食卓に欠かせない万能野菜、玉ねぎ。その風味と甘みは、料理の味を格段に引き立てます。では、この玉ねぎ、日本で一番多く作られている場所はどこなのでしょうか?本記事では、玉ねぎの生産量日本一の地域を明らかにし、その地域の気候や土壌が玉ねぎの味にどのように影響しているのか、詳しく解説します。さらに、地域ごとの特徴的な玉ねぎの種類や、その風味の違いにも焦点を当て、玉ねぎの奥深い世界へとご案内します。
日本一の玉ねぎ産地とは
野菜の出荷量ランキングにおいて、玉ねぎは4位に位置します。上位には、馬鈴薯、キャベツ、大根がそれぞれ1位から3位を占めています。玉ねぎは貯蔵性に優れ、春と秋の年2回栽培できるため、年間を通して安定した供給が可能です。
国内で最も玉ねぎの収穫量が多いのは北海道で、全国の約6割を占めています。次いで、佐賀県、兵庫県、愛知県が主な産地として挙げられます。2006年から2021年の16年間で、玉ねぎの収穫量はわずかに減少した一方、作付面積は増加傾向にあります。

玉ねぎの名産地
玉ねぎの名産地について詳しくご紹介します。
【1位】北海道
北海道における玉ねぎ栽培は、明治初期にアメリカから導入された様々な農作物とともに始まりました。2021年には66万5800トンもの収穫量を誇り、作付面積は1万4600ヘクタールに達しています。長きにわたり、北海道は玉ねぎ生産量で日本一の地位を確立しています。特に北見市は道内でも有数の玉ねぎ産地であり、その収穫量は23万9800トンと、2位の訓子府町の9万2900トンを大きく引き離しています。
北見市は年間降水量が少なく、一日の気温差が大きいという特徴的な気候です。この気候を活かし、8月から翌年の4月までという長期にわたる玉ねぎの出荷を実現しています。北見市では、ブランド玉ねぎ「真白」をはじめ、黄玉ねぎ、さらり、ペコロス、サラたま、赤玉ねぎなど、多様な品種が栽培されています。
【2位】佐賀県
佐賀県は、国内有数の玉ねぎ生産地として知られています。その栽培は昭和30年代後半に始まり、米の収穫が終わった後の田畑で育てられるようになりました。特に白石平野と唐津地区は、主要な産地として有名です。白石平野は、長い年月をかけて干拓によって作られた肥沃な土地であり、ミネラル豊富な粘土質の土壌が特徴です。年間平均気温が16.1℃という温暖な気候も、玉ねぎ栽培を後押ししています。こうして育った白石タマネギは、その甘みと品質の高さから、多くの人々に愛されています。
【3位】兵庫県
兵庫県における玉ねぎ栽培の歴史は、1888年に遡ります。輸入された種子が、現在の南あわじ市で試験的に栽培されたのが始まりとされています。淡路玉ねぎは、泉州玉ねぎの栽培技術を参考に、黄、赤、紫、白の4種類の種子が県から提供され、試作されたそうです。特に淡路島は玉ねぎの生産が盛んで、「淡路島たまねぎ」として全国的なブランドを確立しています。
淡路島は兵庫県の南東に位置する細長い島で、瀬戸内海の温暖な気候と長い日照時間が、美味しい玉ねぎを育むのに適しています。9月に種をまき、5月から6月にかけて収穫される淡路島の玉ねぎは、収穫後、玉ねぎ小屋と呼ばれる場所で吊るし自然乾燥させることで、甘みが増し、色艶も良くなります。その後、7月中旬から8月にかけて冷蔵貯蔵され、11月から3月まで出荷されています。