料理に彩りと風味を添えるハーブ、バジルとパセリ。どちらもよく使われますが、その違いを意識したことはありますか?見た目はもちろん、香りや味わい、栄養価も異なるため、料理によって使い分けることで、より一層美味しく仕上がります。この記事では、バジルとパセリの違いを徹底的に解説。風味や栄養の違いから、料理での使い分け、さらには代用方法まで、あなたの疑問を解消します。バジルとパセリを使いこなして、日々の料理をさらに豊かなものにしましょう。
ハーブの基礎知識とその魅力
ハーブとは、豊かな香りを持ち、人に役立つ効果をもたらす植物の総称です。語源はラテン語で「草」を意味する「herba(ヘルバ)」です。料理に風味を添えたり、肉や魚の臭みを消したりするだけでなく、ハーブの用途は非常に幅広いです。ハーブティーで心を落ち着かせたり、薬草として利用したり、虫除けにしたり、アロマテラピーでリラックスしたり、ガーデニングで目を楽しませたりと、私たちの生活の様々なシーンで活躍します。特別な知識がなくても、プランターなどで手軽に栽培できる品種も多いので、お気に入りのハーブを自宅で育てて、料理や生活に取り入れることで、日々の生活がより豊かになるでしょう。
パセリとバジルの基本情報と見分け方
パセリとバジルは、どちらも料理の彩りや香り付けに使われる定番ハーブですが、植物の種類、見た目、香りの成分には明確な違いがあります。パセリはセリ科に属し、葉が縮れた「カーリーパセリ」と、平たく切れ込みのある「イタリアンパセリ」が代表的です。カーリーパセリは見た目が華やかなので、料理の付け合わせによく使われます。一方、イタリアンパセリは、葉が平たくて柔らかく、カーリーパセリに比べて苦味が少なく、風味がまろやかです。細かく刻んでソースやドレッシングに混ぜたり、サラダ、パスタ、スープの仕上げに加えたりと、生でも加熱後でも幅広く使えます。肉や魚の臭みを和らげる効果もあるため、ブーケガルニ(香草の束)やマリネ液に加えて、風味を添えながら下味を整えるのにも役立ちます。比較的寒さに強く、日本の気候でも育てやすいので、ベランダ菜園にもおすすめです。収穫後は香りが落ちやすいので、使う直前に摘むと、風味が最大限に活かせます。カーリーパセリは見た目の美しさを重視した飾りとして使われることが多いのに対し、イタリアンパセリは料理に取り入れて味や香りを高める、実用性の高いハーブと言えるでしょう。パセリ独特の香りは「アピオール」という成分によるもので、食欲を増進させたり、腸内で有害な菌が増えるのを防ぐ効果があると言われています。肉料理の付け合わせにするだけでなく、刻んでタルタルソースに混ぜたり、スープに加えたり、バターに混ぜてパセリバターにしたり、フライの衣に混ぜたりと、様々な使い方ができます。
一方、バジルはシソ科に属し、艶のある厚い楕円形の葉を持っています。軽く指でこすると、リナロールやオイゲノールなどの芳香成分が揮発し、甘くフレッシュで華やかな香りが広がります。この香りはトマトやチーズなど、油分の多い食材と特に相性が良く、イタリア料理には欠かせない存在です。バジルには様々な種類がありますが、一般的に多く流通しているのは「スイートバジル」という品種です。トマトとの相性が抜群に良いので、トマトソースのパスタやトマト煮込みには欠かせません。たくさん手に入ったときには、松の実などと一緒にペースト状にしてジェノベーゼソースにするのもおすすめです。香りの特徴も大きく異なります。パセリは、青々しさとほのかな苦味を含んだ清涼感が特徴で、料理全体の味を引き締める役割を果たします。イタリアンパセリは、パセリ特有の青臭さが少し抑えられ、柔らかい印象の香りです。一方、バジルは甘く華やかな香りが主役になりやすく、最後に添えるだけで料理全体の印象を大きく変える力を持っています。また、加熱に対する強さも異なります。パセリは長時間煮込むと香りが弱まりますが、細かく刻んで最後に加えると清涼感が残ります。バジルも加熱すると芳香成分が揮発しやすいため、火を止めた直後に加えて余熱で香りを立たせるのが一般的です。このように、葉の形、表面の艶、こすったときの香りなど、様々な点に注目して観察することで、簡単に見分けることができます。
パセリとバジルの栄養価を徹底比較

パセリとバジルは、どちらも料理に少量添えることが多いハーブですが、含まれる栄養素には違いがあります。パセリは、ビタミンやミネラルが非常に豊富で、特にβカロテン(ビタミンAに変わる成分)、ビタミンC、ビタミンK、鉄分、葉酸などが豊富です。例えば、文部科学省のデータによると、生のパセリ100gあたりには、ビタミンCが120mg、ビタミンKが850μg、鉄が7.5mg含まれているとされています。これは、他の一般的な葉物野菜と比べても非常に高い数値です。
