カステラの正体:和菓子?洋菓子?歴史と定義から紐解く奥深い魅力
ふんわりした口当たりとやさしい甘さで親しまれるカステラ。けれど「カステは和菓子なの?」と聞かれると、洋菓子にも見えて迷う人は少なくありません。売り場の扱いも店によって異なり、分類があいまいな印象があります。本記事では、カステラの立ち位置を歴史と定義の観点から整理し、現代の楽しみ方まで読み解きます。

カステラの分類を巡る長年の問いかけ

カステラが和菓子なのか洋菓子なのかは、日常の買い物の場面で実感しやすい疑問です。スーパーでは和菓子の棚に並ぶこともあれば、デパートでは洋菓子寄りのコーナーに置かれることもあります。「どっちでもないのでは」と感じるのは、カステラが海外由来でありながら、日本で独自に育った背景があるためです。
この曖昧さは、カステラが日本の菓子文化にどう受容されたかを映す鏡です。まずは売り場や統計に見られる分類の“揺れ”から整理してみましょう。

百貨店の売り場に見る分類の曖昧さ

百貨店では、羊羹や饅頭などが並ぶ和菓子売り場と、ケーキやクッキーなどが並ぶ洋菓子売り場が分かれているのが一般的です。しかしカステラは、どちらかに固定されず、独立した銘菓コーナーに置かれたり、店舗の考え方や季節の企画で配置が変わったりします。
この扱いは、カステラが「和菓子らしさ」と「洋菓子らしさ」を同時に感じさせることの裏返しです。材料や製法はシンプルでも、背景を含めると一言で割り切れない。売り場の迷いは、そのままカステラの個性と言えます。

統計における分類から見える、カステラの立ち位置

分類の揺れは、日常感覚だけでなく、公的な集計にも表れます。家計調査では、菓子類の中でカステラは「ようかん」「まんじゅう」「他の和生菓子」「ケーキ」「プリン」「他の洋生菓子」などとは別個の独立品目として列挙されており、和生菓子・洋生菓子のいずれにも含めない扱いが制度的に採用されています(出典: 総務省統計局「家計調査」菓子類品目一覧(熊本県資料転載), URL: https://www.pref.kumamoto.jp/uploaded/attachment/13894.pdf, 2014-03-01)
ここで重要なのは、統計や売り場の区分が、必ずしも「定義の結論」ではない点です。実務上の分類は、流通や消費の慣習、世間の感覚に寄る部分もあります。そのため、「カステラは和菓子か」という問いを解くには、言葉の定義がいつ生まれ、何を基準にしてきたかに立ち返る必要があります。

歴史的定義:「和菓子」という言葉の成立と定着

カステラの捉え方は、作り手によっても異なります。海外由来の菓子が日本の技術や味覚で変化し、両方の特徴を持つようになった「和洋折衷」と見る立場と、和菓子という言葉が生まれる前から日本で親しまれ、国内で定着してきた菓子は歴史の連続性の中で和菓子として位置づけられる、という見方(出典: 和菓子の変遷と菓子屋の展開 - 並松信久 (京都産業大学), URL: https://ksu.repo.nii.ac.jp/record/10611/files/BIJCKSU_26_308.pdf, 2021)があります。どちらが正しいかを断じるより、「定義の基準が違えば結論も変わる」という点を押さえると、カステラの説明がぶれにくくなります。

カステラのルーツ:南蛮菓子としての来歴

カステラの起源は、海外から伝わった南蛮菓子にある、と説明されることが多いです。そこに共通するのが、小麦粉・卵・砂糖を用いて焼き上げるというシンプルさです。現代の私たちにとっては馴染み深い材料ですが、当時の日本では砂糖の価値が高く、こうした菓子は特別感を持ちやすかったと考えられます。
ここでポイントになるのは、「外から来た菓子」だったはずのものが、その後の日本で独自の進化を重ね、別物のように定着していったことです。ルーツが洋にありながら、日本の菓子文化の中で育ったという経緯が、カステラ 和菓子という問いを複雑にしています。

「和菓子」という言葉の成立が、見方を変える

和菓子という言葉は、それほど古いものではありません。明治維新以降、和服と洋服、和食と洋食のように、和と洋によって在来のものと区別したのと同じように、菓子も和菓子と洋菓子に区別されるようになりました(出典: 和菓子の変遷と菓子屋の展開 - 並松信久 (京都産業大学), URL: https://ksu.repo.nii.ac.jp/record/10611/files/BIJCKSU_26_308.pdf, 2021)。
この視点に立つと、カステラの捉え方が変わります。日本に定着し、長く親しまれてきた菓子を、後からできた区分でどこに置くのか。ここに分類のゆれが生まれます。カステラを和菓子とみなす立場は、材料よりも歴史的な定着を重視する傾向があります。

