安芸クイーンぶどう：鮮やかな紅色と濃厚な甘みが織りなす極上の味わい

鮮やかな紅色に染まる姿は、まさに「ぶどうの女王」。安芸クイーンは、その見た目の美しさだけでなく、口にした時の濃厚な甘みで人々を魅了します。巨峰をルーツに持ちながら、独自の進化を遂げた赤系ぶどうの傑作。一口食べれば、芳醇な香りと溢れる果汁が、あなたの五感を awakening させます。この記事では、安芸クイーンの魅力のすべてを余すことなくお伝えします。

「安芸クイーン」は、独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構の果樹試験場安芸津支場（現在の農業・食品産業総合研究機構果樹研究所）で、「ぶどうの王様」と称される「巨峰」を親に持ち、その自家受粉によって生まれた実生の中から選抜され、育成された品種です。開発は1973年（昭和48年）に始まり、1991年（平成3年）に品種登録が出願され、1993年（平成5年）に正式に登録されました。交配から登録まで約20年という長い年月をかけており、その期間こそが、このぶどうの品質の高さと安定性を示しています。巨峰同士の交配から生まれた安芸クイーンは、親である巨峰の優れた性質、特にその濃厚な甘さと大きな粒を受け継ぎながらも、独自の鮮やかな紅色という特徴を持つ赤系のぶどうです。一番の特徴は、何と言ってもその鮮やかな紅色に染まる果皮と、ほどよく締まった、果汁たっぷりの果肉です。高い糖度による強い甘みが感じられる一方で、酸味は控えめ。気品があり、「フォクシーフレーバー」と表現される独特の香りが口の中に広がるのが魅力です。粒の大きさは13～15gと、親である「巨峰」とほぼ同じくらいで、一房あたり250～400g程度です。その食味の良さから非常に高い評価を得ており、市場でも人気の品種となっています。

農林水産省の品種登録データベースには、安芸クイーンの特徴が詳しく記載されています。それによると、果房の形は長円錐形で、大きさは中程度（約250～300g）、粒のつき方はやや粗いとされています。農林水産省の品種登録データベースでは、果実の特性評価において『重は1区当たり10果、その他の項目は各果10粒ずつサンプリング』と記載されている。これは、公式な品種特性評価においては、一定数の果実や果粒をサンプリングし、平均値を算出していることを示している。(出典: 東北農業試験研究協議会『東北農業試験研究協議会資料』, URL: https://www.naro.affrc.go.jp/org/tarc/to-noken/DB/76all.pdf, 2022-08-23)果皮の色は鮮やかな赤色で、厚さは中程度です。やや薄めの赤色で、中にはまだ緑色が残っている粒も見られます。果皮の表面に付着している白い粉は「ブルーム」と呼ばれ、ぶどう自身が生成する天然の保護成分であり、品質と鮮度を保つ役割を担うため、心配する必要はありません。ブルームは安全ですが、衛生面を考慮し、食べる前に水で洗いましょう。水洗いしても完全に落ちるわけではありませんが、洗う前よりも果皮の赤みが際立ちます。果皮と果肉の分離しやすさは中程度なので、食べる際には注意が必要です。果肉の色は着色なしとされていますが、実際には、青みがかった緑色というよりも、少し赤みや茶色が入った緑色に見えることもあります。他のぶどうで例えると「ピオーネ」の果肉の色に近いと感じる人もいるようです。肉質は中間的な硬さで、甘味は強く（糖度20度程度）、酸味は少なめです。特徴的なフォクシー香を持ち、果汁が非常に豊富です。種子の数は少なく、形は中程度、大きさは大きいとされています。開花時期は平均的で、成熟期は早く、原産地である広島では8月下旬頃に収穫時期を迎えます。花振るい（受粉不良）や無核果粒（種なしの粒）が発生しやすい傾向にありますが、裂果（実割れ）は比較的少なく、果梗（軸）の強さは中程度、果梗と果粒の分離は比較的容易です。ただし、日持ちが短いとされており、購入後はできるだけ早く食べるようにしましょう。他の品種との比較では、「紅伊豆」と比較して、粒のつき方が粗いこと、果粒の形が倒卵形であること、果皮と果肉の分離が難しいことなどが挙げられます。「オリンピア」や「レッドクイーン」と比較すると、葉柄の色が濃い紅色であること、果粒の形が倒卵形であることなどで区別できます。さらに、「竜宝」と比較すると、果房の大きさが小さいこと、果皮の色が赤色であることなどで区別できます。