一方、バジルもβカロテンが豊富で、米国農務省(USDA)の食品データベースによると、抗酸化成分であるフラボノイドやポリフェノールが含まれていることが報告されています。生のバジル100gあたりには、βカロテンが5000μg程度含まれており、抗酸化作用によって体内の活性酸素を抑える効果が期待されています。また、マグネシウムやカルシウムなどのミネラルも含まれており、骨や筋肉の機能をサポートする栄養素として注目されています。ただし、どちらのハーブも、実際に摂取する量は数g程度とごく少量なので、栄養補給というよりも、日々の料理に香りや彩りを添えながら、不足しがちな微量栄養素を補うという考え方が良いでしょう。パセリは、ビタミンやミネラルの補給を意識した日常使いに、バジルは香りや風味のアクセントとしての利用に適しており、両方を上手に組み合わせることで、味と栄養のバランスを整えやすくなります。
パセリとバジルの代用は可能?代用時の注意点と判断基準
料理中にパセリやバジルを切らしてしまった際、代用できるのかどうか悩む方は多いでしょう。ハーブを別の種類で代用する際は、何を重視するかをはっきりさせることが重要です。つまり、料理の見た目を飾りたいのか、風味を足したいのかを見極める必要があります。もし見た目を重視するなら、同じセリ科で見た目や食感が似ているイタリアンパセリでカーリーパセリを代用すると、ほとんど違和感なく自然に仕上がります。しかし、風味付けを目的とする場合は、香りの性質が大きく異なるため注意が必要です。
例えば、バジルは特徴的な甘く華やかな香りを持っています。そのため、パセリで代用すると香りの方向性が大きく変わり、料理全体のバランスを崩してしまう可能性があります。逆に、バジルでパセリを代用した場合も、パセリの持つ爽やかな清涼感よりもバジルの強い香りが際立ち、本来の風味を損ねる可能性があります。味のバランスを最優先に考えて判断することで、違和感のない仕上がりになるでしょう。彩り程度であれば一時的な代用も可能ですが、料理の完成度を重視するなら、本来使うべきハーブを使用するのが一番良い方法です。
料理シーン別!パセリとバジルの最適な使い分け
パセリとバジルはどちらも料理に彩りと香りを添える役割がありますが、それぞれに適した使い方があります。料理の風味を引き締めたり、食材の臭みを抑えたい場合にはパセリが適しています。刻んで肉や魚料理のソースやパン粉に混ぜ込むと、爽やかな香りが加わり、油分の多い料理でも後味がさっぱりとします。また、カーリーパセリは見た目の装飾性が高く、料理に添えるだけで印象が引き締まります。イタリアンパセリは葉が柔らかく繊細なため、サラダやカルパッチョなど、生のまま使うのがおすすめです。パスタの仕上げに加えることで、香りを損なわずに新鮮な風味を楽しむことができます。煮込み料理やスープに刻んで加えると、爽やかな風味が全体に広がります。どちらのパセリも加熱によって香りが飛びやすいため、調理の終盤や盛り付け直前に加えることが、香りを最大限に活かすためのポイントです。
一方、バジルは香りそのものを主役にする料理に最適です。トマトソースを使った料理やカプレーゼ、ピザ、ジェノベーゼなどでは、バジルの甘く華やかな香りが料理全体の風味を決定づけます。仕上げに手でちぎって加えることで、芳香成分が立ち上がり、温かい料理にのせる場合は、火を止めた直後に加えて余熱で香りを引き出すのが理想的です。このように、清涼感と引き締め効果のあるパセリと、芳香の主役となるバジルというそれぞれの特徴を理解し使い分けることで、料理の完成度を大きく向上させることができます。
パスタ全体で味わう香りの違い
パスタにおいてハーブは、全体の味の印象を大きく左右する重要な要素です。バジルは特にトマトソース系のパスタと相性が良く、加熱することで香り成分であるリナロールやオイゲノールが立ち上がり、ソース全体に甘く華やかな風味を加えます。冷製パスタの場合は加熱しないため、葉を手でちぎって最後に加えることで、フレッシュな香りが際立ちます。また、モッツァレラチーズやパルミジャーノチーズなど乳製品と組み合わせると、脂肪分が香り成分を包み込み拡散を緩やかにするため、より長く風味を楽しむことができます。一方、パセリは爽やかでわずかに苦味のある香りが特徴で、オイルベースや魚介を使ったパスタによく合います。魚介の生臭さを抑え、オイルの重さを軽減しながら、味の輪郭をはっきりとさせる効果があります。仕上げにみじん切りを振りかけると、熱で揮発性成分が立ち上がり食欲を刺激します。また、パン粉と混ぜて香草パン粉を作り、炒めてからパスタと和えると、香りが均一に広がり、味の一体感が増します。これらの点を考慮すると、香りそのものを楽しみたい場合はバジル、引き締まった味わいとさっぱりとした後味を求めるならパセリを選ぶのが効果的と言えるでしょう。
ペペロンチーノに合うのはどちら?
