冬の代表的な柑橘類といえば、ポンカンとデコポン。どちらも甘くジューシーな味わいで、多くの人々に愛されていますが、一体何が違うのでしょうか。この記事では、それぞれの特徴や魅力を詳しく解説し、どちらを選ぶべきかの参考にしていただける情報をお届けします。見た目や味、栽培地域、そして栄養価など、多角的な視点でポンカンとデコポンを比較しながら、その奥深い魅力に迫っていきます。
不知火（しらぬい）とデコポン®の違いを探る。産地や誕生の歴史、栽培方法、収穫過程を詳述
有田みかんに関する歴史や栽培法についてお話しします。2月から3月にかけて、デコポンと呼ばれる外見がユニークな柑橘類が店頭に並びます。また、異なる名称の「不知火（しらぬい）」と呼ばれながらも、同様の特徴を持つみかんが別の場所で手に入ります。実際には、これら二つは同じ不知火というみかんなのです。この記事では、不知火とデコポン®がどのようにして誕生したのか、そして栽培から収穫までの過程についても詳しくご紹介します。
不知火とデコポン®の違いとは？
不知火（しらぬい）は、清見オレンジとポンカンを交配して生まれた品種です。甘みが強く、種がほとんどないため、食べやすいことで人気を集めています。
特に糖度が13.0度以上、酸度が1.0度以下の不知火は、「デコポン®」と呼ばれます。ただし、この名称を使用するには、JAにより出荷される必要があります。「デコポン®」は熊本県果実農業共同組合連合会（JA熊本果実連）が所有する商標であり、その条件を満たしていても、JAの許可を得なければ使用できません。そのため、JAを介さないものや個人の農家が出荷したものは、不知火の名前で市場に出回っています。
不知火の栽培地域とその生産量
不知火の生産量に注目すると、九州の柑橘類の産地が多く上位に入っています。熊本県はその中でも特に優れており、収穫量14,071トンで2位の愛媛県に比べて約1.5倍の差をつけて首位を獲得しています。熊本県は初めて不知火の栽培を開始した地としても有名であり、宇城市にある「道の駅不知火」にはデコポン®誕生の地を記念する石碑が設置されています。ここからは、不知火の歴史について振り返ってみましょう。
不知火の栽培史
不知火は1972年、長崎県の農林水産省試験場で清見オレンジと中野3号ポンカンを交 配して誕生しました。見た目に特徴があり、収穫直後は酸味が強いため、当初は品種登録がされませんでした。
品種登録が見送られた不知火でしたが、その苗木は熊本県宇土郡不知火町（現・宇城市）に移され、育成が進められます。酸味が強く評価されなかった時期もありましたが、園長の永目新吾氏が偶然味を確かめ、酸味が和らいだ美味しさを発見しました。
これを契機に、農協が主導して産地開発が行われ、不知火の栽培は九州や愛媛県、和歌山県など、日本各地のみかん産地に広がっていきました。
不知火の収穫時期
次にご紹介するのは、和歌山県有田市にある早和果樹園の不知火の収穫風景です。
早和果樹園では、不知火の採取は通常1月下旬から2月初頭に実施されます。収穫期は糖度と酸度を確認した上で決定されます。この園では不知火を平らな土地で育成しており、樹木は温州みかんと比べると大きく、枝には多少のトゲがあります。
収穫は果実を傷つけないように注意深く行い、枝を長めに切り取ります。
果実の部位で再度切り離し、「テボ」と呼ばれる収穫カゴに不知火を入れます。
カゴが満杯になったら、コンテナに移動させます。不知火は収穫後に保管されるため、コンテナに入れる前に傷の有無を再確認します。この工程を怠ると、傷みが他の不知火にも広がる恐れがあるため、非常に大切です。
傷がないことを確認した不知火は、新聞紙を敷いたコンテナに整然と並べます。
不知火が美味しい季節
不知火にはハウスと露地、異なる栽培方法があります。ハウス栽培では1月から出荷が始まり、露地栽培では2月からとなります。早和果樹園では1月下旬に収穫した不知火を2～3週間保管し、酸味が程よく抜けた2月中旬から3月上旬に出荷しています。
早和果樹園では、小さくて食べやすい24玉入りから、大きく立派な15玉入り、サイズが混ざったご家庭用4kgまで、さまざまな商品を取り揃えています。和歌山県有田で育った不知火の美味しさをぜひお試しください！