日々の食卓に欠かせないじゃがいも。世界にはおよそ2000種類、日本国内でも20種類ほどの品種が出回っており、それぞれに個性的な特徴があります。定番の男爵薯やメークインから、インカのめざめやシャドークイーンといったユニークな品種まで、形、色、食感、甘み、そして最適な調理方法が異なります。本記事では、代表的なじゃがいもの品種を徹底的に比較し、各品種の美味しさを最大限に引き出す調理法や、具体的なレシピを詳しくご紹介します。じゃがいもの奥深い世界を知ることで、毎日の料理がより一層楽しくなるような情報が満載です。ぜひ、あなたのお気に入りのじゃがいもを見つけて、その魅力を存分に味わってください。
じゃがいもの基本情報と多様性
じゃがいもは、世界中で親しまれている、栄養豊富な食材です。その多様な品種は、食卓に彩りと豊かな風味を添え、さまざまな料理で活躍します。ここでは、じゃがいもの基本的な情報から、その歴史、世界と日本における流通状況、そして食感の違いについて詳しく解説します。
じゃがいもとは?その起源と歴史
じゃがいもは、ナス科ナス属に分類される多年草植物です。私たちが食用としている部分は、地中で育つ「地下茎が肥大したもの」であり、一般的に誤解されがちな根ではありません。じゃがいもの原産地は南米アンデス山脈地帯で、紀元前から栽培されていたと言われています。
日本へは17世紀初頭にインドネシアのジャカルタから伝来しました。そのため当初は「じゃがたらいも」と呼ばれていましたが、次第に短縮されて「じゃがいも」という名称が定着したとされています。また、じゃがいもは「馬鈴薯(ばれいしょ)」という別名でも知られています。この名称は中国語に由来し、形が馬につける鈴に似ていることから名付けられたという説が有力です。
世界と日本におけるじゃがいもの流通と生産
じゃがいもは世界各地で栽培されており、その品種は2000種類にも及ぶと言われています。特に中国やインドでの生産量が多く、世界中で重要な食料源としての役割を担っています。
日本国内で一般的に流通しているのは、そのうちおよそ20種類です。日本で最も収穫量が多いのは北海道で、広大な土地と冷涼な気候がじゃがいもの栽培に適しています。じゃがいもは比較的育てやすいため、家庭菜園やプランター栽培にも向いており、春と秋の年に2回収穫することも可能です。お子様と一緒に育てることで、食育にもつながるでしょう。
じゃがいもの食感分類:ほくほく系としっとり・ねっとり系
じゃがいもは、その種類によって食感が大きく異なります。大きく分けると、「ほくほく系」と「しっとり・ねっとり系」の2つのタイプがあります。これらの食感の違いは、主にでんぷんの量や細胞の構造によって生まれます。それぞれの特徴を理解し、適切な調理方法を選ぶことで、じゃがいも本来の美味しさを最大限に引き出すことが可能です。
ほくほく系のじゃがいもは、でんぷんを豊富に含み、加熱すると水分が抜けやすく、粉質な食感になるのが特徴です。口に入れると、まるで栗のようにほろほろと崩れ、豊かな風味と自然な甘みが広がります。煮崩れしやすい性質があるため、マッシュポテトやコロッケ、フライドポテトなど、じゃがいもを潰したり形を変えたりする料理に最適です。
一方、しっとり・ねっとり系のじゃがいもは、でんぷんの量が少なく、きめが細かく水分を多く含んでいます。加熱しても形が崩れにくく、滑らかな舌触りともっちりとした食感が楽しめます。煮物や炒め物、揚げ物など、じゃがいもの形を保ちたい料理や、じゃがいもそのものの食感と味わいを活かしたい料理に向いています。
主要じゃがいも品種の徹底比較:特徴と最適な調理法
日本で特に人気が高く、よく食べられている主要なじゃがいも品種について、それぞれの特徴を詳しく解説し、最も美味しく味わえるおすすめの調理法をご紹介します。それぞれの品種の個性を把握し、料理に最適なじゃがいもを選びましょう。
男爵(だんしゃく):ほくほく系の代表格
男爵は、日本で最も広く栽培されており、長年にわたって親しまれている代表的なじゃがいも品種です。元々はアメリカ原産の「アイリッシュ・コブラー」という品種でしたが、明治時代に川田龍吉男爵が栽培を始めたことが名前の由来となっています。
