旬のそら豆を余すことなく満喫!皮付きの美味しさから栄養、選び方、調理法まで徹底解説
初夏の訪れを告げる味覚、そら豆。そのふっくらとした食感と奥深い甘み、独特の風味は格別で、体に必要な多くの栄養素を含み、健康維持にも貢献する優れた食材です。そら豆の美味しさは、適切な調理法だけでなく、選び方、保存の仕方を知ることで格段に引き立ちます。さらに、豆を包む薄皮をどう扱うかを知ることで、この旬の恵みを一層深く味わうことができるでしょう。
本記事では、そら豆本来の風味を最大限に引き出すゆで方をはじめ、鮮度を保つための選び方や保存方法を詳述します。また、豊富に含まれる栄養成分とその効能、そして美味しく安全に楽しむためのポイントも解説。特に、豆を覆う薄皮の扱いや、その食べ方についても触れながら、そら豆の魅力を存分に引き出す多彩な調理アイデアや人気レシピもご紹介します。そら豆に関する知識を深め、食卓を彩る一助としてください。
そら豆の基礎知識:その名の由来、特徴、そして薄皮について
そら豆という名前は、そのさやが天に向かって真っ直ぐに伸びる姿から「空豆」と名付けられたとされています。また、蚕の繭に形が似ていることから「蚕豆」と書かれることも。収穫が近づき実が十分に熟すと、さやは下向きに垂れてきます。
豆粒の一つ一つを包む薄い皮(薄皮)には、一部色が変わる箇所が見られます。これは、さやと豆が繋がっていた部分の名残で、未熟なうちは緑色ですが、成熟が進むと黒ずんでくるため、「お歯黒」と呼ばれています。
写真の左側にあるのは、お歯黒がくっきりと黒く染まった完熟のそら豆です。一方、右側の淡い色合いのものはまだ若く、薄皮も非常に柔らかい状態が特徴です。この若い薄皮は、特に下処理なしでそのまま美味しくお召し上がりいただけます。成熟した薄皮はやや硬くなりますが、風味豊かなので、食べ応えを楽しみたい場合は剥かずに食べることも可能です。
料理研究家の野口氏によれば、そら豆は鮮度低下が非常に早く、乾燥しやすい性質を持つため、入手後すぐに調理することが肝心だそうです。特に、さやから取り出された状態のものは、購入したその日のうちに使うのが最良とされています。シンプルな塩ゆでだけでも十分に美味しいですが、まとめて茹でておけば、さまざまな料理に活用できて便利です。野口氏自身も、茹でたてのそら豆をそのまま味わうのはもちろん、そら豆ご飯やサラダ、炒め物などに幅広く利用しているとのこと。この際、若いそら豆であれば、やわらかい薄皮も一緒に調理し、食感と風味をプラスすることも可能です。
焼きそら豆も、シンプルながら非常に美味しい食べ方の一つです。さやごと魚焼きグリルやオーブントースターなどでじっくり焼くだけで、香ばしい香りが立ち上り、豆の旨みが凝縮されます。この方法だと、豆の薄皮も柔らかくなりやすく、香ばしい風味とともにまるごと楽しむことができます。
そら豆が持つ主な栄養成分とその健康効果
4月から6月にかけて最盛期を迎えるそら豆は、私たちの健康維持や増進に貢献する多様な栄養素を豊富に含有しています。ここでは、そら豆が提供する主要な栄養成分と、それらがもたらす身体への効果について詳しく掘り下げていきます。
植物性タンパク質:しなやかな体を作る大切な源
そら豆を構成する主要な栄養素の一つに、三大栄養素の一角を占めるタンパク質が挙げられます。そら豆の可食部100gには、実に「26.0g」ものタンパク質が含まれており、これは同量の枝豆(可食部100gあたり11.7g)と比較して2倍以上という高い数値です。
タンパク質は、健康な身体を築き維持するために不可欠な栄養素であり、内臓、筋肉、皮膚、髪、爪など、体全体の細胞や組織の主要な構成要素となります。そら豆が供給するのは「植物性タンパク質」であり、肉や魚介類から摂れる「動物性タンパク質」と概ね1対1の割合で摂取することが、栄養バランスの取れた食生活を送る上で理想的とされています。両者をバランス良く摂り入れることで、より効果的に健康的な体作りを支えることができるでしょう。
