スキムミルクとは
スキムミルクは、牛乳から乳脂肪分を除去した低脂肪の乳製品です。近年、健康志向の高まりから注目が集まっており、さまざまな料理やお菓子作りに幅広く活用されています。栄養価が高く、経済的でもあるスキムミルクの特徴と利用方法について、詳しく解説していきましょう。
スキムミルクとは?
スキムミルクは、その優れた保存性と栄養価から、幅広い活用が期待できる食材です。脱脂粉乳の形態で水に溶かすことで、新鮮な牛乳と遜色のないおいしさと栄養価を手軽に手に入れられます。製造過程で脂肪分を取り除いているため、カロリーは控えめながら良質なたんぱく質を豊富に含み、さらにはビタミン、ミネラル、食物繊維などの栄養素も十分に備えています。
保存性に優れ、賞味期限は製造から1年程度と長期保存が可能です。このため、日常の食卓はもちろん、防災用の非常食としても重宝されています。一般的な牛乳に比べると風味は控えめですが、その分、様々な料理に使いやすく、アレンジの幅が広がります。ホワイトソースやスープ、菓子パンなどの調理に活用できるほか、最近では栄養強化タイプのスキムミルクも販売されており、スムージーやシェイクなど手軽な飲み物としても人気があります。
どんな味がするの?スキムミルクと水の割合は?
乳脂肪分を取り除いたスキムミルクは、牛乳のようなコクはありませんが、ほのかな甘みと優しい風味が楽しめる素朴な味わいです。水で割る際は、抜かれた水分を補う必要があるため、スキムミルクと水の割合を1対9とすると、無脂肪の牛乳に近い濃さが再現できます。
そのままでは物足りなさを感じる場合は、ハチミツやお砂糖、黒みつなどで風味を調整するとよりいっそう飲みやすくなるでしょう。様々な料理にも活用でき、控えめな味わいが際立つ万能な食材です。
パン作りにスキムミルクを使う3つの理由とは?
パンづくりにおいて、スキムミルクの使用は風味と食感の向上に欠かせない存在です。スキムミルクには以下のような魅力があります。
ふんわりとした食感が生まれる
スキムミルクは牛乳よりもグルテン形成への影響が少ないため、しっかりと捏ねつつもパンはふんわりと仕上がります。固くならず、口当たりなめらかな食感に満足できるでしょう。
ほんのり甘い風味と香りが香ばしい
乳糖や良質な脂質を含むスキムミルクを使うことで、パンにほんのりと甘い風味がつきます。さらに焼き上がった時の香ばしい香りが、おいしさを一層引き立ててくれます。
こんがりとした焼き色になる
スキムミルク中の乳糖やたんぱく質が、焼き上げる際に適度に焦げ付き、パンをきれいな焼き色に仕上げます。見た目の良さも魅力のひとつです。
スキムミルクはパンづくりに多彩な恩恵をもたらしてくれます。ぜひその魅力を活かして、おいしいパン作りを心がけましょう。
スキムミルク(脱脂粉乳)の歴史
スキムミルクは、栄養価が高く保存が利く乳製品として、その歴史は古くヨーロッパに起源を持ちます。19世紀から脱脂粉乳の技術が確立され、輸送に適していたため世界中に広まりました。第二次世界大戦中は欧米で重要な食料資源となり、戦後は発展途上国の栄養不良解消に大きく貢献しました。タンパク質、ビタミン、ミネラルが豊富なスキムミルクは、乳児や幼児の栄養補給に最適でした。
また、パン・菓子の原料としても幅広く活用されています。日本でスキムミルクが飲まれるようになったのは、戦後の食糧不足時代に救援物資として届いたことがきっかけです。動物性たんぱく質が重要視され、1958年頃まで学校給食で提供されていました。近年は健康志向の高まりから、スキムミルクの需要が再び増加しています。
スキムミルク(脱脂粉乳)のカロリー
スキムミルク(脱脂粉乳)は、牛乳から脂肪分を取り除いた低カロリーの乳製品です。脱脂粉乳100gあたりのカロリーは354kcalですが、これは粉末状の数値です。実際に水で溶いて飲用する際は、脱脂粉乳10gに対して90gの水を加えて100gの液体にすると、カロリーは36kcalとなり、牛乳の61kcal/100gに比べて約半分の低カロリーとなります。
一方で、たった25gのスキムミルク粉末から約8gのタンパク質を摂取できるため、栄養価は高く保たれています。長期保存が可能な点も利点のひとつです。ダイエット中の方や健康を意識した食生活を送る方に適した乳製品と言えるでしょう。豊富なバリエーションの製品がありますので、お好みのものを見つけてみてはいかがでしょうか。
スキムミルク(脱脂粉乳)の主な栄養成分
スキムミルクは、栄養価の高い乳製品として知られています。
【たんぱく質】
スキムミルク100gあたり34.0gの良質なたんぱく質を含んでいます。このたんぱく質は、体の構成要素として、また機能の調節に欠かせない重要な栄養素なのです。
【カルシウム】
さらに、スキムミルク100gにはカルシウムが1,100mg含まれています。カルシウムは骨や歯の形成に不可欠であり、積極的な摂取が推奨されるミネラルです。
このように、スキムミルクは手軽に高品質のたんぱく質とカルシウムを補給できる優れた食品なのです。健康的な食生活を心がける上で、スキムミルクの活用は大変有益といえるでしょう。
スキムミルク(脱脂粉乳)と牛乳の違い
スキムミルクと牛乳は、ともに牛由来の乳製品ですが、製造方法や栄養価に大きな違いがあります。
カロリーに着目すると、スキムミルク20gを180gの水で溶かした200gの飲み物は72kcalですが、同量の牛乳には122kcalのカロリーが含まれています。この差は、スキムミルクから脂肪分が取り除かれているためです。
栄養成分でも大きな差異があり、牛乳100gに3.8gの脂質が含まれるのに対し、スキムミルク100gには1.0gしか脂質は含まれていません。一方で、スキムミルクにはカルシウムが1,100mg含まれており、牛乳の110mgの約10倍の量です。また、脂質や糖質の代謝に関わるモリブデンもスキムミルクに豊富で、牛乳の約9倍の35μgが含まれています。
このように、スキムミルクはカロリーが控えめで脂質が少ない代わりに、カルシウムやミネラルが豊富な健康的な乳製品です。一方の牛乳は、脂質とカロリーが高めですが、風味が豊かで栄養もバランスがとれています。用途や目的に合わせて、適切に使い分けることが大切です。
まとめ
スキムミルクは、低脂肪で栄養価が高いことから、ヘルシーな食生活を心がける人に最適な乳製品です。料理やお菓子作りでの利用範囲が広く、経済的でもあるため、健康志向と家計に優しい選択肢となります。味と香りを損なうことなく、脂肪分を抑えた調理が可能なスキムミルクは、多くのメリットを持つ万能食材なのです。