2025年最新|いちご生産量ランキング【国内・世界】主要産地の品種、戦略、世界情勢を徹底解説
日本の食卓を彩り、その品質が世界中で評価されているいちご。その鮮やかな色合いは、クリスマスシーズンや春の訪れを感じさせ、店頭を華やかに飾ります。日本各地で栽培され、私たちのもとに届けられるこの果実について、本記事では2025年の最新データをもとに、国内および世界の生産量ランキングを詳しく解説します。主要産地である栃木県、福岡県、熊本県、愛知県、静岡県の特色や代表的な品種に加え、各産地のブランド戦略や生産量向上の取り組みを掘り下げてご紹介します。さらに、日本産いちごが世界市場でどのような位置を占めているのか、現状と課題、未来への展望についても考察します。いちごの生産・流通に関わる方はもちろん、いちごを愛するすべての方に、いちごの知られざる魅力をお届けします。

日本のいちご生産量ランキングと全体像

日本国内では、高度なハウス栽培技術により、全国47都道府県すべてでいちごが栽培されています。冬から春にかけて旬を迎えるいちごは、各地の生産者によって丹精込めて育てられ、様々な品種が店頭に並びます。農林水産省が発表した2022年産の野菜生産出荷統計によると、国内のいちご収穫量は年間約16万トンです。このうち、上位10県の収穫量で全体の約7割を占めており、特に1万トン以上の収穫量を誇る上位6県で、全体の過半数以上を生産しています。このデータからも、いちご生産が特定の地域に集中していることがわかります。 全国のいちご産地では、品質の向上と生産量の増加を目指し、毎年新しい品種の開発競争が繰り広げられています。この競争こそが、多様で高品質な日本産いちごの発展を支える原動力と言えるでしょう。消費者は、産地や品種の違いを意識することで、味、見た目、香りなど、それぞれの特徴を比較しながら楽しむことができ、いちごの魅力をより深く味わうことができます。例えば、大粒で強い甘みが特徴の品種、豊かな香りが際立つ品種、甘味と酸味のバランスが絶妙な品種など、各産地がそれぞれの土地の気候や培ってきた栽培技術を活かし、個性豊かなオリジナルのいちごを生み出しているのです。

都道府県別主要産地の特徴と品種

ここからは、いちごの生産量上位5県に焦点を当て、各産地が誇る特徴的な品種や独自の取り組みについて詳しく見ていきましょう。それぞれの地域の気候条件、磨き上げられた栽培技術、そして品種改良にかける情熱が、高品質ないちごを育む背景にあることをご紹介します。

栃木県の生産状況と環境要因

栃木県は、2022年産のいちご生産量において、1968年産から55年連続で全国1位の座を堅持し、作付面積においても2001年産以降22年連続で1位を誇る、まさに「いちご王国」と呼ぶにふさわしい地域です。県内全域でいちご栽培が活発に行われており、特に真岡市、栃木市、鹿沼市、壬生町、宇都宮市などが作付面積の大きい主要な産地として知られています。この圧倒的な生産量を支えているのは、栃木県特有の地理的・気候的な優位性と、最先端の栽培技術です。栃木県の冬は日照時間が長く、この豊富な日差しが、糖度の高い美味しいいちごを育てる上で非常に重要な役割を果たします。さらに、ハウス内の温度、湿度、CO₂濃度などを高度な管理システムによって細かく制御することで、安定した品質のいちご生産を実現しています。また、首都圏に近いという地理的な利点も、収穫されたばかりの新鮮ないちごを迅速に消費地へ届ける上で大きな強みとなっています。栃木県のいちご生産量は国内全体の約15.2%を占めており、その圧倒的な存在感は揺るぎないものとなっています。

栃木県の代表的な品種と特徴

栃木県は、独自性あふれる品種開発が盛んな地域です。全国トップクラスのシェアを誇る「とちおとめ」は主力品種ですが、近年は新たな期待を背負う品種が次々と登場しています。中でも「とちあいか」は、「とちおとめ」と同面積での栽培において、生育の早さ、そして約1.3倍の収穫量という高い生産性が特長です。味も良く、断面がハート型に見える可愛らしい見た目も人気の理由で、将来的に栃木県を代表する品種となる可能性を秘めています。その他、大粒で強い甘みが特徴の高級品種「スカイベリー」、珍しい白いちご「ミルキーベリー」など、バラエティ豊かな品種が栽培されています。また、いちご狩りや農産物直売所でのみ販売される「とちひめ」のような珍しい品種もあり、特別な体験を求める消費者に喜ばれています。夏から秋に収穫できる「なつおとめ」といった夏秋いちごの栽培も行われ、一年を通して市場にいちごを提供する体制が整えられています。

