ファーストフラッシュとは
ファーストフラッシュとは

春の訪れと共に、茶葉の新芽と若葉が茂り始め、紅茶の新たな旅が始まります。この時期に収穫される茶葉は、紅茶の中でも特に価値ある「ファーストフラッシュ」として知られています。ファーストフラッシュは、寒い冬から目覚めた茶葉が持つ独特の魅力が詰まった春摘みの紅茶であり、その特徴的な香りと風味は、紅茶愛好家を魅了します。今回はファーストフラッシュに焦点を当ててご紹介します。

 

ファーストフラッシュとは

アールグレイとダージリンといえば、どちらも聞き覚えのある名前でしょう。ただし、その実態は全く違います。アールグレイは茶葉そのものではなく、フレーバーティーの一種です。一方、ダージリンはその名の通りダージリン地区で生産される、高級な茶葉の名称です。
フレーバーティーとは、茶葉にさまざまな香りを加えたものを表します。アールグレイの場合、黒茶にベルガモットの香りが混入されています。パンチのある柑橘系の香りが特徴で、その鮮やかな風味は、アイスティーとしても人気があります。
ダージリンは、それ自体が茶葉であり、「茶のシャンパン」とも称されるほどの上質なお茶です。インドのダージリン地区の特異な気候変動によって育つ茶葉は、甘みを含む春の初摘みから豊潤な秋摘みまで、いつでも味わいのバラエティーが愉しめます。
本質的には、アールグレイは調合した香りが特色であり、ダージリンはその茶葉自体の風味が特徴となります。このように、一口にお茶と言ってもその種類や特性は様々。それぞれの特長を理解して選ぶことで、お茶の楽しみ方も広がります。たとえばダージリンの茶葉を使用して、ベルガモットの香りを加えたアールグレイを製造することも可能です。これらを踏まえつつ、自分の好みや気分に合わせてお茶を選ぶことで、よりお茶の世界を深く楽しむことが可能となるでしょう。

ファーストフラッシュの特徴

ファーストフラッシュは、春摘みの紅茶であり、四季のうち特に冬から春にかけての成長期に収穫されるものを指します。この時期の茶葉は、冷たい冬の寒さから覚めることで新芽や若葉が成長し、茶葉内のタンニン(カテキン類)の含有量が徐々に増加していきます。

一般的に紅茶は「発酵茶」と分類されますが、発酵とは茶葉内のタンニンが酸化酵素の影響で酸化重合され、テアフラビンやテアルビジンなどの紅茶独特の成分に変化するプロセスです。ファーストフラッシュの茶葉はタンニンの含有量が少なく、したがって発酵が進みにくく、緑茶に近い特徴を持つ紅茶となります。

ただし、ファーストフラッシュの中でも特にダージリンなどの一部の紅茶は、この特徴を強調するために発酵を浅くし、途中で発酵を停止させることが一般的です。これにより、緑茶に通じる爽やかな風味や明るい色合いが際立ち、ファーストフラッシュならではの個性的な特徴が引き出されます。

ファーストフラッシュとは

まとめ

ファーストフラッシュは、春の新芽と若葉が茶葉に活力を与える時期に収穫される特別な紅茶です。この時期の茶葉は、タンニンの少ない状態から収穫されるため、発酵が進みにくく、緑茶に近い風味を持つ特徴的な紅茶となります。特に、ダージリンなどの一部の紅茶は、このファーストフラッシュの特徴を引き立たせるため、発酵を浅く制御しています。ファーストフラッシュは、紅茶の新たな一年の始まりを感じさせる貴重な味わいであり、多くの茶愛好家にとって待ち遠しい時期と言えるでしょう。

ファーストフラッシュ紅茶