スティルトンチーズとは

スティルトンは、イギリスを代表する青カビ入りチーズの一つで、フランスのロックフォールやイタリアのゴルゴンゾーラと並ぶ世界三大ブルーチーズの地位を築いています。その名前の由来には、興味深い逸話が隠されています。

18世紀後半、レスターシャー州のある農家で作られたブルーチーズが、同州スティルトン村の旅籠で偶然味わわれた際、その絶品の味わいに宿泊客から高く評価されました。この逸話を後に旅行記に記したジャーナリストの手によって「スティルトン」の名が広く知られるようになり、イギリス代表の名産品に成長したのです。

実際の産地はスティルトン村ではなく、レスターシャー州を中心にダービーシャー州やノッティンガムシャー州にまたがる一帯です。伝統の製法を守り続けた品質の高さが認められ、1996年には欧州連合から原産地呼称保護の認定を受けました。本場の3州でつくられたものだけが、真に「スティルトン」と呼ぶ資格を与えられているのです。

スティルトンは、イギリスの伝統的なブルーチーズです。直径約20cm、高さ約30cmの円筒形をしており、重さは約8kgほどあります。現在は、ダービーシャー州、レスターシャー州、ノッティンガムシャー州の6社がPDO(原産地名称保護制度)で定められた厳格な製法で製造されています。

茶色がかったグレー色の無骨な外皮とは対照的に、中身はクリーム色の緻密な組織にグリーンの青カビが広がる、まるで大理石のような美しい姿をしています。バターを思わせるまったりとしたコクのある風味と、青カビの上品な苦みが調和し、食後にはミルクの甘み漂う青カビの香りが心地よく口中に残ります。

ホワイトスティルトンは青カビが入っていないため、熟成期間が短く、フレッシュな味わいが楽しめます。また、ブルーベリーやクランベリーなどのベリー類が入ったものも人気があります。スティルトンはデザートワインやビンテージポートワイン、ドライフルーツ、ナッツ、パン、クラッカーとの相性が抜群で、チーズプレートの主役におすすめです。

スティルトンチーズは、豊かな風味と濃厚な味わいが魅力の逸品です。この王道のブルーチーズを一層おいしく堪能するためのコツをご紹介します。

まずは常温に戻してから味わうことが大切です。冷蔵庫から出したての冷えた状態だと、芳醇な香りと味が閉じ込められてしまいます。15〜20分ほど常温に置くことで、その味わいが最大限に引き立ちます。

次に、相性のよい食材を組み合わせることで、スティルトンチーズの魅力が一層際立ちます。フルーツとの相性は抜群で、ドライフルーツのほかブドウなどのフレッシュなものとも絶妙です。野菜も良い相棒で、セロリやブロッコリー、グリーンサラダなどと合わせるのがおすすめです。

また、肉料理と合わせるのも絶品の組み合わせ。特に牛肉との相性は抜群で、焼きたてのステーキの上に薄切りを乗せるだけで、贅沢な一品に早変わりします。

さらに、お酒との相性も魅力的です。甘口のポートワインや貴腐ワインなどの濃厚な味わいが好相性で、香り高いウイスキーとの絶妙なマリアージュも楽しめます。

このように様々な食材と合わせることで、スティルトンチーズの豊かな風味と味わいが一層際立ちます。ぜひ、いろいろな組み合わせを試して、この王道の逸品を堪能してみてください。

スティルトンチーズは英国が誇る伝統的なブルーチーズで、芳醇な風味と香りが特徴的です。しかし、適切に保存しないと、その味わいが損なわれてしまいます。

理想的な保存方法は、チーズを乾燥から守るためきっちりラップに包み、さらにアルミホイルで遮光した上で冷蔵庫に入れることです。青カビは繁殖力が高いため、他の食品へ香りが移らないよう、チャック付き密閉袋に入れるのがおすすめです。

開封後はできるだけ早めに食べきり、残りは小分けにして密閉容器に入れて冷蔵庫で保管します。適切に管理すれば、おおよそ2週間程度は美味しくいただけるでしょう。

スティルトンチーズは、サラダやパスタ、前菜など様々な料理の隠し味としても大活躍します。上手に保存することで、この芳醇な味わいを最大限に堪能できます。

スティルトンチーズはその上品な風味と香り高さから、チーズの王と称されています。熟練した職人による伝統的な製法と、英国の気候風土が生み出すユニークな味わいは、世界に誇れる英国を代表するチーズと言えるでしょう。歴史と伝統に裏打ちされた逸品として、スティルトンチーズは英国の食文化を象徴する存在と言えます。