ペペロンチーノはオリーブオイル、にんにく、唐辛子というシンプルな素材の組み合わせで作られる料理であり、それぞれの素材の香りのバランスが非常に重要です。そのため、ハーブを加える際には、他の素材の風味を損なわないように注意する必要があります。イタリアンパセリは、ペペロンチーノに最も自然に調和するハーブと言えるでしょう。葉を細かく刻んで火を止める直前に加え、余熱で和えることで、クロロフィル由来の青々しい香りが立ち上がり、唐辛子の辛味やにんにくの香りと調和します。この方法であれば過剰に加熱されないため、揮発性成分が失われず、爽やかで清潔感のある風味が残ります。バジルを使う場合は、リナロールやシネオールといった甘く華やかな香りが強く出るため、にんにくや唐辛子の辛味よりも強く感じられることがあります。そのため、バジルを使う場合は火を止めた後、ほんの数枚を手でちぎって加える程度に抑えると、全体のバランスが崩れにくくなります。辛味と甘味のコントラストを楽しみたい場合には適していますが、伝統的な味わいを重視するならイタリアンパセリを選ぶのが無難でしょう。
カルボナーラに添えるハーブの選択
カルボナーラは濃厚な卵とチーズの風味が特徴であるため、ハーブの使い方が料理の印象を大きく左右します。パセリ、中でもイタリアンパセリは、その爽やかな風味で、料理の最後に加えることで後味をさっぱりとさせます。また、黒胡椒の風味とも調和し、互いの風味を引き立てます。パセリは風味が穏やかなため、カルボナーラ本来の卵とチーズの風味を邪魔することなく、全体のバランスを保ちます。対照的に、バジルは香りの強い精油成分を多く含むため、加えることで甘く華やかな香りが際立ちます。ベーコンやチーズの旨味と合わさると、甘味が強く感じられ、伝統的なカルボナーラの風味とは異なる印象になることがあります。創作的なアレンジとしては良いですが、伝統的な味わいを求める場合は、少量を使用するか、トッピングとして後から加えるのがおすすめです。カルボナーラに使用する卵やチーズはカロリーや脂質が高めなので、厚生労働省の「日本食品標準成分表」などを参考に、食事全体の栄養バランスを考慮することが重要です。以上の点を考慮すると、カルボナーラにはイタリアンパセリを主体とし、風味を華やかにしたい場合にバジルを少量加えるのが、最もバランスの良い使い方と言えるでしょう。
ハーブの種類と様々な利用方法
ハーブは葉の柔らかさや香りの特性によって、料理への最適な使い方が変わります。バジルやイタリアンパセリのように葉が柔らかいハーブは、サラダに生で加えたり、加熱調理の最後に加えて、そのフレッシュな香りを活かすのに適しています。これらのハーブは香りの成分が熱に弱く、揮発しやすいため、調理の最後に加えるのがポイントです。一方、ローズマリーやタイムのように葉が硬いハーブは、加熱に強く香りが長持ちするため、煮込み料理やロースト料理など、長時間加熱する料理によく用いられます。ここでは、料理でよく使われる代表的なハーブの種類、それぞれの特徴、具体的な使い方を紹介します。
ミント
ミントの清涼感のある香りは、メントールという成分によるものです。この成分には、痛みを和らげる効果や集中力を高める効果も期待されています。ミントには数多くの種類がありますが、特に広く使われているのはスペアミントとペパーミントです。スペアミントは、甘く穏やかな香りが特徴で、ハーブティーやカクテル、デザートによく利用されます。一方、ペパーミントは、よりシャープで強い清涼感があり、消化促進や気分転換の効果が期待できるため、ハーブティーの他、アロマオイルや歯磨き粉などにも使われています。ミントはハーブティーやサラダの彩り、肉料理のソース、スイーツの風味付けなど、様々な用途で利用できる便利なハーブです。チョコミント味のアイスやお菓子が人気を集めるように、その清涼感は多くの人に愛されています。
ローズマリー
