場所で育てましょう。
新しい培養土の場合、初期の肥料分が少ないため、植え付け後すぐに緩効性肥料を少量施すか、数日後から液肥などで追肥を開始することが重要です。きゅうりは成長が早く、多くの栄養を必要とするため、肥料不足は生育不良や収量減に繋がります。花が咲き始めたら、化成肥料を適量追肥し、株の勢いを維持しましょう。プランター栽培では土が乾燥しやすいため、水切れに注意が必要です。土の乾燥を防ぐために麻布を敷くのは効果的ですが、猛暑時には遮光ネットなどで日よけを作ることも重要です。限られた空間での栽培となるため、摘心や誘引を適切に行い、風通しを良く保ち、病害虫の早期発見・早期対応に努めることで、健全な生育と安定した収穫を目指しましょう。
「敷きわらマルチ」の効果
キュウリは本来、地面を這って育つ植物であり、葉やツルで根本を保護しています。しかし、支柱に誘引すると、根本が露出してしまいます。きゅうりの栽培時期である春から夏は雨が多く、雨の跳ね返りや急な気温上昇による乾燥からキュウリを守るために、株の根本に敷きわらを敷いて保護しましょう。黒マルチを使用している場合は必須ではありませんが、敷きわらとマルチを併用することで、より良い栽培環境を作ることができます。
遅植えきゅうり栽培を成功させる栽培管理
きゅうりは、家庭菜園初心者にも比較的育てやすい野菜として人気です。しかし、豊作を目指すには、種まきから収穫まで、各段階での注意が必要です。生育が非常に早く、水切れや肥料切れを起こしやすい点に注意しましょう。生育期には、つるや葉が旺盛に伸びるため、適切な整枝を行い、風通しを良く保つことが重要です。特に、雨上がりなどには実が急速に大きくなるため、早めの収穫を心がけましょう。
適切な水管理:きゅうり栽培の「水商売」を極める
きゅうり栽培は、水の管理が成否を大きく左右すると言われ、「水商売」と称されることがあります。きゅうりは根が浅く、乾燥に弱い性質を持っています。特に、7月中旬以降の遅植えの場合、梅雨明け後の真夏に成長期を迎えるため、土壌が乾燥しやすく、水管理が非常に重要になります。きゅうりの果実は約95%が水分で構成されているため、良質な実を収穫するには、十分な水やりが欠かせません。肥大期に水分が不足すると、曲がった変形果や小ぶりの実が生じやすくなります。この時期は、毎日欠かさず水やりを行い、梅雨明け以降は特に、土の表面が乾かないように注意しましょう。水やりは、土の表面が乾いているのを確認し、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと与えるのが基本です。これにより、根が深く張り、株全体の活力を高めることができます。葉に直接水がかからないように、株元に丁寧に水を与えましょう。 水やりの時間帯も重要です。夏場は気温と地温が上昇します。日中の暑い時間帯に水やりをすると、土中の温度が急激に上がり、根を傷める可能性があります。理想的なのは、朝夕の涼しい時間帯、特に早朝です。早朝に水を与えることで、日中の水切れを防ぎ、土中の温度が低い状態で水分を補給できます。サツマイモ栽培でも、真夏に葉が萎れる場合は朝の水やりが推奨されており、これはきゅうりにも当てはまります。日当たりの良い場所やプランター栽培では、土の乾燥が早いため、より注意が必要です。土の乾燥を防ぐために麻布などを敷くのは有効ですが、猛暑時には一時的な遮光も、苗の負担を軽減するのに役立ちます。ただし、過湿は根腐れの原因となるため、土の状態をよく観察し、表面が乾いてから水を与えるようにしましょう。土が常に湿った状態だと、根が酸素不足になり、生育不良や病気を招くことがあります。
効果的な追肥と真夏の日差し対策
きゅうりは次々と実をつけるため、多くの養分を必要とします。適切なタイミングで追肥を行うことで、株の勢いを維持し、長期間にわたって収穫を楽しめます。元肥をしっかりと施していても、追肥は必要です。生育状況に応じて追肥の場所を変えることも大切です。秋キュウリの場合、苗を植え付けてから2週間後に最初の追肥を行い、その後は株の状態を見ながら、2週間に1回の頻度で追肥を行うのがおすすめです。株全体に花が多く咲き始めた時も、追肥のタイミングです。 畑栽培では、最初の収穫時期に最初の追肥を行います。株の根元近くに施し、肥料が直接株に触れないように注意してください。その後は、2週間ごとに化成肥料を1株あたり20~30グラム程度施します。株の大きさに合わせて、畝の肩口付近に肥料を施し、土と軽く混ぜ合わせて株元に寄せましょう。中耕を同時に行うことで、雑草の抑制にもつながります。プランター栽培の場合は、1株あたり化成肥料を5g程度、株の周りにパラパラと撒き、土と軽く混ぜ合わせます。根が地表に出ている場合は、根が隠れる程度に培養土を足して平らにならしましょう。追肥をしても株に元気がない場合は、液体肥料を併用するのもおすすめです。 肥料不足になると、実が曲がったきゅうりができることがあるため、肥料切れには注意が必要です。収穫開始後も、きゅうりは大量の栄養を消費するため、継続的な追肥は株の疲労を防ぎ、寿命を延ばし、結果的に収穫量を増やすことにつながります。ただし、一度に大量の肥料を与えすぎると、うどんこ病にかかりやすくなることがあるため、注意が必要です。 実つきが悪い、または葉ばかりが茂る「つるぼけ」が見られる場合は、窒素肥料の与えすぎが原因である可能性があります。追肥を中止し、リン酸やカリウムを多く含む肥料を少量与えることで、栄養バランスを調整し、実つきを促すことを検討しましょう。 真夏の強い日差し対策も、遅植えきゅうり栽培では重要です。遅植えのきゅうりは、成長初期に日本の厳しい暑さにさらされることになります。直射日光が強すぎると、苗が弱ってしまい、最悪の場合は枯れてしまうこともあります。これを防ぐためには、一時的に日陰を作る遮光が有効です。不織布や100円ショップなどで手に入る遮光ネットなどを利用して、強い日差しを和らげてあげましょう。これにより、苗へのストレスが軽減され、健全な成長を促すことができます。遮光ネットを使用すると、光合成への影響が心配されるかもしれませんが、真夏の強すぎる日差しから苗を守るメリットの方が大きい場合がほとんどです。特に、苗が小さい初期段階では、遮光による保護が成長を左右することもあります。
草勢判断のポイント
きゅうりの草勢判断は、本葉が15~18枚程度になった頃に行います。最上段で咲いている雌花から生長点までの距離が50cm程度(展開葉が5~6枚程度)あれば、順調な状態と言えるでしょう。また、生長点付近の葉からも草勢を判断できます。生長点近辺の葉は、株の栄養状態が最も現れる部分です。葉の色やツヤが良く、つるがしっかりとしている状態は、栄養状態が良い健康な株であると言えます。きゅうりは栄養過多になると、葉やツルばかりが大きくなる「つるぼけ」という状態になることがあります。草勢が強すぎても良くないので、適切な管理を心がけましょう。
キュウリは受粉作業が必要?