腸の健康をサポートする食物繊維
そら豆には、消化器系の働きを助け、生活習慣病の予防や改善に貢献するとされる食物繊維が豊富に含まれています。食べられる部分100gあたり8.0gの食物繊維を含み、その大半は水に溶けにくい「不溶性食物繊維」に分類されます。
不溶性食物繊維は、水分を吸収して便の量を増やし、腸のぜん動運動を活発にすることで、スムーズな便通を促します。水溶性食物繊維と不溶性食物繊維は、理想的には1:2の割合で摂取することが推奨されています。他の食品との組み合わせを考慮しながらそら豆を食事に取り入れることで、食物繊維のバランスの取れた摂取をサポートできます。
疲労回復に貢献するビタミンB1
そら豆は、糖質をエネルギーへと変換する過程で不可欠なビタミンB1も豊富に含んでいます。可食部100g中0.50mgのビタミンB1が含まれており、これは多くの食材の中でも肉類や魚介類に匹敵する高い含有量です。
十分な量のビタミンB1を摂取することは、糖質から効率的にエネルギーを生み出し、疲労感を和らげる効果が期待できます。日常的に疲れを感じやすい方にとって、そら豆は特におすすめの食材であり、日々の活力を維持する助けとなるでしょう。
重大な病気のリスクを軽減する葉酸
そら豆には、同じビタミンB群の一種である「葉酸」が260μg含まれています。葉酸は、新しい赤血球の生成を助ける重要な役割を担っており、貧血の予防にも繋がります。近年では、心臓病のリスク低減にも関連する可能性が指摘されており、その健康効果に大きな注目が集まっています。
そら豆を通じてビタミンB群を効果的に摂取することは、日々の疲労を軽減するだけでなく、将来的な疾患のリスクを遠ざけ、長期的に健康な体を維持しやすくなる可能性があります。
健やかな体を作る多様なミネラル
カリウム、カルシウム、リンといったミネラルが豊富に含まれているのも、そら豆の大きな特長です。特にカリウムの含有量は高く、可食部100gあたり1100mgと群を抜いています。
カリウムは、体内の余分な塩分を排出し、体液のバランスを整えることで、むくみの改善に役立つと考えられています。海藻類など特にカリウムが多い一部の食品を除けば、他の食材と比較してもトップクラスの含有量を誇り、高血圧の予防や体内の水分調整に貢献する重要なミネラル源となります。
新鮮で美味しいそら豆の見分け方
莢(さや)付きで売られていることが多いそら豆ですが、見た目からもある程度の鮮度と品質を判断できます。ここでは、そら豆を選ぶ際の重要なポイントを詳しくご紹介しましょう。
まず、莢は色が濃い緑色で、ピンとハリがあり、光沢を帯びているものが新鮮さの証です。表面にうっすらと生えている産毛(うぶげ)が残っているものも、鮮度が高い傾向にあります。
ハリとツヤがあり、莢の中の豆の膨らみが均一なそら豆は、しっかりと成熟している証拠です。薄い産毛が残っていると、さらに良いでしょう。
莢を開けてみると、豆がふっくらと膨らみ、きちんと育っていることが分かります。豆が入っている部分が豊かに盛り上がっていて、ボリューム感のあるものを選びましょう。
野口さんによると、莢の端にある豆は小さめなことがありますが、これらは柔らかく、薄皮ごと食べることが可能です。一方、大きい豆は食べ応えがあるので塩茹でに、小さい豆は炒め物などに向いているそうです。
また、もし莢から出された状態で販売されている場合は、豆の付け根部分の割れ目が茶色に変色していないかを確認しましょう。この割れ目の変色は鮮度が落ちているサインなので、色の綺麗なものを選ぶことで、より新鮮なそら豆を手に入れやすくなります。