「いちご王国・栃木」のPR戦略

栃木県は、「いちご王国・栃木」として活発な広報活動を展開しています。2022年1月15日には、栃木県農政部経済流通課が、1月15日を「いちご王国・栃木の日」と定め、PR活動を強化すると発表しました。専用ウェブサイトを開設し、FacebookやInstagramなどのSNSを通じて、情報を積極的に発信しています。王国独自のキャラクターを設定し、「王国の歴史」として栃木県のいちご栽培の歴史を紹介したり、県内の生産者を「王国のパートナー」として紹介するなど、ストーリー性を取り入れたPRが特徴的です。さらに、新規就農に関する相談窓口や農業試験場の研究成果を王国を通じて紹介することで、生産者と消費者双方に訴求しています。
消費を拡大するためのユニークな取り組みも多数実施されています。例えば、「いちご王国・栃木」検定の実施、栃木県産いちごを使ったスイーツコンテストの開催、さらには王国の新しい名物として「いちごナポリタン」のパスタソースを開発し、ふるさと納税の返礼品として提供するなど、斬新な方法でいちごの魅力を発信しています。かつて香川県が「うどん県」として知名度を上げたように、県全体が一体となって「いちご王国」をアピールすることで、メディアへの露出が増え、着実に成果を上げています。

福岡県の生産状況と「博多あまおう」の誕生

福岡県もまた、いちごの重要な産地の一つであり、国内全体の生産量シェアは9.9%です。2022年産のデータでは、10aあたりの収量は3,950kgで全国8位ですが、作付面積は425haと全国3位で、大規模な栽培が行われています。福岡県のいちご栽培をリードしているのは、圧倒的なブランド力を誇る「あまおう」です。この品種は「あかい・まるい・おおきい・うまい」の頭文字から名付けられており、名前の通り、大粒で鮮やかな赤色の果実からあふれるジューシーさと濃厚な甘みが魅力です。近年、大粒いちごが市場のトレンドとなる中、「あまおう」はその先駆けとして高い人気を集めています。
「あまおう」は他の地域でも栽培されていますが、福岡県では生産地としての差別化を図るため、「博多あまおう」というブランド名で販売し、その希少価値と高品質を強調しています。この戦略により、「博多あまおう」は贈答品としても非常に人気が高く、ギフトに最適な高級いちごとしての地位を確立しています。県内の主な産地としては、八女市、久留米市、広川町などが挙げられます。

「博多あまおう」のプロモーションと今後の展望

福岡県とJA全農ふくれんは、「博多あまおう」のブランド価値向上に力を入れています。2022年11月15日には、JA全農ふくれんがプレスリリースを発表し、「博多あまおう」の本格的な生産販売開始から20周年を記念して、『「博多あまおう」20周年プロモーション』を大々的に展開しました。このような記念キャンペーンを通じて、ブランドの歴史と品質の高さを改めてアピールし、国内外でのさらなる需要拡大を目指しています。「博多あまおう」は、その品質の高さと戦略的なブランド戦略によって、今後も日本のいちご市場において重要な存在であり続けるでしょう。

熊本県の代表的な品種と魅力

熊本県は、国内いちご生産量の約7%を占める重要な産地です。ここでは、「ひのしずく」や「さがほのか」、「紅ほっぺ」といった定番品種が親しまれてきましたが、近年特に注目を集めているのが、熊本県生まれのオリジナルブランド「ゆうべに」です。「ゆうべに」は、2015年の「イチゴ」イヤーに誕生し、「熊本の熊」と「紅色の紅」を組み合わせて名付けられました。その名の通り、果肉まで鮮やかな赤色が特徴で、芳醇な香りと甘味・酸味の絶妙なバランスが、高い評価を受けています。
熊本県産いちごの看板品種である「ゆうべに」は、マスコットキャラクターや「くまモン」とのコラボレーションなど、積極的なプロモーション活動を通じて、全国的な知名度を着実に高めています。また、「ゆうべに」以外にも、比較的新しい品種「恋みのり」や、希少な白いちご「淡雪」なども栽培されています。「淡雪」は、鹿児島県志布志市が発祥の地ですが、熊本県内の多くの農家が生産に取り組んでおり、多様な品種展開が熊本県の大きな強みとなっています。