実際に安芸クイーンを食べてみると、今回手に入れた広島県産のものは、粒のサイズが巨峰に匹敵するほど大きく、色も十分に赤みがかっていますが、粒によってはまだ緑色が残っているものもありました。果肉の食感は巨峰に似ていますが、巨峰に比べると皮が薄く感じられ、色が薄いためか、皮由来の渋みが少なく、皮ごと食べてもあまり気にならないという人もいるかもしれません。しかし、皮は丈夫なので、皮ごと食べると口の中に残りやすいと感じる人もいます。皮だけだと渋みを感じるため、少しもったいない気もしますが、皮を剥いて食べた方がより美味しく味わえるでしょう。甘味は非常に強く、それに程よい酸味が加わることで、全体として甘さが際立つバランスの良い味わいが楽しめます。非常に甘みが強いため、人によっては味が濃すぎて喉に刺激を感じるほどかもしれません。そのため、一気に食べるよりも、一粒ずつゆっくりと味わうのがおすすめです。せっかく美味しいぶどうなので、ゆっくりと堪能しましょう。果肉はとても柔らかく、果汁が豊富で口当たりが良いのが特徴です。ほとんどの場合、簡単に噛み切れますが、わずかに弾力を感じる部分もあります（おそらく粒の中心部分）。気になるほどではありませんが、これも安芸クイーンならではの食感と言えるでしょう。種がほとんど入っていないため、食べやすいのも魅力です。あまり市場で見かける機会は多くないかもしれませんが、とても美味しいぶどうなので、見かけたらぜひ試してみてください。また、店頭に並ぶぶどうの多くは種がありませんが、これは品種改良によるものではなく、開花した花穂をジベレリンという植物ホルモン剤に浸すことで、種子が形成されるのを防ぐ『種なし処理』を行っているためです。この処理は種をなくすだけでなく、結実、肥大化、着色を促進する効果もあります。一方で、ぶどう本来の力と自然のリズムを尊重し、あえてホルモン剤を使用しない「種あり葡萄」を栽培する生産者もいます。種ありぶどうは、肥大化を促さないため、粒の大きさが不揃いであったり、見た目が美しくないと感じられることもありますが、味が濃く凝縮され、ぶどう本来の深い味わいを堪能できるのが魅力です。安芸クイーンにも、そのようなこだわりを持って栽培された「種あり葡萄」が存在し、より自然に近い状態で育まれた濃厚な風味を味わうことができます。

安芸クイーンを選ぶ際は、鮮やかな紅色を堪能するために、房全体が均一に濃い紅色に染まっているものを選びましょう。色の濃さは、ぶどうの熟度と甘さを示す目安になります。部分的に緑色が残っている粒がある場合でも、赤く染まっている部分が多いものを選ぶのがおすすめです。また、粒の大きさと、果皮にハリとみずみずしさがあるかどうかも重要なポイントです。粒がふっくらとしていて、表面にシワがなく、ツヤがあるものが新鮮な証拠です。さらに、軸が青々としているものは収穫されてから日が浅く、鮮度が良いサインです。軸が茶色く枯れているものは、鮮度が落ちている可能性があります。果皮に白い粉（ブルーム）が薄く付着していることも、新鮮さの証です。ブルームはぶどう自身が作り出す天然の保護成分で、鮮度を保つ役割があります。ブルームは安全ですが、ぶどうの衛生のために、食べる前に必ず洗いましょう。触ったときに粒がポロポロと落ちやすいものは、鮮度が落ちていたり、輸送中に衝撃を受けた可能性があるため、避けるのが無難です。これらのポイントを総合的に確認することで、より高品質で美味しい安芸クイーンを選ぶことができます。