そら豆の調理法:茹で方と加熱時間
野口さんの言葉通り、塩を効かせて茹でたそら豆は、それだけで立派なごちそうです。ここでは、鍋を使った基本的な茹で方と、フライパンで手軽にできる蒸し煮の手順とコツをご紹介します。
野口さんは「そら豆の塩茹でにおいて、塩加減と火の通し具合は非常に重要です。茹で上がった後に味見をして、もし塩味が足りないと感じたら、薄皮が付いた状態のそら豆に塩を振りかけて全体に混ぜ合わせましょう。さらに、加熱しすぎると豆が崩れてしまうことがあるので、茹ですぎないように十分注意してください」とアドバイスしています。
鍋で茹でる場合
野口さん「莢から豆を取り出す際は、包丁を使うよりも手でひねり出す方が簡単です。薄皮に切り込みを入れる目的は、後で薄皮を剥きやすくするためと、豆にしっかりと塩味を染み込ませるためです。切り込みの深さは薄皮一枚分、長さは1cm程度で十分なので、力を込める必要はありません。包丁の刃を豆に軽く当て、カーブに沿って動かすだけでOKです。
そら豆を手に持って切り込みを入れる方法もありますが、細かい作業になるため、手で持つよりもまな板に置いて切る方が安定します。ペティナイフのような小さめの包丁がおすすめですが、三徳包丁などを使う場合は、切れ味の良い刃の中央部分や、『あご』と呼ばれる持ち手側の角の部分で切ると作業がしやすくなります。お歯黒と呼ばれる黒い部分に切り込みを入れる方法もありますが、反対側に入れた方が薄皮が剥きやすいのでおすすめです。
茹でる際は、お湯が沸騰したままだと豆が硬くなってしまうため、常に中火を保つようにしましょう。茹で上がったら、水にさらさずにそのまま自然に粗熱を取る『陸(おか)あげ』を行います。水にさらしてしまうと、切り込みから水分が入り込み、水っぽくなってしまうことがあるので注意してください」
フライパンで蒸し煮にする場合
野口さん「お湯を沸かす時間を短縮したいときに最適な方法です。ただし、蒸し煮にするとそら豆本来の味と香りがより一層強くなるため、香りが苦手な方は鍋で茹でる方が良いでしょう。水の量が少なく蒸発しやすいので、火にかける前に塩を溶かしておくことで、焦らずに作業を進めることができますよ」
そら豆の魅力を引き出す多彩な調理アイデア
塩茹でが定番のそら豆ですが、その豊かな風味と独特の食感は、他にも様々な調理法で新たな表情を見せてくれます。ここでは、シンプルな塩茹でとは一味違う、そら豆の美味しい食べ方をご紹介します。
薄皮ごと揚げるカリッとした食感の喜び
そら豆は薄皮を剥かずにそのまま素揚げし、熱いうちに塩を振ると、香ばしくカリカリとしたフライドビーンズに大変身します。この調理法では、薄皮が持つ独特の風味と豆本来の甘みが際立ち、やみつきになる美味しさ。軽食やお酒のお供にも最適です。揚げることで、青々とした香りが和らぎ、食欲をそそる香ばしさが加わります。
フライパンで炒めて引き出す香ばしさ
少量の油でじっくりとソテーするのもおすすめです。フライパンで焼き上げることで、そら豆はホクホクとした心地よい食感に変化し、香ばしい風味が口いっぱいに広がります。この加熱方法は、そら豆特有の香りが苦手な方でも美味しく楽しめるのがポイント。素材の味を活かし、シンプルな塩胡椒だけでなく、ハーブやスパイスを加えても絶品です。
ペーストにして広がる料理の可能性
そら豆を丁寧にすり潰してペースト状にすると、料理のバリエーションが格段に広がります。例えば、コロッケの具材に加えることで、ねっとりとした食感と深みのある風味が楽しめ、一味違う仕上がりに。また、パウンドケーキに練り込めば、自然な甘みと鮮やかな緑色が加わり、目にも美しいスイーツが誕生します。この他にも、ポタージュスープやディップソース、パンのスプレッドなど、無限のアレンジが可能です。