ローズマリーは、スパイシーな香りに加え、清涼感とほろ苦さが特徴のハーブです。香りが非常に強く、肉や魚の臭みを消す効果が高いため、これらの料理によく使われます。「若返りのハーブ」とも呼ばれるほど強力な抗酸化作用を持つことも、ローズマリーが注目される理由の一つです。具体的な使い方としては、肉や魚にローズマリーと油を塗ってしばらく置くことで、食材の臭みが取れ、豊かな香りが加わります。その後ソテーにすることで、香りが全体に広がり、風味豊かな料理に仕上がります。また、煮込み料理に加えて風味付けをしたり、オリーブオイルに浸して香りを移した「ローズマリーオイル」として活用するのもおすすめです。乾燥させたドライハーブは、細かく刻んでパン生地や焼き菓子に混ぜ込むことで、独特の香ばしさを加えることができます。
タイム
タイムは、爽やかで洗練された香りが魅力のハーブであり、その用途の広さからさまざまな料理で重宝されています。肉や魚料理の風味付けはもちろん、野菜や卵料理にもよく合う万能なハーブです。特に鶏肉や白身魚との相性が抜群で、グリル、ロースト、マリネ、ムニエルなどで風味を加えるのに適しています。香りが強く、加熱によって風味が損なわれにくい性質を持つため、煮込み料理に加えることで、奥深い香りを全体に染み渡らせることができます。その他、オムレツに刻んで加えたり、卵サラダに混ぜ込んで、さわやかな風味と奥行きをプラスするのもおすすめです。
オレガノ
オレガノは、刺激的な香りが特徴で、イタリア料理やメキシコ料理に欠かせないハーブの一つです。特にトマトやチーズとの相性が抜群で、ミートソース、パスタ、ピザなど、トマトをベースとした料理によく使用されます。オレガノは生のままよりも乾燥させた方が香りが強くなることで知られており、煮込み料理に加えて風味を加えたり、スープの隠し味として使用するのも良いでしょう。その独特な香りは、料理にエキゾチックな風味と深みを与えます。
セージ
セージは、特に肉料理と相性が良く、ソーセージ作りにはなくてはならないハーブです。よもぎに似た、独特で強い香りが特徴で、ほのかな苦味と渋みも感じられます。このハーブは強力な抗酸化作用を持つため、アンチエイジング効果も期待されています。活用方法としては、パスタの風味付けに使用したり、バターと混ぜて「セージバター」を作るのがおすすめです。その他、ハーブティーやスープの香り付けにも使用できますが、香りが非常に強いため、使用量には注意し、少量から試すようにしましょう。適切な量を使用することで、料理に深みと独特の風味を加えることができます。
ローリエ(月桂樹・ローレル)
ローリエは、甘く清涼感のある香りが特徴のハーブで、月桂樹やローレルとも呼ばれます。主にカレー、シチュー、ポトフなどの煮込み料理の風味付けに欠かせない存在として知られています。生の葉よりも乾燥させた方が香りが強くなるため、乾燥ローリエが一般的に使用されます。肉や魚の臭みを消したり、料理全体に上品な香りを移す効果があり、長時間煮込むことでその香りが素材に深く浸透します。また、ピクルス液に加えることで、さわやかな風味と保存効果を付与することも可能です。
コリアンダー(香菜・パクチー)について
コリアンダーは、エスニック料理には欠かせないハーブで、香菜(シャンツァイ)やパクチーという名前でも親しまれています。その独特な風味は好き嫌いが分かれることもありますが、エスニック料理に深みを与える重要な存在です。生の葉は、サラダに加えて風味と彩りを添えたり、スープや炒め物、ソースなど、さまざまな料理に活用できます。特に、タイ料理、ベトナム料理、インド料理などで頻繁に使われ、料理に本場の風味を加えます。また、コリアンダーの種子は「コリアンダーシード」として知られ、乾燥させてスパイスとして利用されます。カレーには欠かせないスパイスの一つであり、料理のベースとしてその芳醇な香りが重要な役割を果たします。
ディルの特徴