キュウリは、受粉を行わなくても実が肥大する「単為結果性」という性質を持つ野菜です。受粉の手間をかけなくても、雌花がきちんと咲けば実を結びますので、人工的な受粉作業は基本的に不要です。適切な栽培管理を行い、質の良い雌花が咲くように心がければ、自然とキュウリはどんどん実をつけてくれます。雌花は、花の根元に小さなキュウリの形が見られるため、容易に見分けることができます。
剪定・誘引と収穫期間を長くするための栽培方法
キュウリのつるは成長が非常に速いため、健康な生育を促し、安定した収穫を得るためには、定期的な剪定と誘引が欠かせません。キュウリはつる性の植物であり、主となるつるを「親づる」、親づるから生えてくるわき芽を「子づる」、さらに子づるから生えてくるわき芽を「孫づる」と呼びます。栽培を始めるにあたって特に迷いやすいのが、キュウリの仕立て方です。支柱の立て方には主に「直立型」と「合掌型」の2種類があり、それぞれに利点と注意点が存在します。
直立型
直立型は、一列で栽培する場合や、プランターなど限られたスペースで育てる際に適した方法です。支柱を地面に垂直に立て、キュウリ用のネットを張るだけで簡単に設置できます。ただし、構造上、重さや風の影響を受けやすく、倒れやすいという弱点があります。
合掌型
合掌型は、二列で栽培する際に用いられる方法です。支柱同士を組み合わせるようにして仕立てるため、直立型よりも強度があり、重さや風に対する抵抗力が高いという利点があります。ただし、設置に慣れるまでは時間や手間がかかることや、支柱同士をしっかりと固定しないと崩れてしまう可能性がある点に注意が必要です。
つるおろし
きゅうりの栽培に慣れた方の中には、収穫期間をさらに長くするために「つるおろし」という方法を取り入れる人が増えています。これは、親づるから発生する孫づるは利用せず、親づるの根元近くで収穫を続ける栽培方法です。親づるが伸びた分だけ、根元のつるを巻き取るようにまとめ、支柱やひもで誘引します。ネットは使用しません。収穫ごとに「つるおろし」の手間はかかりますが、管理方法自体はシンプルで、長く収穫を楽しめます。この方法を選ぶ際は、「節なり」タイプの品種を選ぶようにしましょう。種袋に記載されているので確認してください。
【キュウリの手入れ】整枝・摘芯
苗を植え付けてから最初の6節(主枝から出る葉の付け根を1節と数えます)までは、葉の付け根から伸びてくるわき芽はすべて取り除きます。基本的には、主枝をまっすぐ上に伸ばしていきます。この主枝を親づると呼び、生育初期の6節までは、親づるを育てることに集中します。7節以降は、わき芽(子づると呼ばれます)を1~2節残して摘心(芽の先端を切ること)することで、親づるを育てながら収穫も行います。定植時期や天候によって異なりますが、およそ25~30節あたり、手が届かなくなったところで親づるの先端を摘み、成長を止めます。親づるの先端を摘芯すると、わき芽の成長が促されます。基本的に、わき芽である子づるを1~2節ずつ収穫しますが、この子づるからさらに孫づるが発生します。特に親づるである主枝を摘芯すると、孫づるが盛んに発生します。孫づるの処理が適切でないと、葉が茂りすぎてしまい、病害虫や生理障害の原因となることが多いです。地這い品種を栽培する場合は、親づるの本葉が5~6枚になったところで摘芯し、そこから伸びてくる子づるを4~5本程度伸ばすようにします。これらの子づるが主な収穫源となります。
【キュウリの手入れ】摘葉・下葉かきなど
株が成長してくると、下の方の葉が古くなって枯れてきます。株の勢いが強まり葉が生い茂ると、風通しや日当たりが悪くなり、害虫が隠れる場所が増えたり、病気が発生しやすくなる可能性があります。葉が密集した状態を放置すると、葉や実が食べられたり、病気が発生しやすくなることも。これを防ぐために、古い葉や大きすぎる葉を取り除く「摘葉」や「下葉かき」を行います。黄色く変色した葉や、病害虫の被害を受けている葉は、積極的に取り除きましょう。ただし、一度にたくさんの葉を摘葉すると株が弱ってしまうため、1回の摘葉は1株あたり3~4枚程度にとどめ、下葉や大きな葉を取りすぎないように注意が必要です。どの栽培方法でも、適切な整枝や摘葉を行い、株の内側まで光がよく当たるようにし、風通しを良くすることが大切です。これにより、光合成が促進され、病害虫の発生を抑える効果も期待できます。
きゅうりの病害虫:種類、症状、効果的な対策
きゅうりは、夏の高温多湿な環境で特に病害虫が発生しやすい作物です。健全な生育と安定した収穫のためには、病害虫の早期発見と適切な対策が欠かせません。きゅうりに発生しやすい病害虫は見た目が似ているものも多いため、決めつけずに症状をよく観察することが重要です。ここで説明する内容を参考に、必要に応じて農協などで専門家からアドバイスをもらうことで、より確実に病害虫を特定し、適切な対策を講じることができます。以下に、病気、害虫の順でそれぞれ説明していきます。 病害の発生を抑えるための予防策として、畑の準備段階で畝を高くして水はけを良くすることが重要です。これにより、土壌の過湿を防ぎ、根腐れや病原菌の繁殖を抑制します。また、マルチや敷きわらを使用することで、雨水が跳ね返って土中の病原菌が葉に付着するのを防ぐことができます。栽培管理においては、適切な整枝や摘葉を定期的に行い、株の内部まで光がよく当たるようにし、風通しを良く保つことが重要です。株間を適切に空けることも、風通しを良くし、病気の発生リスクを減らす上で効果的です。病気に強い品種を選ぶことも、予防策として非常に有効です。万が一、病害虫が発生した場合は、薬剤による早期防除が重要となります。無農薬栽培を目指す場合は、病害の広がりやすさを考慮すると、9月上旬頃を目安に収穫を終えるのが良いでしょう。夏の終わりから秋にかけて、株の勢いが自然と衰え、病害虫の活動が活発になるためです。
うどんこ病
うどんこ病は、比較的乾燥した環境で、17~25℃程度の気温の時に発生しやすい病気で、特に梅雨の時期に多く見られます。症状は主に葉に現れ、まるでうどん粉を振りかけたような白い斑点が葉の表面に広がります。この白い粉はカビの一種で、下の方の葉から発生し、徐々に株全体へと広がっていきます。対策としては、きゅうりの葉やツルが密集してきたら、適宜摘葉や摘芯を行い、日当たりと風通しを良くすることが重要です。風通しが悪い状態は感染拡大を招きやすいため注意が必要です。また、窒素肥料の与えすぎも発症を促す可能性があるため、肥料の量やバランスに注意しましょう。早期発見と早期対応が重要で、初期段階で適切な薬剤を散布したり、症状が出ている葉を早めに摘み取るようにしましょう。発病した葉は、胞子が飛び散らないように丁寧に切り取り、畑の外へ持ち出して処分してください。