そら豆の栄養を最大限に活かす調理と摂取のコツ
そら豆が持つ豊かな栄養素を効果的に体に取り入れるためには、いくつかの工夫が役立ちます。これらのポイントを実践することで、そら豆をさらに美味しく、健康的な食材として活用できるでしょう。
まず第一に、鮮度の良い状態で食卓に供することが大切です。そら豆は時間の経過とともに栄養価が失われやすい特性を持つため、手に入れたらなるべく早めに調理し、味わい尽くすことをお勧めします。
一般的な調理法である「塩茹で」を行う際には、加熱時間に配慮が必要です。ビタミンB群のような水に溶けやすい栄養成分は、長く茹でるほど水中に溶け出してしまいがちです。したがって、栄養素の流出を最小限に抑えるためにも、短時間で手早く加熱するのが理想的です。蒸したり炒めたりする調理法を選べば、水溶性ビタミンを逃しにくく、より効率良く栄養を摂り入れられます。
さらに、調理に際しては、後述する「そら豆のさやと薄皮も美味しく食べる方法」にあるように、さやや薄皮を捨てずに利用することで、食物繊維をはじめとする様々な栄養素を豊富に摂取することが可能になります。加熱方法や調理の仕方を工夫して、そら豆本来の栄養価を最大限に引き出し、日々の健康維持に役立てていきましょう。
そら豆のさや・薄皮も美味しく食べられる
多くの方が調理の際に取り除いてしまうそら豆のさやと薄皮ですが、これらは実はどちらも美味しくいただくことができます。これらを上手に利用することで、食材を余すことなく使い切るだけでなく、追加の栄養素も摂り入れることができるのです。
さやの内側の「わた」の活用法
そら豆のさやの内側に見られる白い「わた」は、通常は捨てられてしまうことが多いですが、実は多くの甘み成分を含んでいます。このわたは、さやごと丸ごと焼くことで、とろけるような甘さと独特の香ばしさを存分に味わうことができます。グリルやオーブントースターで手軽に焼くだけで、美味しい一品に。焼き上がったさやを開けてみれば、わたが甘く香ばしい香りを放ち、豆とは異なる豊かな風味を堪能できるでしょう。
薄皮も柔らかくして食物繊維を摂取
そら豆の薄皮には、豆本体と同様に、食物繊維が豊富に含まれています。完熟したそら豆の薄皮は多少硬さが気になることがありますが、調理法を工夫すれば柔らかくし、美味しく食べることが十分に可能です。例えば、煮込み料理のように時間をかけて加熱する調理法では、薄皮がしっとりと柔らかくなり、口当たり良くいただけます。また、先に述べた「素揚げ」のようにカリッとした食感に仕上げたり、ソテーで香ばしさを引き出したりすることで、薄皮ならではの歯ごたえも楽しめます。薄皮ごといただくことで、さらに多くの食物繊維を効率的に摂り入れられるため、ぜひ多様な料理法を試してみてはいかがでしょうか。
豊かな風味を長く楽しむ!そら豆のおいしさ維持する保存法
旬の味覚、そら豆を手に入れたはいいが、すぐに調理する時間がない――。そんな時でも、鮮度と風味を保ちながら上手に保存したいものです。さや付きのそら豆は、天然のラップとして乾燥を防ぐ役割を果たします。そのため、購入後すぐに使わない場合は、さや付きを選ぶのが賢明です。
管理栄養士の野口さんによれば、そら豆は乾燥が進むと水分を失い、食感が硬くなるだけでなく、薄皮の色もくすみがちになるとのこと。収穫したての新鮮な風味を味わうなら、購入日当日の調理がベストですが、それが難しい場合は遅くとも翌日までには調理を済ませたいものです。それ以上保管する予定であれば、品質を保つための適切な冷蔵・冷凍保存を検討しましょう。
冷蔵保存
そら豆を冷蔵庫で保存する際は、さやが付いた状態を保つことが大切です。密閉できる保存袋に入れるか、しっかりとラップで包んでから野菜室に入れましょう。この方法での保存期間は、およそ2~3日が目安です。
