古来より薬用植物として珍重されてきたびわの葉。この記事では、その知られざる力と、現代の暮らしに活かす知恵を紐解きます。
びわの葉とは:いにしえより伝わる薬用植物としての概説
古来より「大薬王樹」と尊ばれ、民間療法にも用いられてきたびわは、インド亜大陸や中国南部をルーツとし、食用のみならず、薬としての価値も認められてきました。日本国内では、温暖な地域を中心に栽培されており、千葉県、鹿児島県、長崎県などがその名を知られています。びわの葉や種子は、「びわの葉療法」といった伝統的な健康法に用いられ、その多様な活用法が特徴です。これらの歴史的背景から、びわの葉は単なる食物ではなく、古くから人々の健康を支える重要な植物として認識されてきたと言えるでしょう。
インドや中国におけるびわの利用法
びわはインドや中国南部が原産であり、古くから薬効や癒やしの効果が信じられてきました。その歴史は深く、『涅槃経』に「若善果報不可尽者,謗方等経,犯五逆罪,毀四重禁,一闡提罪云何可侭」などの記述は確認できるが、「びわの木」に関する直接的な記述は確認できない。(出典: 盲僧の読誦経典の源流(駒澤大学学術リポジトリ), URL: https://komazawa-u.repo.nii.ac.jp/record/2021781/files/00017295.pdf, 2017-03-31)中国では、びわの葉は「枇杷葉(びわよう)」と呼ばれ、貴重な生薬として用いられてきました。「枇杷葉」を配合した漢方薬には、「辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)」、「枇杷葉散(びわようさん)」、「枇杷葉膏(びわようこう)」などがあり、その効果は広く知られています。

日本におけるびわの歴史と民間療法への普及
日本におけるびわの葉の歴史は弥生時代に遡り、九州や四国に自生するようになりました。奈良時代には鑑真によってびわの葉療法が伝えられ、仏教医学の一環として全国に広まりました。江戸時代には、びわの葉は「枇杷葉湯」として京都や江戸で人気を博しました。「枇杷葉湯」はびわの葉に甘草や桂枝などの生薬をブレンドしたもので、夏バテや暑気あたり、日射病、軽い食あたりなどを予防する清涼剤として親しまれました。当時からびわの葉は皮膚炎の治療や美容の入浴剤としても用いられ、現代医療にもつながっています。近代に入ると、びわの葉療法は各地で民間療法として実践されるようになり、近年ではその効能が見直され、一部の医療機関でも取り入れられています。
生葉を使った湿布の歴史と利用法
昔から日本や中国では、十分に成長した厚みのある、表面が濃い緑色で光沢のある、約20センチの楕円形のびわの生葉を水に浸し、患部に貼ることで、びわの葉の成分を皮膚から吸収させる湿布として活用してきました。伝統的な方法としては、裏側の毛を取り除いたびわの葉(乾燥したものでも生葉でも可)を数枚重ねて、葉の表面を肩や腰などの痛む箇所にあてるという方法も行われています。この湿布の上から使い捨てカイロを当てると温湿布となり、びわの葉の成分が皮膚からゆっくりと浸透し、痛みを和らげる効果が期待できます。特に神経痛で悩まされる場合に試す価値があり、市販の湿布で肌荒れしやすい人でも、びわの葉湿布は比較的安心して使えるとされています。
びわの葉風呂:昔ながらの知恵と現代の活用
昔から、生のびわの葉を数枚お風呂に入れて、びわの葉風呂として利用する習慣がありました。これは、びわの葉の成分を体内に吸収させ、全身の健康を促進するための工夫です。具体的には、びわの葉を煮出してその煮汁ごと、または葉を洗濯ネットなどに入れて入浴剤として使われてきました。農作業で体の節々が痛む時や疲労が蓄積した時にびわの葉風呂に入ると、翌日の体の調子がかなり良くなると言われています。また、夏の暑さによる肌荒れやかゆみが気になる時にも、びわの葉風呂に入ることで症状の緩和が期待できます。
健康志向が高まる現代において、身近な薬草を日々の生活に取り入れることは、健康的な体作りに繋がります。この知識は、岡山県美作市の上山集落に移住し、薬草を仕事にする松原徹郎氏のような実践者によって、現代に受け継がれています。松原氏は、自然環境調査会社で長年、全国の植物調査に携わり、里山の環境変化と絶滅危惧植物の増加を目の当たりにしてきました。その経験から、里山環境を再生し維持することの重要性を感じ、上山集落への移住を決意。そこでは、地元住民と協力して耕作放棄地を再生しており、豊かな自然環境のおかげで多種多様な植物が育つ「薬草の宝庫」であることを発見しました。この経験が、過疎化が進む地域ではなく、新たな可能性を秘めた場所として上山集落を認識するきっかけとなりました。