べと病
べと病は、葉の葉脈に沿って黄色い斑点が現れるのが特徴です。症状が進行すると、葉全体が乾燥して脆くなり、茶色っぽく変色します。雨が多い時期や湿度が高い状態が続くと発生しやすいため、注意が必要です。原因は土壌中の菌とされており、雨や水やりによる泥はねが株に付着することで感染すると考えられています。マルチングなどを用いて泥はねを防ぎ、発症の初期段階で適切な薬剤を使用することが重要です。
つる割病
つる割病は、下葉が黄色く変色したり、しおれたりする症状が繰り返し現れ、徐々に株全体に広がっていく病気です。進行すると、株元の茎が割れてカビが発生することがあります。連作障害として発生しやすい病気であるため、同じ場所での連作は避けるか、抵抗力のあるカボチャを台木とした接ぎ木苗を使用するのが効果的な予防策です。もし発症してしまった場合は、他の株への感染を防ぐために、病気の株を抜き取るか、適切な農薬を使用して殺菌する必要があります。
つる枯れ病
つる枯れ病は、株全体に様々な症状が現れる病気です。特に茎に症状が出やすく、地際部分が薄い褐色に変色し、軟らかく腐ってしまいます。その他、葉の縁から褐色の病斑が現れたり、果実が先端から腐敗していくこともあります。病原菌は雨や水やりによって株に広がるため、水やりの方法を工夫したり、マルチングを行うなどの対策が有効です。
褐斑病
褐斑病は、きゅうりの葉に小さな褐色の斑点が現れる病気です。症状が進行すると、葉が変形し、穴が開いたり、縮れたりして最終的には枯れてしまいます。株全体に広がると、葉が次々と落ちて生育不良の原因となります。高温多湿な環境で発生しやすいため、摘心や摘葉を行い、風通しを良くすることで予防効果が期待できます。
炭疽病
炭疽病は、葉、果実、茎に褐色の病斑が現れ、腐敗して枯れてしまう病気です。こちらも高温多湿を好むカビが原因で発生します。株の風通しを良くし、マルチングで泥はねを防ぐことが重要です。被害を受けた葉は早めに取り除き、適切に処分しましょう。
斑点細菌病
斑点細菌病は、葉に灰褐色の斑点や大きな病斑が現れ、果実には色が薄い小さな斑点が広がる病気です。進行すると果実が腐るなどの被害が発生します。発病後の防除は難しいため、日頃からの予防が重要となります。窒素過多や株の勢いが弱い状態は発病を助長するため、適切な管理を心がけましょう。
主要な害虫とその対策
ここからは、きゅうりの栽培で注意すべき害虫について解説します。
アブラムシ
体長1~4mmと微小ながら、アブラムシは新芽や葉の裏に群生し、植物の樹液を吸い取る厄介な害虫です。放置すると生育不良を引き起こし、最悪の場合、株全体が枯れてしまうこともあります。特に警戒すべきは、アブラムシがウイルス病を媒介する点です。感染した植物からウイルスを吸い上げ、別の株へ伝播させるため、早期発見と駆除が重要となります。また、排泄物である甘露は、すす病の原因となる菌の温床となり、光合成を阻害し、生育を悪化させます。窒素過多の土壌で発生しやすい傾向があるため、肥料の与えすぎには注意が必要です。対策としては、0.8mm以下の防虫ネットで覆う、または、キラキラテープで飛来を防止するなどが有効です。繁殖力が旺盛なため、見つけ次第捕殺するか、適切な殺虫剤を使用し駆除しましょう。使用する際は、製品のラベルをよく読み、用法・用量を守って株全体、特に葉裏に丁寧に散布してください。農薬の使用にあたっては、周辺環境への影響も考慮し、安全に配慮して行ってください。テントウムシなどの天敵を利用するのも有効な手段です。
ウリハムシ
ウリハムシは、体長約8mmの赤褐色の甲虫で、成虫は葉を食害し、幼虫は根を食害します。比較的目立つ体色をしているため、見つけ次第、捕殺することを心がけましょう。
オンシツコナジラミ
オンシツコナジラミは、成虫でも体長がわずか1mm程度の小さな白い虫です。葉に付着して養分を吸い取ります。卵や幼虫は非常に小さく、発見が難しいため、発生を予防することが重要です。
ウリノメイガ
ウリノメイガの幼虫は、主にウリ科植物の葉を食害します。新芽を食害したり、葉の内側から薄皮を食べるように加害し、穴を開けたりします。葉を丸めて巣のようにして潜伏する習性があり、丸まった葉やフンが目印となります。幼虫自体も20mm程度で目視できるため、見つけ次第捕殺しましょう。
オオタバコガ
オオタバコガは、大型の蛾の幼虫で、成長すると体長は4cm程度に達します。孵化直後は葉を食害しますが、成長するにつれて果実に穴を開け、内部の果肉を食い荒らすようになります。一つの果実にとどまらず、次々と別の果実へと移動するため、被害が拡大しやすいのが特徴です。日頃からの予防策と、初期段階での迅速な駆除が重要となります。
ミナミキイロアザミウマ
ミナミキイロアザミウマは、体長がわずか1~2mmほどの微小な昆虫であるため、発見が遅れがちで、気づいた時には大量に繁殖していることがよくあります。幼虫、成虫ともに植物の花、葉、果実から養分を吸収するため、果実の外観が悪化し、成長も阻害されます。
ハダニ
ハダニは体長が0.5mm程度と極めて小さく、肉眼での確認は困難です。主に葉の裏側に生息し、植物の養分を吸い上げて繁殖します。放置すると急速に数を増やし、葉を枯死させることもあります。農薬の使用や手作業での除去など、適切な駆除対策が不可欠です。
ネコブセンチュウ
ネコブセンチュウは、体長が0.5mmほどで、土壌中に潜んでいるため、その存在を確認することは非常に困難です。この害虫に侵されると、作物の根に特徴的なコブが形成され、水分や栄養分の吸収が妨げられます。被害が深刻化すると、株全体が枯死する可能性もあるため、事前の予防対策が非常に重要となります。
収穫時期の目安と期間:晩霜が降りる頃まで美味しいきゅうりを楽しめる