安芸クイーンは、その美味しさを最大限に楽しむために、適切な方法で保存することが大切です。農林水産省の品種登録データベースによると、日持ちは短いとされているため、購入後はできるだけ早く食べるのがおすすめです。しかし、すぐに食べきれない場合でも、鮮度をできるだけ長く保つための方法があります。最も重要なのは、乾燥を防ぐことです。購入後は、房をそのままラップや新聞紙で丁寧に包むか、ポリ袋に入れるなどして、ぶどうが空気に触れる面積を減らしましょう。保存場所としては、冷気が直接当たらない涼しい冷暗所が理想的ですが、夏場など室温が高い場合は、冷蔵庫の野菜室での保存が適しています。冷蔵庫で保存する際は、ぶどうが冷えすぎないように、他の食品と分けて保存することで、低温障害を防ぎ、風味を損なわずに保存できます。

もし、大量に購入した場合や、長期保存を考えている場合は、冷凍保存も効果的です。冷凍する際は、まず粒を軸から丁寧に外し、ハサミで軸を少しだけ残してカットすると、解凍後の品質が保たれやすくなります。軸から外した粒は、水洗いして水気をしっかりと拭き取ってから、重ならないように保存用袋（ジップロックなど）に入れ、袋の中の空気をできるだけ抜いてから冷凍庫で保存します。これにより、ぶどう同士がくっつくのを防ぎ、必要なときに必要な量だけを取り出して楽しむことができます。冷凍したぶどうは、完全に解凍するよりも、半解凍の状態でシャーベットのようにして食べるのがおすすめです。ひんやりとした食感と凝縮された甘みが、夏の暑い日にぴったりのデザートになります。また、冷凍ぶどうはスムージーの材料としても活用できます。

安芸クイーンは、甘く香り高い果肉を存分に楽しむために、皮を剥いて食べるのが一般的です。他の品種に比べて皮が厚めなので、皮ごと食べるのはあまり向いていないと感じる人が多いかもしれません。しかし、実際に食べてみた感想としては、巨峰に比べて皮が薄く、渋みが少ないため、皮ごと食べても気にならないという意見もあります。ただし、皮は丈夫なので、皮ごと食べると口の中に残りやすいと感じる人もいます。皮だけだと渋みを感じるため、少しもったいない気もしますが、皮を剥いて食べた方が、安芸クイーンの美味しさを最大限に味わえるでしょう。この点は個人の好みによって異なるため、まずは少量で試してみるのも良いでしょう。一般的に皮をスムーズに剥くコツは、軸側の穴から剥くのではなく、軸とは反対側の先端にナイフで軽く十字に切り込みを入れることです。この切り込みから、みかんの皮を剥くように皮を剥いていくと、比較的簡単に果肉を取り出すことができます。この方法を試すことで、安芸クイーンのジューシーな果肉を存分に味わうことができるでしょう。

もし、皮を剥くのが面倒な場合や、手軽に食べたい場合は、粒をそのまま口に入れ、果肉を押し出して食べることも可能です。ただし、安芸クイーンは皮離れが悪い場合もあるため、この方法だと多少食べにくさを感じるかもしれません。しかし、この食べ方でも、強い甘みと豊かな香りを十分に楽しめます。また、安芸クイーンはそのまま食べるのが一番ですが、鮮やかな赤色と上品な甘みは、デザートや料理のアクセントとしても活躍します。例えば、フルーツサラダに加えたり、ヨーグルトやアイスクリームのトッピングにしたりすると、見た目も華やかになります。タルトやケーキの材料としても利用でき、甘さと香りがデザート全体の風味を引き立てます。さらに、ぶどうジュースやジャムに加工するのも良いでしょう。特に冷凍したぶどうは、半解凍でシャーベットとして楽しむ以外にも、凍ったままスムージーに加えることで、自然な甘みととろみをプラスできます。どのような方法を選ぶにしても、安芸クイーンならではの強い甘みと豊かな香りを楽しんでください。

安芸クイーンが最も美味しくなる旬は、夏が終わる頃から秋にかけてです。開発地である広島県では8月下旬頃から収穫が始まりますが、産地やその年の気候によって収穫時期は多少異なり、おおよそ8月中旬から10月頃までが市場に出回る期間となります。みずみずしく、甘みの強い安芸クイーンを味わいたいなら、この時期を目安に探してみるのがおすすめです。

