飴血糖値
「ちょっと一息つきたい時に、ついつい手が伸びる飴。でも、糖尿病だから控えるべき?」
飴は手軽で便利な一方、主成分が糖質であることが多く、食べ方次第では血糖コントロールに影響します。この記事では、飴が血糖値に与える仕組み、糖尿病の方が選びやすい飴の考え方、低血糖時の備えとしての飴の使い方、そして注意点を整理します。
※本記事は情報提供を目的としており、治療の代替ではありません。糖尿病の治療中の方は、必ず主治医・管理栄養士の指示に従ってください。
糖尿病でも飴はNGではない?上手な付き合い方
糖尿病があるからといって、飴を「絶対に食べてはいけない」とは限りません。ポイントは、(1)量、(2)タイミング、(3)甘味料の種類、(4)“だらだら食べ”を避けることです。特に、飴は少量でも吸収が早い糖質になりやすく、連続摂取で血糖が高止まりしやすい点に注意が必要です。
一般的な飴の種類と、知っておきたい栄養成分
飴には大きく「ハードキャンディ」と「ソフトキャンディ」があります。ハードキャンディは砂糖や水飴を煮詰めて固めたもので、口の中で長く溶けます。ソフトキャンディは水分が多く、キャラメルやグミのような食感が特徴です。
栄養表示は商品差がありますが、一般的な飴は糖質が中心です。目安として、1粒5g程度の飴で糖質が約4~5gになることが多く、複数個を続けて食べると糖質量が積み上がります。
適量の考え方:一般集団向けの目安と、糖尿病の方の目安は同じではない
一般的な飴1個に含まれる糖質は約4g程度です。健康な方が過剰な糖質摂取を避けるため、WHO(世界保健機関)が提示する「成人及び児童の糖類摂取量に関するガイドライン」(2015年発表)では、1日の遊離糖類摂取量を総エネルギーの10%未満(追加の健康上の利益のために5%未満が望ましい)に減らすことを推奨しています。5%相当は、成人では概ね約25g程度として紹介されることが多く、飴3~5個(12~20g)程度なら、この範囲に収まるケースがあります。
しかし、糖尿病の方の場合は話が別です。血糖コントロールの観点から、間食は「できるだけ控える」「必要なら単位(エネルギー)で管理する」といった指導が一般的で、例えば低血糖予防などで間食が必要な場合でも、1~2単位(80~160kcal)程度が目安として示される資料があります。
また、医療機関の栄養だより等では、間食を「多くても200kcal、糖質10g程度におさえる」目安が提示されることがあります。したがって、一般的な飴(糖質4~5g/個)の場合、糖質量だけで見ると1日1個でも“間食枠”を占めやすく、主治医・管理栄養士の方針に沿って判断することが不可欠です。
飴を食べすぎると血糖値にどう影響する?
飴の主な原料と血糖値への影響
飴の主要原料には、砂糖(ショ糖)や水飴(麦芽糖など)がよく使われます。ショ糖や麦芽糖は消化で単糖に分解されやすく、吸収が比較的速いため、摂取量やタイミングによっては食後血糖の上昇を強めます。
飴摂取後の血糖値変動とインスリンの役割
糖質を摂ると血糖値が上がり、膵臓からインスリンが分泌されて血糖が細胞に取り込まれます。糖尿病では、インスリンの分泌不足や効きにくさ(インスリン抵抗性)などにより、この調整が追いつきにくくなります。飴のように吸収が速い糖質を短時間で複数摂ると、血糖値が上がりやすく、下がる前にまた上乗せされる形になりやすい点が要注意です。
血糖値スパイクに注意
空腹時は問題がなくても、摂取後に血糖値が急上昇し、その後急降下するパターンは「血糖値スパイク」と呼ばれます。飴を空腹時に連続して摂る、仕事中に“だらだら舐める”といった行動は、この変動を招きやすくなります。日常的に起こり続けると、血糖管理(HbA1cの評価を含む)にも影響し得るため、習慣化には注意が必要です。
飴1個の影響は「小さいこともある」が、“続けて食べない”が前提
市販の飴1個程度であれば、影響が大きく出ないこともあります。ただし、これは「1個で止まる」「空腹時を避ける」「その日の間食枠に収める」といった前提があってこそです。血糖自己測定を行っている方は、主治医の方針に沿って、飴を摂った日の傾向を把握しておくと安心材料になります。
糖尿病のある方が選びやすい飴の考え方
基本は「栄養成分表示」と「原材料名」をセットで確認
飴選びでは、パッケージ裏面の「炭水化物(糖質)」量、エネルギー量、そして原材料名(砂糖、水飴、果糖ぶどう糖液糖など)を確認しましょう。特に“飴は少量でも回数で増えやすい”ため、1粒あたりの糖質を把握するのが実務的です。
代替甘味料を使った「ノンシュガー飴」は選択肢になり得る
血糖値への影響を抑えたい方には、ラカントを使用した飴や、その他の代替甘味料(エリスリトールなど)を用いたノンシュガーの飴が選択肢となるでしょう。
一例として、ラカントのど飴は、羅漢果(らかんか)由来の甘味成分とエリスリトールを主原料とし、カロリーゼロをうたう製品です。これらの甘味料は一般に血糖値に影響を与えにくいとされます。実際に、軽症糖尿病患者を対象とした研究で、甘味料「ラカントS」摂取後に血糖値およびインスリン値に有意な変化が認められなかったと報告されています。
ただし、どのノンシュガー飴でも無制限に良いわけではありません。糖アルコール(エリスリトール、ソルビトール等)は体質によりお腹がゆるくなることがあり、また製品によっては“糖類は少ないが炭水化物は一定量ある”ケースもあります。主治医・管理栄養士と相談のうえ、量を決めて運用するのが安全です。