きゅうりは生育が非常に早く、苗を植えてから、畑で栽培する場合は約30日、ハウス栽培では約20日ほどで収穫できる大きさに成長します。この生育の早さが、少し遅れて苗を植えても収穫できる理由です。一般的な品種のきゅうりは、夏の良い生育環境下では、開花してから約1週間で収穫に適した状態になります。秋きゅうりの場合は、9月~11月頃が収穫に適した時期で、開花後約10日ほどで収穫できます。きゅうりのつるも実もすぐに大きくなるため、育てている品種の特徴を理解し、適切な時期を逃さずに収穫することが大切です。収穫時期を変えることで、いろいろな大きさのきゅうりを楽しむことができます。例えば、花が咲いているきゅうりは、花きゅうりとして楽しむことができ、花も食べられます。花を取り除かずに炒め物にすると、緑と黄色のコントラストが美しい料理になります。また、8~13cmほどの大きさのきゅうりは、もろきゅうとして美味しく食べられます。小さいきゅうりから大きいきゅうりまで、収穫を楽しみましょう。
最初にできる実(一番果)は、株がまだ小さい時期にできますが、株の体力を消耗させないために、長さが8cmほどになったら早めに収穫することをおすすめします。最初の収穫は、きゅうりの花が咲き始めてから約1週間後くらいに始まります。一番果は、10cm前後の小さめのサイズで収穫します。もったいないと感じるかもしれませんが、最初になる実は、まだ株が十分に成長していない時期に実ったものなので、早めに収穫した方が株への負担を減らすことができます。2番果と3番果も小さいうちに収穫することで、株への負担を減らし、その後の実の成長を促進します。それ以降は、長さが15~20cmくらいになったら順次収穫します。水分と栄養が十分に与えられていれば、どんどん実をつけてくれますし、実の肥大も非常に早いため、ためらわずに収穫することが大切です。収穫する際は、表面のトゲを傷つけないように、きゅうりの首の部分を持ってハサミで切り取ります。秋きゅうりの収穫が遅れると株に負担がかかるため、早めに収穫するように心がけましょう。きゅうりは朝の時間帯が最もみずみずしく、日中の暑い日差しに当たると水分が失われていくため、できるだけ朝や午前中の早い時間に収穫しましょう。また、きゅうりを株につけたままにしておくと、あっという間に太く長くなり、株にとって大きな負担となってしまうため、そうなる前に収穫することを心がけてください。一度収穫が始まると、雌花の開花スピードが上がり、実がなるのも早くなる傾向があるため、収穫が遅れないように注意が必要です。小さくて若いキュウリでも十分に美味しく食べられるため、大きくなりすぎる前に収穫することで、株への負担を軽減し、次の実の生育を促すことができます。ただし、大きく肥大したきゅうりは、水分が多くズッキーニのような味わいになるため、興味があれば試してみるのも良いかもしれません。
収穫期間は、基本的に晩霜が降り始める頃まで続けることができます。地域やその年の気候によって異なりますが、一般的には10月下旬から11月上旬頃まで収穫を楽しめる可能性があります。ただし、夏は高温多湿の環境が続くため、病気が発生しやすくなります。特に農薬を使わない栽培を目指す場合は、病気が広がるリスクを考慮して、9月上旬頃までに収穫を終えるのが良いでしょう。これは、病害虫の活動が活発になり、株の勢いが自然と衰え始める時期と重なるためです。収穫後は、畑の肥料分も消費が進むため、2週間に1回程度、肥料を追加することで、株が疲れてしまうのを防ぎ、株の勢いを維持して収穫期間を長くすることができます。適切に管理すれば、夏の終わりから秋にかけて、新鮮で美味しいきゅうりを自宅の庭でたくさん味わうことができるでしょう。
きゅうりの生理障害と対策
きゅうりは成長が早いため、水分不足や肥料不足、または過剰な栽培管理によって、さまざまな生理障害が起こることがあります。しっかりと育てているつもりでも生理障害は起こりうる問題なので、症状をよく観察し、原因を解消することが大切です。これらの生理障害を減らし、健康な実を収穫するためには、株の状態を良好に保つことが非常に重要です。具体的には、水はけと日当たりを良くする、葉が茂りすぎたり、極端に葉を摘みすぎたりしないように注意するなどの管理が必要です。生理障害は、株のストレスや栄養状態のバランスが崩れているサインです。日々の観察を通じて早期に異常を見つけ、適切な栽培管理を続けることで、変形した実の発生を抑え、品質の良いきゅうりの収穫につなげることができます。
変形果(奇形果)の発生と対処法
代表的な生理障害としては、実が正常な形に育たない症状の総称である「変形果」が挙げられます。「奇形果」とも呼ばれ、実が曲がっていたり、先端が細くなっていたりと、見た目が通常とは異なるため、すぐにわかります。奇形果はその見た目とは異なり、味に影響はありません。しかし、奇形果ができるということは、株の元気がなくなってきている証拠です。原因を解消してあげることで、株が元気を取り戻すと、本来の形の実をつけるようになります。ここでは、奇形果の種類と、その対処法をご紹介します。なお、変形果を見つけたら早めに収穫し、株の負担を軽くしてあげましょう。
空洞果
空洞果とは、実の中に空洞がある状態をいいます。実に穴があくのは、水分が不足しているからです。原因としては、畑の水不足、根の張り方が弱い、根が腐っているなどが考えられます。夏場は特に地面が乾燥しやすく、根を浅く張るきゅうりにとっては厳しい環境です。十分に水やりをするのはもちろん、マルチングや敷きわらなどで根を保護してあげると改善するかもしれません。
尻細り果(先細り果)
通常、キュウリは根元と先端がわずかに細い程度で、ほぼ均一な太さでまっすぐ成長します。しかし、尻細り(先細り)になると、実の途中から徐々に細くなってしまいます。これは主に、株の活力が低下し、栄養や水分が不足していることが原因です。特に、窒素肥料の不足や、株が収穫による疲労を起こすと、果実の先端まで十分な栄養が行き渡らなくなります。また、日照不足や葉の減少(弱っている状態)も影響します。この症状が見られたら、追肥と水やりを丁寧に行い、株の活力を回復させることが重要です。バランスの取れた肥料を定期的に与え、土壌の乾燥を防ぐために適切な水管理を徹底することで、尻細り果の発生を予防できます。改善が見られない場合は、液肥の使用も検討しましょう。
尻太り果(先太り果)
尻太り(先太り)の状態になると、実の途中から急に太くなったり、先端部分が異常に肥大化して果肉のバランスが崩れたりします。この原因としては、株の疲労、生育不良、日照不足、水分の過不足、肥料不足などが考えられ、株全体の元気がなくなることで起こりやすくなります。対策としては、日々の管理が非常に重要です。土の状態や株の様子を注意深く観察し、適切なタイミングで水やりや追肥を行うようにしましょう。
曲がり果
