腎臓病と診断された方にとって、食事制限は避けて通れない道。でも、おやつまで我慢するのは辛いですよね。「腎臓病だから、もう何も楽しめない…」なんて落ち込まないでください!この記事では、腎臓病患者さんでも楽しめるおやつの選び方をご紹介します。我慢ばかりの食生活から解放されて、心も体も満たされる、そんなおやつ時間を過ごしましょう。腎臓病と上手く付き合いながら、美味しく、楽しく、笑顔あふれる毎日を送りませんか?
腎臓病の方にとっておやつが必要な理由
おやつは、単なる気晴らし以上の意味を持ち、心身の健康維持に深く関わっています。厳しい食事制限は、欲求を抑えるストレスを生じさせがちですが、おやつは食事とは異なる楽しみを提供することで、気分転換を促し、心理的な負担を軽減します。医師や栄養士と相談しながら、個々の病状に適したおやつを選ぶことで、精神的な安定を保ち、治療へのモチベーションを維持できます。また、食事制限により、必要なエネルギーや栄養素が不足しやすくなるため、特に食欲不振時には、おやつが貴重なエネルギー源となります。高齢の患者さんの場合、低栄養や体重減少のリスクが高まるため、少量でもエネルギーを補給できるおやつは、体力の維持に役立ちます。さらに、おやつは精神的な満足感をもたらし、生活の質(QOL)を高める効果も期待できます。好きなものを少しでも味わえる喜びは、日々の生活に彩りを与え、前向きな気持ちを保つ支えとなります。家族や友人と一緒におやつを楽しむ時間は、コミュニケーションを深め、孤独感を和らげる上でも大切です。
腎臓病のおやつの基本の考え方と制限すべき栄養素
腎臓病のおやつを選ぶ際は、食事療法の基本原則を守ることが重要です。特に、腎臓病の食事療法で制限される塩分、たんぱく質、カリウム、リンの含有量が少ないものを選ぶことが大切です。これらの成分を多く含むおやつを摂取すると、通常の食事での制限が無意味になり、腎臓に過剰な負担をかける可能性があります。ここでは、腎臓病で制限すべき栄養素とその理由、そしておやつから摂取したいエネルギー量について詳しく説明します。
腎臓病で摂取を制限する栄養素とその理由
腎臓病では、塩分、たんぱく質、カリウム、リンの摂取量を制限する必要があります。制限の程度は、病気の進行度合い、年齢、性別、生活習慣などによって異なります。必ず医師に相談し、指示に従ってください。
塩分
塩分を過剰に摂取すると、体内の塩分濃度を調整するために腎臓に負担がかかります。また、体内に水分が溜まりやすくなり、血圧が上昇する原因となります。高血圧は腎機能の悪化を促進するため、塩分摂取の制限は非常に重要です。スナック菓子や塩辛い珍味(イカの塩辛、ビーフジャーキーなど)の摂取は控え、どうしても食べたい場合は、管理栄養士に相談して量を調整しましょう。
たんぱく質
体内でたんぱく質が分解される際、尿素のような有害物質が発生します。健康な腎臓であれば、これらの毒素を尿として体外へ排出できますが、腎機能が低下すると、排出が円滑に行われず体内に蓄積してしまいます。そのため、たんぱく質の摂取量を調整し、毒素の発生量を抑えることが、腎臓への負担軽減と病状の進行を遅らせることに繋がります。適切な摂取量は腎臓病の進行度合いによって異なり、初期段階では過剰摂取に注意する程度で済みますが、病状が進むにつれて、より厳格な制限が必要となります。豆菓子、魚肉ソーセージ、ヨーグルトやチーズなどの乳製品はたんぱく質を多く含むため、注意が必要です。
カリウム
腎臓病が進行すると、カリウムの摂取制限が必要となる場合があります。腎機能が低下するとカリウムを十分に排泄できなくなり、血液中のカリウム濃度が異常に上昇し、不整脈や重篤な場合には心停止を引き起こすリスクが高まります。制限の程度は、服用している薬や症状によって異なりますので、必ず医師に相談し、摂取量を決定するようにしましょう。ドライフルーツ、チョコレート、ナッツ類、さつまいもを使ったおやつ(スイートポテトなど)はカリウムを多く含むため、摂取を控えることが望ましいです。
