バター使い道
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バター使い道

バターは、料理に深みと香りを与え、製菓では独特の口どけやコク、そして食感を作る要になります。 ここでは定義・分類・性質・製造・保存・歴史・活用法までをまとめて解説します。

バターの定義と主成分

バター(英語: butter)は、牛乳から分離されたクリームを攪拌し、凝固させた乳製品です。漢字では「牛酪(ぎゅうらく)」とも表記されます。
その主要な成分は乳脂肪であり、ビタミンA、D、E、Kといった脂溶性ビタミン、そして様々なミネラルが含まれています。 バターはその高い濃縮度こそが、濃厚な味わいと高い栄養価を生み出す源泉となっています。※製造に必要な牛乳の量は、製造方法や製品の特性により変動します。

「バター」という言葉の由来

「butter」はラテン語の「butyrum」を経て、さらにギリシャ語で「牛のチーズ」を意味する語にルーツがあるとされます。 日本語の「牛酪」という表記も示す通り、一般に牛乳由来の製品を指します。

日本におけるバター消費の現状

日本の食卓では、パン、料理、製菓に広く使われます。過去には供給が不安定になった時期もあり、需要期には品薄が起きやすい素材でもあります。

発酵/無発酵・有塩/食塩不使用

発酵バターと無発酵バター

発酵バター

乳酸菌で培養・熟成したクリームから作り、独特のコクや香り、わずかな酸味が特徴です。 パンに塗る、焼き菓子に使う、ソースのベースにするなど、香りを活かす用途に向きます。

無発酵バター

乳酸菌による発酵工程を経ずに作り、クセが少なくミルキーでクリーミーな風味が際立ちます。 幅広い料理・製菓に応用しやすいのが特徴です。

有塩バターと食塩不使用バター

食塩不使用バター

塩分を厳密にコントロールしたい製菓で便利です。繊細な甘みや香りを崩したくないレシピに向きます。
「食塩不使用バター」は、かつて「無塩バター」と呼ばれていましたが、厳密には生乳由来の微量の塩分が含まれるため、 食品表示基準における「無塩」の強調表示基準(ナトリウム5mg未満/100g)を満たさないこと、 および消費者に正確な情報を提供し誤解を防ぐため、現在の名称に変更されました。

有塩バター

適度な塩分が風味を引き立て、保存性にも寄与します。料理に使う場合は、全体の塩加減を調整します。
一般的には「発酵/無発酵」×「有塩/食塩不使用」で4タイプに整理できます。

性質:組成・温度と質感・色と香り

組成

バターは乳脂肪が80%以上を占め、水分がおよそ15〜18%、乳固形分が約1%程度(有塩の場合は食塩も含む)という構成が一般的です。

温度と質感の変化

バターは温度で硬さが大きく変わり、冷蔵直後は硬く、室温で柔らかくなり、さらに温度が上がると溶けていきます。 製菓では、この「狙った温度帯の質感」を使い分けることが仕上がりを左右します。

彩りと香りの個性

色は飼料由来のカロテノイド(β-カロテンなど)の影響を受けます。香りは乳脂肪の品質や発酵の有無で変化し、 加熱でさらに複雑な芳香へと展開します。

お菓子作りの科学:3つの主要機能

可塑性(形を変える力)

バターは特定の温度帯で粘土のように形を変え、力を抜いても形を保ちやすくなります。折り込み生地(パイ、クロワッサン等)では バターが硬すぎても柔らかすぎても層が作れず、適温管理が重要です。

クリーミング性(空気を抱き込む力)

砂糖と一緒に攪拌すると空気を取り込み、焼成時にその空気が膨張して生地をふっくら持ち上げます。 バターケーキやマフィン、クッキーなどの食感に直結します。

ショートニング性(グルテン形成の抑制)

バターが粉粒子をコーティングすることでグルテンの結合を妨げ、ホロッと崩れる食感や歯切れの良さを作ります。 タルトやクッキーの“サクほろ感”の核になる性質です。

製造方法

  1. 原料乳の受入・検査:成分や衛生状態などを確認します。
  2. クリーム分離:遠心分離でクリームと脱脂乳に分けます。
  3. 殺菌・(必要に応じて)均質化:品質・衛生を整えます。
  4. 熟成(発酵バターの場合):乳酸菌で香りと酸味の核を作ります。
  5. チャーン(攪拌):脂肪球が凝集し、バター粒とバターミルクに分離します。
  6. 洗浄と練り上げ:残留成分を洗い、組織を均一化します(有塩はここで塩を添加)。
  7. 整形と包装:酸化・匂い移りを抑える包装で出荷します。

