乳アレルギーを持つ子供にとって、日常生活での食の選択は一層複雑です。特にミルクは多くの料理や飲料の基本となる食材ですが、アレルギー反応を避けるためには慎重な選択が欠かせません。本記事では、乳アレルギーを持つ方のために、安心して利用できる代替ミルクの種類や、それぞれの特徴を詳しく解説します。健康と安心を両立したライフスタイルを目指す方にとって、本ガイドが少しでもお役に立てれば幸いです。
粉ミルクの進め方
まずは粉ミルクを1mlから始めてみましょう。1日に1回、4〜5日間ほど同じ量で試した後、アレルギー反応が出ないか確認しながら、1回の量を徐々に2ml、4ml、6mlと増やしていくことが安全です。
他の離乳食が順調に進んでいる場合には、ミルク粥などにアレンジしてみても良いでしょう。量が増えてきたら、増やすペースも上げていきましょう。
少量を料理に混ぜる場合には牛乳を使用しても構いませんが、牛乳は粉ミルクよりタンパク含有量が多いことに注意が必要です(同じ量の場合、牛乳の方がアレルギー反応を引き起こしやすいです)。
他の乳製品の取り入れ方
他の乳製品を取り入れる際は、含まれるタンパクの量が多いほどアレルギーが出やすくなることを考慮しましょう。
牛乳を基準にしたタンパクの含有量は以下の通りです。
・バター→0.2・粉ミルク→0.5・牛乳→1・ヨーグルト→1.1・チーズ→2.5〜・脱脂粉乳→10.3
粉ミルクを10ml摂取できた場合はバターを使用し、30ml摂取できた場合はヨーグルトを少量試してみて、アレルギー症状が見られなければ他の乳製品も徐々に増やしていくのが良いでしょう。
チーズに関しては、一般的にタンパクが多く含まれるため、粉ミルクを60ml以上摂取できることを確認した後に少量ずつ試すと安心です。
パンの取り入れ方
パンには多くの場合、乳成分が含まれています。小麦をうどんで試してから、パンに挑戦すると良いでしょう。タンパク質の量は、だいたい粉ミルク20mlに対して食パン1枚に相当します。ただし、製品によって乳の比率は異なるため、粉ミルクを20ml飲めるようになったら、食パンを少しずつ始めてみましょう。
さらに、まだ鶏卵を導入していない場合は、鶏卵が含まれていないパンを選ぶようにしましょう。
過去に食物アレルギーの症状が現れたことがある場合や、血液検査でIgE抗体価が高く、アトピー性皮膚炎がある場合は、必ず医師の指示に従って安全な量を確認しながら進めてください。

牛乳は1歳から
1歳を過ぎたら、牛乳への移行を始めてみましょう。以下に、牛乳を飲めるようになった量に応じて、食べられる乳製品の目安を示します。初めは少量からスタートしてください。
(左:飲むことができる牛乳の量、右:許可される食品)
5ml→ヨーグルト風味ラムネ、スライスハム1枚
10ml→食パン1枚
30ml→乳酸菌飲料(ミニサイズ)1本、キャンディーチーズ1個、バターロール1個
50ml→コーヒー牛乳・フルーツ牛乳100ml、インスタントカップスープ1袋
100ml→飲むヨーグルト100g、スライスチーズ1枚、プリン1個、シチュー1皿
200ml→ピザ(ナチュラルチーズ26g)、グラタン1皿
*これらは調理方法や製品により異なりますので、目安として参考にしてください。
ご紹介した量や進め方は慎重に進めたい場合の一参考例です。お子さんやご家族の状況に合わせたペースで進めることが重要です。
食物アレルギーの症状経験がある、血液検査でIgE抗体価が高い、アトピー性皮膚炎があるなどのケースでは、必ず医師の指導のもとで安全な量を確認しましょう。
アレルギー対応のミルクはどれを選ぶべき?
牛乳アレルギーへの対策として、分子量を小さくすることでアレルギーの発症を抑える「加水分解乳」、ミルクの成分に近づけた「アミノ酸乳」、大豆をベースにした「大豆乳」の3つがあります。アレルギーがある場合、まず「加水分解乳」を試し、それで症状が出る場合は「アミノ酸乳」に移行します。「大豆乳」は大豆アレルギーがない場合に限り選択肢に入ります。注意すべきは「ペプチドミルクE赤ちゃん®」で、この製品は完全なアレルギー用ではなく、部分的な加水分解をした乳であるため、注意を要します(食物アレルギー診療ガイドライン2021)。以前は不足していたセレンなどの微量元素も現在は補われています。