全粒粉パンは、その豊富な栄養価と健康への良い影響から、ますます人気が高まっています。しかし、糖質制限を意識する人にとっては、その選び方が重要です。全粒粉パンは一般的に精白パンよりも低GI(グリセミック指数)で、血糖値の急上昇を抑える効果が期待できます。本記事では、全粒粉パンの選び方と、糖質に対する理解を深め、ヘルシーな食生活に役立つ情報を提供します。
全粒粉パンの特徴と魅力
全粒粉パンは、全粒粉をベースにしたパンのことを指します。一般的なパンでは主に強力粉を主体にしますが、全粒粉を使用すると「全粒粉パン」として知られています。また、全粒粉と強力粉を混ぜて作られるものは「全粒粉入りパン」と見なされることが多いです。全粒粉パンは、小麦の豊かな香りとザラザラした食感が特徴で、噛むたびに小麦本来の風味が深まります。控えめの甘さに加え、軽い酸味と旨味が特長的です。
全粒粉について
全粒粉とは「ぜんりゅうふん」と読み、小麦の粒をまるごと挽いて作られる粉です。通常の薄力粉や強力粉が白っぽい色をしているのに対し、全粒粉は茶色がかっています。これは、薄力粉や強力粉では胚乳の部分だけを使用し、胚芽や表皮が取り除かれているからです。しかし、全粒粉の場合、小麦をそのまま使うため、表皮や胚芽が含まれており、茶色い粉になるのです。
全粒粉の特性
全粒粉は通常の小麦粉とは異なり、製造過程が異なるため、特別な特徴を持っています。小麦は外皮、胚芽、胚乳という3つの要素から構成されますが、通常の小麦粉には外皮や胚芽が取り除かれています。
一方、全粒粉にはこれらの要素がすべて含まれており、小麦の栄養を全面的に摂取することが可能です。外皮は豊富な食物繊維を提供し、胚芽はビタミン、ミネラル、脂質を多く含んでいます。
対照的に、白い小麦粉は主に胚乳から成り、主成分は炭水化物です。このため、血糖値が急上昇しやすくなります。健康を意識したり糖質を控えたりしたい場合には、全粒粉を選ぶことが推奨されます。
全粒粉パンと一般的な小麦粉パンの糖質・カロリー
ここでは、全粒粉パンと通常の小麦粉パンの栄養バランスについて詳しく見ていきましょう。以下の情報は、2023年版日本食品標準成分表に基づくものです。
全粒粉パンは、一般的な小麦粉パンよりもカロリーが控えめで、糖質も少ないため、ヘルシーな選択肢として人気です。ジャムやバターを添えても、小麦粉パンと比べてカロリーと糖質を抑えることができます。
例として、いちごジャムは大さじ一杯で約45kcal、糖質は11.2gあります。バターは約37kcalで、糖質はほとんど含まれていません。
全粒粉パンを使えば、色々なトッピングを楽しみながら、糖質を抑えつつ栄養をしっかり摂ることができます。

全粒粉パンの利点
全粒粉パンの特長について、三つの利点を詳しくご紹介いたします。
このパンには、小麦の外皮や胚芽がしっかり含まれており、糖質の含有量も低めです。血糖値の急激な上昇を防ぐ低GI値を持ち、肥満や生活習慣病の予防にも寄与するでしょう。
全粒粉パンの具体的な利点を理解することで、健康を意識した食事をしっかりサポートできます。
炭水化物含量が少ない
全粒粉パンは、通常の小麦粉パンより糖質が少ないという利点があります。これは、糖質が少ない全粒粉が原料として使用されているためです。
全粒粉パンを選ぶことで、糖質の摂取を抑えつつもエネルギーを補えるため、糖質制限やダイエットをしている人に適しています。一般に糖質が多い食品は、血糖値の急上昇を招き、空腹感や疲労感につながることがあります。
しかし、糖質が少ないからといって、必ずしもカロリーが低いわけではありません。全粒粉パンを食べる際は、糖質だけでなくカロリーにも注目しておくことが大切です。
血糖値の上昇を抑える
全粒粉パンは、食後の血糖値の上昇を抑える食品で、その理由はGI値が低いためです。食品のGI値が高いと、食後に血糖値が急激に上昇する傾向があり、GI値55未満の食品は低GI食品、70以上のものは高GI食品と分類されます。
全粒粉パンはGI値50に当てはまるため、低GI食品として血糖値の上昇を和らげます。一方、市販されている小麦粉パンはGI値90と高GI食品に分類されます。
高GI値の食品を摂取すると、血糖値の急激な上昇によってインスリンが過剰に分泌されることがあり、結果として肥満や健康問題に発展するリスクが増します。このような影響を避けたい場合には、小麦粉パンを避け、代わりに低GI食品である全粒粉パンを選択するのが良いでしょう。
豊かな栄養成分
全粒粉には、栄養価の高い小麦胚芽が含まれており、これは特に貴重で、約1万粒の小麦からわずかスプーン1杯しか取れません。
この小麦胚芽は、一般的な小麦粉パンの加工で取り除かれるたんぱく質、脂質、食物繊維、カリウム、リン、鉄などを豊富に含んでいます。さらに、ビタミンB群とビタミンEもあり、糖質や脂質の代謝を助け、抗酸化作用を持っています。
全粒粉パンは、小麦の表皮と胚芽を丸ごと使って挽かれているため、栄養をしっかりと保持したまま焼くことが可能です。