キュウリの曲がり果は、果実の中央部分から大きく湾曲した状態を指します。先細りや先太りの症状と同時に見られることも多く、家庭菜園ではよく見られる奇形果の一つです。主な原因は、日照不足、株の老化、急激な温度変化、栄養バランスの偏り(特にカリウム不足)、株の疲労、窒素不足などが考えられます。生育が旺盛な収穫初期にはあまり見られませんが、日照不足や水分不足、肥料切れなどによって生育が衰えると発生しやすくなります。対策としては、適切な追肥や温度管理を行い、適度に摘葉して日光を十分に当てることが大切です。
くくれ果
くくれ果は、果実にくびれのような線が現れる症状で、まるで糸で締め付けられたかのようです。果肉の内部にも線状のひび割れが生じ、一部が褐色に変色することがあります。原因としては、高温乾燥や低温多湿といった気象条件に加え、株の肥料バランスが崩れることが挙げられます。対策としては、適切な量の追肥を行い、マルチングや敷き藁などを使用して土壌の極端な乾燥を防ぐことが重要です。
遅植えきゅうりに最適な品種選びの秘訣
7月中旬にきゅうりを植え付ける場合、品種選びはその成否を大きく左右しますが、特定の品種に固執する必要はありません。遅植えでは生育期間が短縮されるため、特に早生品種や、より短い期間で収穫可能な品種を選ぶことが推奨されます。これらの品種は限られた期間で効率的に実をつけ、遅植えでも収穫が見込める特性を持ちます。また、夏の厳しい気候や病害虫のリスクを考慮し、高温や主要な病害虫(うどんこ病、べと病など)への耐性が高い品種を選ぶと、栽培成功の可能性が向上します。晩秋まで収穫できる秋キュウリ品種も存在し、べと病・うどんこ病への強さ、耐暑性に優れた品種が人気です。
具体的な推奨品種としては、生育が早い「夏すずみ」や「なるなる」のような早生種が遅植えに適しています。経験者の中には、「シモシラズ」という品種を7月に種まきしても収穫できると推奨する声もあり、秋キュウリとしての適性が高いことが示唆されています。秋キュウリの品種には、「秋キュウリ つぎつぎとれる」「秋どりキュウリ はやみどり」「強力みどりきゅうり」「つばさ」など、多様な選択肢があります。
一方で、「シモシラズなどの特定品種にこだわらなくても、秋キュウリの収穫に間に合う」という意見も多くあります。品種選びは重要ですが、適切な栽培管理、特に水やり、追肥、病害虫対策を徹底すれば、一般的な品種でも遅植えで十分な収穫が期待できます。
「秋キュウリ」とは、夏以降の涼しい時期に収穫されるきゅうりのことで、7月中旬から8月にかけて植え付けられた苗から収穫されるのが一般的です。秋キュウリ専用の品種もありますが、一般的な夏キュウリの種や苗でも、適切な栽培管理により秋の収穫を楽しめます。品種選びでは、早生性や耐病性に注目しつつ、地域で入手しやすい苗の中から最適なものを選び、その後の丁寧な栽培管理でカバーする柔軟な姿勢が大切です。ホームセンターなどで販売されている「今から植えられる秋野菜の苗」(例:きゅうり北進など)も、その時期に適した品種である可能性が高く、選択肢として考慮する価値があります。
まとめ
7月中旬のきゅうり苗の植え付けは遅い時期と見なされがちですが、適切な栽培管理と品種選びで、十分な収穫が期待できます。きゅうりは生育が早く、露地栽培で約30日、ハウス栽培で約20日で収穫可能であり、霜が降りる時期まで収穫を続けられる可能性があります。秋キュウリとして8月~9月に植え付け、10月~11月に収穫するサイクルも確立されており、寒冷地以外では9月末頃まで植え付けが可能です。品種選びでは、生育期間が短いため、早生で耐病性のある品種が推奨されます。「夏すずみ」「なるなる」の他、「シモシラズ」や「秋キュウリ つぎつぎとれる」のような秋専用品種も有効ですが、適切な管理次第で一般的な夏キュウリの品種でも秋キュウリとして収穫できます。
成功の鍵は、きゅうり栽培で最も重要な「水管理」を徹底することです。特に梅雨明け後の乾燥期には、土の表面が乾いたら毎日、朝夕の涼しい時間帯に、葉に水がかからないよう株元にたっぷりと水やりを行います。敷きワラによる土の乾燥・泥はね防止も有効です。また、多くの養分を必要とするきゅうりには、植え付けから2週間後に最初の追肥を行い、その後は株全体に花が咲き始めたら、または収穫開始後も2週間に1回程度追肥を続けることで、株の勢いを維持し多収穫に繋がります。窒素過多はつるぼけやうどんこ病の原因となるため、肥料バランスにも注意が必要です。
きゅうりは受粉しなくても実がなる「単為結果性」の野菜なので、人工受粉は不要です。真夏の強い日差しから苗を守るための遮光対策(不織布や50%遮光ネットの活用)や、時期をずらした「多期作」の活用(5月下旬、6月下旬、7月中旬と時期をずらして植え付ける、または古い株を更新する)も、安定した収穫を得るための有効な戦略です。さらに、親づるの摘芯、子づるや孫づるの整枝、誘引をこまめに行い、風通しを良く保つことも重要です。株元から5節までのわき芽や最初の雌花・果実を摘除し、その後も適切な節位での摘芯や摘葉を継続することで、「つるぼけ」を防ぎ、実つきを促進します。
高温多湿な夏場はうどんこ病、べと病、アブラムシなどの病害虫が発生しやすいため、高畝での水はけ対策、マルチや敷きワラ、適度な整枝・摘葉による風通しの確保、そして定期的な観察と早期対策を心がけることが重要です。特にうどんこ病は乾燥気味、アブラムシは窒素過多で発生しやすいため注意が必要です。また、曲がり果や尻細り果といった生理障害は、水不足や肥料不足、株の樹勢低下によって発生するため、適切な水やりと追肥で株の活力を維持することが大切となります。
きゅうり栽培を成功させるためには、まず土作りが大切です。自分の畑がどんな土壌なのか、日当たりや風通しはどうか、水はけはどうなのか。これらの基本をしっかりと見極めた上で、必要な分量の肥料を施しましょう。土作りをしっかり行い、健康で良い苗を植え付けてしまえば、あとはどれだけきゅうりに対して愛情を持って接してあげられるかが重要となります。たくさんのきゅうりを収穫し、株を長持ちさせたいのであれば、毎日きゅうりの健康状態をチェックしてあげましょう。何か問題が起きても早め早めに対処すれば、決して大変ではありません。自分で1から育てたきゅうりは、市販のものとは比べものにならないほどの味と収穫の喜びを与えてくれるでしょう。最初は失敗するかもしれませんが、めげずに継続することが栽培上達への近道です。ぜひ、自家製のきゅうり栽培に挑戦してみてください。
執筆:
編集:
関連キーワード
シェアする
きゅうりの植え付けに最適な時期は?
