果物の王様とも称される「ラ フランス」は、その特有の風味と滑らかな食感で多くの人々に愛されています。しかし、同じ「洋梨」として一般的に知られる他の品種と何が違うのでしょうか。単なる名前の違いにとどまらず、香りや味わい、栽培方法など、多くのポイントでその特徴が際立ちます。この記事では、ラ フランスと他の洋梨との違いを深堀りし、その魅力を徹底解説します。果物選びの参考に、ぜひご覧ください。
洋梨とラ・フランスの違いとは
洋梨とラ・フランスは実は異なる果物です。これらの違いを簡単に解説します。それぞれの特徴を理解し、自分のお気に入りを探してみてください。
ラフランスは洋梨の一つ！和梨・西洋梨・中国梨との違い
ラフランスは洋梨全体を指す名称だと思われがちですが、実際には多くの洋梨の品種の中の一つです。この洋梨はその名が示す通り、フランスで生まれました。日本では洋梨の栽培面積の約60%をラフランスが占めており、最も栽培されています。バラ科ナシ属である洋梨は、日射量の多い、降水量の少ない寒冷地に適しており、日本では主に東北地方で栽培が盛んです。この果物は、育てるために適した条件が必要なだけでなく、人工授粉や袋掛けによる害虫防除など手間がかかります。そのため、大きさによって異なりますが、1個の価格は400円から800円という高価格帯になっています。
洋梨の他にも和梨や中国梨があります。それぞれの梨は旬や形に違いがありますが、みずみずしさと繊細な甘み、控えめな酸味が共通の特徴です。和梨、西洋梨、中国梨は品種改良が進んでおり、今では多くの品種が存在します。
ラ・フランスとル・レクチェの特色
ラフランスは、日本においてジュースやお菓子、アイスクリームの材料として、非常に親しまれている洋梨です。その一方で、「洋梨の貴婦人」として知られるルレクチェは、歳暮やクリスマスプレゼントの定番として人気があり、高く評価されることが多い品種です。それでは、ラフランスとルレクチェにはどのような違いがあるのでしょうか。日本で食べられる主要な品種についてまとめてみました。ラフランスはルレクチェよりも若干小ぶりで、果肉はわずかに青みを帯びた色合いを持っています。甘みのみならず酸味も感じられるのがラフランスの大きな特徴です。
山形や新潟で洋梨の栽培が盛んな理由とは？その旬の時期は？
近代化を背景に、日本で初めて洋梨が導入されてから百年近くが経ちました。主に東北地方で生産されており、特に山形県や新潟県、長野県が代表的な生産地です。2018年の果樹生産出荷統計によると、全国で28,900トンの洋梨が出荷され、その中でも山形県が18,900トンと、全体の約65％を占めています。その他の主要生産地として、新潟県が2,140トン、青森県が1,940トン、長野県が1,490トンと記録されています。当初ヨーロッパから山形県に持ち込まれた洋梨は、「食べるには固すぎる」として廃棄されていたそうです。しかし、放置された洋梨が時間と共に黄色く色づき、甘みが引き立つことがわかると、その魅力が広まりました。洋梨の熟成による美味しさに早く気付いたのは山形県であったと考えられています。また、明治42年に和梨を皇太子（大正天皇）に献上し、その際の喜ばれた反応がきっかけで、洋梨の栽培にも注力するようになったという伝説もあります。
全国で2番目に多く洋梨を出荷している新潟県は、特にルレクチェの栽培が盛んな地域です。この品種はフランスのオルレアン地方からもたらされたもので、新潟の肥沃な土壌との相性が良いとされています。10月末から12月にかけてが旬の東北産洋梨は、その後、貯蔵と追熟期間を経て市場に出回ります。追熟ではデンプンが糖に変わり、さらに甘みが増します。ラフランスについては、開花から収穫までの期間が長く、栽培にも手間がかかるといわれています。
世界一の規模を誇る！梨生産量で中国が首位
日本でも洋梨と和梨の生産が盛んですが、梨の生産で最も多くのシェアを占めているのは中国です。2019年の統計によると、中国では年間約1,700万トンの梨が生産されており、世界生産量のおよそ70％以上を占めています。アメリカが2位で66万1,340トンと続き、日本は23万8,600トンで12位に位置しています。また、日本からの梨の輸出先を観察すると、香港が68％の割合を占めており、中国で梨を食する文化が広く浸透している様子がうかがえます。
まとめ
ラ・フランスは、洋梨の一種であり、すべての洋梨を指すわけではありません。その起源はフランスにありますが、現在は絶滅しており、日本での栽培が中心です。ラ・フランスだけでなく、東北地方を中心に様々な洋梨の品種が栽培されており、国際的な輸出も行われています。熟成前のラ・フランスは固く、甘みが少ないため、熟成方法と保存方法を用いて味わうことをお勧めします。