熊本県の栽培地域と特徴

熊本県内のいちごの主な産地は、玉名市、宇城市、阿蘇市、八代市など様々で、平野部から山間部まで、幅広い地域でいちご栽培が行われています。この多様な地理的条件を活かし、気候や土壌の違いに応じた栽培方法がとられ、それぞれの地域で個性豊かな味わいのいちごが生まれています。熊本県は、独自の品種開発力、効果的な宣伝戦略、そして広範囲な栽培地域を背景に、日本のいちご市場において独自の地位を確立しつつあります。

愛知県の生産状況と栽培技術

温暖な気候の東海地方に位置する愛知県は、いちご生産量で全国第4位を誇ります。2022年産のデータを見ると、作付面積は251haと、隣県の静岡県(293ha)に及ばないものの、10aあたりの収量は4,230kgと非常に高く、その効率的な栽培技術が際立っています。愛知県は冬季の日照時間が長く、この恵まれた自然条件が、真冬でも糖度の高い美味しいいちごを育てることを可能にしています。県内各地でいちごが栽培されており、愛西市、豊橋市、西尾市、豊川市、蒲郡市、岡崎市などが主要な産地として知られています。

愛知県の主要品種と「愛きらり」の登場

愛知県で栽培されているいちごは、「とちおとめ」、「章姫」、「紅ほっぺ」など全国的に人気の品種に加え、愛知県オリジナルの品種も存在します。その一つが、2007年に品種登録された「ゆめのか」で、大粒でジューシーな果肉が特徴です。そして2022年9月には、「ゆめのか」以来15年ぶりとなる愛知県の新しいブランド「愛きらり」が商標登録され、大きな話題を呼んでいます。これは、いちご農家や関連団体が設立した「愛知県いちご新品種ブランド化推進協議会」が中心となり、PR活動や需要拡大に向けた取り組みを積極的に展開しています。名古屋プリンスホテル スカイタワーでは、2021年2月から3月にかけて、「ゆめのか」や「章姫」といった愛知県産のいちごを使ったスイーツフェアが開催され、消費者へのアピールも積極的に行われました。
「愛きらり」の誕生は、愛知県がいちご生産において新たなブランド戦略を構築し、市場競争力をさらに高めようとしていることを示しています。高い生産技術と、地域全体で取り組むブランド推進活動によって、愛知県のいちごは今後ますますその存在感を増していくことが期待されます。

静岡県の栽培状況と気候の利点

静岡県は、いちごの栽培面積と収穫量において、前年とほぼ同水準を維持し、全国で5位の地位を占めています。この安定した生産を支えているのは、温暖な気候と適度な降水量に恵まれた、いちご栽培に最適な自然環境です。これらの自然条件が、高品質ないちごを持続的に供給する基盤となっています。県内では、伊豆の国市、函南町、三島市、裾野市などが主な産地として知られています。

静岡県の品種改良と「きらぴ香」の登場

静岡県のいちご栽培は長い歴史を持ち、1951年の「マーシャル」から始まり、「ダナー」、「春の香」、「宝交早生」、「アイベリー」、「女峰」、「章姫」と、時代とともに主要な品種が変化してきました。2003年以降は、静岡県農林技術研究所が開発した「紅ほっぺ」が主流となり、広く普及しました。「紅ほっぺ」は、大粒で香り高く、甘みと酸味のバランスが取れている点が特徴で、多くの人に愛されています。
さらに、2012年からは、同じく静岡県が開発した新しい品種「きらぴ香」の試験栽培が開始され、2023年時点での栽培面積は約5ヘクタールに達しています。「きらぴ香」は、名前が示すように、きらきらと輝くような美しい光沢と、上品な甘さと豊かな香りが特徴で、静岡県が自信を持って送り出す次世代の主力品種として大きな期待を集めています。銀座コージーコーナーでは、2024年3月に「きらぴ香苺」を使用したスイーツを販売するなど、そのブランドは全国的に認知されつつあります。静岡県は、長年にわたって培ってきた栽培技術と、新たな品種開発への積極的な取り組みを通じて、今後もいちご市場で重要な役割を果たしていくでしょう。

