甘酸っぱくて美味しいさくらんぼ。ついつい種ごと飲み込んでしまうことはありませんか？ 実はさくらんぼの種には、少量ながらも有害な成分が含まれているため、注意が必要です。この記事では、さくらんぼの種に含まれるアミグダリンという物質が、体内でどのような影響を及ぼすのかを解説します。万が一、種を飲み込んでしまった場合の対処法や、安全にさくらんぼを楽しむための知識を身につけ、美味しく安全なさくらんぼライフを送りましょう。
さくらんぼの種は飲み込んでも大丈夫？気になる毒性
さくらんぼの種は、なるべく口にしない方が賢明です。うっかり少量飲み込んでしまった程度であれば心配はいりませんが、大量に摂取すると体に悪影響を及ぼすおそれがあります。さくらんぼの種には「アミグダリン」という物質が含まれており、消化の過程でシアン化水素という有害な物質に変化します。これが、吐き気や頭痛、めまいなどの不調を引き起こす原因となります。つまり、アミグダリンが「毒性」の根源なのです。
アミグダリンとは？他の果物にも含まれる？
アミグダリンは、さくらんぼに限らず、杏（あんず）や梅、スモモ、枇杷（びわ）など、バラ科サクラ属の植物の種子や、熟していない果実にも含まれています。バラ科の果物を食べる際は、種だけでなく未熟な果実にも注意し、十分に熟してから食べるように心がけましょう。以前、アミグダリンはビタミンB17と呼ばれ、抗がん作用があると喧伝された時期もありましたが、現在では科学的な根拠はないとされています。
さくらんぼの種を誤飲！そんな時の対処法
さくらんぼの種を1個か2個、誤って飲み込んでしまったとしても、神経質になる必要はありません。種を噛まずに丸ごと飲み込んだ場合は、消化されずにそのまま排泄されることがほとんどです。ただし、種を噛み砕いて大量に摂取してしまうと、シアン化合物を多量に摂取する可能性があり危険です。特に小さなお子さんにさくらんぼを与える際には注意が必要です。子供は大人に比べて体が小さいため、ごく少量でも中毒症状が現れる危険性があります。万が一、さくらんぼの種を飲み込んだ後に体調が悪くなった場合は、速やかに医療機関を受診してください。また、喉に詰まらせる可能性もあるため、種を取り除くか、目を離さないように注意しましょう。
さくらんぼの種から木は育つ？栽培は可能？
さくらんぼの種から立派な実を収穫するのは、非常に困難です。さくらんぼの木は病害虫に弱く、栽培が非常に難しいため、一般的には、丈夫な台木に接ぎ木をして栽培されます。さらに、さくらんぼは基本的に自家受粉しないため、実を結ばせるためには、相性の良い別の品種を一緒に育てる必要があります。そのため、一般家庭でさくらんぼの木を1本だけ育てて実を収穫するのは、現実的とは言えません。しかし、種から発芽させること自体は可能です。さくらんぼの種を冷蔵庫で一定期間低温処理した後、プランターなどに植えると発芽しやすくなります。観葉植物として育てるのを楽しむのは良いかもしれません。
さくらんぼの過剰摂取のリスク：お腹の不調
甘くて美味しいさくらんぼは、ついつい手が止まらなくなる魅力があります。しかし、一度にたくさん食べ過ぎてしまうと、お腹が痛くなったり、下痢になったりする可能性があります。その原因として、食物繊維の過剰摂取や、ソルビトールという成分が挙げられます。食物繊維は適量であれば便秘解消に効果的ですが、過剰に摂取すると消化不良を引き起こすことがあります。ソルビトールは、お腹を緩くする作用があることで知られています。
ソルビトールと下痢：含有量と影響について
ソルビトールは、甘味料として利用される糖アルコールの一種で、大量に摂取するとお腹の調子を崩すことがあります。アメリカンチェリーの場合、100gあたり約2.2gのソルビトールが含まれています。一般的に、下痢を引き起こす可能性があるソルビトールの量は20〜30gと言われています。これをアメリカンチェリーに換算すると、約1kg（約150個）にもなります。したがって、通常の量を食べる分には、ソルビトールが原因で下痢になる心配は少ないと考えられます。