「ノンシュガー」「シュガーレス」でも注意したい点
「ノンシュガー」は“糖類ゼロ相当”であって、“糖質ゼロ”とは限らない
日本の食品表示の考え方では、「ノンシュガー」「シュガーレス」「糖類ゼロ」等の表示は、糖類(単糖類・二糖類)が一定基準未満であることを根拠に表示されます。たとえば「食品100g当たり糖類0.5g未満」で「糖類ゼロ」と表示できる、といった整理がされています。
ここで重要なのは、「糖類が基準未満」でも、糖アルコール等を含む“炭水化物(糖質)”がゼロとは限らない点です。血糖管理では、表示の言葉だけでなく栄養成分表示(炭水化物量)を優先して確認しましょう。
「ノンシュガー」でも水飴が含まれる場合がある
「ノンシュガー」と表示されていても、水飴などの糖質が含まれる場合があります。水飴の主成分である麦芽糖は、体内でブドウ糖に分解され血糖値を上げます。微量で表示基準を満たしていれば「ノンシュガー」表示が可能なケースがあるため、原材料名の確認が欠かせません。
“頻繁な摂取”が一番の落とし穴
飴は携帯しやすく、仕事中や移動中に“無意識で回数が増えやすい”食品です。少量ずつでも継続的に糖質を入れ続けると、血糖が下がる時間が取りにくくなります。食べるなら「個数を決める」「時間帯を決める」「空腹時を避ける」「ながら食べをしない」をセットで徹底しましょう。
低血糖時に役立つ飴の活用法
まず最優先:かかりつけ医から指示された方法に従う
低血糖の対応は個別性が高く、服薬内容によっても変わります。低血糖の兆候を自覚した際は、必ずかかりつけ医や医療機関から事前に指示された方法に従ってください。
一般的に言われる対応:ブドウ糖10~15g、15分待って再評価
一般的には、「ブドウ糖」と明記されたタブレットや飴、あるいはブドウ糖を含む飲料等で、ブドウ糖を10~15g摂取し、約15分様子を見る対応が推奨されることがあります。脂肪や食物繊維が多い食品(チョコ、クッキー、牛乳など)は吸収が遅れることがあるため、緊急時はブドウ糖が選ばれやすい点がポイントです。
α-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI薬)を服用している場合の注意
特にα-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI薬)を服用している場合は、砂糖(ショ糖)ではなく、ブドウ糖を摂取しないと血糖値が上がりにくいことがあるため注意が必要です。
ブドウ糖摂取後も改善が見られない場合や不安がある場合は、速やかに医師の診察を受けてください。
飴以外の糖質摂取源にも注意を:血糖値管理のための全体的な視点
飴だけでなく、菓子パン、ファーストフード、甘いスナック菓子、清涼飲料水や果物ジュースといった食品も、糖質やカロリーが過剰に含まれていることが多く、食後の血糖値の急激な上昇や体重増加を招きやすい傾向にあります。これらの摂取量にも注意し、製品の成分表示を確認する習慣をつけましょう。
血糖値を安定させるためには、日々の食生活全体を見直すことが重要です。食事の間隔を均等に保ち、主食の量を調整する、タンパク質や食物繊維が豊富な副菜を積極的に取り入れる、よく噛んでゆっくり食べる、といった食事術が有効です。また、ウォーキングや筋力トレーニングなどの適度な運動習慣を取り入れることも、血糖コントロールに寄与します。
まとめ
・糖尿病でも飴が一律に禁止とは限りませんが、「量」「タイミング」「回数管理」が重要です。
・WHOの糖類ガイドラインは一般集団向けであり、糖尿病の方は主治医・管理栄養士の方針に沿って“間食枠”として管理する必要があります。
・ノンシュガー飴は選択肢になり得ますが、「糖類ゼロ相当」でも「糖質ゼロ」とは限らないため、栄養成分表示(炭水化物量)と原材料名を必ず確認しましょう。
・低血糖時の対応は自己判断せず、医療機関の指示を最優先に。一般的にはブドウ糖10~15g摂取、15分後に再評価といった考え方が用いられます。
よくある質問
糖尿病の方でも、飴は一切食べてはいけないのでしょうか?
いいえ、糖尿病だからといって飴を完全に断つ必要があるとは限りません。重要なのは、飴の種類(甘味料)、食べる量、そしてタイミングです。特に糖尿病の方は、間食の扱いが個別の治療計画に強く依存するため、主治医・管理栄養士に「飴を食べる場合の量と頻度」を具体的に確認するのが安全です。
ノンシュガー飴なら、いくら食べても問題ありませんか?
問題ありません、とは言えません。「ノンシュガー」「シュガーレス」は糖類が一定基準未満であることを示す表示で、糖質やカロリーが完全にゼロとは限りません。糖アルコール等の摂り過ぎでお腹がゆるくなることもあります。栄養成分表示(炭水化物量)を確認し、量を決めて食べるのが基本です。
低血糖の症状が出た時、どんな飴が最適ですか?
まずは医療機関から事前に指示された方法が最優先です。一般的には、主成分がブドウ糖のタブレットやキャンディが選ばれやすく、ブドウ糖10~15g摂取して経過を見るといった対応が紹介されます。服薬内容(特にα-GI薬の使用など)で適切な対応が変わることがあるため、必ず主治医に確認してください。
「ノンシュガー」と書いてあれば、原材料は見なくて大丈夫?
いいえ、原材料名も必ず確認してください。「ノンシュガー」表示でも、水飴など血糖に影響し得る糖質が含まれる場合があります。表示の言葉だけで判断せず、栄養成分表示と原材料名をセットで見るのが確実です。