見た目と特徴
表面に凹凸が多く、ゴツゴツとした丸い形をしているのが特徴です。果肉は白っぽく、でんぷん質が非常に豊富です。
食感と風味
加熱調理すると、ほっくりとした口当たりになり、自然な甘さが際立ちます。
調理時の注意点
デンプンを豊富に含むため、煮込み料理などでは形が崩れやすい点に注意が必要です。
おすすめの調理法
この特徴的なほっくり感を最大限に活かすには、じゃがいもを潰して調理する方法がおすすめです。ポテトサラダやコロッケ、マッシュポテト、そしてシンプルに粉ふきいもなど、素材の味を活かした料理に最適です。また、フライドポテトにすれば、外側のカリカリとした食感と内側のほっくりとした食感のコントラストを楽しめます。
メークイン:煮崩れしにくく、なめらかな舌触り
メークインは、男爵薯と人気を二分するほど、日本国内で広く栽培されている品種です。そのルーツはイギリスにあり、大正時代にアメリカから日本へと伝わりました。「Mayqueen(5月の女王)」という英語が名前の由来であると言われています。
外観と特徴
なめらかな表面と長めのフォルムが特徴で、皮の凹凸が少ないのが魅力です。果肉はクリーム色に近い淡い黄色で、きめ細かいのが特徴です。
食感と風味
舌触りが良く、しっとりとした食感が楽しめます。ほのかな甘みがあり、上品な味わいです。
調理のポイント
デンプン含有量が比較的少ないため、加熱しても形が崩れにくいのが利点です。
最適な調理方法
煮込んでも煮崩れしにくい特性から、煮込み料理に最適です。特に、肉じゃが、カレー、シチュー、おでん、ポトフなど、素材の形を保ちたい料理にぴったりです。炒め物や揚げ物にも適しています。
キタアカリ:甘さと黄色の果肉が魅力
キタアカリは、「男爵」とデンプン豊富な「ツニカ」を掛け合わせた日本生まれの品種です。特に北海道で広く栽培されており、その風味から「クリじゃがいも」という愛称でも親しまれています。
外観と見分け方
姿は男爵によく似ていますが、芽の周辺が赤みを帯びているため、容易に見分けられます。また、果肉の色は鮮やかな黄色で、食卓を華やかに彩ります。
食感と味わい
デンプンを豊富に含み、男爵をしのぐ甘さと、ほっくりとした食感が特徴です。栗を思わせる上品な風味が楽しめます。
調理時の注意点
男爵と同様に、煮物などでは煮崩れしやすい点に注意が必要です。
おすすめの調理法
その甘みとほっくり感を最大限に引き出すには、じゃがいもを潰して作る料理や、素材本来の味をシンプルに味わう調理法が最適です。ポテトサラダやコロッケ、マッシュポテトといった定番料理はもちろん、じゃがバターやフライドポテトにすれば、その甘さとホクホクとした食感が際立ちます。加熱するだけでも美味しく召し上がれるため、蒸し料理にもおすすめです。
インカのめざめ:希少なじゃがいも、栗のような甘さ
インカのめざめは、南米アンデス原産のじゃがいもを日本人の好みに合わせて改良した品種です。その独特な風味と栽培の難しさから、「幻のじゃがいも」と呼ばれることもあります。
見た目と特徴
一般的なじゃがいもに比べて小ぶりで、果肉の色は非常に濃い黄色をしています。きめが細かく、見た目の美しさも特徴の一つです。
食感と味
食感はホクホクとしており、栗やナッツを思わせる濃厚な風味と強い甘みが大きな魅力です。また、独特の香ばしさも楽しめます。
調理の注意点
発芽しやすい特性があるため、長期保存には適していません。購入後はできるだけ早く使い切るか、適切な保存方法で管理することが大切です。
おすすめの調理法
素材本来の味が濃く、蒸しただけでも美味しくいただけるため、シンプルな調理法がおすすめです。煮崩れしにくい特徴から、煮込み料理やカレー、シチューなどの具材としても最適です。また、油で揚げると甘みが際立ち、フライドポテトや素揚げにすると格別な味わいを楽しめます。
インカのひとみ:「インカのめざめ」の血統を受け継ぐ品種
インカのひとみは、「インカのめざめ」の優れた性質を受け継ぎ、さらに改良を加えた品種として誕生しました。
見た目と特徴