日本のいちご生産の現状と世界市場の動向

日本のいちごは、その優れた品質と甘さで世界的に高い評価を受けており、特にシンガポールや台湾などの富裕層から人気を集めています。しかし、世界市場全体で見ると、日本のいちごのシェアはまだ小さいのが現状です。ここでは、日本全体のいちご生産量の推移、国内の消費動向、そして世界市場における日本の位置づけについて詳しく見ていきましょう。

日本全体のいちご生産量と最近の動向

農林水産省の「野菜生産出荷統計」にある「作付面積、収穫量及び出荷量累年統計」を見ると、1980年代以降、日本のいちご生産量はいくつかの変化を経験しています。栽培面積は1980年から2015年まで減少傾向にありましたが、2015年以降はその減少ペースが鈍化しています。一方、収穫量は1980年から1990年にかけて増加した後、一時的に減少しましたが、2015年以降は増減を繰り返しながらも、わずかに増加する傾向が見られます。これは、栽培面積あたりの収穫量、つまり反収が増加していることが要因と考えられます。この背景には、品種改良の進展や、施設園芸における栽培技術(温度、湿度、CO₂濃度などの環境制御)の向上が影響していると分析できます。
一方、家計調査によると、いちごを含む青果物全体の国内消費量は減少傾向にありますが、他の果物と比較すると、いちごの消費量の減少幅は比較的小さいです。特に、コロナ禍においては、家庭での食料品消費が増加した影響もあり、いちごは比較的安定した需要が見込まれる品目となっています。これは、デザートやスイーツの材料として、またそのまま食べても美味しい果物として、消費者の生活に深く浸透していることを示しています。

ちなみに、いちごは一般的に「果物」として認識されていますが、農林水産省の分類では、メロンなどと同様に「果実的野菜」に分類されています。これは、植物学的な分類や、一年生作物としての栽培特性に基づいています。しかし、消費者にとってはビタミンCが豊富に含まれる人気の果物であり、中くらいの大きさのいちごを7~8粒食べると、一日に必要なビタミンCを摂取できると言われています。

世界のいちご生産量と日本が置かれる状況

2022年の国別いちご生産量ランキングでは、中国が335万トンで首位を独走しています。それに次ぐのが、アメリカの126万トン、トルコの73万トン、エジプトの64万トン、メキシコの57万トンです。一方、日本のいちご生産量は約16万トンで世界第11位にとどまり、世界シェアはわずか1.7%です。日本のいちごはその品質の高さから海外の富裕層にも評価されていますが、グローバル市場全体で見ると、シェア拡大に苦戦しているのが現状です。
このシェアの低さには、いくつかの理由が考えられます。まず、マーケティング戦略の弱さが挙げられます。高品質な製品を製造していても、効果的なプロモーションや海外への輸出戦略が十分ではない可能性があります。また、日本産のいちごは一般的にデリケートで、長距離輸送に適さないという課題も抱えています。さらに、国内の各産地が独自のブランドを前面に押し出す傾向が強く、結果として「日本産いちご」としての訴求力が弱まっているという側面もあります。輸出量を大きく増加させるためには、これらの問題点を克服することが不可欠です。
その一方で、近年では日本国内でも輸入いちごを見かける機会が増加しました。生鮮いちごの輸入は、国産いちごの生産が減少する夏から秋にかけて多く、主な輸入元はアメリカで、その他にはオランダや韓国などがあります。加工用として輸入される冷凍いちごは、約半分が中国産です。しかし、輸入されたいちごの品質に不安を感じる消費者が多く、夏場でも国産いちごへのニーズは根強いです。この需要に応えるため、日本では「なつおとめ」や「すずあかね」といった、夏に収穫できる「夏秋いちご」の品種開発が積極的に行われています。夏秋いちごは、需給バランスによって価格が高くなる傾向があり、ケーキ店やアミューズメントパークなど、業務用途での安定した需要が見込まれるため、収益性の高い作物として注目されています。