きゅうりの植え付けに最適な時期は、一般的に霜の心配がなくなった4月下旬から6月上旬です。地域や品種によって多少異なりますが、最低気温が15℃以上、発芽適温が25~30℃、生育適温が17~28℃となる時期が目安となります。この時期に植えることで、活発な生育と安定した収穫が期待できます。家庭菜園で時期をずらして栽培する場合は、5月下旬、6月下旬、7月中旬と時期をずらして植え付けることで、長期間にわたる収穫を楽しむことができます。秋キュウリとしては、関東地域では7月~9月に植え付けが行われます。
7月中旬にきゅうりを植える際の品種選びで重要なことは?
7月中旬の遅植えの場合、生育期間が短くなるため、早生品種や短期間で収穫できる品種を選ぶことが重要です。また、病害虫に強く、高温にも比較的耐性のある品種を選ぶと成功率が高まります。晩秋まで収穫できる品種も人気があります。具体的な品種としては、夏すずみ、なるなるなどの早生品種や、秋キュウリとして「シモシラズ」の他、「秋キュウリ つぎつぎとれる」「秋どりキュウリ はやみどり」「強力みどりきゅうり」「つばさ」などが推奨されることが多いです。ホームセンターで「今から植えられる秋野菜の苗」(例:きゅうり北進など)として販売されているきゅうりの苗も、その時期の栽培に適した品種である可能性が高いため、選択肢として考慮に入れると良いでしょう。
遅れて植えたきゅうりでもたくさん収穫できますか?
時期をずらして植えた場合、通常は適期に植えたものより収穫量は減る傾向にあります。しかし、土壌改良をしっかり行い、水やりを十分に行い(特に真夏は朝晩欠かさずに)、適切な時期に適切な量の追肥をし、病害虫から守り、摘心や誘引、整枝といった手入れをきちんと行えば、家庭菜園でも十分に満足できるくらいの収穫は期待できます。特に、栽培期間が短くなるため、初期の成長を順調に進めることが重要です。きゅうりは生育が非常に早く、植え付けからおよそ1ヶ月で収穫できるようになるため、工夫次第では長期間にわたって収穫を楽しめます。
きゅうりの病害虫対策で特に気をつけることは?
きゅうりは、うどんこ病、べと病、褐斑病、つる枯病、炭疽病といった病気にかかりやすく、アブラムシが媒介するウイルス病にも注意が必要です。また、アブラムシ、ハダニ、ウリハムシなどの害虫による被害にも遭いやすいです。遅植えの場合は、高温多湿な状態が続くため、病害虫が発生するリスクが高まります。予防として、風通しを良くするために株間を広めに確保し、高畝にして水はけを良くし、マルチや敷きわらを使って土が跳ね上がるのを防ぐことが大切です。また、病気に強い品種を選び、日頃からよく観察し、早期発見・早期対応を心がけましょう。うどんこ病は乾燥気味の環境で、アブラムシは土壌の窒素分が多い場合に発生しやすくなります。発生した場合は、葉の裏側にもしっかりと薬剤を散布して、早めに駆除しましょう。無農薬で栽培する場合は、病気が広がるリスクを考慮し、9月上旬頃を目安に収穫を終えることも視野に入れましょう。アブラムシの侵入を防ぐには、目の細かい防虫ネットやキラキラテープも効果的です。
きゅうりの栽培で「つるぼけ」を防ぐにはどうしたらいいですか?
つるぼけとは、きゅうりの葉や茎ばかりが大きく育ち、花は咲いても実がなりにくい状態のことです。主な原因としては、窒素肥料を与えすぎること(窒素過多)、日照不足、苗を密集させて植えることによる風通しの悪さなどが考えられます。このような状態になると、株の栄養が実に十分に回らず、生育が悪くなってしまいます。つるぼけを防ぐためには、まず、バランスの取れた肥料を与えることが重要です。特に、リン酸やカリウムを適切に与えることで、栄養が実の成長に使われるように調整します。また、日当たりの良い場所を選び、苗を植える間隔を適切に保ち、風通しを良くすることも非常に効果的です。摘心や誘引、整枝を適切に行い、株全体の栄養バランスと日光の当たり具合を調整することで、つるぼけを予防し、実がしっかりとつくように促すことができます。葉が密集してきたら、下の方にある古い葉や病気にかかった葉を取り除き、光と風が通るようにしましょう。肥料の与えすぎはうどんこ病の原因にもなるため、注意が必要です。
真夏にきゅうりの苗を植えるときに気をつけることは?
真夏にきゅうりの苗を植える際は、苗が暑さで弱ってしまわないように、特に注意が必要です。植え付け直後や日差しが強い日が続く場合は、不織布や遮光率50%程度の遮光ネットなどを使って日陰を作り、直射日光を和らげてあげると良いでしょう。遮光ネットを使うことで、光合成に影響が出るのではと心配する人もいるかもしれませんが、真夏の強すぎる日差しから苗を守るメリットの方が大きいことが多いです。また、水やりは朝や夕方の涼しい時間帯に、土の乾き具合を確認しながらたっぷりと行い、土の中の温度が上がりすぎるのを防ぐためにマルチングも効果的です。苗の根を傷つけないように丁寧に扱い、接ぎ木苗の場合は、接ぎ木をした部分が土に触れないように、少し浅めに植え付けましょう。プランターで栽培する場合は、深さが30cm以上ある大きめのプランターを使い、水はけを良くするために鉢底石を敷くことも大切です。
夏キュウリの後に同じ場所に秋キュウリを植えると連作障害が起きますか?
キュウリは連作障害が発生しやすい野菜として知られています。そのため、夏キュウリを育てた場所ですぐに秋キュウリの苗を植え付けると、生育が悪くなったり、病気が発生するリスクが高まる可能性があります。特に注意が必要なのは、土壌病害の一種である「つる割病」です。キュウリ栽培後、同じ場所で再び栽培する場合は、2~3年程度期間を空けることが推奨されます。もしどうしても連作しなければならない場合は、堆肥や腐葉土などの土壌改良材を十分に加えて、土壌の状態を改善することが大切です。また、病気に強いカボチャを台木として利用した接ぎ木苗を使用することも、連作障害のリスクを減らす効果的な方法です。ジャガイモやトマト、ナスなどのナス科植物を育てた後の畑にキュウリを植えることも、連作障害のリスクを高めるため避けることが望ましいです。できる限り、異なる種類の野菜を順番に植える「輪作」を心がけましょう。
7月末など遅い時期から家庭菜園できゅうりを植えても収穫できますか?
