デーツは、その甘美な風味と豊富な栄養価で世界中で人気を博す果実です。中東を中心に広がるデーツには、多様な種類が存在し、それぞれが独自の特徴と魅力を持っています。本記事では、そんなデーツの種類について詳しく解説し、選ぶ際のポイントと楽しみ方をお届けします。初めての方にも、デーツに馴染みのある方にも、新たな発見があること間違いなしです。デーツの奥深い世界を一緒に探求しましょう。
デーツとは
デーツは北アフリカや中東が原産のヤシ科植物で、乾燥地や砂漠でも育てられることで知られ、長い間重要な食料源として親しまれてきました。形が中国原産の棗に似ているため、ナツメヤシとも呼ばれています。
この果実の歴史は非常に古く、約4000〜6000年前にまで遡ります。イスラム教の経典であるコーランや旧約聖書のエデンの園の物語にもその名が登場することで知られています。
デーツに含まれる栄養成分
デーツは、添加物なしでも自然な甘みを楽しめ、古来より人々の食生活を支えてきました。主要な栄養素には、食物繊維、マグネシウム、銅、カリウム、βカロテン、ナイアシン、パントテン酸が含まれており、これらの成分が美容や健康に役立つと考えられています。
さまざまなデーツの種類
デーツには非常に多くの品種が存在し、その数は1000を超えると言われています。日本の市場で目にすることができるのは、その中でも10~15種類に限られています。これらは大きく分けると、中東とアメリカからの輸入品となっています。今回は、その中から日本国内で入手しやすい品種をいくつか取り上げて紹介します。
中東産
最初にご紹介するのは、中東が原産地のデーツです。この地域は乾燥した気候が特徴で、そのためデーツは水分が少なくなります。この結果、甘さが凝縮されて濃密な味わいの種類が多いです。
ピアロム種(イラン)
ピアロム種は最高級のデーツとして知られ、イラン国内でも限られた地域でのみ栽培されています。非常に希少で、種を含む細長い形状が特徴的です。食感は弾力があり、上品な甘さが後に残らないのが魅力となっています。「ピヤロム」と呼ばれることもあるこのデーツは、多くの愛好者に親しまれています。
リグレット・ノア種(イラン)
リグレット・ノア種のデーツは、フルーティーで豊かな甘さが特徴です。アメリカからの輸入品も存在しますが、より甘く、少し乾燥した食感を持つイラン産が知られています。中には「ディグレット」や「ディグレットノア」といった名前で呼ばれることもあります。
サイヤー種(イラン)
深みのある甘さと黒糖のような風味が特徴のサイヤー種は、日本でも広く親しまれています。外側は少し硬めですが、中身は羊羹のようにしっとりしているのが魅力です。「サーヤ種」と記されることもあります。
キングソロモン(イスラエル)
キングソロモンデーツはその名の通り、際立った品質を誇る高級デーツです。粒が大きいマジョール種の中でも、特に優れた大きさと品質を持っています。豊富な水分を含んでおり、しっとりとしたテクスチャーと濃厚な甘さが特徴的です。後味は甘さが控えめなので、非常に食べやすいデーツです。
このデーツは、古代イスラエルの三代目の王であるソロモン王にちなんで名付けられた、イスラエルのデーツ会社の製品です。世界的にも珍しい、最高級のデーツとされています。
スタメラン種の紹介(イラン)
この品種は少し珍しい部類に入ります。スタメラン種は、控えめなサイズで、乾いた食感が特長です。キャラメルを思わせる、やや固めで粘りのあるテクスチャーが印象的です。
アメリカ産
アメリカ産のデーツは、中東産に比べて水分量が多く、しっとりとした柔らかい食感が楽しめます。一方、水分が少ないと弾力が強くなるため、違った噛みごたえを好む方にはそれも魅力です。
リグレット・ノア種
イランでも栽培されるこの品種は、アメリカ産のものが特にしっとりとした食感とバランスの取れた甘みを持っています。アメリカのデーツは水分量が少し控えめで、軽やかな味わいが楽しめます。
マジョール種
マジョール種はデーツの一種で、特に大粒で甘味が豊かですが、後味は上品です。そのため「デーツの王様」として広く知られています。干し柿のようなねっとりとした独特の食感があり、そのまま食べるのはもちろん、デザートの材料としても頻繁に使用されます。そのサイズはリグレット・ノア種と比べると2~3倍で、1粒でも十分に満足感を得られるデーツです。
ザヒディ種
こちらはあまり知られていない品種ですが、一般的なデーツの黒とは異なり、オレンジに近い黄色が特徴的で、形も小さくて丸みを帯びています。デーツの外見に抵抗がある方にも試していただけるでしょう。
無添加やオーガニックのデーツも
添加物や化学肥料を避けたい場合は、無添加でオーガニックな種類を選ぶのが良いでしょう。市販されているデーツの多くは添加物が含まれていませんが、農薬や化学肥料を使用したものも存在します。成分を重視する方には、無添加かつオーガニックと明記されているデーツをおすすめします。
用途に応じて選べる粒状・ペースト状・シロップ状のタイプ
デーツは、粒状、ペースト状、シロップ状の3つのタイプで市販されています。用途に応じて、それぞれの特性を確認して選びましょう。
粒タイプ
デーツをしっかりと味わいたい人には、粒タイプが一押しです。デーツには多くの品種があり、それぞれに異なるねっとり感や弾力のある食感があります。粒タイプを選べば、異なる品種の味わいや食感を楽しむことができます。しっかりとした噛み応えが得られるため、満足感も十分。おやつとしてそのままいただくのにも最適です。
ペーストタイプ
料理やお菓子作りには、ペースト状のデーツを利用するのがおすすめです。ペースト状は、粒状のものに比べて他の材料と自然に混ざりやすいのが特徴。デーツをすりつぶす手間が省け、簡単に調理できる点が利点です。
さらに、ペーストタイプは種を除いたデーツの濃厚な味わいをそのまま楽しめることも魅力。パンにジャムのように直接塗るだけでも美味しくいただけるでしょう。
シロップタイプ
アイスやヨーグルトと合わせて楽しむなら、シロップ状のデーツが最適です。このタイプはペーストよりも軽やかで、既に液状化しているため、パンケーキにかけたり紅茶に入れたりと、いろいろな方法で利用できて便利です。