新緑が眩しく、爽やかな風が心地よい五月。この季節には、端午の節句を祝う伝統的な和菓子が並びます。柏餅や粽をはじめ、初夏の訪れを感じさせる涼やかな甘味も魅力のひとつです。行事の意味を味わいながら、見た目にも美しい和菓子を楽しんでみませんか?本記事では、端午の節句に欠かせない和菓子の由来や魅力、さらに季節を彩る特別な一品をご紹介します。

端午の節句の和菓子
柏餅を味わう際には、柏葉の下のお餅の形にも注目してみましょう。最近は丸いお餅も見かけますが、兜(かぶと)の形をしたものが伝統的だと言われています。兜形には「出世を願い、身を守る」という意味が込められており、ひとつひとつ職人技で包まれている和菓子もあります。
また、「とらや 赤坂店限定の錦粽(にしきちまき)」は、紅白の紐で笹を巻いており、鮮やかな色合いが邪気を払ってくれそうです。笹の中には、可愛らしいピンクと白が捻ってある外郎生地。「玉襷(たまだすき)」という銘がついており、華やかな見た目も楽しめます。
5月は新緑が美しい季節であり、和菓子もまた、その季節感を反映したものが多く登場します。行事の菓子だけでなく、花を意識した和菓子も楽しむことができます。また、5月は紫外線量が多く、暑さを感じる日もあるため、冷んやりとした食感の和菓子もおすすめです。
例えば、「鶴屋吉信の五月晴れ」は、青空にたなびく鯉のぼりをイメージした一品。柔らかい生地の中に白あんと求肥がたっぷり詰まっており、心もお腹も満たされる幸せな味わいです。

全国各地の個性あふれる和菓子
日本全国には、その土地ならではの素材や製法で作られた和菓子がたくさんあります。ここでは、端午の節句にちなんだ各地の特色豊かな和菓子をご紹介します。
鎌倉するがやの竹水ようかん:夏の涼を味わう
鎌倉・長谷寺の近くにある「鎌倉するがや」の竹水ようかんは、昭和12年創業の老舗が誇る涼菓。竹筒に入った水ようかんは、つるりとした喉越しと上品な甘さが特徴で、暑さを感じ始める5月にぴったりです。
御室和菓子 いと達の包み餅:鯉のぼりの焼き印が可愛らしい
京都の「御室和菓子 いと達」では、平安王朝時代の「かさね色目」に着想を得た包み餅が楽しめます。端午の節句の時期には、鯉のぼりの焼き印が施される特別仕様に。彩りも美しく、贈り物にも最適です。
渋谷和菓子組合の渋谷最中:花菖蒲をモチーフにした上品な味わい
渋谷の和菓子職人たちが共同開発した「渋谷最中」は、渋谷区の花・花菖蒲を象った最中種に、希少な北海道産白小豆を練り上げた白あんをたっぷり詰めた逸品。紅茶や日本酒とのペアリングも楽しめます。
安田屋の鯨ようかん:宮崎県佐土原町の伝統的な御菓子
宮崎県佐土原町に伝わる「鯨ようかん」は、柔らかい餅を餡で挟み、鯨の形に見立てた愛らしい和菓子。江戸時代に佐土原藩の母が子の健やかな成長を願って作らせたのが始まりと言われています。蓬の香る餅と、ほどよい塩気のある餡が絶妙なバランスで、さっぱりとした味わいが楽しめます。
まとめ
五月晴れの空の下、端午の節句を迎えるこの季節は、目に鮮やかな新緑が広がります。伝統の柏餅や粽に加え、緑や花をかたどった美しい和菓子、そして土地ごとの個性が光る銘菓など、多彩な味わいに出会えるのもこの時期ならではの楽しみです。心惹かれる和菓子を探し求めて、五月の食卓をより豊かなものにしてみませんか?