はい、7月末や8月上旬といった遅い時期にキュウリを植え付けても、収穫は十分に可能です。一般的に、キュウリは苗を植えてから、露地栽培でおよそ30日、ハウス栽培でおよそ20日という比較的短い期間で収穫できるようになります。そのため、夏の終わりから秋にかけて収穫を見込むことができます。実際に、7月中旬頃に苗を植えて、8月上旬に初収穫できたという例もあります。ホームセンターなどでも、この時期に「今から植えられる秋野菜の苗」としてキュウリの苗が販売されていることがあります。ただし、収穫できる期間は霜が降り始める頃までとなるため、限られた期間でできるだけ多くの収穫を得るためには、水やり、追肥、病害虫対策、日差し対策など、適切な栽培管理をしっかりと行うことが重要です。特に、夏場の高温多湿な環境は病害虫が発生しやすいため、風通しを良くしたり、定期的に観察して早めに対応するように心がけましょう。秋キュウリの収穫時期は、9月から11月頃が目安とされています。
秋キュウリとはどのようなきゅうりですか?夏キュウリの種や苗で秋キュウリを栽培することはできますか?
「秋キュウリ」とは、夏の暑さが和らぎ涼しくなる時期に収穫されるキュウリのことを指します。具体的には、7月中旬から8月にかけて植え付けられた苗から収穫されるキュウリを指すことが多く、旬は10月から11月頃です。秋キュウリ専用の品種も存在し、「シモシラズ」のように7月に種をまいても収穫できる品種や、『秋キュウリ つぎつぎとれる』『秋どりキュウリ はやみどり』『強力みどりきゅうり』『つばさ』などの品種があります。しかし、必ずしも特定の秋キュウリ品種に限定する必要はなく、一般的な夏キュウリの種や苗でも、適切な管理を行うことで秋の収穫を楽しむことが可能です。重要なのは、短い生育期間で効率良く実をつけるための品種を選ぶこと(早生品種や病気に強い品種など)と、水やり、追肥、病害虫対策といった丁寧な管理です。特に、夏の終わりから秋にかけては、日照時間や気温の変化も考慮して、株の勢いを維持するための対策が重要になります。多期作として、春に植えた株が弱ってきた7月下旬頃に新しい苗を植え替えることで、霜が降り始める頃まで長期間の収穫を目指す農家や家庭菜園愛好家も多くいます。
きゅうりの花はたくさん咲くのに実が少ない、または夏終わり頃に枯れてしまう原因は何ですか?
キュウリの花がたくさん咲いているのに実が少ない場合、主な原因として「つるぼけ」が考えられます。これは、葉やつるばかりが茂ってしまい、実がつきにくくなる現象で、主に肥料の与えすぎ(特に窒素肥料)や日照不足が原因で起こります。この状態になると、株の栄養が実に十分に回らず、生育が悪くなってしまいます。また、株の間隔が狭すぎると風通しが悪くなり、日照不足を招き、病害虫が発生しやすくなり、結果的に収穫量が減ってしまうことがあります。さらに、キュウリは夏の高温多湿な環境で病害虫が発生しやすく、うどんこ病やべと病、アブラムシやハダニなどの影響で株が急激に弱って枯れてしまうことがあります。特に春に植えたキュウリは、7月頃に最も収穫量が多くなり、その後夏の終わりにかけて株の勢いが自然に衰え、病害虫の被害も加わって枯れ始めるのが一般的なサイクルです。これは、他の多くの夏野菜(ミニトマトなど)にも共通して見られる現象です。これを防ぎ、長く収穫を続けるためには、肥料のバランスを考えた追肥、摘心や誘引による適切な手入れ、風通しを良くするための株間確保、そして定期的な観察と早めの病害虫対策が重要です。また、時期をずらして新しい苗を植え付ける「多期作」も効果的な対策となります。
ミニトマトなどきゅうり以外の夏野菜も7月以降に苗を植えても大丈夫ですか?肥料が多すぎて実がならない場合はどうすれば良いですか?
きゅうり以外にも、ミニトマトやナスといった夏野菜は、品種や地域によっては7月を過ぎてからでも植えられることがあります。園芸店などでは、お盆の時期にも夏野菜の苗が売られていることがあり、遅れて植えても収穫できる見込みがあります。ただし、きゅうりと同じように、栽培期間が短くなるため、生育の早い品種を選んだり、その後の水やり、肥料、日当たりの確保、病害虫対策といった管理が大切になります。ミニトマトの場合、肥料、特に窒素肥料が多すぎると、葉や茎ばかりが伸びて、花が咲いても実がなりにくい状態になることがあります。このような時は、追肥をすぐにやめて、リン酸やカリウムを多く含む肥料を少しだけ与えて、栄養のバランスを整え、実がつくのを促すと良いでしょう。根元を切って再生させる方法は、肥料過多への対処法としては一般的ではありません。まずは、適切な水やりを行い、土の中の肥料の濃度を薄めることや、摘心をして栄養が実に集中するように促すことを試してみてください。
7月中旬を過ぎてからプランターで「豊作きゅうり」などを育てる際に気をつけることはありますか?
7月中旬を過ぎてプランターで「豊作きゅうり」のような秋でもたくさん収穫できる品種を育てる場合、いくつか重要な点があります。まず、日当たりの良い場所を選ぶことはとても大切です。きゅうりは太陽の光をたくさん必要とします。土については、「健康野菜みのる培養土(バーク堆肥など)」を使っているとのことですが、新しい培養土は、最初の肥料がほとんど入っていないか、少量しか入っていないことが多いです。そのため、苗を植えた後すぐに、バランスの取れた肥料を少量与えるか、数日後から液体肥料などで追肥を始めることがとても重要です。きゅうりは成長が早く、たくさんの栄養を必要とするため、肥料が足りないと育ちが悪くなったり、収穫量が減ったりします。株全体に花が咲き始めたら、ここで書かれているように化成肥料を適量追肥し、株の勢いを保ちましょう。水やりは、プランター栽培では特に大切です。きゅうりは水をよく必要とするため、真夏は毎日、土の表面が乾いたらプランターの底から水が出てくるまでたっぷりと与えることが大切です。土が乾かないように麻布を敷くのは良い方法ですが、暑い日には日よけ(不織布など)を作って、苗が弱るのを防ぐことも有効です。また、プランター栽培では根が広がる範囲が限られているため、土の中の温度が上がりすぎないように注意が必要です。品種選びは良いですが、限られたスペースでの栽培になるので、摘心や誘引を適切に行い、風通しを良くして、病害虫を早く見つけて対応することで、元気に育てて収穫できるようにしましょう。
種からきゅうりを育てる時の初期管理のコツはありますか?
