長野 りんご 新品種

長野県といえば、美味しいりんごの産地として有名ですが、その長野県から、また新たな魅力を持つりんごの新品種が登場しました!これまでになかった甘さと、口の中に広がる芳醇な香りが特徴で、一口食べれば、きっと誰もがその美味しさに驚くはず。今回は、この注目のりんご新品種について、その特徴や魅力、さらに開発の背景までを詳しくご紹介します。りんご好きはもちろん、新しい味覚を求める全ての人に、ぜひ知っていただきたい逸品です。

夏が旬!甘酸っぱさと滴る果汁が魅力のシナノリップとは?

秋の味覚として親しまれている、真っ赤なりんご。幅広い世代に愛される果物ですが、今回取り上げるシナノリップは、夏の到来とともに旬を迎える珍しい早生品種です。「夏のりんごは味が劣る」という概念を覆すほどの美味しさで、熱烈なファンもいるほど。長野県のみで栽培される希少な品種で、市場に出回る期間も短く、生産量も限られています。その珍しいりんご、シナノリップの魅力を詳しくご紹介いたします。

約20年の歳月をかけて誕生!長野県発のオリジナル品種「シナノリップ」

シナノリップは、2018年2月にその姿を現した、まだ歴史の浅い新しいりんごです。長野県が独自に開発したこの品種は、県内でのみ栽培が許されており、市場に出回る量が限られているため、「幻のりんご」と呼ばれることもあります。このシナノリップは、19年の歳月をかけて開発されました。長野県果樹試験場において、りんごの品種「千秋」と「シナノレッド」を掛け合わせることで誕生しました。「夏の暑い時期にも、新鮮で美味しいりんごを届けたい」という生産者の熱意が実を結び、収穫時期は8月中旬から下旬という早生品種となっています。

味よし!見た目よし!シナノリップは才色兼備

シナノリップは、その優れた風味と美しい外観から、多用途に活躍するりんごとして知られています。従来の夏どりりんごは、酸味が強く甘さが控えめなため、主に加工用として利用されてきました。さらに、りんごを鮮やかに赤く染め上げるには、日光と寒さという条件が不可欠であり、夏に収穫するりんごでこの色合いを実現するのは困難とされていました。しかし、シナノリップは夏の時期に旬を迎えるにもかかわらず、見事なまでに赤く色づく点が際立っています。

シナノリップが赤い理由

シナノリップは、その鮮やかな赤色が印象的なりんごです。この美しい赤色は、アントシアニンという色素によるもので、その生成には日光とともに低温環境が欠かせません。具体的には、20度以下の気温で日光を浴びながら果実を成長させ、糖分を蓄える過程でアントシアニンが増加します。夏の時期は日照時間は十分ですが、気温が高いため、赤くなりにくいとされてきました。しかし、品種改良により、高温環境でもアントシアニンが生成されやすいシナノリップが誕生しました。市場では赤いりんごの需要が高いため、この品種は注目されています。

シナノリップの味の特徴とは?

シナノリップは、その濃厚な甘さが際立つりんごです。しかし、ただ甘いだけでなく、程よい酸味が甘さを引き立てます。果汁が豊富で、一口食べればジューシーな果肉と、爽やかな甘酸っぱい香りが口いっぱいに広がります。特に暑い季節には、冷やして食べるのがおすすめです。シャキシャキとした食感が心地よく、食べ応えも十分です。また、普段は捨ててしまいがちな皮の部分にも、豊富な栄養と美味しさが詰まっています。ぜひ皮ごと味わってみてください。

日持ちは短め

シナノリップは、他のりんごに比べて保存期間が短めです。常温ではおよそ1週間、冷蔵保存でも2週間から長くても1ヶ月程度しか持ちません。りんごを含む農作物は、同じ品種でも収穫時期によっていくつかの種類に分けられます。シナノリップのような早く収穫される「早生品種」、シナノゴールドのように中旬に収穫される「中生品種」、そしてふじのようにシーズン後半に収穫される「晩生品種」などがあります。早生品種はシーズンの始まりを知らせてくれる存在ですが、一般的に保存性は低めです。中生、晩生と進むにつれて保存性が高くなる傾向があります。シナノリップは早生品種のため、どうしても保存期間が短くなってしまいます。有名な「ふじ」は晩生品種で、青森県では専用の冷蔵庫を使用することで2ヶ月程度保存できる場合もあるようです。このことから、シナノリップの保存期間の短さが際立ちます。保存期間が短いということは、市場に出回る期間も短く、希少な品種であると言えます。出荷量が少ない上に保存期間も短いことから、シナノリップは高い希少性を持っていると言えるでしょう。

シナノリップの適切な保存方法

保存場所は、常温の涼しい暗所か冷蔵庫が適しています。気温が高いほど熟成は進みますが、同時に劣化も早まります。長期保存を希望される場合は、ポリ袋に入れて冷蔵保存するのがおすすめです。ポリ袋に入れる理由は主に二つあります。一つは、りんごの乾燥を防ぐためです。シナノリップなど、りんごは乾燥に弱く、そのまま冷蔵庫に入れると品質が低下してしまいます。乾燥から守るためにポリ袋が役立ちます。二つ目の理由は、他の食品への影響を避けるためです。りんごはエチレンガスを放出するため、他の食品の品質を損なう可能性があります。ポリ袋に入れることで、その影響を最小限に抑えることができます。

食べ頃を逃さないために

シナノリップは、その名の通り鮮やかな赤色が特徴のりんごですが、お尻の部分の色に注目すると、その熟度を知ることができます。お尻が緑色のものはまだ熟しておらず、黄色く色づいたものが食べ頃です。お尻の色を参考に、一番美味しいタイミングで味わってみてください。

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