ご家庭でのバター作り

乳脂肪分の高い動物性生クリームを攪拌し続けると、固形(バター粒)と液体(バターミルク)に分かれます。 バター粒を冷水で洗い、水分をよく絞ってまとめると自家製バターになります。

適切な保存方法

バターは酸化しやすく匂いを吸着しやすいため、開封後はラップで密着させるか密閉容器で冷蔵保存します。
長期保存は小分けして冷凍が便利です。解凍は冷蔵庫でゆっくり行うと風味を保ちやすくなります。

起源と歴史:古代〜近代

バターの歴史:起源から現代までの変遷

ここからは、バターが人類の歴史の中でどのように生まれ、様々な文化や社会でどのような役割を担ってきたのかを深く掘り下げていきます。 その起源から古代の多様な利用法、中世ヨーロッパでの広がり、そして日本への伝来と近代における変遷まで、バターが歩んできた道のりを探求しましょう。

起源と古代の多様な利用法

バターの起源は定説がありませんが、古代から乳脂として利用され、地域・気候・宗教・交易の影響を受けながら食文化に定着していきました。

中世ヨーロッパでの広がり

寒冷地域では保存性の観点から食用油脂として価値が高まり、西ヨーロッパへも徐々に広がりました。

宗教・文化との関係

宗教的な禁欲規定などが食用の位置づけに影響し、地域によっては特別な許可や慣習が生まれました。

日本への伝来と近代における利用法の変遷

日本では古くから試作・薬用的利用があったとされ、近代以降に生産体制が整い、一般の食生活へ広く浸透しました。

近現代におけるバターと周辺環境の変遷

バターの歴史は、単なる食料品の変遷に留まらず、社会経済や技術革新とも深く結びついています。 特に、その代替品であるマーガリンの登場は、バターの役割や位置づけに大きな変化をもたらしました。 ここでは、バターを取り巻く近現代の歴史と、マーガリンとの関係性について考察します。

バターを取り巻く歴史とマーガリンとの関係性

19世紀後半のフランスでは、当時の戦争によるバター価格の急騰に対応するため、手頃な価格の代替油脂としてマーガリンが開発されました。 この発明は、食料供給の安定化という切実な要請から生まれ、それまでのバター中心だった食卓に大きな変化をもたらしました。 植物性油脂を主原料とすることで、手頃な価格での大量生産が可能となり、世界各地へ普及していきます。 現代の食卓では、バターは芳醇な香りとコクを活かす素材として評価される一方、マーガリンは植物性由来の利点や機能性も持ち合わせ、 手軽で扱いやすい油脂として、それぞれ独自の立ち位置を確立しています。

多岐にわたる使い道:料理と製菓

料理での基本的な使い方

ソテー、炒め物、ソースの仕上げ、ルーなど、香りとコクを付与する油脂として機能します。 有塩を使う場合は全体の塩分を差し引いて調整します。

フレーバーバター(コンパウンドバター)

ハーブ、にんにく、魚介、スパイスなどを練り込むことで、少量でも味が決まりやすくなります。

日本ならではの食べ方

ご飯にバターと醤油を合わせるなど、和の調味料と組み合わせる使い方も定着しています。

バタークリーム

粉糖やシロップ等と合わせて攪拌し、デコレーションやフィリングに使われます。安定性が高く、造形にも向きます。

バターランプ

食用以外でも、宗教儀礼などで灯明として用いられる文化があります。

お菓子作りでの扱い方の極意

バターを常温で使う重要性

製菓で言う「常温」は目安として20〜25℃程度。指で押すと跡がつく柔らかさが理想です。 この状態で砂糖と攪拌すると空気を抱き込みやすく、ふんわりした生地につながります。

溶けたバターを冷やすと元に戻らない理由

一度溶けて結晶構造が崩れると、再冷却しても均一な結晶が戻りにくく、ざらつきや分離が起きやすくなります。 その結果、クリーミング性やショートニング性が十分に働かず、食感に影響が出ます。

固め直したバターで作るとどうなる?(例:クッキー、パウンドケーキ)