きゅうりを種から育てる場合、発芽後の初期管理がとても重要です。発芽して、根が2cmくらい伸びてきたら、小さいポットに一つずつ、穴を少し開けて丁寧に植えましょう。この時、根を傷つけないように注意してください。植えた後は、新聞紙をかぶせて土が乾かないようにし、暖かい場所で管理することが大切です。特に、発芽して間もない頃は、温度が安定している方が良いため、ビニール袋などで簡単な囲いを作り、昼間は窓際など日の当たる場所に置くと良いでしょう。梅雨の時期など、湿度が高く日差しが少ない場合は、茎が細長く伸びるのを防ぐためにも、適度な光と風通しを確保することが大切です。発芽したら、風通しを良くして少しずつ温度を下げていくことがポイントです。葉が隣の葉と触れ合うようになったら、ポットの間隔をあけてください。本葉が2~3枚出てきたら、形が悪いものや育ちの悪いものをハサミで切り、1ポットに1株にして植え付け時期まで育てます。初めてきゅうりを育てる方は、土の表面の乾き具合や、葉の色、株の勢いを毎日よく見て、必要に応じて水やりや換気をするなど、細かく手入れをしましょう。適切な初期管理をすることで、その後も元気に育ちます。
きゅうりの水やりはどのくらいの頻度ですれば良いですか?早朝に水をあげるのは良くないですか?
きゅうり栽培は「水商売」と言われるくらい、水管理がとても大切です。梅雨が明けた後の真夏は特に土が乾きやすいため、毎日必ず水やりをすることが重要です。土の表面が乾いたら、プランターの底から水が出てくるまでたっぷりと与え、根が深く伸びるように促しましょう。きゅうりは根が浅く張るため、特に乾燥には注意が必要です。水やりは、日中の気温が高い時間を避け、朝や夕方の涼しい時間帯に行うのがおすすめです。特に、早朝の水やりは、日中の水切れを防ぎ、土の中の温度がまだ低い状態で水分を補給できるため、とても効果的です。サツマイモの場合でも、真夏に葉がしおれている時は、朝に水やりをすることが推奨されています。一日中日が当たる場所では、土の乾燥がさらに進みやすいため、水切れには特に注意が必要です。ただし、水をやりすぎると根腐れや病気の原因になるため、土の状態をよく見て、土の表面が乾いていることを確認してから水を与えるようにしましょう。水やりの際は、葉に水がかからないように、株元に水を与えるのがポイントです。
タイアップ企画
傾斜地でも作業効率アップ!ラジコン式草刈機『RCSP530A』で足場の悪い場所も楽々草刈り
高品質な作物のために。多くの産地で採用されている殺菌剤『ダコニール』
データに基づいた水耕栽培で成功をサポート!未経験者でも安心
地域社会の課題解決に貢献するアグロ カネショウ。農薬を通して豊かな未来を創造
有機水稲栽培の雑草対策に革命!進化した『アイガモロボ』で省力化
高温、干ばつ、長雨、日照不足、塩害… 厳しい環境を克服するオリゴ糖資材『クロピコ』
有機廃棄物から生まれた堆肥で土壌を改善!『アサギリMIX』シリーズで農地を再生
電化ハウスでイチゴの超促成栽培を実現。省力化と収益向上を両立
指一本で農作業をサポート!キトー製品で安全かつ負担の少ない運搬を実現
光照射で鮮度を保持する『Fkeep®』。選果場の効率化と信頼性を支える新技術
人気記事ランキング
トマトの葉っぱ、切るタイミングは?初心者向け、トマト栽培のポイント
土壌改良で肥料代を大幅削減!成功の秘訣は大胆なアプローチ
畑の雑草が教えてくれる!土壌の状態を知るための4つのヒント【畑は小さな大自然vol.115】
イラガの生態と対策:刺された時の対処法と効果的な駆除方法
スギナ対策におすすめの除草剤。選び方と効果的な使い方を解説
注目ライター
吉田 忠則
1989年日経新聞入社。流通、郵政、農政、保険、首相官邸などを担当。2003年から4年間北京駐在。03年「生保予定利率下げ問題」…
ノウカノタネ つるちゃん
農系YouTuber、Podcaster「ノウカノタネ」として活動する多品目野菜&果樹農家。落葉果樹専門のフリーランス園芸指導員。作物を売るより実験好きの若手農家。
いまむら ゆい
管理栄養士、お野菜レシピ考案家。レシピ提供、フードスタイリング、コラム執筆、料理教室など野菜に関する分野で活動。Instagram【 …
巖 朋江
農学博士ライター。国立大学農学部卒業後、民間企業で人工光利用型植物工場でのイチゴ研究・栽培に従事。現在はフリーランスライターとして取材記…
アンケート
【農家さん向け】車両管理サービスに関するアンケートにご協力ください!
イベント情報
農林水産FEST 開催スケジュール
2025年8月30日(土) 愛知県 ウインクあいち 6階
農林水産FEST 開催地:大阪
2025年9月20日(土) 大阪府 マイドームおおさか 2階 展示ホールB
農林水産FEST 東京会場
2025年9月27日(土) 東京都 東京交通会館12階 カトレアサロンA
農林水産FEST 福岡会場
2025年10月4日(土) 福岡県 福岡ファッションビル 7階
農林水産FEST (大阪 2回目)
2025年10月25日(土) 大阪府 マイドームおおさか 2階 展示ホールB
今週のおすすめ情報
安心安全な野菜を食卓へ。「坂ノ途中」野菜宅配サービスのメリット・デメリットと活用方法
農地の価格を把握する方法とは? 売買における相場と価格算出の基準について解説
おすすめ田植機買取業者7選! 買取業者の選び方や高価買取のコツを紹介
薬膳プロフェッショナル資格の口コミ・評判は?講座内容、メリット、試験情報をチェック
旬の味覚を自宅で手軽に!フルーツ定期便サービスおすすめ4選|お得で種類豊富なのはどこ?
マイナビ農業コンテンツ
マイナビ農林水産FEST
マイナビ農業が主催する、農業界への就職・転職イベント情報
マイナビ農業インターンシップ
農業・林業・水産業に特化したインターンシップ情報サイト
ノウラボ
食と農業に関する知識を深めるセミナー・ワークショップ
AGRI+(アグリプラス)
農業と地域活性化のためのソリューションを提供する情報誌
農mers(ノウマーズ)
農業を始めたい人と農家を結びつけるマッチングアプリ
北海道スマート農業SUMMIT
北海道の農業関係者・企業が集う展示会
カテゴリ一覧
Copyright © Mynavi Corporation