リン
腎機能が低下すると、リンを尿と一緒に体外へ排出する能力が低下します。その結果、血液中のリン濃度が高くなり、骨が弱くなる可能性があります。さらに、血管の石灰化が進み、心筋梗塞や脳卒中のリスクが高まるため、リンの過剰摂取にも注意が必要です。リンはたんぱく質を多く含む食品に多く含まれているため、たんぱく質の摂取を制限することで、リンの摂取量も同時に抑えられることが多いです。乳製品、さつまいもを使ったおやつ、チョコレート、ナッツ類などはリンを多く含んでいるため、摂取を控えるか、量を調整するようにしましょう。
食事で不足しがちなエネルギーを補給する
腎臓病の治療では、食事制限によってエネルギー不足になりがちです。エネルギーが不足すると、体は筋肉中のたんぱく質を分解してエネルギーを補おうとするため、その過程で尿素などの毒素が発生し、結果として腎臓に負担をかけることになります。腎臓病の進行を抑制するためには、必要なエネルギーをしっかり摂取することが不可欠です。塩分、たんぱく質、カリウム、リンの含有量が少ない、または少量のお菓子を選び、食事だけでは不足しがちなエネルギーを効果的に補給しましょう。特に、炭水化物はたんぱく質とは異なり、代謝されても尿素などの毒素を生成せず、二酸化炭素と水に分解されるため、腎臓に負担をかけにくいエネルギー源として適しています。でんぷん、砂糖、水あめなどを主原料としたお菓子は、腎臓病の方にとって比較的安心して食べられるおやつとして推奨されます。
おやつの摂取量と食べ方のポイント
おやつは、日々の食事で不足しがちな栄養素を補給したり、気分転換をしたりするための「プラスアルファ」として考えましょう。おやつだけで必要な栄養をすべて摂ろうとすると、特定の栄養成分を摂りすぎてしまう可能性があります。そのため、1日に必要なエネルギー量の約10%(およそ100〜200kcal)を目安に摂るのが一般的です。血糖コントロールが必要な方は、おやつを100kcal以内に抑えましょう。市販のお菓子を選ぶ際は、必ず栄養成分表示を確認し、手作りする場合は、使用する材料の成分を考慮して工夫することが大切です。また、おやつを食べる前に、量を決めておくことが重要です。「ほんの少しだけ」「もう一口だけ」という気持ちから、つい食べ過ぎてしまうのを防ぐために、袋から直接食べるのではなく、お皿に食べる分だけを取り分ける、個包装のおやつは1袋だけにするなどの工夫をしましょう。食べ過ぎを防ぐために、残ったおやつはすぐに手の届かない場所にしまう習慣をつけましょう。このように、あらかじめ食べる量を決めておくことで、無理なく食事療法を続けることができます。
腎臓病の方におすすめのおやつ
ここでは、腎臓病をお持ちの方でも、比較的安心して食べられるおやつと、その栄養価をご紹介します。栄養価は商品によって異なる場合がありますので、購入する際は、必ずパッケージの表示をよく確認してください。
飴
飴は、主に砂糖から作られており、手軽にエネルギー補給ができます。たんぱく質、カリウム、リンといった、腎臓病で摂取制限が必要な成分がほとんど含まれていません。特に、カリウムはごくわずかしか含まれていないため、腎臓病への影響をあまり気にせず食べられるお菓子の一つです。ただし、糖分の摂り過ぎには注意し、適量を守るようにしましょう。食欲がない時のエネルギー源としても活用できます。
水ようかん
水ようかんは、小豆を水で薄めて作られるため、小豆に比較的多く含まれるカリウムの量が少なくなっています。また、たんぱく質も控えめなので、腎臓病の方でも比較的安心して食べやすいおやつです。水ようかん100gあたりのたんぱく質は約2.6g、カリウムは約17mg含まれていますが、他のお菓子に比べると少ないため、安心して食べられると言えるでしょう。口当たりが良いので、食欲がない時でも取り入れやすいのが特徴です。
生八つ橋