野口さんは、「さや付きであっても、時間と共に鮮度は確実に失われます。そのため、徹底した密閉が重要です。量に応じて保存袋とラップを適切に使い分けることで、より良い状態を保てます」とアドバイスしています。
ゆでる前の冷凍保存
購入から2~3日以内に調理が難しい場合は、生のまま冷凍保存する方法が有効です。さやから出さずにそのまま、ジッパー付きの保存袋に入れ、できるだけ空気を抜いて口を閉じます。さらに金属製のトレイに乗せて冷凍庫に入れると、急速冷凍で品質の劣化を抑えられます。この方法で約1か月間、そら豆本来の風味を損なわずに保存が可能です。
野口さんによると、「生で冷凍保存しても、そら豆特有のホクホクとした食感はほとんど失われません。使う際は半解凍の状態にすると、さやが柔らかくなり指で簡単に剥けるようになります。自然解凍なら10分程度、流水解凍ならさらに素早く準備できますよ。調理の際は、生のそら豆と同じ要領で茹でて大丈夫です。薄皮ごと調理すれば、栄養も風味も丸ごといただけます」とのことです。
ゆでてから冷凍保存
あらかじめ茹でてから冷凍保存しておくと、使いたい時にすぐに活用できて非常に便利です。茹で上がったら粗熱を取り、表面の水分をキッチンペーパーなどでしっかり拭き取ります。その後、ジッパー付きの保存袋に入れて空気を抜き、金属トレイに乗せて冷凍庫で保存しましょう。この方法でも約1か月間の保存が可能です。
野口さんは、「霜が付くと風味や香りが損なわれる原因となるため、水分は徹底的に除去してください。調理の際は、凍ったままサッと茹でて解凍し、そのまま薄皮ごと使うか、お好みで薄皮をむいてから料理に加えてください。薄皮には食物繊維などの栄養が豊富に含まれているので、ぜひ皮ごと楽しんでみてください。サラダや炒め物、スープの具材など、幅広いレシピで活躍します」と推奨しています。
そら豆を美味しく健康的に楽しむための注意点
栄養価が高く、健康的な食生活をサポートするそら豆ですが、その恩恵を最大限に享受するためには、いくつか考慮すべき点があります。ここでは、そら豆を安心して美味しく召し上がっていただくための主要な注意点を3つご紹介します。
カロリーオーバーに繋がりやすいため適量を心がける
そら豆は、可食部100gあたり約323kcalと、比較的エネルギー密度が高い食材です。そのカロリーの半分以上を糖質が占めるため、過剰な摂取は体重増加やダイエットの妨げになる可能性があります。
普段の食事でお米やパンなどから既に十分な糖質を摂取している方が、さらにそら豆を多く食べると、体内で余剰な糖質が脂肪として蓄積されやすくなります。この未利用の糖質は中性脂肪に変わり、肥満へと繋がる可能性があるため、健康的な体型を維持したい場合は、摂取量に気をつけましょう。
豆類の摂取目安量を意識して食べる量を調整する
カロリーの問題だけでなく、そら豆の食べ過ぎには別の注意点もあります。豊富に含まれる不溶性食物繊維は、便通改善に寄与する一方で、過剰に摂取すると、かえって便秘を悪化させたり、お腹の不快な張りを感じたりする原因となることがあります。
「体に良いから」「美味しいから」と無制限に食べ続けると、消化器系の不調など、予期せぬ体調不良を引き起こす可能性も否定できません。そら豆を含む豆類を食べる際は、厚生労働省が推進する「食事バランスガイド」で示されている通り、1日あたり約100gを目安にすると良いでしょう。ちなみに、そら豆は一粒約4gとされていますので、栄養バランスを考慮すると、一日あたり10粒から15粒程度に留めるのが賢明です。他の食材もバランス良く取り入れることで、より理想的な食生活へと繋がります。
そら豆による中毒症状は極めて稀なケース