安芸クイーンの主要な産地については、政府が発表している「令和4年産特産果樹生産動態等調査」のデータから詳しく知ることができます。この調査によると、安芸クイーンの全国での栽培面積は合計27.5ヘクタールでした。中でも最も広い栽培面積を誇るのは岡山県で、約6.3ヘクタールを占めており、これは全国の作付面積のおよそ22％に相当します。岡山県は、温暖な気候と豊かな自然環境に恵まれ、様々な種類の果物栽培が活発な地域として知られ、ぶどう栽培においても重要な役割を担っています。次に作付面積が多いのは山形県で、約4.6ヘクタールとなっています。山形県も、盆地特有の昼夜の温度差が大きい気候がぶどう栽培に最適で、高品質なぶどうが生産されています。そして第3位は、安芸クイーン発祥の地でもある広島県で、約4.3ヘクタールの作付面積です。広島県は、長年のぶどう栽培の歴史があり、その品質の高さは広く知られています。ちなみに、2022年産のデータには含まれていませんが、平成23年産の調査では三重県が岡山県に次いで2番目に広い11.4ヘクタールで栽培されていました。記録にはありませんが、現在も三重県で安芸クイーンの栽培は続けられており、「伊賀乙女」という独自のブランド名で販売されています。これらの主要産地から出荷される安芸クイーンは、それぞれの土地の特性を生かした、質の高いぶどうとして消費者に届けられています。統計データを公表している都道府県のみがランキングに掲載されているため、データがない都道府県は含まれていませんが、日本各地で栽培が試みられています。

統計データに現れる主な産地以外にも、品質向上に独自の工夫を凝らす生産者が各地に存在します。例えば、福岡県久留米市田主丸町にある「中野果実園」では、安芸クイーンを含む約50種類ものぶどうを、果樹本来の力と自然のリズムを尊重した農法で育てています。田主丸町は日本における巨峰栽培が盛んになった地として知られています。なお、品種としての巨峰が誕生したのは静岡県伊豆の国市（旧大仁町）です。中野果実園では、市場に出回るほとんどのぶどうがジベレリン処理によって種なしになっているのに対し、あえて種ありのぶどうを栽培しています。これは、開花した花穂をホルモン剤に浸けて種を溶かす処理をせず、ぶどう本来の結実・肥大化・着色のサイクルに従って、じっくりと成熟させることを重視しているためです。中野農園は有機JAS認証農場です。(出典: 中野農園公式サイト（オーガニック事業部）, URL: https://nakano-nouen.com/service/organic, 2024-10-11)除草剤で土をむき出しにする一般的なぶどう園とは異なり、草を生い茂らせることで鳥が寄り付きにくくなるという自然の力を利用しています。園内では山羊や馬が自由に歩き回り、農薬の影響を受けずに生い茂る様々な草を食べることで、枯草や糞といった有機物を分解する虫や微生物が集まり、酸素が供給され、通気性、排水性、保肥性、膨軟性に優れた健全な土壌が生まれます。さらに、堆肥、米糠、油粕などを発酵させて作る自家製有機肥料を加えることで、健康な大地から健全なぶどうが育つのを助けています。日本国内では珍しい花崗岩の砂状の土壌は水はけが良く、ぶどうの根が地中深くまで伸びて多様なミネラルを吸収します。また、大分県との県境に近い内陸部の寒暖差が大きい環境が、ぶどうに強い甘味を与える要因となっています。このように、肥大化を促進しない無化学肥料栽培の種ありぶどうは、大粒で美しい見た目では劣るかもしれませんが、糖度が18度を超えるだけでなく20度に迫るほど濃厚な味わいのぶどうに育ちます。薬品に頼らず、木からもいでそのまま食べられる安芸クイーンは、果樹本来の美味しさを追求した逸品と言えるでしょう。自然のサイクルに合わせて栽培するため、中野果実園のぶどうは一般的なものよりも結実や収穫が1ヶ月ほど遅れる傾向にありますが、樹上で完熟したぶどうは早朝から収穫され、その日のうちに発送されるなど、鮮度にも最大限の注意が払われています。