日本一の産地、栃木県に学ぶ!いちご生産を向上させるための3つの戦略

今後、いちごの生産量を増やし、国内の他の産地や世界の産地に負けない競争力のある産地・農家となるためには、品質の高さに甘んじることなく、地域全体で協力してマーケティングに取り組むことが重要です。ここでは、長年にわたって日本一のいちご産地としての地位を維持している栃木県が実践している、いちご生産を強化するための具体的な3つの戦略をご紹介します。

新しい時代を切り開く品種への転換:生産効率と食味の向上

栃木県では、これまでいちご生産を支えてきた主力品種「とちおとめ」から、新品種「とちあいか」への移行を積極的に推進しています。この戦略的な転換の背景には、「とちあいか」の高い生産性があります。「とちあいか」は「とちおとめ」と同じ面積で栽培した場合、生育が早く、収穫量も約1.3倍になるという高い生産効率を誇ります。これにより、農家の収入増加に貢献することが期待できます。さらに、「とちあいか」は味も優れており、断面がハート型に見えるという可愛らしい見た目も兼ね備えているため、消費者の心を掴む魅力があります。県が明確なブランド戦略を立て、主力品種の生産量を減らすという一時的なリスクを負ってでも、各農家が協力して生産を調整する姿勢こそが、強力なブランド力を維持し、次世代へと繋げるための鍵となるでしょう。

積極的なプロモーションとSNSの活用:消費拡大を目指す

現代において、効果的な商品プロモーションには、SNSやウェブサイトなどのインターネット活用が不可欠です。栃木県は、消費拡大を目指し、「いちご王国」を宣言し、専用ウェブサイトを立ち上げるとともに、FacebookやInstagramなどの主要SNSで公式アカウントを開設し、積極的に情報発信を行っています。「いちご王国・栃木」のウェブサイトでは、独自のキャラクターが登場し、栃木県のいちご生産の歴史を「王国の歴史」として紹介したり、県内の主要産地を「王国のパートナー」と位置づけて紹介するなど、ストーリー性のあるコンテンツ展開が特徴です。また、新規就農希望者向けの相談窓口や、農業試験場における最新の研究成果も紹介することで、生産者と消費者の双方に対して幅広い情報を提供しています。
これと同時に、ユニークな消費者向けキャンペーンも多数展開しています。例えば、「いちご王国・栃木」検定の創設は、いちごに関する知識を深め、愛着を育むきっかけとなっています。また、王国産いちごを使ったスイーツコンテストの開催は、プロのパティシエや一般消費者の創造性を刺激し、いちごの新しい魅力を引き出しています。さらに、王国が新たな名物として「いちごナポリタン」のパスタソースを開発し、ふるさと納税の返礼品とするなど、斬新な商品展開で話題を呼んでいます。かつて香川県が「うどん県」として県全体の知名度向上に成功したように、栃木県も県全体で徹底的なプロモーションを行うことで、「いちご王国」としてのブランドイメージを確立し、メディアにも頻繁に取り上げられるなど、着実に成果を上げています。

農業大学校に「いちご学科」を開設:未来を担う人材を育てる

「いちご王国」としての活動は、単に消費者に向けた宣伝活動だけではありません。持続可能な生産体制を維持していくためには、次世代の生産者を育てていくことが必要不可欠です。栃木県では、この課題に対して先進的な取り組みを行っています。2021年には、栃木県農業大学校に全国初の「いちご学科」を設立しました。この学科では、いちご栽培に関する専門的な知識や技術を学ぶことができ、将来のいちご生産を担う若い人材を育成することに力を入れています。
さらに、いちご生産に関する研修や体験プログラム、移住支援といった、就農を希望する人への手厚いサポート体制も整えています。これらの取り組みは、単に技術を教えるだけではなく、新規就農者が地域に根ざして生活していけるような環境づくりまで視野に入れており、意欲のある人材をいちご農家へと導く大きな力となっています。日本国内において青果全体の消費が落ち込んでいる状況でも、いちごはニーズに合わせた品種改良が各地で行われているため、比較的安定した需要があります。各産地が切磋琢磨し、品質や生産方法を向上させてきたという背景がありますが、今後は海外市場への進出や、いちご自体の消費拡大を目指し、産地の垣根を越えて農家同士が協力していくことが重要になると考えられます。栃木県の取り組みは、これからの日本の農業全体にとっても参考になる成功例と言えるでしょう。