サイズは小ぶりですが、「インカのめざめ」と比較するとやや大きく、長楕円形をしています。皮の色は薄い赤色で、果肉は目を引く鮮やかな黄色をしています。
食感と味わい
インカのめざめと共通する風味を持ち、栗やナッツを思わせる甘さと、ほっくりとした食感が特徴です。
調理時のポイント
煮込んでも形が崩れにくい性質があります。
おすすめの調理方法
揚げ調理でも美しい黄色を保つため、フライドポテトやポテトチップスに最適で、見た目も鮮やかに仕上がります。煮崩れしにくいことから、煮物、炒め物、カレーなど、様々な料理に活用できます。インカのめざめと同じように、蒸してそのまま素材の味を楽しむのも良いでしょう。
ベニアカリ:赤い皮と、ほくほくとした食感
ベニアカリは、名前が示す通り、赤い色の皮が印象的なじゃがいもです。
外観と特徴
真ん丸としたフォルムで、目を引く赤色の皮と雪のような白い果肉の対比が美しいじゃがいもです。
食感と風味
代表的な品種である男爵薯よりもデンプンを豊富に含み、際立ったホクホク感が特徴です。保存することで、より一層甘みが増し、美味しくなります。
調理時の注意点
デンプン質が多いため、加熱調理の際に煮崩れを起こしやすい点に注意が必要です。
最適な調理方法
容易につぶせるため、マッシュポテトやポテトサラダ、コロッケといった料理に最適です。また、そのホクホクとした食感と自然な甘さを生かした、粉ふきいもも格別です。
とうや:北の大地が生んだ万能品種
とうやは、じゃがいもどころとして知られる北海道で生まれた品種で、その名は美しい洞爺湖にちなんで名付けられました。別名として「黄爵(おうしゃく)」とも呼ばれています。
外観と特徴
丸みを帯びた形と、鮮やかな黄色の果肉が特徴です。成長が早く、比較的短い期間で収穫できる早生種であり、大きめのじゃがいもがたくさん収穫できるため、家庭菜園に挑戦したい方にもおすすめです。
食感と味わい
舌触りが滑らかで、でんぷんの含有量が少ないため、一般的なじゃがいもに比べてしっとりとした食感が楽しめます。また、ほのかな甘みが感じられるのも魅力です。
調理時のポイント
でんぷん質が少ないことから、煮込んでも形が崩れにくいという特徴があります。
おすすめの調理法
煮崩れしにくい性質と、もっちりとした食感を最大限に活かし、煮物や炒め物、カレー、シチューなど、形を維持したい料理に最適です。さらに、グラタンやオーブン料理にも適しており、多種多様な料理でその才能を発揮します。
北海こがね:揚げ物に適した品種
北海こがねは、特にフライドポテトのために開発された品種です。当初は加工用として開発されましたが、その優れた風味から、現在では生鮮食品としても広く販売されています。
見た目と特徴
メークインに似た細長い形状で、粘り気のある食感が特徴です。
食感と味
舌触りが良く、きめ細かく滑らかな口当たりで、ほのかな甘みが感じられます。
調理のポイント
揚げ調理でも変色しにくいのが特長です。さらに、煮込んでも形が崩れにくいというメリットも持ち合わせています。
最適な調理方法
フライドポテトにすれば、見た目も美しい黄金色に仕上がり、外側のカリッとした食感と内側のねっとりとした食感のコントラストが楽しめます。煮崩れしにくいので、煮物やカレー、シチューといった料理にも最適です。炒め物にも活用できます。
十勝こがね:保存性に優れ、様々な料理に合うホクホク系
十勝こがねは、北海道で開発されたじゃがいもです。長期保存が可能で、調理しやすいのが魅力です。
外観と特徴
楕円形で、皮の色は黄白色をしています。芽が浅く少ないため、芽が出にくく、長期保存に適しています。表面の凹凸が少ないため、皮むきが容易で、調理がしやすいというメリットもあります。
食感と味わい
舌の上でとろけるような滑らかさと、どこか懐かしいホクホク感を両立。上品な甘さと豊かな風味をご堪能いただけます。
調理時のポイント
煮込んでも形が崩れにくく、油で揚げても美しい色合いを保つのが特徴です。
おすすめの調理方法
蒸し料理にすると、持ち前のホクホク感が際立ち、じゃがバターやシンプルに蒸しただけでも格別の味わいです。煮崩れの心配が少ないため、煮物、炒め物はもちろん、揚げ物、カレーやシチュー、ポテトサラダなど、様々な料理でその美味しさを発揮します。