安芸クイーンは、巨峰を親に持ち、1993年に品種登録された赤色のぶどうです。1973年から20年の年月をかけて開発され、鮮やかな紅色、たっぷりの果汁、糖度20度にもなる強い甘み、控えめな酸味、そして独特のフォクシーフレーバーが特徴です。粒の大きさは巨峰と同程度の13～15gと大きく、房は250～400gで食べ応えがあります。農林水産省のデータベースでは日持ちが短いとされていますが、その優れた食味が魅力です。一般的な種なしぶどうがホルモン剤処理によって栽培されるのに対し、種ありの安芸クイーンはぶどう本来のサイクルと自然の力を活かし、凝縮された深い味わいを持つものもあります。選ぶ際には、房全体が紅色で、粒にハリとみずみずしさがあり、軸が緑色でブルーム（白い粉）が付いているものを選ぶと良いでしょう。ブルーム自体は無害ですが、衛生のために必ず洗ってから食べましょう。皮はやや厚めですが、巨峰よりも薄く渋みが少ないため皮ごと食べても気にならないという意見と、皮が厚く口に残るので剥いて食べた方が良いという意見があります。一般的には、軸と反対側に十字の切り込みを入れて剥くのがおすすめです。乾燥を防ぐためにラップなどで包み、冷蔵庫の野菜室で保存し、早めに食べきるか、冷凍保存も可能です。旬は8月中旬から10月頃で、主な産地は岡山県、山形県、広島県、そして三重県（伊賀乙女ブランド）などです。また、福岡県の「中野果実園」のように、自然農法で種ありぶどうを育てるこだわりの生産者も存在し、それぞれの地域や生産者の工夫によって、安芸クイーンの多様な魅力が引き出されています。これらの情報を参考にして、安芸クイーンを存分に楽しみ、その豊かな味わいを堪能してください。

安芸クイーンは、一般的に皮がやや厚めであるため、皮を剥いて果肉だけを食べるのが一般的です。実際に試食した感想では、巨峰に比べて皮が薄く、渋みが少ないため、皮ごと食べてもあまり気にならないという意見もあります。しかし、皮が厚くて丈夫で口に残る、皮だけだと渋みを感じるという意見もあります。個人の好みや感じ方によって異なるため、少し試してみて判断することをおすすめします。

安芸クイーンは、際立つ甘さと穏やかな酸味が魅力のぶどうです。品種登録データによれば、糖度は20度前後に達することも。その甘さは非常に濃厚で、人によっては喉に刺激を感じるほどです。特徴的な芳香と調和し、上品で深みのある味わいを堪能できます。

安芸クイーンが最も美味しくなる旬の時期は、夏が終わる頃から秋にかけてです。発祥の地である広島県では8月下旬頃から収穫が始まりますが、栽培地域や気候条件によって時期は変動し、一般的には8月中旬から10月頃までが流通期間となります。自然農法で栽培された種ありの安芸クイーンは、通常の栽培方法よりも収穫が1ヶ月ほど遅れる傾向があります。

農林水産省の調査によると、安芸クイーンの栽培面積が最も広いのは岡山県で、約6.3ヘクタールです。続いて山形県（約4.6ヘクタール）、広島県（約4.3ヘクタール）が主要な産地として挙げられます。過去の調査では三重県でも広く栽培されており、「伊賀乙女」という名前で知られています。統計には含まれていないものの、福岡県久留米市田主丸町の中野果実園のように、独自の技術で高品質な安芸クイーンを生産している地域も存在します。

安芸クイーンは、品種登録データにおいて「果実の日持ちは短」とされています。そのため、購入後はなるべく早く食べることが推奨されます。すぐに食べられない場合は、乾燥を防ぐためにラップやビニール袋で包んで冷蔵庫の野菜室で保管するか、房から粒を外して冷凍保存することも可能です。

お店でよく見かける「種なしぶどう」ですが、実は品種改良によって最初から種がないわけではありません。開花時期の花穂にジベレリンという植物ホルモンを施すことで、種が形成されるのを抑制しているのです。この処理は、種をなくすだけでなく、実のつき方、大きさ、色づきを良くする効果も期待できます。対照的に、「種ありぶどう」は、このようなホルモン処理を行わず、自然のままの力で育てられます。種があるため、食べる際に少し手間がかかるかもしれませんが、その分、ぶどう本来の豊かな風味を存分に堪能できるのが魅力です。