高知の太陽が育む、多様な柑橘の魅力

高知県は、温暖な気候と豊かな太陽光に恵まれ、多様な柑橘類の栽培が盛んな地域です。その太陽の恵みをたっぷりと浴びて育った柑橘は、濃厚な甘みと爽やかな酸味が特徴。古くから親しまれてきた温州みかんをはじめ、文旦やポンカン、近年人気の土佐文旦など、その種類は多岐に渡ります。この記事では、高知の太陽が育んだ、個性豊かな柑橘の魅力に迫ります。

土佐文旦

柑橘類の中でも特にビタミンCが豊富で、ミネラルもたっぷり。さらに皮にはダイエットをサポートする成分まで含まれる「文旦」。その生産量で日本一を誇り、全国の約95%が高知県産という事実はご存知でしょうか。温暖な気候、長い日照時間、そして豊富な雨量といった恵まれた自然環境は、農業に最適です。高知県では米や野菜に加え、「小夏」「ポンカン」「柚子」など多種多様な柑橘類が栽培されていますが、中でも「文旦」の収穫量は群を抜いています。特に高知県西部の幡多地区に広がる「おおぐし農園」は、約52ヘクタールもの広大な農地で年間400トン以上もの「土佐文旦」を出荷しています。その規模と収穫量は、高知県内はもとより日本国内でもトップクラスです。

水晶文旦

室戸市で戸梶清氏によって1952年頃に生み出されたこの品種は、交配のルーツが定かではありません。耐寒性が低い性質から、主にハウスで育てられており、そこで実った果実は9月下旬から11月にかけて市場に出回ります。その果肉は、水分をたっぷり含み、強い甘みが際立っています。

小夏(日向夏)

宮崎県で誕生し、田村利親氏によって「日向夏蜜柑」と名付けられたこの柑橘は、地域によって好まれるサイズが異なります。九州では200gを超える大玉が人気ですが、高知県では小玉が好まれ、それが「小夏」と呼ばれる理由です。小夏には、一般的な日向夏の他に、「西内小夏」、「室戸小夏」、「宿毛小夏」など、複数の品種が存在します。収穫時期は3月から4月頃で、7月頃まで市場に出回ります。その特徴は、初夏の訪れを感じさせるような、爽やかな酸味と甘さの絶妙なバランスです。

ユズ

中国の揚子江上流地域を故郷とする柑橘類で、その独特な香りは食酢としてだけでなく、多岐にわたる料理で活用されています。さらに、芳香剤や化粧品など、食品以外の分野でも広く利用されています。露地栽培では、青い実が8月から9月頃に、黄色い実が11月頃に収穫されます。黄色い実は、果皮の状態によって、搾汁用と生食用に選別されます。

直七(田熊スダチ)

柑橘系の仲間で、特に酸味が特徴的な果実です。その名前の由来は、魚商人の直七が広めたことによると伝えられています。また、広島県尾道市では、かつてスダチと呼ばれていたことから、植物学者の田中長三郎博士によって「田熊スダチ」という別名も与えられています。ユズのような強い香りではなく、穏やかな酸味が魅力です。

ブシュカン(モチユ)

四国や九州に伝わる伝統的な香りの柑橘です。「仏手柑」と表記されることがありますが、それは誤りです。別の柑橘類を指す言葉なので注意が必要です。完熟すると鮮やかなオレンジ色に変わります。高知県では、青い実を収穫し、新鮮なイカの刺身の風味付けに使われています。

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