ジャガキッズレッド:先進技術が生み出した、赤い皮が彩るポテトサラダ
ジャガキッズレッドは、最先端のバイオテクノロジーを駆使して開発された、革新的なじゃがいもです。
外観と特徴
小ぶりで愛らしい丸みを帯びたフォルムが特徴です。表皮は鮮やかな紅色を帯び、中身は明るい黄色をしています。
食感と風味
きめ細かく、とろけるような口当たりで、加熱するとすぐに柔らかくなります。上品な甘さが感じられ、舌の上でなめらかに広がります。
調理上の注意点
加熱時間には注意が必要です。煮込みすぎると形が崩れやすいため、様子を見ながら調理しましょう。
最適な調理方法
持ち味である、とろけるような舌触りを最大限に活かす調理法がおすすめです。ポテトサラダやマッシュポテトにすれば、そのなめらかさを存分に堪能できます。コロッケの具材としても、素材の良さを引き立てます。
シャドークイーン:目を引く紫色のジャガイモ
シャドークイーンは、北海道で生まれた、その名の通り、目を奪われるような鮮やかな紫色の外観を持つジャガイモです。
外観と特徴
皮はもちろん、中身もサツマイモのように深い紫色をしているのが特徴です。
食感と風味
加熱してもその美しい紫色が失われない点が、このジャガイモの大きな魅力です。食感はしっとりとしており、かつ、ほどよいホクホク感も楽しめます。
調理における注意点
その色合いを最大限に活かせる調理方法を選ぶと、より一層美味しくいただけます。
おすすめの調理法
その鮮やかな色合いを活かし、例えば、紫色のポテトチップスや、ポタージュ、サラダ、マッシュポテトとして食卓に並べると、見た目にも楽しい一品となります。フライドポテトにしても、その美しい紫色は損なわれることなく楽しめます。
料理がもっと楽しくなる!調理法別じゃがいも使い分けガイド
じゃがいもは、品種によって食感や煮崩れやすさが大きく変わります。そのため、料理に合わせて最適な品種を選ぶことが、美味しさを最大限に引き出すための秘訣です。ここでは、代表的な調理方法別に、特におすすめのじゃがいもをご紹介します。
煮物・カレー・シチューにおすすめの品種
煮込んでも形が崩れにくい煮物には、でんぷん質が控えめで、きめが細かい品種が理想的です。これらの品種は、煮汁の旨みをしっかりと吸い込みつつ、じゃがいも本来の食感と美しい見た目を保ちます。
- メークイン: 楕円形で煮崩れしにくく、滑らかな舌触りが魅力。肉じゃが、カレー、シチュー、おでんなど、形を保ちたい煮込み料理に最適です。
- とうや: 丸い形状で煮崩れしにくく、口当たりが良いのが特徴。カレーやシチューなど、じゃがいもをゴロゴロと味わいたい料理に向いています。
- インカのめざめ: 煮崩れしにくいだけでなく、栗やナッツのような豊かな甘みと香りが特徴。煮込み料理に奥深い風味を加えます。希少な品種なので、特別な日の料理におすすめです。
- インカのひとみ: インカのめざめの特徴を受け継ぎ、煮崩れしにくく、揚げても色が変わりにくいのが魅力。煮物やカレーで、見た目と風味の両方を楽しめます。
- 北海こがね: 細長い形状で煮崩れしにくく、ねっとりとした食感が特徴。煮込み料理に独特のなめらかさをプラスします。
- 十勝こがね: 煮込んでも崩れにくく、滑らかな舌触りとホクホク感を兼ね備えた万能品種。様々な煮込み料理で活躍します。
一方で、カレーのルーにとろみをつけたい場合は、あえて男爵のような煮崩れしやすい品種を選ぶのも良いでしょう。
ポテトサラダ・マッシュポテト・コロッケにおすすめの品種
じゃがいもを潰して使う料理には、でんぷん質が多く、ホクホクとした食感で、粉質になりやすい品種がぴったりです。これらの品種を使うと、少ない水分でも滑らかに潰すことができ、風味豊かな仕上がりになります。
- 男爵: ホクホク系の代表的な品種で、潰しやすく、風味も豊か。ポテトサラダ、コロッケ、マッシュポテトには欠かせません。
- キタアカリ: 男爵よりも甘みが強く、ホクホク感が際立ちます。栗のような風味が、いつものポテトサラダやコロッケをグレードアップさせます。
