ウェディングケーキは、新郎新婦が結婚式で切り分ける大切な儀式のひとつです。この日に華を添える美しいケーキは、祝福の気持ちを表す重要な存在です。ウェディングケーキは結婚式の象徴でもあり、様々な形や飾り付けなどデザインにもこだわりがあり、その選び方や意味するところは新郎新婦にとって大切なことのひとつとなります。
ウェディングケーキとは？由来や歴史
ウェディングケーキと聞くと、重ねられた華やかなケーキを想像するかもしれませんが、その起源は現在の形とは大きく異なります。かつては儀式的に用いられ、19世紀のイギリス王室の結婚式で初めて3段重ねのケーキが登場しました。このスタイルが現在のウェディングケーキの基盤となっています。日本では芸能人の結婚式をきっかけに広まったため、一般の認知度が高まったのです。ここでは、ウェディングケーキの歴史を追ってみましょう。
ウェディングケーキの原型は古代ローマ時代にさかのぼります。ビスケットやパンが使われ、結婚式の儀式の一環として重要な役割を果たしていました。新郎がケーキの一部を食べ、その残りを花嫁の頭にかけることで、繁栄や子宝を祈願したとされています。その後、ナッツやレーズンが加わるようになり、幸福を象徴する食材と見なされました。このように、ウェディングケーキの由来には「幸せのおすそ分け」という考え方が息づいています。
日本でウェディングケーキが登場したのは？
18世紀のイギリスで、固く焼き上げたシュガーケーキが登場しました。これはナッツやレーズンを混ぜ、砂糖でコーティングしたケーキです。当時の保存技術を考えると、シュガーケーキは長持ちするため人気を博しました。砂糖細工の装飾は特に注目され、祝宴に華を添えました。また、砂糖は当時非常に貴重な素材であり、ウェディングケーキは繁栄や幸福の象徴として広がっていきました。
19世紀、イギリスではビクトリア女王の娘の結婚式において、3段重ねのケーキが使用され、これが現代のウェディングケーキのモデルとなりました。このケーキは2メートル以上の高さがあり、精巧な装飾が施されていました。庶民はその豪華さに感銘を受け、ケーキを重ねる形で真似をしました。この時期、ケーキは幸せの象徴として「分かち合うもの」とされ、ウェディングケーキの文化が定着しました。同時期にフランスでは「クロカンブーシュ」というシュークリームを使ったケーキが流行し、子孫繁栄の象徴とされていました。
日本においてウェディングケーキが初めて登場したのは戦後の西洋文化の影響です。初めは定着せず、バブル期に芸能人の結婚式での華やかなケーキが報道されたことで広まりました。高度経済成長期には、結婚式において華やかなウェディングケーキが一般的に用いられるようになりました。最近ではフレッシュケーキが主流ですが、かつては発泡スチロール製の「イミテーションケーキ」も人気でした。
ウェディングケーキに込められた意味
ウェディングケーキには「祝福」や「子孫繁栄」、「豊かさ」といった意味が込められています。これらの意味は、ウェディングケーキが誕生した時代の風習や神話に由来します。特に小麦は繁栄の象徴とされており、食べることで幸せを願う意図がありました。また、甘いケーキは魔除けの役割も果たし、災いを遠ざけると考えられていました。3段重ねには、それぞれの段に「幸せを分け合う」という意味が込められており、ゲストや将来の子どもとの繋がりを象徴しています。
ウェディングケーキの演出にまつわる言い伝え
結婚式の中で特に盛り上がるウェディングケーキの演出には、ケーキ入刀やファーストバイト、ラストバイトがあります。それぞれの演出には、新しい家庭を築くふたりに向けた深い意味が込められています。
ケーキ入刀
ケーキ入刀は新しい生活のスタートを象徴する共同作業です。ギリシャ神話に由来し、食べ物を分け合うことが将来の繁栄を願う意義があります。最近では、ケーキにソースをかけたりする演出も人気です。
ファーストバイト
ファーストバイトは新郎新婦が互いにケーキを食べさせ合う儀式です。「一生食べるものには困らせない」という願いが込められています。特大スプーンを使う演出も多く、愛情の大きさを象徴しています。
ラストバイト
ラストバイトは、親から新郎新婦へケーキを食べさせる儀式であり、親元を離れふたりで力を合わせることを願うメッセージが込められています。また、感謝の気持ちを伝えるために友人や家族にケーキを振る舞う「サンクスバイト」という演出もあります。
まとめ
ウェディングケーキは新郎新婦にとって特別な存在であり、その選び方には深い意味が込められています。ケーキのデザインやフレーバーが二人の個性を表すだけでなく、祝福の気持ちを具現化する大切な役割を担っています。美しく心温まるウェディングケーキを選ぶことで、新しい人生の門出を華やかに飾り、幸せな思い出作りの一助となるでしょう。