京都を代表するお菓子の生八つ橋は、カリウムやリンの量が比較的少ないため、腎臓に配慮が必要な方でも選びやすいおやつです。特に、つぶあんよりもこしあんを使ったものがおすすめです。独特のもちもちした食感と上品な甘さで、少量でも満足感が得られるでしょう。
わらび餅・くず餅
わらび餅やくず餅は、たんぱく質、カリウム、リンが少ない点が嬉しいポイントです。これらの和菓子の主な原料は、くず粉やさつまいも、れんこんなどのでんぷんです。くず餅は100gあたり93kcalとカロリーが低く、たんぱく質も0.1gと非常に少ないのが特徴です。塩分やカリウムもほとんど含まれていないため、腎臓病の方にとって安心なお菓子と言えます。ただし、添えられていることが多い黒蜜はカリウムを多く含むため、量を控えめにすることが大切です。また、きな粉にもカリウムやリンが含まれているため、少量にするか、あるいは付けずに食べるのがおすすめです。
求肥
求肥は、もち米の粉と砂糖を原料として作られています。米にはたんぱく質が含まれているため、くず餅やわらび餅に比べるとたんぱく質の量はやや多く、100gあたり1.3g程度です。しかし、洋菓子や大福などと比べると少なく、塩分やカリウムもほとんど含まれていないため、腎臓病の方でも比較的安心して食べられるお菓子です。
寒天ゼリー
ゼリーを作る際の凝固剤には、寒天とゼラチンの2種類があります。寒天はテングサなどの海藻から作られており、たんぱく質をほとんど含んでいません。一方、ゼラチンは動物性のコラーゲン由来のたんぱく質であるため、腎臓病の方には寒天を使ったゼリーが推奨されます。ただし、牛乳寒天は牛乳由来のたんぱく質を含むため、注意が必要です。
おせんべい
一般的に、おせんべいは塩分が多めに含まれている傾向があるため、たくさん食べることは控えた方が良いでしょう。しかし、個包装になっているものを選び、食べる量を調整すれば、摂取量をコントロールできます。エネルギー補給をしたい場合には、揚げせんべいも選択肢の一つとなります。また、塩分の少ない南部せんべいや、減塩タイプのおせんべいを選ぶことで、より安心して楽しむことができるでしょう。ただし、醤油や塩で味付けされているため、塩分量には注意が必要です。食事からの塩分摂取量と合わせて、一日の制限量を超えないように注意しましょう。
パイ菓子
パイ菓子も、食べる量に注意すれば、カリウムやリンの摂取量を抑えやすいお菓子です。個包装になっているものを選ぶと、量を調整しやすくおすすめです。
腎臓病ケアおやつ(特別用途食品)
市販されている腎臓病向けのおやつは、タンパク質、カリウム、リン、ナトリウムといった成分が特別な調整を受けています。そのため、安心して口にできる選択肢の一つと言えるでしょう。タンパク質、カリウム、リン、ナトリウムなどが調整された腎臓病患者向けの食品も市販されています。ゼリータイプ、ビスケット、カステラ、おせんべいなど、様々な種類があります。通常のお菓子に比べるとやや高価ですが、毎日の食事制限に取り組む中で、より安全なおやつを選びたいと考える方にとって、これらの専用商品は頼りになる存在となるでしょう。
腎臓病と向き合う方へのおやつ選びのポイント
おやつは、腎臓病の食事療法を続ける上で、心の支えとなる大切な要素です。しかし、いくつか注意しておきたい点があります。
できるだけ避けたい市販のお菓子
一般的に販売されているお菓子は、タンパク質や塩分、カリウムなどが多く含まれている傾向があります。そのため、口にする際には、一日の摂取制限量をオーバーしないよう注意が必要です。商品のパッケージに記載されている栄養成分表示をしっかりと確認し、タンパク質や食塩相当量などを計算してから食べるようにしましょう。
スナック菓子について
スナック菓子は、塩分とカリウムが多く含まれている点が特徴です。これらを過剰に摂取すると、腎臓に大きな負担をかけることになるため、できる限り避けることが望ましいでしょう。どうしても食べたい場合は、栄養成分表示を参考に、食べる量を厳格に決めて少量に留めるようにしましょう。