- ベニアカリ: 男爵よりもでんぷん質が豊富で、非常にホクホクとした食感が楽しめます。マッシュポテトやポテトサラダで、じゃがいも本来の味を堪能できます。
- ジャガキッズレッド: 柔らかく、火が通りやすいだけでなく、舌触りも滑らかなので、ポテトサラダやマッシュポテトにすると、とろけるような口当たりになります。
- 十勝こがね: ホクホク感と滑らかな舌触りを両立しており、潰して使う料理にも適しています。
ポテトサラダを作る際は、じゃがいもがまだ温かいうちに味付けをすると、味がしっかり染み込んで、より美味しく仕上がります。
フライドポテト・炒め物におすすめの品種
揚げた時の食感がカリッとしていて、中がホクホク、またはしっとりしているのが理想的なフライドポテト。炒め物では、煮崩れしにくく、じゃがいも本来の風味が生かされる品種を選びましょう。
- 男爵: フライドポテトにすると、外側のカリカリ感と内側のホクホク感のコントラストが際立ちます。
- キタアカリ: フライドポテトにした時の甘みが強く、ホクホクした食感が好きな方におすすめです。じゃがバターにしても美味しくいただけます。
- 北海こがね: フライドポテトのために開発された品種で、揚げ色がきれいな黄金色になりやすいのが特徴。食感はねっとりとしています。
- インカのめざめ/インカのひとみ: 加熱すると甘みがより一層引き出され、まるで栗のような風味。素揚げやポテトチップスにも最適で、見た目も鮮やかです。
- メークイン/とうや: 炒め物に適しており、形が崩れにくいのが特徴です。しっとりとした食感で、味が染み込みやすいのも魅力です。
ピーマンとじゃがいもの甘辛炒めのように、じゃがいもの食感を残したい場合はしっとり系の品種がおすすめですが、ホクホク感を求めるなら男爵も良い選択です。
蒸し料理・じゃがバターにおすすめの品種
蒸し料理やじゃがバターは、じゃがいもそのものの味と香りをダイレクトに楽しめる調理法です。甘みが強く、風味豊かな品種を選ぶのがおすすめです。
- インカのめざめ: 蒸すだけで、栗やナッツを思わせる濃厚な甘みと香りが口の中に広がります。特別な日の食卓にもぴったりです。
- キタアカリ: 甘みが強く、ホクホクとした食感が特徴。じゃがバターにすることで、バターのコクとじゃがいもの甘みが最高のハーモニーを生み出します。
- 男爵: ホクホクとした食感と、どこか懐かしい素朴な甘みが魅力。蒸しただけでも、じゃがバターにしても美味しくいただけます。
- 十勝こがね: 蒸すとホクホク感が際立ち、じゃがいも本来の美味しさを存分に味わえます。
じゃがいもを使った絶品レシピ集
じゃがいもは、家庭料理に欠かせない万能食材。調理方法によって、主役にも脇役にもなれるのが魅力です。ホクホク、しっとり、なめらかなど、食感の違いを楽しめるのもポイント。ここでは、簡単に作れて満足度の高いレシピから、ちょっと特別な日に作りたいレシピまで、じゃがいもの美味しさを堪能できるレシピをご紹介します。
1. 基本なのに格別「定番ポテトサラダ」
おすすめ品種:男爵薯・キタアカリ ホクホク系のじゃがいもを使うと、なめらかでコクのあるポテトサラダに仕上がります。熱いうちに軽く潰し、少量のお酢を加えることで味が引き締まります。玉ねぎ、きゅうり、ハムなどを加えて、世代を問わず愛される定番の味をお楽しみください。
2. 型崩れしにくい「じゃがいもの甘辛煮」
推奨品種:メークイン、ニシユタカ 煮込んでも形が崩れにくい品種を選ぶことで、見た目もきれいに仕上がります。出汁、砂糖、みりん、醤油でじっくりと煮込むことで、じゃがいも本来の甘みが際立ち、食欲をそそるおかずになります。
3. 外はカリカリ、中はホクホク「フライドポテト」
推奨品種:男爵薯、インカのめざめ 少し太めにカットし、低温からじっくりと揚げることで、外側は香ばしく、中はホクホクとした食感になります。インカのめざめを使用すれば、まるで栗のような甘みが楽しめ、シンプルな塩味だけでも十分に満足できる一品です。
4. やさしい口当たりの「じゃがいものポタージュ」
