イタリアのクリスマスには欠かせない存在であるパネットーネ。そのしっとりとした食感と豊かな香りは、世界中のスイーツ愛好者を魅了しています。しかし、そんな絶品の味わいを支えるのは、代々受け継がれてきた「パネットーネ種」と呼ばれる特別な酵母です。この神秘的な種は、パン職人たちの情熱と技巧によって生み出され、イタリアの豊かな伝統を支えています。今回は、その魅力と、パネットーネの美味しさの秘密に迫ります。
パネットーネ種について
パネトーネ種は、酵母(Kazachstania exigua)と幾つかの乳酸菌(Lactobacillus sanfranciscensisなど)が共存し、それぞれの特性を発酵熟成および焼成中に発揮する、世界的に珍しい酵母と乳酸菌の組み合わせです。
一般的に乳酸菌(Lactobacillus sanfranciscensis)を用いたパンの改良はそれほど珍しくありません。
しかし、パネトーネ種には、タンパク質をアミノ酸にまで分解する強力な酵素やグルテン膜をなめらかにし、伸びを良くする酵素など、複数の菌の組み合わせによる単一菌では期待できない様々な効果があります。
パネットーネ(パネトーネ)とは
「パネトーネ」は、卵やバター、砂糖を豊富に使った贅沢な生地に、ドライフルーツを混ぜ込んだ伝統的なイタリアの菓子パンです。ふんわりとした軽やかな食感と、フルーツの甘みや酸味が特徴的です。名前はイタリア語で「大きなパン」を意味し、ミラノを発祥の地としています。
通常のパン作りではイーストを使いますが、パネトーネには特別な自然酵母「パネトーネ種」が使われます。この酵母は、乳酸菌と共存する複合酵母で、独特の風味と長持ちするパンを作ることができるのが特徴です。
パネットーネ(パネトーネ)をクリスマスに食べる理由
パネトーネをクリスマスに食べる理由は、イタリアの伝統と深く結びついています。パネトーネはミラノ発祥の菓子パンで、もともと祝祭の日に特別なパンを焼く習慣がありました。その中でもクリスマスは一年で最も重要な祝祭日であり、家族や友人と一緒に祝うために、贅沢な材料を使ったパネトーネが用いられるようになりました。
また、パネトーネは豊かな甘みとドライフルーツの風味があり、長期間保存できるため、冬の寒い時期にも適しています。このように、パネトーネはクリスマスシーズンに家族で楽しむ特別なパンとして親しまれ、現在ではイタリアだけでなく、世界中でクリスマスの定番として広まっています。