びわの葉:採取時期と選び方のポイント
びわの葉の薬効を最大限に引き出すためには、適切な時期に良い状態の葉を採取することが大切です。びわの葉を採取するのに適した時期は、一般的に花が咲く前の最も寒い時期、具体的には「大寒(1月下旬)」頃とされています。この時期に収穫される葉は、色が濃く、厚みがあり、大きく育った古い葉が特徴です。松原氏の経験によれば、成熟した古い葉は、小さな若い葉に比べてより効果が高いと考えられています。薬用として利用する際には、できる限りこれらの条件を満たす葉を選んで収穫することをおすすめします。
びわの葉:科学的な効能と伝統的な活用法
びわの葉は昔から民間療法に用いられてきましたが、現代でも漢方薬などに使われています。ここでは、昔ながらの利用法と、近年の研究で明らかになったびわの葉の様々な効能をご紹介します。一つ目の効能は、血液浄化作用があると言われています。大阪大学医学部の安田寛之博士は、昭和12年、ビワの葉療法の動物実験を行い「血液の酸塩基平衡より観たる枇杷葉療法」という論文を発表しました。(出典: 大阪大学での研究, URL: http://www.biwa-onq.com/howto/howto-8.htm, 不明(昭和12年=1937年頃の内容))現代でも、鍼灸院などでびわの葉温灸が利用されています。特に、血液浄化作用によって、体の水分バランスが整い、足のむくみなどが改善される例も報告されています。二つ目の効能は、骨を丈夫にする効果です。ウルソール酸は、骨粗鬆症を誘導する骨密度消失の抑制能力を示すことができる。(出典: J-GLOBAL ウルソール酸 広範囲の薬理学的活性を持った五環トリテルペノイド, URL: https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=201502203674497650, 2015)温灸として使用することで骨への効果が期待できるのは、びわの葉温灸の代表的な効果と言えるでしょう。三つ目の効能は、脂肪燃焼を助け、メタボ対策に役立つことです。びわの葉を煮出して作ったびわの葉茶には、抗肥満作用、つまり脂肪を分解する作用があることが研究で示されています。乾燥させたびわの葉があれば比較的簡単に作れるので、気軽に試せるびわの葉療法のひとつです。四つ目の効能は、咳を鎮め、喘息を和らげる効果です。昔から、咳止めや喘息の症状緩和にびわの葉が使われており、咳止め用の漢方薬としても処方されています。温灸として胸や背中を温めることで、より効果が期待できます。さらに、鎮咳・去痰作用に加え、胃腸の調子を整えたり、腎臓の病気にも効果があると言われています。五つ目の効能は、化粧水として肌トラブルを防ぐ効果です。びわの葉を焼酎などに漬け込んだ「びわの葉エキス」には、殺菌・消毒・鎮痛効果があると言われています。虫刺されや口内炎の治療、ニキビ予防や乾燥肌対策の化粧水としても利用できます。ただし、びわの葉や種に含まれる「アミグダリン」という成分が癌に効果があると言われ、癌治療に用いられることがありますが、アミグダリンが癌に作用するのは、試験管内で癌細胞に直接作用させた場合に限られています。経口摂取では癌への効果は医学的に認められていません。びわの葉を利用する際は、癌への効果を期待するよりも、ご紹介した効果を期待する方が良いでしょう。びわの葉エキスとは?その特性と長期保存のコツびわの葉エキスは、びわの葉をアルコール度数の高い焼酎などに浸け込み、有効成分を抽出したものです。ご家庭でも手軽に作ることができ、焼酎に漬け込むことで品質が劣化しにくく、長期間保存できるのが魅力です。びわの葉が手に入りにくい地域の方でも、その恩恵を受けることができます。びわの葉エキスの用途は様々で、水で薄めてうがい薬として使用したり、湿布や傷、虫刺されに塗布したり、化粧水として利用したりできます。特に、湿疹や傷といった皮膚トラブルの緩和に役立つと言われています。

自宅で簡単!びわの葉エキスの詳しい作り方