推奨品種:メークイン、とうや 滑らかな食感が特徴の品種を使用すると、舌触りの良いポタージュに仕上がります。玉ねぎと一緒に炒め、牛乳や生クリームで伸ばせば、朝食はもちろん、おもてなしにも喜ばれるスープになります。
5. 素材の甘みを堪能する「じゃがいものロースト」
推奨品種:インカのめざめ、キタアカリ オリーブオイル、塩、ハーブを絡めてオーブンで焼くだけのシンプルなレシピです。高温で焼き上げることで甘みが凝縮され、付け合わせとしてはもちろん、メイン料理としても活躍する万能な一品です。
ジャガイモの適切な保管方法と留意点
ジャガイモは比較的日持ちする食品ですが、適切な方法で保管することで、鮮度を長く維持し、美味しく安全に食することができます。ここでは、ジャガイモの基本的な保管方法と、注意すべき点について解説します。
ジャガイモの常温保管
ジャガイモは、風通しの良い冷暗所で保管するのが基本です。理想的な温度は5℃前後とされています。具体的には、玄関や床下収納を利用したり、新聞紙で包んで段ボール箱に入れるなどの方法が有効です。ジャガイモが呼吸できるように、密閉せず、空気の循環がある場所を選びましょう。他の野菜と一緒に保管すると、ジャガイモから放出されるエチレンガスが他の野菜の劣化を促進することがあるため、分けて保管することが望ましいです。
また、ジャガイモは日光に当たると緑化しやすく、発芽しやすくなります。緑化した部分や芽には、天然毒素であるソラニンやチャコニンが多く含まれており、摂取すると食中毒の原因となる可能性があります。したがって、必ず日光の当たらない場所で保管し、発芽した場合はしっかりと取り除いてから調理するように心がけましょう。
冷蔵保管と冷凍保管の活用
長期間保管したい場合や、すでにカットしてしまったジャガイモは、冷蔵保管や冷凍保管が有効です。
冷蔵保管:ジャガイモを洗い、皮を剥き、水分を拭き取ってから、キッチンペーパーなどで包み、密閉可能な袋や容器に入れて冷蔵庫の野菜室で保管します。カットしたものは変色しやすいため、水にさらしてから保管すると良いでしょう。ただし、冷蔵庫に入れるとデンプンが糖に変化し、揚げた際に焦げやすくなることがあるので注意が必要です。
冷凍保管:ジャガイモを生のまま冷凍すると食感が損なわれるため、マッシュポテトにしてから冷凍したり、一度加熱して潰したり、小さくカットして軽く茹でてから冷凍するのがおすすめです。用途に応じて、ポテトサラダ用やコロッケの具材として冷凍保管しておくと、必要な時にすぐに使えて便利です。
発芽したジャガイモ、緑化したジャガイモの注意点
ジャガイモに芽が出ていたり、皮が緑色に変色している場合は注意が必要です。これらの部分には、ソラニンやチャコニンといった天然の有害物質が含まれています。これらを大量に摂取すると、吐き気、嘔吐、腹痛、下痢などの食中毒の症状を引き起こす可能性があります。
発芽している場合は、芽の根元を深くえぐり取るようにして完全に取り除きましょう。また、皮が緑色に変色している場合は、その部分を厚めに剥き取ってください。特に変色が著しい場合や、全体が緑色になっている場合は、残念ながら廃棄するようにしましょう。ジャガイモの変色や発芽は、日光に当たることで促進されるため、保管場所には十分に注意を払いましょう。
まとめ:じゃがいもの個性を知って、食卓を彩り豊かに
じゃがいもは、その種類の豊富さによって、見た目や色合い、口当たり、風味、そして最適な調理方法が大きく変わります。ほっくりとした食感が特長の「男爵薯」や「キタアカリ」、煮込んでも形が崩れにくいしっとり系の「メークイン」や「とうや」、栗のような甘さが際立つ「インカのめざめ」など、それぞれの持ち味を把握することが、じゃがいもを使った料理を一層おいしくするコツです。
この記事でお伝えした品種ごとの個性やおすすめの調理法、そしてレシピを参考にして、ぜひ色々なじゃがいもを試して、そのおいしさを堪能してください。料理に最適なじゃがいもを選べるようになれば、毎日の食事がより楽しく、豊かなものになるはずです。
じゃがいもにはどのような種類があるのでしょうか?