材料の観点から見たカステラの特徴

和菓子は、米や小豆、寒天など植物由来の材料を中心に語られることが多い一方、カステラは卵を多く使う点が目立ちます。このため、材料だけで線引きすると、洋菓子寄りに感じる人もいます。
ただし、和菓子の世界にも卵を使う菓子は存在し、またカステラは国内で製法が磨かれ、味や食感が日本的に整えられてきた経緯があります。材料だけで判定しようとすると例外が増えるため、歴史・用途・文化的な位置づけとセットで語る方が実務的です。

江戸期以降の普及と、日本での“定着”

カステラが日本で広く親しまれ、菓子文化に組み込まれていった過程は、分類議論の重要な根拠になります。贈答やもてなしの場面で扱われたり、家庭での菓子として浸透したりする中で、カステラは「日本の菓子」としての顔を強めていきます。
また、当初の食感や作り方がそのまま残ったのではなく、国内の職人の工夫で食感や風味が調整され、現在私たちがイメージするカステラに近づいていった、という語られ方もあります。外来の菓子が“日本の菓子”になっていくプロセスそのものが、カステラの本質と言えます。

現代におけるカステラの楽しみ方


カステラは、伝統的な菓子としてだけでなく、現代の生活にも取り入れやすい存在です。お茶請けとしての定番はもちろん、コーヒーと合わせたり、軽い補食として選ばれたりと、楽しみ方の幅が広がっています。
こうした柔軟さも、カステラが和菓子と洋菓子の“どちらにも寄れる”理由の一つです。固定された枠に収めるより、場面に応じて顔を変えられる菓子として捉える方が、説明も実態に近づきます。

まとめ

カステラは海外由来の南蛮菓子として伝わりつつ、日本で独自に発展し、長い時間をかけて食文化に定着してきました。そのため「カステラ 和菓子か洋菓子か」という問いは、材料だけでは決めきれず、和菓子という言葉の成立や歴史的な受容の視点が重要になります。売り場や統計で中間的に扱われることがあるのも、こうした背景の反映です。由来と定義を押さえると、カステラの見え方が変わります。気になった切り口から、次は別の和菓子・洋菓子の境界も比べてみてください。

FAQ

カステラは和菓子ですか?それとも洋菓子ですか?

一言で決めにくいのがカステラの特徴です。海外由来の焼き菓子として伝わった点では洋菓子的ですが、日本で長く作られ、贈答や茶の席などの文化に根づいた点では和菓子として語られます。どちらか一方に断定するより、和洋どちらの文脈でも説明できる菓子として理解すると、売り場の違いも自然に納得できます。

「和菓子」という言葉が新しい概念だと、分類はどう変わりますか?

和菓子という言葉が、洋菓子との対比で必要になったと捉えると、明治以前から日本に定着していた菓子は“和菓子側に置く”という考え方が成り立ちます。カステラを和菓子とする立場は、この歴史的な枠組みを重視します。言葉の成立を踏まえると、材料だけで分類するよりも、いつ・どのように日本で受容されたかが判断軸になりやすいです。

卵を多く使うのに、なぜカステラは和菓子扱いされることがあるのですか?

和菓子は植物由来の材料中心で語られがちですが、例外がまったくないわけではありません。カステラは卵を使う点で洋菓子寄りに見えますが、日本で長く親しまれ、国内の菓子文化の中で磨かれてきた経緯が強いため、歴史的定着を理由に和菓子として扱われることがあります。材料だけで判定しない立場では、十分に和菓子の枠に入ります。

デパートでカステラが和菓子売り場と洋菓子売り場の両方にあるのはなぜ?

売り場の区分は「厳密な定義」よりも、消費者の印象や品揃えの設計、店舗の方針に左右されます。カステラは和菓子の贈答文化とも相性がよく、同時にスポンジ系の焼き菓子として洋菓子の棚にもなじみます。そのため、独立コーナーになったり、企画によって配置が変わったりしやすいのです。

カステラを「和洋折衷」と説明するときのポイントは何ですか?

ルーツは海外由来である一方、日本で味や食感、作り方が調整されて定着した、という二段構えで説明すると分かりやすくなります。「外から来た菓子を、そのまま残したのではなく、日本の菓子として育てた」という視点を入れると、和菓子・洋菓子のどちらにも寄る理由が伝わります。分類の結論よりも、背景を添えることで納得感が上がります。




カステラカステラ 和菓子