洋菓子
洋菓子には、小麦粉、卵、牛乳など、タンパク質を豊富に含む材料がよく使われています。そのため、全体としてタンパク質の含有量が多くなりがちです。ショートケーキ、シュークリーム、プリンなどを召し上がる際は、タンパク質やリンの摂取量に配慮し、量を控えめにすることを心がけましょう。
大福、どら焼きなどの和菓子
あずきはカリウムを多く含むため、あんこを使った大福やどら焼きといった和菓子も、摂取量に注意が必要です。カリウム制限を受けている方は、特に注意して量を調整するか、医師や管理栄養士に相談するようにしてください。
水分制限がある場合のおやつ選び
腎臓病の病期(ステージ)や尿の排泄状況によっては、医師から水分摂取の制限を受けることがあります。そのような場合は、無意識のうちに水分を摂りすぎてしまわないように、おやつの種類にも注意を払う必要があります。例えば、ゼリー、プリン、アイスクリームなどは、見た目以上に水分を多く含んでおり、口当たりが良いことからついつい食べ過ぎてしまうことがあります。水分制限がある方は、これらの摂取量に特に気を配り、必ず医師や管理栄養士に相談し、水分量を確認しながら適切なおやつを選ぶようにしましょう。
必ず専門家へ相談する
腎臓病の進行具合や合併症の有無は、患者さんによって大きく異なり、必要な食事制限の内容も人それぞれです。したがって、インターネットや本などで得た情報のみを頼りに、「これは食べても大丈夫」「これは避けるべき」と自分で判断することは非常に危険です。おやつを選ぶ際も、必ず主治医や管理栄養士の指示をきちんと守ってください。具体的に何を食べられるのか、どのくらいの量なら許容されるのかを詳しく確認し、個々の状態に合わせた専門的なアドバイスを受けることが、安全で効果的な食事療法を続ける上で最も重要です。
まとめ
腎臓病を患っている方にとって、おやつは単なる嗜好品以上の意味を持ちます。厳しい食事制限による精神的な負担を和らげ、不足しがちなエネルギー源を補給する大切な役割を担っているのです。おやつを選ぶ上での基本は、食塩、たんぱく質、カリウム、リンといった成分の含有量が少ないものを選ぶことです。これらの栄養素が腎臓に与える影響を正しく理解し、エネルギー補給を目的として、でんぷんや砂糖を主原料としたお菓子を選ぶことが推奨されます。これらのポイントをしっかり守り、無理のない食事療法を継続しながら、上手に、そして楽しくおやつを取り入れ、生活の質を高めていきましょう。※この記事は、腎臓病患者さん向けのおやつの一般的な情報提供を目的としており、個別の医療アドバイスを提供するものではありません。おやつを選ぶ際は、必ず医師や管理栄養士にご相談ください。
腎臓病でもおやつは本当に食べられるのですか?
腎臓病の治療中であっても、おやつを完全に禁止する必要はありません。適切なおやつを選べば、食事制限によるストレスを軽減し、必要なエネルギーを補給することができます。ただし、ご自身の病状に合わせて、おやつを選ぶ種類や量について、必ず医師や管理栄養士に相談することが大切です。
おやつを選ぶ際の最も重要なポイントは何ですか?
腎臓病の方がおやつを選ぶ際に最も注意すべき点は、塩分、たんぱく質、カリウム、リンの摂取量をできるだけ抑えることです。これらの成分を多く含むおやつは、腎臓に負担をかけてしまう可能性があるため、購入前に栄養成分表示をしっかりと確認し、含有量の少ないものを選ぶようにしましょう。
1日に摂取するおやつの適切な量は?
おやつは、日々の食事に加える「プラスアルファ」と考え、1日に必要なエネルギー量の概ね1割程度(およそ100~200kcal)に留めるのが一般的です。特に血糖値の管理が必要な方は、おやつを100kcal以内に抑えることが推奨されます。食べ過ぎを防ぐためには、あらかじめ食べる量を決めてお皿に取り分けたり、個包装のお菓子を1袋だけ選ぶなどの工夫が効果的です。