生地が均一になりにくく、空気を抱き込みにくいことで、サクサク感やふくらみが弱くなり、重い食感になりやすい傾向があります。

もう失敗しない!正しい常温への戻し方

  • 薄切りにする:厚みを揃えて表面積を増やし、ムラなく戻します。
  • 電子レンジは低出力+短時間:短い刻みで様子を見て、溶かしすぎを避けます。

溶けてしまったバターの活用法

溶かしバターを使う焼き菓子、料理の風味付け、ソースのコク出しなどに回すと無駄がありません。

マーガリン/本バター

マーガリン

植物油などを主原料とする油脂加工食品で、低温でも扱いやすい設計の製品が多くあります。 一方で、加熱時の香りの立ち方などはバターと性格が異なるため、用途で使い分けるのが合理的です。

本バター

「バター風味」と区別する文脈で、乳脂肪を主要原料とする純粋なバターを指して「本バター」と呼ぶことがあります。

生産地と生産量

世界のバター生産は、特定の国々によって大部分が占められています。2011年時点の統計によれば、インドは群を抜いた主要生産国の一つであり、 これにEU圏、アメリカ、ニュージーランドなどが続きます。日本もまた、一定量のバターを生産しています。
最新の正確な生産量データについては、一次統計(例:FAOSTATなど)や業界団体・公的機関が整理する統計ページをご参照ください。

バター不足(日本・北欧)

日本での供給不安と輸入枠

日本国内では年によって供給がタイトになり、需要期に品薄が起きることがあります。 たとえば2017年3月には、2017年度(平成29年度)のバター輸入枠が13,000トンとされ、前年度の輸入実績(約6,500トン)の約2倍に相当する 供給安定化のための異例の措置が取られた時期がありました。
その後も、日本国内では年によってバター不足が散発的に発生し、政府による緊急輸入が実施されることがあります。 近年では、生乳生産量の変動や需要の堅調さ、輸入枠の運用方針などが重なり、需給の振れが大きくなる局面も見られます。 国内生産は北海道が中心で、需給バランスの変動は脱脂粉乳の需給や生乳の廃棄問題などとも関連します。

北欧での不足と社会的影響

北欧でも、気象条件による生乳生産の変動と需要期の買いだめが重なると、供給不足や価格高騰が起こり得ます。 また、市場構造や関税などの要因が絡むと、改善に時間を要するケースがあります。
バター不足は、原料乳の生産量、飼料・輸送コスト、気象条件、需要期の偏りなどが重なって発生しやすい現象です。

健康

バターは乳脂肪、ビタミンA、D、E、Kなどの脂溶性ビタミンを含んでおり、適量を守って利用する限りにおいては健康的な食生活の一部となり得ます。 一方で脂質も多いため、摂取量は全体の食事バランスの中で調整するのが現実的です。

まとめ

バターは、風味を足すだけでなく、食感や膨らみといった“構造”にも影響する素材です。 とくに製菓では温度管理が最重要ポイントで、可塑性・クリーミング性・ショートニング性を狙って使い分けると再現性が上がります。

よくある質問

バターの種類はどのようなものがありますか?

製法の違いで「発酵バター/無発酵バター」、塩分の有無で「有塩/食塩不使用」に分かれ、組み合わせで4タイプとして整理できます。

お菓子作りでバターを常温に戻すのはなぜ重要ですか?

適温に戻すことで空気を抱き込みやすくなり(クリーミング性)、生地が軽くふんわり仕上がりやすくなります。 さらに粉の結合を抑えて食感を作る(ショートニング性)面でも、状態管理が重要です。

溶けたバターを冷やし固めても元に戻らないのはなぜですか?

一度溶けて結晶構造が崩れると、再冷却しても均一な結晶が戻りにくく、質感のざらつきや分離が起きやすくなるためです。 結果として、空気を含ませる工程の効率が落ち、食感に影響が出ます。

溶けてしまったバターはどのように活用できますか?

溶かしバターを使う焼き菓子、パンケーキやワッフルへの追いバター、炒め物やソースのコク出しなどに回すと使い切りやすいです。

バターを常温に戻す際の失敗を避けるには?

薄切りにして均一に戻すか、電子レンジを使う場合は低出力で短時間ずつ、こまめに状態を確認するのがコツです。

バターの歴史はいつ頃から始まったとされていますか?

起源は定説がありませんが、古代から乳脂として利用され、気候や交易、宗教などの影響を受けながら食文化に定着していったと考えられます。

バターは健康に良い食品なのでしょうか?

バターは乳脂肪や脂溶性ビタミンを含みますが脂質も多いため、食生活全体のバランスの中で適量を守るのが基本です。
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