ご自宅でびわの葉エキスを作る際は、以下の材料と手順を参考にしてください。びわの葉を焼酎に約2~4ヶ月間漬け込むことでエキスが抽出され、葉を取り出した後は数年間保存することが可能です。 **材料:** * 乾燥びわの葉:150g * アルコール度数35度以上の焼酎(ホワイトリカー):1.8L **作り方:** 1. 乾燥したびわの葉を、数センチ程度の大きさにハサミで細かく刻みます。 2. 刻んだびわの葉を、手で軽く揉んでください。これにより、びわの葉の成分がより抽出されやすくなります。 3. びわの葉を清潔な容器に入れ、焼酎を注ぎます。エキスをしっかりと抽出するために、アルコール度数が35度以上の焼酎を使用してください。 4. 瓶をしっかりと密閉し、直射日光を避けた冷暗所に保管します。 5. 漬け込んだ瓶を、週に2~3回程度、優しく振って混ぜ合わせます。 6. 2週間に1度、瓶の中のびわの葉を上下反転させると、エキスがより効率的に抽出されます。 7. 夏場は約2ヶ月、冬場は約4ヶ月ほどで、濃い緑色の液体ができあがります。 8. びわの葉エキスを2~4ヶ月程度漬け込んだ後、液体が茶色っぽくなったら、びわの葉を取り出します。これで、自家製びわの葉エキスの完成です。 完成したびわの葉エキスは、常温で保存しても数年間は品質を保つことができます。取り出したびわの葉は、布袋などに入れて入浴剤として再利用することも可能です。
びわの葉エキス湿布法の具体的な手順と期待できる効果
びわの葉エキス湿布法は、びわの葉エキスを含ませた布を湿布として使用し、痛みの緩和などを目的とする自然療法です。温熱効果が身体の筋肉、神経、リンパを心地よく刺激し、腰痛、膝の痛み、肩の痛み、疲労感などに効果が期待できます。副作用の心配も少なく、手軽に始められるのが特徴です。 **材料:** * びわの葉エキス * お湯(50℃~60℃) * 洗面器 * ガーゼ1枚 * タオル1枚 * 使い捨てカイロ1個 **作り方:** 1. 洗面器に少し熱めのお湯を入れ、ガーゼを浸して、軽く絞ります。 2. 絞ったガーゼに、びわの葉エキスを数滴垂らして染み込ませます。 3. 痛む箇所や不調のある部分に、エキスを染み込ませたガーゼを当てます。 4. ガーゼの上からラップを覆い、その上にカイロを乗せて、タオルで保温します。 5. そのままの状態で約20分間ほど保温します。さらに蒸しタオルの上にビニールを被せ、布団や毛布などで覆うと、より保温効果が高まります。 **注意点:** 急性の捻挫などの場合は、冷湿布を使用してください。基本的なびわの葉湿布の時間は、腹部、背部、局部それぞれ15分程度が目安です。びわの葉エキスで肌に炎症を起こす可能性もあるため、事前にパッチテストを行うことをおすすめします。
びわの葉エキス塗布法とその多様な活用方法
びわの葉エキス塗布法は、びわの葉エキスを痛みや炎症のある部位に直接塗布する方法です。びわの葉に含まれる成分には、抗菌作用や鎮痛作用があるとされ、体の腫れや炎症を鎮める効果が期待されています。口内炎、歯槽膿漏、喉の腫れや痛みなど、口内のトラブルにも利用できます。口内に塗布する場合は、刺激が強いため、エキスを3~4倍に薄めて使用しましょう。口内以外にも、おでき、ニキビ、すり傷、虫刺され、かぶれ、水虫、深爪といった症状にも効果的だと言われています。顔に塗布する場合は、次に紹介する「びわの葉化粧水」としての利用もおすすめです。
薬酒としてのびわの葉活用法(焼酎漬け)
乾燥させたびわの葉を焼酎に漬け込むことで、滋養豊かな薬酒として活用できます。この薬酒は、びわの葉茶と同様の効果が期待されており、古くから民間療法として親しまれてきました。特に、打撲や捻挫の患部に直接塗布する方法は、その効果が知られています。酷い打ち身による内出血にも、一晩塗って休むことで、痕跡が薄れ、痛みが和らぐという声もあります。内服と外用、両面からのアプローチが可能な、有用な活用法と言えるでしょう。
びわの葉化粧水の作り方と美容効果
びわの葉エキス配合の化粧水は、肌の修復力をサポートし、日々のスキンケアに取り入れることで、様々な肌トラブルの予防に役立つと考えられています。肌のキメを整え、滑らかな肌へと導く効果が期待できます。 **材料:** * びわの葉エキス:10ml * 精製水:40ml * グリセリン:0.5ml * 保存容器(60mlサイズ):1個 **作り方:** 1. 清潔な保存容器に、びわの葉エキス、精製水、グリセリンを入れ、しっかりと混ぜ合わせれば完成です。 **コツ・ポイント:** 肌質や好みに合わせて、各材料の配合量を調整してください。乾燥が気になる季節には、グリセリンの量を少し増やすと、より高い保湿効果が得られます。まれに、びわの葉エキスが肌に合わない場合があるため、使用前にパッチテストを行うことを推奨します。手作りの化粧水は防腐剤不使用のため、冷蔵庫で保管し、2週間を目安に使い切るようにしてください。
