食物アレルギーとは、特定の食べ物を摂取することで、免疫反応が過剰に働き、体にさまざまな症状が現れる状態です。アレルギー反応は人によって異なり、軽いかゆみから命に関わるアナフィラキシーショックまでさまざまです。
食物アレルギーを持つ人にとって、どんな食品にどのようなアレルゲンが含まれているかを知ることは非常に重要です。この記事では、アレルゲン表示のルールや、食品を選ぶ際の注意点についてわかりやすく解説します。
アレルゲン表示とは?
アレルゲン表示とは、食品に含まれるアレルギーの原因となる成分(アレルゲン)を、消費者が分かるように明記する制度のことです。これにより、食物アレルギーを持つ方が安全に食品を選ぶことができるようになっています。
必ず表示が必要な特定原材料:8品目
消費者庁は、食物アレルギーの発症件数や重篤度の観点から、特に注意すべき8品目を「特定原材料」として表示を義務づけています。
特定原材料(表示義務のある8品目)
- 卵
- 乳
- 小麦
- えび
- かに
- くるみ
- 落花生(ピーナッツ)
- そば
これらのアレルゲンは、食品の製造や加工の過程で微量でも含まれていれば、商品パッケージなどに表示する必要があります。
表示が推奨される特定原材料に準ずるもの:20品目
上記8品目以外にも、アレルギーの報告件数が多く、重篤な症状が報告されている品目があります。これらは「特定原材料に準ずるもの(推奨表示品目)」として、表示が推奨されています(任意表示)。
特定原材料に準ずる20品目(推奨表示)
- あわび
- いか
- いくら
- オレンジ
- カシューナッツ
- キウイフルーツ
- 牛肉
- ごま
- さけ
- さば
- 大豆
- 鶏肉
- バナナ
- 豚肉
- まつたけ
- もも
- やまいも
- りんご
- ゼラチン
- アーモンド
これらの品目は表示義務はないものの、多くのメーカーが自主的に記載しています。
アレルゲン情報の伝え方:個別記載と包括記載
食品に含まれるアレルゲンを消費者に伝える方法として、個別記載と包括記載の二つが存在します。個別記載では、使用されている個々の原材料について、それぞれアレルゲン情報を明確にします。一方、包括記載では、原材料名のリストの最後に、まとめてアレルゲン情報を記載します。いずれの方法を選択するにしても、消費者がアレルゲンを容易に認識できるよう配慮することが重要です。
個別記載の具体例
特定原材料そのものを原材料として使用している場合、あるいは特定原材料に由来する添加物を食品に使用している場合に、この方法が用いられます。
包括記載の具体例
原材料名のリストの後に、括弧を用いてアレルゲンをまとめて記載する方法です。
重複するアレルゲン情報の省略について
同一のアレルゲンが複数の原材料に含まれている場合、その表示を繰り返すことは必ずしも必要ではありません。ただし、消費者が誤解することのないよう、適切な表示方法を選ぶことが求められます。
コンタミネーション(意図しない混入について)
コンタミネーションとは、意図せずにアレルギー物質が混入することを意味します。製造の過程で、特定のアレルギー物質を含む製品と含まない製品が、同じ製造ラインを使用している場合などに発生する可能性があります。コンタミネーションが発生する可能性がある場合は、注意を促す表示を行うことが大切です。
注意を促す表示の例
「本製品の製造工場では、卵、乳成分、小麦、えび、かにを含む製品も製造しています」といった表示が一般的です。原材料の採取方法に由来する場合や、えび、かにを食べていることによって混入する可能性のある場合も、同様に注意を促す表示を行います。
食物アレルギーに関する情報提供:お弁当やレストランでの注意点
レストランや持ち帰り弁当を利用する際、アレルギー表示が義務付けられていないケースが多く見られます。そのため、お店の方に直接尋ねることが非常に大切です。消費者庁は、レストランや持ち帰り弁当における食物アレルギーに関する啓発資料を作成し、お店側とお客さんに向けて情報提供をしています。動画やリーフレットを参考に、食物アレルギーへの理解を深めることをおすすめします。
消費者向けの情報提供
レストランや持ち帰り弁当を利用する際の注意点や、情報提供の大切さ、混入(コンタミネーション)への注意など、お客さん向けに分かりやすく説明したリーフレットが公開されています。
事業者向けの情報提供
食物アレルギーをお持ちのお客さまへの対応方法や、誤って食べてしまった事例、緊急時の対応など、お店向けに具体的な対策をまとめたリーフレットが用意されています。
結び
加工食品におけるアレルギーに関する情報は、食物アレルギーを持つ方が安心して食品を選べるようにするための大切な情報です。この記事が、アレルギー表示の基本的な知識を深め、日々の食品選びに役立つことを願っています。食品を製造・販売する事業者の皆様は、正確なアレルギー情報の表示を心がけ、消費者の安全を守るように努めてください。
質問1
すべての食品にアレルギー表示は必要なのでしょうか?
いいえ、アレルギー表示が義務付けられているのは、パッケージに入れられた加工食品に限られます。スーパーやデパートで作られたお惣菜、お弁当、レストランで提供される料理などには、基本的に表示の義務はありません。
質問2
アレルギー表示で、特に表示が義務付けられている食品は何ですか?
卵、乳、小麦、エビ、カニ、クルミ、ピーナッツ、ソバの8種類です。これらは、特に注意が必要な特定原材料として指定されています。
質問3
コンタミネーションについて教えてください。
コンタミネーションとは、製造過程において、本来含まれていないはずのアレルギー物質が意図せず混入してしまうことを意味します。例えば、同じ製造ラインで異なる食品を製造している場合に、アレルギー物質が微量に混ざってしまうケースなどが考えられます。アレルギーに関する注意喚起表示がされている場合は、特に注意して確認することが重要です。