ディルは、そのすっきりとした甘い香りが特徴的なハーブで、特に魚料理との相性が抜群に良いことで有名です。中でもサーモンとの組み合わせは非常に人気があり、「サーモンのマリネ」などには欠かせないハーブとして使用されます。その爽やかな香りは、魚特有の生臭さを和らげ、料理全体の風味をより一層引き立てます。また、ピクルスの風味付けに使われることも多く、ヨーグルトやマヨネーズと混ぜてソースにすることで、魚介類やサラダに合う爽やかなディップとしても楽しめます。北欧料理や東欧料理でよく用いられ、料理に繊細で上品な香りを添える役割を果たしています。
パセリの育て方と管理
パセリはセリ科の植物で、冷涼な気候を好み、強い直射日光が長時間当たる環境は苦手です。特に、真夏の強い日差しは葉を硬くしたり、株を弱らせる原因となるため、夏場は明るい日陰で管理することが推奨されます。用土は、水はけの良さと保水性を両立した培養土を選び、pH6.0〜7.0程度の中性に調整することで、根張りが安定しやすくなります。水やりは、土の表面が乾いたタイミングで、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと与えるのが基本です。ただし、過剰な湿気は根腐れを引き起こす可能性があるため、鉢底に石を敷き、水はけを良くすることが重要です。
バジルの育て方と管理方法
バジルはシソ科の植物であり、日光と高い気温を好む性質を持っています。しかし、真夏の直射日光が長時間当たると、葉が厚く硬くなり、香りが弱まることがあるため、日中は遮光ネットなどを使用して光を和らげると良いでしょう。生育に適した気温は20〜30℃程度で、夜間の気温が15℃を下回ると生育が鈍くなるため、栽培に適しているのは春から初秋にかけての時期です。土壌は、通気性と排水性に優れた培養土を使用し、pH6.0前後を目安に調整します。発芽直後から本葉が生えるまでは乾燥に弱いため、霧吹きなどで土の表面を軽く湿らせるように管理することが大切です。
病害虫への対策と肥料の与え方
バジルとパセリ、どちらのハーブも生育期間中は、窒素、リン酸、カリウムがバランス良く配合された緩効性肥料を少量から与え始め、成長具合を見ながら徐々に追肥していくのが理想的です。肥料を与えすぎると、茎や葉が間延びしたり、病気にかかりやすくなることがあるため、肥料の量は控えめから試し、葉の色や成長の状態を観察しながら調整しましょう。病害虫に関しては、アブラムシやハダニ、うどんこ病が発生しやすいので、風通しを良くし、密集した葉は適宜間引いてください。葉の表面や裏面に虫や白い粉のようなものが付着しているのを見つけたら、被害を受けた部分を取り除き、株元の風通しを改善することで、被害の拡大を抑えることができます。
相性の良いコンパニオンプランツの組み合わせ
ハーブは単独で栽培することもできますが、互いの特性を活かせる「コンパニオンプランツ」として組み合わせることで、病害虫の予防や風味の向上に繋がります。特に、バジルとトマトの組み合わせはよく知られており、バジルの強い香りがトマトに付きやすい害虫(アブラムシやコナジラミなど)を寄せ付けない効果があると言われています。また、バジルとトマトは日当たりや水やりの好みが似ており、成長のリズムも合うため、同じプランターや畑に一緒に植えるのに適しています。株の間隔を20~30cm程度空けることで風通しが確保され、病気のリスクを減らすことができます。一方、イタリアンパセリは湿気に弱いため、密集させずに、風通しの良い場所でゆったりと混植するのが基本です。ローズマリーやタイムなど、乾燥した環境を好む他のハーブと隣り合わせる場合は、土壌の水分量を調整しやすいように鉢植えを利用したり、仕切りを設けるなどして、根の生育環境を分けるのがおすすめです。パセリとバジルは根の張り方や必要とする養分が競合しにくいため、同じプランターで栽培することも可能ですが、水はけと日当たりの両方を考慮する必要があります。このように、それぞれのハーブの生育特性や病害虫のリスクを考慮して相性の良い植物を選ぶことで、農薬の使用を抑え、より健康なハーブを育てることができます。風通し、日当たり、水分のバランスを考慮した植え付けを行うことが、長期的にハーブを元気に育てるための基本となります。
ハーブを使ったおすすめレシピ