びわの葉茶の効能と安心な飲用タイミング
びわの葉茶は、ご家庭でも手軽に楽しめる健康茶です。乾燥びわの葉5~10gを、1リットルの水で煮出して、日常のお茶として飲むのが一般的です。体力低下時や、肌がデリケートな方にも穏やかに作用すると言われています。カフェインを含んでいないため、就寝前など時間帯を気にせず飲むことができます。びわの葉茶は、夏バテ対策や、食欲不振の際に飲まれ、弱った消化機能を助け、咳を鎮める効果があるとも言われています。さらに、咳止め、痰切り、胃腸の調子を整える効果に加え、腎機能への良い影響も期待されています。高齢者の足のむくみが気になり、継続的に飲用した結果、体内の水分バランスが整い、むくみが軽減したという事例も報告されています。ただし、過剰な摂取は消化不良の原因となる可能性があるため、適量を守って飲むようにしましょう。

びわの葉茶の淹れ方:手軽な煮出し法と二段階抽出法
ご自宅でびわの葉茶を淹れる方法をご紹介します。 **材料:** * 乾燥びわの葉:5~10g * 水:1L **手軽な煮出し法:** 1. 鍋に乾燥びわの葉と水を入れ、火にかけます。 2. 沸騰したら弱火にし、1~2分ほど煮出します。 3. 火を止め、茶こしで葉を濾せば、びわの葉茶の完成です。 **二段階抽出法(より効果的な淹れ方):** より成分を引き出したい場合は、以下の二段階抽出法をお試しください。 1. 採取したびわの葉は、表面の毛をブラシなどで優しく落とし、乾燥させてから2cm幅程度にカットします。 2. カットした茶葉をヤカンに入れ、水を加えて1時間以上煮詰めます。この段階で、薄い黄褐色の液体が得られます。 3. 一度冷ましてから、再度温め直すと、液体がやや赤みを帯びてきます。これを飲むことで、びわの葉に含まれる成分をより効率的に摂取できます。
◎川野 恵
古来より日本人の暮らしを支えてきた「びわ 葉」。健やかな血液や丈夫な骨づくりをサポートしたり、抗菌作用や脂肪分解効果が期待されるなど、様々な恩恵をもたらすと伝えられています。しかし、びわ 葉の効果に期待して用いられる方法は、あくまでも民間療法の一環であることを理解しておきましょう。民間療法は、科学的な裏付けに乏しい側面があるため、医薬品のような確実な効果を期待するのは禁物です。また、びわ 葉の効能を活かす方法は多岐にわたり、どれも試してみたくなるかもしれません。しかし、まずは一つずつ試してみるのが賢明です。どんなに体に良いとされるものでも、人によって作用の仕方は異なります。ご自身の体とじっくり向き合いながら、びわ 葉との上手な付き合い方を見つけていきましょう。給食委託会社や仕出し弁当屋での献立作成を経て、出産を機にフリーランスとして活動を開始。現在は、フリーランスの管理栄養士として、レシピ開発や栄養に関する記事の執筆、外食チェーン店でのヘルシーな食事の提案などを行っています。また、クリニックでは、生活習慣病に悩む方々への栄養指導にも従事。「身体は食べ物でできている」という意識を大切にし、健康的な生活を送れるよう、多くの方々をサポートできる管理栄養士を目指しています。SNSやブログを通じて、・管理栄養士として栄養指導に挑戦したい!・健康診断で血圧や血糖値の結果に注意された!・美味しく食べて綺麗に痩せたい!といった悩みを抱える方々へ、解決策となる情報をお届けしています。
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まとめ
古来より「大薬王樹」と称されるびわの葉は、その多様な恩恵から、食の用途はもとより、薬としても珍重されてきました。現代の研究によっても、血液浄化作用、骨の健康維持、脂肪への働きかけ、咳や喘息の緩和、肌の悩みの予防といった効果が期待されています。特に、薬草としての利用法は、先人たちの経験と工夫によって培われ、現代における健康維持にも活かされています。びわの葉から抽出したエキスやびわの葉茶、さらには生の葉を使った湿布や入浴剤など、家庭で容易に取り入れられる方法も多く、日々の健康をサポートする民間療法として、今もなお広く活用されています。ただし、アミグダリンが癌に効果があるといった情報については、科学的な確証が得られていないため、過度な期待はせず、専門家の意見も参考にしながら、ご自身の体調と相談しつつ適切に利用することが大切です。この自然からの恵みを上手に活用し、健やかな毎日を送りましょう。
びわの葉とはどんな植物ですか?