まとめ

この記事では、2025年の最新データをもとに、いちごの生産量ランキングを紹介し、日本の主要な産地ごとの特徴、代表的な品種、そして独自のブランド戦略について詳しく解説しました。栃木県の圧倒的な生産量と革新的なプロモーション戦略、福岡県の「博多あまおう」が確立した高級ブランドイメージ、熊本県のオリジナル品種「ゆうべに」の目覚ましい成長、愛知県の高い生産効率と新しいブランド「愛きらり」、そして静岡県の温暖な気候を活かした「きらぴ香」の開発など、各産地がいちご生産にかける情熱と工夫が明らかになりました。
また、日本のいちごが世界市場で高い品質評価を得ている一方で、シェアが低い現状や、輸送・マーケティングにおける課題、そして夏秋いちごの開発による国内需要の充足と収益性向上に向けた取り組みについても深く考察しました。特に、日本一の産地である栃木県が行っている、品種の戦略的な転換、積極的なSNSを活用したプロモーション、そして農業大学校での人材育成といった地域全体での戦略は、今後の日本の農業全体にとって重要な示唆を与えてくれるでしょう。
いちごは、ただ美味しい果物というだけではなく、生産者の努力、地域の特性、そして革新的な技術と戦略が凝縮された、奥深い魅力を持つ存在です。この記事を通して、皆様がいちごに対する理解を深め、様々な品種や産地の魅力を発見するきっかけになれば幸いです。これからも、日本のいちごは進化を続け、国内外の食卓を豊かに彩り続けるでしょう。

日本で最もいちごを生産している都道府県はどこですか?

日本で最もいちごを生産している都道府県は栃木県です。2022年産の農林水産省のデータによると、栃木県は1968年産から55年連続で収穫量1位、作付面積でも22年連続で1位を誇り、「いちご王国」として広く知られています。

「とちおとめ」と「とちあいか」は何が違うのですか?

「とちおとめ」は栃木県で長年栽培されてきた主要品種であり、全国的に広く知られています。「とちあいか」は栃木県が開発した比較的新しい品種で、生産性が高く(とちおとめの約1.3倍の収穫量)、食味が優れており、断面がハート型に見えるのが特徴です。栃木県では現在、「とちおとめ」から「とちあいか」への主要品種の移行を進めています。

「あまおう」はどの地域で作られた品種ですか?

「あまおう」は、福岡県が独自に開発したオリジナルのいちごです。「あかい、まるい、おおきい、うまい」の四つの特長を表現して名付けられました。その名の通り、大粒で濃厚な甘みが特徴で、贈り物としても非常に喜ばれています。福岡県では「博多あまおう」というブランド名で、品質の向上と販路の拡大に力を入れています。

いちごは、フルーツ?それとも野菜?

多くの場合、「果物」として認識され、食されていますが、農林水産省の分類上は、メロンなどと同様に「果実的野菜」という区分になります。これは、植物学的な分類だけでなく、一年草であるという栽培方法の特徴に基づいた分類です。

暑い時期でも味わえるいちごの種類はありますか?

はい、夏の時期から秋にかけて収穫できる「夏秋いちご」という品種群が存在します。有名なものとしては、栃木県産の「なつおとめ」や「すずあかね」などが挙げられます。これらの品種は、国産いちごの供給が少なくなる夏季の市場ニーズに応えるために開発されました。特に、ケーキ店などの製菓業界からの需要が安定しています。

日本のいちごは、世界全体でどの程度の生産量を占めていますか?

2022年の統計によると、日本のいちご生産量は約16万トンで、世界ランキングでは第11位です。世界シェアとしてはわずか1.7%ですが、日本産のいちごは、その優れた品質と際立つ甘さで、海外の富裕層を中心に高い評価を得ています。

イチゴ栽培を成功させる秘訣とは?

イチゴ栽培で成果を上げるには、最適な品種を選ぶこと、温度や湿度、二酸化炭素濃度といった環境を細かく管理することが不可欠です。加えて、土壌の状態を良好に保ち、病気や害虫からイチゴを守る対策も重要になります。さらに、市場の動向を的確に把握した品種改良、SNSを駆使した積極的な情報発信、そして次世代を担う人材育成への投資など、地域全体で協力し合うマーケティング戦略も、成功への道を拓く上で欠かせない要素と言えるでしょう。
いちごの生産量ランキング