七草とは?冬の七草の種類、由来、歴史、覚え方を徹底解説
「七草(ななくさ)」と聞いて、多くの方がお正月、特に1月7日に食される「七草粥」を思い浮かべるのではないでしょうか。しかし、七草は春だけに限らず、秋、夏、冬、そして海にもそれぞれ独自の「七草」が存在し、日本の豊かな自然と文化、そして人々の生活に深く根差した伝統として受け継がれてきました。
本稿では、七草が持つ基本的な意味合いから、各季節の七草にまつわる独特の由来、歴史的背景、具体的な種類、さらには覚え方までを掘り下げて解説していきます。季節ごとに異なる七草が、私たちの暮らしの中でどのような役割を担い、どのように愛されてきたのかを深く探求します。それぞれの七草が持つ魅力と背景を知ることで、日本の移りゆく季節の趣を一層深く味わうことができるでしょう。
七草とは
「七草」とは、日本の伝統的な風習に用いられる特定の七種類の野草や植物を指し、大きく分けて 「春の七草」 と 「秋の七草」 の二種類があります。
春の七草 は、1月7日の「人日の節句」に食べる「七草粥」の材料として特に有名です。一年の無病息災を願い、お正月に疲れた胃腸を休める目的で食されます。具体的には、 せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな(カブ)、すずしろ(ダイコン) の七種類を指します。
一方、 秋の七草 は、万葉集などで歌に詠まれることが多く、主に観賞用として親しまれてきました。秋の野山に咲く美しい草花を愛でる文化として根付いています。こちらは、 萩(はぎ)、薄(すすき)、葛(くず)、撫子(なでしこ)、女郎花(おみなえし)、藤袴(ふじばかま)、桔梗(ききょう) の七種類です。
いずれの七草も、日本の豊かな自然と季節の移ろい、そして人々の願いや文化を感じさせる大切な存在です。
冬の七草
冬の七草は、春や秋の七草のように古くからの伝統として確立されているわけではなく、比較的新しい時代に考案された概念です。そのため、その選定には諸説あり、明確な定義は存在しません。
一般的な冬野菜としての七草
現代の食卓において「冬の七草」として親しまれているのは、多くの場合、身近な冬野菜たちです。厳密には「草」と呼べないものも含まれますが、これらは冬の鍋料理には欠かせない、風味豊かな食材ばかりです。
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ネギ(葱)
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ハクサイ(白菜)
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ダイコン(大根)
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シュンギク(春菊)
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ホウレンソウ(ほうれん草)
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キャベツ
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コマツナ(小松菜)
これらの野菜は、冬の厳しい寒さの中で力強く育ち、私たちの体を温め、必要な栄養素を供給する上で重要な役割を担います。特に、体を芯から温める鍋料理には不可欠な存在であり、冬の食卓を彩る主役として広く愛されています。
植物学者・伊藤篤太郎博士が選定した冬の七草
また、明治41年(1908年)に著された久田二葉の「園芸十二ケ月」には、「植物学者・伊藤篤太郎博士がかつて冬の七草を選定した」との記述が見られます。その文献によると、伊藤博士が選んだ冬の七草は次の七種類とされています。
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フキノトウ(款冬の薹)
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フクジュソウ(福寿草)
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セツブンソウ(節分草)
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ユキワリソウ(雪割草)
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カンアオイ(寒葵)
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カンギク(寒菊)
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スイセン(水仙)
伊藤篤太郎博士自身は、この「冬の七草」が明治37年(1904年)元日の「時事新報」(昭和11年(1936年)に廃刊し、現在の毎日新聞である「東京日日新聞」に統合)に掲載されたことを記しています。ここに挙げられた植物たちは、冬の厳しい寒さにも負けずに芽吹き、あるいは美しい花を咲かせ、まるで春の到来を予感させるような生命力に満ちた姿を見せてくれます。鑑賞価値の高い種類が多く、冬の自然が持つ独自の美しさを象徴する七草と言えるでしょう。
まとめ
日本の文化に深く根付く「七草」は、春の七草粥のように健康を願う食習慣から、山上憶良の歌に詠まれた秋の七草のように自然の美しさを鑑賞する風習まで多岐にわたります。これらは季節の移ろいとともに、人々の生活に密接に関わってきました。春や秋だけでなく、夏、そして冬の七草、さらには海の七草といったように、それぞれの季節や地域に根ざした独自の七草が存在し、日本の豊かな多様性を物語っています。
これらの七草の背景にある意味や由来、歴史を紐解くことは、日本の豊かな自然の恵みと、季節の循環を大切にする人々の精神性を深く理解する手助けとなるでしょう。特に、厳しい寒さの中で育つ冬の七草は、冬の食卓に彩りをもたらし、健康を支える役割も果たしてきました。各季節の七草に心を寄せ、その持つ魅力を再発見することで、日々の暮らしに新たな視点と深い味わいが加わることと期待されます。
よくある質問
七草とは具体的に何ですか?
七草(ななくさ)とは、特定の文化や慣習に基づいて選定された、7種類の植物群を指す包括的な名称です。最も広く知られているのは、正月七日に食される「春の七草」と、古くから鑑賞の対象とされてきた「秋の七草」でしょう。しかし、これら以外にも、夏、そして寒さ厳しい季節に目を向ければ冬の七草、さらには海の恵みとしての七草が存在し、それぞれが固有の役割や意味を持っています。
春の七草粥はなぜ食べるのですか?
新年1月7日の人日の節句に食される春の七草粥には、複数の意味合いが込められています。一つは、お正月の豪華な食事で酷使された胃腸を労わり、穏やかに休ませること。もう一つは、冬の時期に不足しがちな緑黄色野菜の栄養を補給し、健康を維持することです。古くは、この習慣を通じて一年間の無病息災を願い、厄除けの意味も持たされていたと伝えられています。
秋の七草は春の七草とどう違いますか?
春の七草が主に人々の健康を願うための食用や薬草として選ばれたのに対し、秋の七草はその美しい姿を鑑賞することを目的として選定されました。その起源は、万葉集の歌人・山上憶良が秋の野に咲く草花を詠んだ歌にあり、日本の豊かな秋の風景を象徴する植物として古くから親しまれています。
冬の七草にはどのようなものがありますか?
春や秋の七草のように、古くから定着した明確な冬の七草というものは存在しませんが、いくつかの説が唱えられています。一般的には、冬の食卓を温める鍋料理によく使われる、ネギ、白菜、大根といった「冬野菜」が挙げられることが多いです。また、植物学者の伊藤篤太郎博士が選定したとされる、厳しい冬の寒さの中でいち早く芽吹き、花を咲かせるフキノトウ、福寿草、雪割草など、観賞価値の高い植物群も冬の七草として認識されています。
春の七草の覚え方はありますか?
春の七草を覚えるための一般的な方法としては、リズミカルな語呂合わせを活用するのがおすすめです。「セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ、スズシロ」というフレーズで唱えることで、簡単に記憶できます。これらの草花は、漢字表記ではそれぞれ「芹、薺、御形、繁縷、仏の座、菘、蘿蔔」となります。