ここでは、手軽に楽しめるハーブを使ったレシピをご紹介します。いつもの食卓にハーブの香りを添えてみましょう。
ミントティー
フレッシュミントとレモンで作る爽やかなミントティーは、気分転換したい時にぴったりの一杯です。お好みで蜂蜜や砂糖を加えても美味しくいただけます。
【材料(1人分)】ミント…10g レモンの輪切り…1枚 熱湯…250ml
【作り方】下準備:ポットとティーカップをあらかじめお湯(分量外)で温めておき、お湯を捨てておく。① ミントは丁寧に洗い、水気を切る。ミントとレモンをポットに入れる。② ①に熱湯を注ぎ、約3分ほど蒸らす。
【ポイント】・お湯はしっかりと沸騰させたものを使用してください。・レモンは皮ごと使うので、国産で農薬不使用のものを使うのがおすすめです。
まとめ
この記事では、パセリとバジルの識別ポイントから始まり、それぞれのハーブが持つ独特な香りと料理への最適な活用法、さらには栄養価の違いや代用に関する注意点、家庭菜園での育成方法までを詳しく解説しました。パセリは、その爽やかな風味で料理全体を引き締め、バジルは、甘く豊かな香りで料理の主役を飾ります。イタリアンパセリは、カーリーパセリとは異なる風味を持ち、料理の汎用性において高い評価を得ています。代用を検討する際には、見た目を重視するか、風味を重視するかを明確にすることが大切です。さらに、ミント、ローズマリー、タイム、オレガノ、セージ、ローリエ、コリアンダー、ディルといった様々なハーブの特性と活用法を紹介し、ハーブが料理だけでなく、ハーブティー、アロマテラピー、ガーデニングなど、多様な魅力を持つことをご紹介しました。適切なハーブの選択は、いつもの料理をより深く、豊かな味わいへと導きます。ハーブそれぞれの特性を理解し、上手に使いこなすことで、ご家庭の食卓はより一層彩り豊かになり、家庭菜園での栽培は、食への関心を深めるきっかけとなるでしょう。
パセリとバジルはどのように見分けられますか?
パセリはセリ科の植物で、葉が縮れているカーリーパセリと、平たい葉を持つイタリアンパセリが存在します。その香りは、清涼感があり、わずかに苦味を含んでいる点が特徴です。一方、バジルはシソ科に属し、光沢があり、厚みのある楕円形の葉を持っています。香りは甘く、爽やかで、華やかさが特徴です。葉を指で軽くこすると、リナロールやオイゲノールといった芳香成分が放出されます。イタリアンパセリは、カーリーパセリに比べて苦味が穏やかで、葉も柔らかいため、生で食べるだけでなく、加熱調理にも適しています。パセリ特有の香り成分である「アピオール」には、食欲を増進させる効果も期待できます。
料理でパセリとバジルはどのように使い分けるのが効果的ですか?
パセリは、料理の風味を引き締めたい時や、食材の臭みを抑えたい場合に効果的です。特に、肉料理や魚料理のソース、パン粉などに加えることで、爽やかな風味を加えることができます。イタリアンパセリは、生のままサラダに加えたり、パスタの仕上げに散らしたりするのにも適しています。バジルは、その香りを主役として活かしたい料理、特にトマトをベースにしたソース、カプレーゼ、ピザ、ジェノベーゼなどと非常に良く合います。どちらのハーブも、加熱によって香りが失われやすい性質があるため、調理の終盤や盛り付けの直前に加えることで、香りを最大限に引き出すことができます。
パセリとバジルではどちらが栄養価が高いですか?
パセリは、ビタミンやミネラルを豊富に含んでおり、特にβカロテン、ビタミンC、ビタミンK、鉄分、葉酸などが突出して多く含まれています。例えば、生のパセリ100gあたりには、ビタミンCが120mg、ビタミンKが850μg、鉄が7.5mg含まれています。バジルも、βカロテンや抗酸化作用を持つフラボノイド、ポリフェノール、マグネシウム、カルシウムなどを含んでいますが、全体的に見ると、パセリの方がより多くの種類の栄養素を豊富に含んでいます。ただし、どちらのハーブも、一度に摂取する量は数グラム程度と少ないため、栄養素の補給というよりも、香り付けとしての役割が大きいと言えるでしょう。













