クロワッサン ダ マンドは、その香ばしいアーモンドの風味とサクサクとした食感で、多くの人々を魅了するフランス菓子の代表格です。この美味しさは単なる偶然ではなく、長い歴史と伝統に裏打ちされています。フランスのパティスリーにおける真珠とも言えるこの菓子は、誕生から現代までどのようにその人気を維持してきたのでしょうか。歴史をひも解きながら、クロワッサン ダ マンドの魅力に迫ります。
クロワッサンとは
ザマンドについて知るためには、まず基本となるクロワッサンを理解することが重要です。
クロワッサンは、薄い層が幾重にも重なっていてサクサクした食感が特徴的なパンで、ひし形や三日月のような形をしています。材料には、一般的なパンと同じ強力粉、イースト、バター、塩、砂糖が使われていますが、生地とバターを何度も折り重ねることで多層構造を作り出し、特有のサクサク感を生み出します。
クロワッサンの起源にはいくつかの説がありますが、オーストリアがその発祥地とされています。トルコの国旗に描かれた三日月をモデルに成形したのが始まりで、その後、マリー・アントワネットがルイ16世と結婚する際にフランスにもたらされ、「三日月」を意味するフランス語の「クロワッサン」という名前がついたと言われています。
当初のクロワッサンはマーガリンなどの植物性油脂を用いて作られていましたが、その後、バターを折り込むレシピが普及しました。この変化により、使用される油脂の違いを判別するために、バターを使ったものはまっすぐなひし形に成形されるようになったとされています。
なお、フランスでは現在でも、マーガリンを使った三日月形は「クロワッサン・オルディネール」と呼び、バターを折り込んだひし形のものは「クロワッサン・オ・ブール」と、形で区別しているお店があるようです。日本の場合、特に決まりはないため、お店によって材料や形が異なり、バターを使った三日月型のクロワッサンも見かけることができます。

ザマンド(ダマンド)とは
「ザマンド」はフランス語で“アーモンド”を指す名称です。ここで取り上げるザマンドはクロワッサンの特製バージョンで、正式名は「クロワッサン・オ・ザマンド」とされています。「オ」はフランス語で「〜を使った」や「〜を詰めた」といった意味を持ちます。そのためクロワッサン・オ・ザマンドは「アーモンドを用いたクロワッサン」という意味になります。一部の店舗では「ダマンド」と称されることもあるようですが、これもやはりアーモンドを意味しているので同種です。
このクロワッサン・オ・ザマンドは、通常クロワッサンをラム酒や特製シロップで湿らせ、上にアーモンドクリームやアーモンドスライスを載せて焼きあげます。サクサクしたクロワッサンの魅力は時間とともに食感を失ってしまいます。それでもおいしく食べられる方法として生まれたのが、このクロワッサン・オ・ザマンドなのです。
シロップでしっとりとさせた生地と、焼き上げたアーモンドクリームの香ばしい食感の組み合わせは絶妙で、一度食べると忘れられない美味しさです。外側と内側の食感の差だけでなく、アーモンドの豊かな味わいが楽しめるのも大きなポイントです。パン屋で見かけたら、ぜひ一度試してみてくださいね。