健康志向が高まる中、スイーツ好きにとって嬉しいニュースです。カカオ含有量が高い高カカオチョコレートが、味わいと共に健康効果も注目されています。一口食べるだけで幸福感をもたらすチョコレートですが、それが健康に寄与するとなれば選ばない理由はありません。ポリフェノールを豊富に含むカカオが、心の健康はもちろん、体にも嬉しい影響を与えることが最新の研究で明らかになってきました。美味しさと健康、両方を手に入れる高カカオチョコレートの魅力に迫ります。
カカオが多いチョコとは
最近、「カカオ70%」「カカオ80%」といった、カカオ含有量を前面に押し出したチョコレートが増えてきました。正確な定義は無いものの、70%以上のカカオを含んだものを、高カカオチョコレートと呼ぶことが一般的です。カカオ分はカカオマスやココアバター、ココアパウダーなどを含んでおり、通常の甘いチョコレートに比べるとカカオ成分が多いため、カカオ本来の香りや苦味、酸味を強く感じることができます。
カカオが豊富なチョコレートの効果①食物繊維が豊富
カカオが多く含まれるチョコレートが注目を集めているのは、豊富なカカオポリフェノールや食物繊維であるリグニンが含まれているからです。カカオポリフェノールは、カカオ豆が自身を守るために生成する抗酸化物質であり、血圧の調整にも効果が期待されています。一方でリグニンは、腸内環境を整える役割を持つカカオ豆の食物繊維の一種です。
カカオが豊富なチョコレートの効果②動脈硬化対策
動脈硬化は、動脈の血管が狭くなったり硬くなることで血液の流れが悪くなる状態で、進行すると重大な病気を引き起こす可能性があります。その原因の一つとなるのが悪玉(LDL)コレステロールで、これが血管にたまり酸化されることで動脈硬化を招くことがあります。しかし、抗酸化作用のあるカカオポリフェノールを豊富に含むチョコを摂取することで、ある程度の酸化を防ぐ効果が期待されています。研究によると、健康な男女11名を対象にカカオポリフェノールを500mg含むチョコ25gを食した結果、血流に改善が見られたと報告されています。具体的には、チョコを食べる前と摂取1.5時間後の血流を調査したところ、チョコを食べた後に血液の流れが速くなった(血流動時間の短縮)ことが、ほぼ全員で確認されています。
カカオが豊富なチョコレートの効果③血圧を低下させる研究成果も
血圧が高くなる要因の一つに、血管内部の炎症による狭窄があります。カカオポリフェノールには、血液中に吸収されることで血管の炎症を和らげる効果が期待されています1)。さらに、カカオポリフェノールを豊富に含む高カカオチョコを継続して摂取することで、血圧が正常範囲に戻るとの研究も報告されています。
カカオが豊富なチョコレートの効果④アレルギー症状を抑える可能性
アレルギーとは、本来守るべき体を免疫が過剰に反応して、鼻水やくしゃみ、かゆみなどの症状が起きる状態です。花粉症やアトピー性皮膚炎は、代表的なアレルギー疾患とされています。アレルギーは一般的に次のプロセスで起こります:①原因物質(アレルゲン)が体に接触や侵入すると抗体が作られ、その物質に過剰反応する状態になる、②アレルゲンに触れるとヒスタミンという物質が放出されて炎症に関与する、③好酸球が症状を悪化させる、といった流れです。カカオポリフェノールは、アレルギーが発生するこれらのプロセスに関与することが示されています。
カカオが豊富なチョコレートの効果④美肌効果
日光による影響を受けやすい肌は、変色や年齢の兆しに繋がることがあります。カカオに多く含まれるポリフェノールの強力な抗酸化作用は、紫外線による肌のダメージを防ぎ、健康を維持する効果があるとされています。
カカオが豊富なチョコレートの効果⑤お通じ改善
20〜30代の女性の約5〜6人に1人が「やせ傾向」にあり、ダイエットなどで食事量が少ないため便の量が減少し、便秘になりがちです。カカオに多く含まれる食物繊維であるリグニンは、小腸を通過して大腸に達し、便の量を増やすことで便秘の改善に貢献すると言われています。また、食物繊維は多くの生活習慣病の発症や死亡と関連していることが注目され、厚生労働省も多くの食物繊維を摂取することを推奨しています。
カカオが多いチョコの選び方
高カカオチョコの包装には「カカオ70%」「カカオ80%」などと、カカオ量が示されています。カカオ分を100%から減じた数値がおおよその砂糖の割合です。好みに応じて甘みやカカオの風味を選ぶのも一案ですが、健康効果を考慮する場合はカカオ含量以外の表示も重要です。
カカオ含有量表示から選ぶ方法
カカオの含有量が多くても、カカオポリフェノールが豊富に含まれているわけではありません。カカオ分とは、カカオニブ、カカオマス、ココアバターなどカカオ起源の成分を統合したものです。ただし、ココアバターにはカカオポリフェノールがほとんど含まれていないため、同じカカオ分でも成分の割合によってカカオポリフェノール量が異なります。さらに、カカオ豆の産地や品種も影響を与えるため、チョコを選ぶ際にはカカオポリフェノールの含有量を確認することが大切です。
まとめ
カカオの含有量が多いチョコは、風味が豊かでありながら、体に嬉しい多くの効果をもたらします。健康と美容のために、日々少量ずつ楽しむ習慣を始めてみてください。