クロテッドクリームは、バターと生クリームの中間のようなクリームです。「クロテッド(Clotted)」とは「凝固した」という意味で、脂肪分の高い牛乳を煮詰めて一晩寝かせ、表面に凝固した乳脂肪分を集めて作ります。イギリス南西部のデボン州とコーンウォール州が発祥で、特にデボン州では2000年以上前から作られている歴史あるクリームです。

クロテッドクリームとバターや生クリームの違いは脂肪分の多さです。バターの乳脂肪分は約80％、生クリームは約40％であるのに対し、クロテッドクリームは60％前後です。バターよりあっさりしている一方で、生クリームより濃厚な味わいで、もったりとしたクリーム状です。見た目ほどミルクの風味は強くなく、乳製品が苦手な方でも親しみやすい味わいです。

クロテッドクリームは、イギリス文化に根付く伝統的な味覚です。スコーンとの相性が抜群で、根強い人気があります。デボン州とコーンウォール州では、塗る順番を巡って熾烈な議論が交わされるほど、その食べ方へのこだわりが強いのが特徴です。

ただし、その魅力は焼き菓子との組み合わせに留まりません。新鮮なベリー類と合わせれば、ほのかな酸味とクリームの芳醇な風味が絶妙にマッチします。さらに、フルーツやナッツ、ハチミツなどの素材と組み合わせれば、デザートとしての新たな可能性も広がります。チーズケーキのトッピングにすれば、まろやかで豊かな味わいを堪能できるでしょう。

このように、クロテッドクリームは様々な調理法で活用できる万能な食材です。その魅力的な風味と食感を活かしながら、格別の一品に演出してくれます。伝統の味わいと自由な発想を楽しむ、クロテッドクリームの新しい魅力を是非お楽しみください。

クロテッドクリームは冷凍保存できないため、開封後はできるだけ早く使い切ることが大切です。スコーンに塗る以外にも様々な料理に活用して、そのおいしさを楽しんでみましょう。以下にいくつかの活用方法を紹介します。

バターの代わりに

クロテッドクリームは、バターの代わりにパンやパンケーキに塗るのがおすすめです。脂肪分が少ないため、クリーミーでありながらもあっさりとした味わいを楽しめます。

クラッカーにのせて

生ハムやトマトと一緒にクラッカーにのせると、ワインに合うオードブルになります。また、ドライフルーツやナッツと一緒にクラッカーにのせ、はちみつをかけても美味しいです。

料理の隠し味に

カレーや煮込み料理、パスタのソース、オムレツなどに隠し味として加えると、コクが増してまろやかな味わいになります。

和スイーツに

クロテッドクリームは和菓子とも相性抜群です。ゆで小豆やあんトーストにトッピングすると、手軽に和スイーツ風にアレンジできます。

はちみつを使用するレシピも紹介していますが、1歳未満の乳幼児には与えないようご注意ください。はちみつの代わりに砂糖も使えますので、お好みで調整してください。

クロテッドクリームの風味と食感を家庭で手軽に再現するレシピをご紹介します。

生クリームで作る濃厚クロテッドクリーム風

瓶に冷やした生クリームを入れ、5分ほど振るだけの簡単レシピです。生クリームがもったりとしたクリーム状になれば完成。動物性の生クリームを使うことで、濃厚でリッチな味わいが楽しめます。サクサクのスコーンとの相性は抜群、イギリス紅茶にも良く合います。

いちごジャムを加えたクロテッドクリーム風ホイップ

生クリームにいちごジャムを加えて泡立てるだけの手軽な一品です。ジャムに含まれるペクチンの働きでもったりとした食感に。いちごの香りが口いっぱいに広がり、スコーンはもちろんクッキーの間に挟んでも美味しくいただけます。

手に入りにくいクロテッドクリームを自宅で気軽に楽しめる代用レシピです。ぜひ、スコーンやお菓子作りにお役立てください。