スイスといえば、美しい山々と清らかな湖が浮かぶ絶景の自然風景が広がる国として知られていますが、その魅力は風景にとどまりません。実は、お菓子の国としても一流の名声を誇っています。スイスには数々の伝統的なスイーツがあり、それぞれの地域で長い歴史をもち、地元の文化や風習が息づいています。本記事では、スイスの旅に欠かせない、おすすめのお菓子たちをご紹介します。美味しさを通じて、スイスの豊かな文化に触れてみませんか。
エンガディーナー・ヌストルテ
「ヌス」はドイツ語で「ナッツ」を意味しています。スイス東部のグラウビュンデン州エンガディーナ地方で生まれたお菓子で、ヌガーとたっぷりのクルミのフィリングを香ばしいタルト生地で包み込んでいます。別名「グラウビュンドナー・ヌス・トルテ」とも知られており、日本ではエンガディーナとしてスイス菓子の一つとして人気があります。サクサクとしつつもしっとりとした食感が、クルミとヌガーの風味を引き立てています。
ツーガー・キルシュトルテ
スイス中部のツーク州で誕生した1915年に遡る一品で、ナッツを使ったメレンゲの層にサクランボのリキュール(キルシュ・ヴァッサー)がしっかりと染み込んだスポンジを挟んだ香り高いケーキです。メレンゲのさっくりとした食感と絶妙な組み合わせが特徴で、スイス国内のみならずヨーロッパ全体でも愛される存在となっています。
アールガウ・リューブリトルテ
アールガウ州のキャロットケーキは、スイス中央部東側に位置し、ユニークなレシピで知られています。スイスドイツ語で「リューブリ」とはニンジンを指し、このケーキはまさにニンジンが主役。世界中にキャロットケーキは存在しますが、特にスイス版は小麦粉の使用を控え、代わりに豊富なニンジンとヘーゼルナッツを活用します。ヘーゼルナッツは舌で感じる粗さを保つ程度に挽かれ、その特有の食感が魅力。スイスの子供たちにも非常に人気のあるケーキです。
ニートヴァルデン・アプフェルアウフラウフ
スイスの中心部に位置するニートヴァルデン州には、昔ながらのシンプルで美味しいアップルケーキがあります。卵白をしっかりと泡立てた後、それを牛乳、砂糖、オートミール、シナモンと優しく混ぜ合わせます。その後、ケーキ型にスライスしたリンゴを並べて、生地を流し込み、オーブンで焼くという手軽なレシピです。リンゴの自然な香りが楽しめる、伝統的で素朴な味わいのケーキです。
ソロトュルナー・トルテ
ジュラ山脈のふもと、スイスのソロトゥルン州で1915年に生まれたケーキが紹介されています。このケーキは、複数のスポンジ層を持ち、ヘーゼルナッツ入りのバタークリームが挟まれています。上下にはたっぷりとヘーゼルナッツが加えられたメレンゲ生地でしっかりとサンドされています。
側面はスライスしたアーモンドで覆われており、メレンゲの軽やかさ、アーモンドの焼き上がりの香ばしさ、そしてスポンジとバタークリームのしっとりした食感が一体となった、贅沢な味わいが楽しめます。
スイスの菓子にはナッツを使ったものが多く見られますが、特にヘーゼルナッツがよく使われており、その風土に合ったケーキです。スイスを訪れる際は、こうしたケーキをぜひお試しください。