日本でよく見かけるじゃがいもは約20種類ほど存在しますが、代表的なものとしては「男爵薯(だんしゃくいも)」「メークイン」「キタアカリ」「インカのめざめ」「とうや」「シャドークイーン」などがあります。それぞれ見た目、色、食感、甘さの度合いが異なります。
煮崩れしにくいじゃがいもはどれですか?
煮込んでも形が崩れにくい品種としては、「メークイン」「とうや」「インカのめざめ」「インカのひとみ」「北海こがね」「十勝こがね」などが挙げられます。これらの品種は、煮物や炒め物など、形をキープしたい料理に最適です。
ホクホクとした食感のじゃがいもはどれですか?
ホクホクの食感を楽しみたい場合は、「男爵薯(だんしゃくいも)」「キタアカリ」「ベニアカリ」「インカのめざめ」「十勝こがね」などがおすすめです。これらの品種はでんぷんを豊富に含んでいるため、ポテトサラダやコロッケ、マッシュポテトにすると格別です。
ポテトサラダに最適なじゃがいもは?
ポテトサラダを作るなら、「男爵薯」や「キタアカリ」、「ベニアカリ」、そして「ジャガキッズレッド」といった品種がおすすめです。これらのじゃがいもは、茹でて潰しやすく、ホクホクとした食感が楽しめます。中でもキタアカリは、その強い甘みによって、一段と風味豊かなポテトサラダに仕上がります。
じゃがいも、「男爵」と「メークイン」の違いとは?
「男爵」は、丸みを帯びたゴツゴツとした外観で、加熱するとホクホクとした食感になります。でんぷんを豊富に含んでいるため煮崩れしやすい性質があり、ポテトサラダやコロッケといった料理に向いています。一方、「メークイン」は細長い形状で、しっとりとした食感が特徴です。煮込んでも形が崩れにくいため、肉じゃがやカレーといった煮込み料理に最適です。
じゃがいものルーツはどこですか?
じゃがいもの発祥の地は、南米アンデスの高地です。日本へは17世紀初頭に、インドネシアのジャカルタを経由して伝えられたと言われています。
「幻のじゃがいも」と称される品種は?
「インカのめざめ」という品種が、「幻のじゃがいも」として知られています。栽培量が限られており、長期保存には適さないものの、栗やナッツを思わせる芳醇な香りと、際立つ甘さが特徴です。
紫色のじゃがいもは何という品種ですか?
目を引く紫色が印象的なじゃがいもは、「シャドークイーン」という名前で知られています。加熱してもその美しい色合いが失われにくいため、食卓を華やかに彩る料理に最適です。
じゃがいもの保存で気をつけることは?
じゃがいもは、光にさらされると緑色に変色しやすく、発芽もしやすくなります。緑色になった部分や芽には天然の有害物質が含まれているため、風通しの良い、涼しく暗い場所で保管してください。もし芽が出てしまったら、完全に取り除くか、緑色に変色した部分は厚く切り落とすようにしましょう。