さくらんぼの適量：1日の摂取目安量
厚生労働省・農林水産省が推奨する食事バランスガイドでは、1日に摂取する果物の目安量は200gとされています。さくらんぼ1粒は約6gなので、200gは約30粒に相当します。ただし、さくらんぼだけを食べるのではなく、他の種類の果物もバランス良く取り入れることが大切です。日常的にさくらんぼを食べる場合は、1日に100g（約15粒）程度を目安にすると良いでしょう。さくらんぼ狩りなどでたくさん食べる際は、30粒程度を目安に、食べ過ぎには注意しましょう。
さくらんぼの栄養成分：アスパラギン酸の効果
さくらんぼには、アスパラギン酸という栄養素が豊富に含まれています。アスパラギン酸はアミノ酸の一種で、体内のエネルギー代謝をサポートし、疲労回復効果が期待できます。さくらんぼ100gあたりには、約540mgのアスパラギン酸が含まれており、これはアスパラガスよりも多い量です。日々の生活にさくらんぼを取り入れて、アスパラギン酸の恩恵を受けてみてはいかがでしょうか。
さくらんぼのカロリー：他の果物との比較
さくらんぼ、特にアメリカンチェリーは、100グラムあたり約64キロカロリーです。これは他の一般的な果物と比べて、わずかに高い程度と言えます。そのため、適量を食べる分には、カロリーについて過剰に心配する必要はないでしょう。参考までに、桃は約38キロカロリー、みかんは約49キロカロリー、りんごは約53キロカロリーです。
さくらんぼの品種と旬の時期
さくらんぼは、実は桜の木から採れる果実で、正式には「桜桃（おうとう）」と呼ばれます。私たちが花見でよく目にするソメイヨシノとは、種類が異なる桜の木になります。代表的な品種としては、佐藤錦、ナポレオン、高砂などが挙げられます。国産のさくらんぼは、主に6月から7月にかけて旬を迎えます。アメリカンチェリーなどの海外産は、一年を通して輸入されていますが、特に初夏の時期に多く流通します。
子供にさくらんぼを与える際の注意点：窒息の危険性
さくらんぼは子供たちにも人気の果物ですが、丸ごと飲み込んでしまうと窒息を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。丸い形状に加え、皮が口の中に残りやすい性質があるため、特に幼い子供にとっては危険な食材と考えられています。保育園などの給食においても、取り扱いに注意が必要な食材の一つとして認識されています。
子供への安全な与え方：四等分にして種を取り除く
小さなお子様にさくらんぼを与える際には、必ず縦横に十字に切り、4分の1程度の大きさにするか、さらに小さくしてから、種を丁寧に取り除いてください。また、皮は硬めなので、小さく切ることで食べやすくなり、安全性が高まります。離乳食期の赤ちゃんに与える場合は、さらに細かく刻んでから与えるように心がけましょう。
結び
さくらんぼは、正しい食べ方をすれば美味しく安全に楽しめる果物です。種に含まれるアミグダリンという物質も、通常の食べ方では健康への影響はほとんどありません。お子様にあげる際は、種による窒息の危険性があるため、小さく切って種を取り除いてあげましょう。旬の時期には、ぜひ新鮮なさくらんぼを味わってみてください。
質問：さくらんぼの種を大量に飲み込んでしまったら、どうすれば良いでしょうか？
回答：大量に種を噛み砕いて摂取すると、体調に変化が現れることがあります。もし、頭痛や吐き気、めまいなどの症状が現れた場合は、すぐに医療機関を受診してください。
質問：さくらんぼの種を植えても、本当に実はならないのでしょうか？
回答：さくらんぼは種から育てるのが非常に難しく、実を収穫できる可能性はかなり低いと言えます。発芽自体を楽しむことはできますが、実がなることを期待するのは難しいでしょう。
質問：ダイエット中でもさくらんぼは食べても大丈夫ですか？
回答：さくらんぼは比較的カロリーが低い果物なので、量を守ればダイエット中でも安心して食べられます。食物繊維やビタミンも豊富に含まれており、美容にも良い効果が期待できます。