12月フルーツ
12月になると、鮮やかな赤や黄色の果実が市場に並び始めます。寒さに耐えながら育った果物は、甘みと香りが凝縮されています。クリスマスの装飾に彩りを添えるだけでなく、この時期ならではの旬の味覚を楽しむことができます。冬の寒さに負けず、私たちに心身ともに潤いを与えてくれる12月のフルーツたちを、一緒に見てみましょう。
旬とは？
旬の食材は、その時期にもっとも味と栄養価が高くなる贈り物です。自然の循環の中で育った食材は、それぞれ最適な時期を迎えます。その食材の生育環境に恵まれた季節に収穫されるため、鮮度が保たれ、味わいが際立ちます。
旬の食材を選ぶことで、栄養価の高い新鮮な味を堪能できます。生産地からの流通過程が短いため、風味が損なわれることなく食卓に並びます。一方、旬を外れた食材は、栄養分が失われ、味や香りも薄れがちです。保存のために低温管理された食材も、味に欠ける傾向にあります。
地域ごとに旬は異なります。その土地の気候風土に合わせた旬の恵みを味わうには、地産地消を心がける必要があります。旬を意識した食生活は、健康に良い上、食材の味覚を存分に楽しめる絶好の機会なのです。
12月が「走り」の果物(フルーツ)
クリスマスシーズンの12月に入ると、鮮やかな色合いのイチゴが店頭に並び始めます。寒い時期に育つイチゴは、生育が遅いぶん、甘みが濃厚になるとされています。一方、温暖な地域で育った柑橘類も、この時期に旬を迎えます。イチゴや柑橘類は、ビタミンCを豊富に含む"走る果物"です。初物として珍重され、贈答用の高級品種も多数出回ります。
大粒で食味に優れた"デコポン"、糖度が高い"はれひめ"、種なしの"あまなつ"など、ブランド柑橘類の出番となります。形状が整った大玉のデコポンは、名前の由来通り"デコレーション・ポンカン"のごとく魅力的です。一方で、ネーブルオレンジは香り高い風味、温州みかんはジューシーな食感と甘酸っぱさが人気です。
寒冷な季節を彩る、みかん類の鮮やかな色合いは、まさに"ビタミンC"を体現しています。手軽に入手できるフルーツの中で、冬生まれのみかん類がもたらす歓びは格別なのです。
12月が「盛り」の果物(フルーツ)
旬の恵みに感謝しつつ、その味わいを心行くまで堪能できる至福のひとときといえましょう。冬の味覚を代表する柑橘類の王者、温州ミカンの中生品種が全国各地から出荷され、店頭に並びます。柑橘の仲間であるレモンも、この時期が出荷のピークを迎えます。国産のミカンとレモンが値頃な価格で手に入る絶好の機会です。
ミカンは果皮が厚く色鮮やかで、大ぶりの実から甘味が口いっぱいに広がります。栄養価も高く、ビタミンCをはじめ、骨代謝を助ける機能性成分や血行促進作用のあるビタミンPなど、健康に良い働きが期待できます。一方のレモンは、柑橘類の中でもビタミンC含有量が最も多く、爽やかな香りと酸味が魅力です。疲労回復にも効果があると言われています。
両者とも、そのままの味わいを楽しむだけでなく、ジャムやマーマレード、ドリンクやお菓子の素材などにも重宝されます。この機会に、旬の柑橘を存分に生かした加工品を手作りしてみるのも良いかもしれません。長く保存できれば、冬の味覚を通年楽しめるでしょう。
12月が「名残」の果物(フルーツ)
秋から冬にかけて、果物の収穫が終わり、貯蔵品や加工品が名残を惜しむように出回ります。この時期のフルーツは、甘みが強く味が濃厚になり、季節の移り変わりを感じさせます。旬の味わいを少しでも長く楽しむには、冷凍保存が有効な方法です。
リンゴは11月に主産地での収穫が終わり、貯蔵庫から出荷されたものが春先まで店頭に並びます。ビタミンCやポリフェノールが豊富で、くし切りにして冷凍すれば約2カ月保存可能。レモン汁を加えると酸化を防げます。
西洋ナシの代表品種「ラ・フランス」は12月頃が終了時期。フルーツそのままでも、ジャムやシャーベットにアレンジできます。皮と芯を取り除き、小分けにして冷凍庫で1カ月ほど保存できます。
カキは「富有」などの晩生種が12月に出回ります。干し柿やあんぽ柿といった加工品が3月まで出荷されます。カキは丸ごと冷凍するとシャーベット状に。皮を剥いて小分けにすれば、冷凍庫で3カ月保存可能です。
フルーツひとつひとつに、豊かな旬の記憶が宿っています。名残の味わいを堪能しつつ、次なる季節の恵みを期待しましょう。
まとめ
寒さに耐えながら実った12月のフルーツには、栄養が凝縮されています。柑橘類の爽やかな香りと酸味、イチゴの甘酸っぱい味わい、温かいお鍋にぴったりの柚子は、この時期ならではの味覚体験です。クリスマスの装飾にも映える鮮やかな色合いは、寒い冬に彩りと元気を与えてくれます。美味しく栄養たっぷりの恵みに感謝しながら、12月のフルーツを心ゆくまで堪能しましょう。