びわの葉は、昔から「大薬王樹」と呼ばれており、そのルーツはインドや中国南部にあります。日本国内では、千葉県、鹿児島県、長崎県などが主な産地として知られ、食用としてだけでなく、「びわの葉療法」として様々な形で活用されています。
びわの葉は昔からどのように使われてきたのですか?
インドの仏教経典である「涅槃経」には、「大薬王樹」や「無憂扇」としてその薬効が記されており、中国では「枇杷葉」として漢方薬の成分として用いられてきました。日本においては、弥生時代から自然に生えており、奈良時代には鑑真和尚によって仏教医学の一部として広められました。江戸時代には「枇杷葉湯」として一般の人々に親しまれる飲み薬となり、皮膚の炎症を抑える治療や美容のための入浴剤としても用いられてきました。さらに、生の葉をそのまま湿布として使ったり、煮出した葉をお風呂に入れたりする方法も、古くから伝わる利用法です。
びわの葉には、どのような効果が期待できますか?
最近の研究では、血液をきれいにする作用(体をアルカリ性に保ち、むくみを改善する)、ウルソール酸による骨の健康を維持する効果、びわの葉茶による抗肥満作用(脂肪への働きかけ)、咳や喘息を鎮める効果、胃腸を整える効果、腎臓の健康をサポートする効果、そしてびわの葉エキスによる殺菌・消毒・痛みを和らげる効果などが期待されています。
びわの葉エキス、その作り方と保存について
びわの葉エキスを手作りする際は、まず乾燥びわの葉約150gを細かく刻みます。葉を手で軽く揉むことで、有効成分が抽出しやすくなります。35度以上の焼酎1.8Lを用意し、刻んだ葉を漬け込みます。その後、冷暗所で2~4ヶ月ほど静置し、週に数回程度瓶を振って混ぜ合わせます。エキスが完成したら、常温で長期間保存することが可能です。また、びわの葉を焼酎に漬け込んだ薬酒も、同様の手順で作ることができます。
びわの葉エキスの活用方法とは?
びわの葉エキスは、様々な用途で活用できます。例えば、水で薄めてうがい薬として使用したり、温湿布として腰痛や関節痛の緩和に役立てたりできます。また、切り傷、虫刺され、口内炎、ニキビ、乾燥肌といった肌のトラブルには、化粧水のように直接塗布することも可能です。薬酒として作られたものは、打ち身や捻挫などの症状がある患部に塗布することで、効果が期待できます。
びわの葉に含まれるアミグダリンと癌への影響について
びわの葉に含まれるアミグダリンが癌に効果があるという情報がありますが、これは試験管内での研究結果に基づいたものであり、経口摂取による癌への効果は医学的に認められていません。アミグダリン以外の、びわの葉が持つ様々な有効成分に目を向けることを推奨します。
びわの葉、採取に最適な時期とは?
びわの葉の薬効を最大限に活かすためには、採取時期が重要です。最も推奨されるのは、花が咲く直前の、一年で最も寒い時期である「大寒(1月下旬)」頃です。この時期に採取できる、色が濃く、肉厚で成熟した葉が、特に薬効成分を豊富に含んでいると言われています。
【注意喚起】本記事で紹介する内容は、びわの葉の伝統的な利用法や関連する研究に関する情報提供を目的としており、医薬品的な効果効能を保証するものではありません。病気の診断、治療、予防を目的としたものではなく、医療行為に代替するものでもありません。持病のある方、妊娠中の方、アレルギー体質の方などが利用を検討される場合は、必ず事前に医師や専門家にご相談ください。