そら豆には、ごく一部の人に中毒症状を引き起こす可能性が指摘されていますが、実際に発症するケースは極めて稀です。具体的には、「G6PD欠損症(グルコース-6-リン酸脱水素酵素欠損症)」と呼ばれる遺伝性の疾患を持つ方がそら豆を摂取した場合、発熱、倦怠感、黄疸といった溶血性貧血の症状が現れるリスクがあります。
しかし、日本におけるこの疾患の発症率はわずか0.1%と非常に低く、そら豆による中毒症状が起こることはほとんど考えにくいでしょう。この遺伝的特性は、世界的には地中海沿岸、アフリカ、およびアジアの一部地域で比較的高頻度に見られますが、日本ではきわめて珍しい遺伝的背景を持つと言えます。
まとめ
季節の移ろいを告げるそら豆は、その独特の香りとふっくらとした食感が魅力的な野菜です。本稿では、そら豆の風味を最大限に引き出すゆで加減、良質な豆を選ぶポイント、そして鮮度を保つ保存法について詳細にご説明しました。また、そら豆に豊富に含まれる植物性タンパク質、食物繊維、ビタミンB群、カリウムといった栄養素がもたらす健康メリットと、摂取時の注意点にも触れています。
そら豆は、シンプルな塩ゆでで素材の味を楽しむのはもちろんのこと、炒め物、煮込み料理、揚げ物、さらにペースト状にしてデザートにまで応用できる汎用性の高い食材です。特に、薄皮やさやのワタ部分も、調理法によっては美味しくいただくことができ、食材を余すことなく活用できる点も魅力です。旬の時期にしか味わえない格別の風味を、ぜひご家庭の食卓に取り入れ、心身ともに満たされる豊かな食生活をご堪能ください。そのみずみずしい緑色は、食卓に季節の息吹を吹き込んでくれることでしょう。
よくある質問
そら豆の旬はいつですか?
そら豆は一年を通して見かけることの少ない、季節感を味わえる野菜です。産地ごとに時期は異なりますが、国内で最も多く流通するのは例年4月から6月にかけてです。ただし、主要な生産地の一つである鹿児島県産の場合、12月頃から店頭に並び始め、5月には出荷のピークが過ぎていきます。
そら豆の薄皮は食べられますか?
はい、そら豆の薄皮は食べられます。特に成長途中の若いそら豆は薄皮がとても柔らかいため、剥かずにそのまま美味しくお召し上がりいただけます。一方で、十分に成長したそら豆は薄皮がしっかりとしており、口に残る繊維質が気になることがあります。茹でるだけでは硬さが残りがちですが、煮込み料理のように長時間加熱する調理法であれば、薄皮も柔らかくなり、抵抗なく食べられるようになります。
そら豆特有の香りが苦手な場合、どうすれば良いですか?
そら豆の独特の風味が苦手な方へは、いくつかの対処法があります。まず、たっぷりの熱湯でしっかりとゆでることで、その香りを穏やかに抑えることができます。また、調理法を工夫することで、その持ち味が気にならなくなることも多いです。香ばしく焼き上げた「焼きそら豆」にしたり、濃いめの味付けで仕上げる炒め物や煮物にしたりすると、特有の香りが目立ちにくくなります。油を使って素揚げやソテーにするのも、風味を和らげるのに効果的な方法です。
そら豆にはどのような栄養素が含まれていますか?
そら豆は、栄養価の高さで知られる食材です。主要な栄養素としては、良質な植物性タンパク質、消化を助ける不溶性食物繊維、エネルギー代謝に関わるビタミンB1、妊娠期に特に重要な葉酸、体内の水分バランスを整えるカリウムといったミネラルが豊富に含まれています。特筆すべきは、タンパク質が枝豆の2倍以上と非常に多く、カリウムも他の食材と比較してトップクラスの含有量を誇ることです。
そら豆は食べ過ぎても問題ありませんか?
栄養価が高いそら豆ですが、摂取量には注意が必要です。可食部100gあたりのカロリーは約323kcalと比較的高く、糖質も決して少なくないため、過度な摂取は体重増加やダイエットの妨げとなる可能性を秘めています。また、豊富に含まれる不溶性食物繊維は、摂りすぎると便秘の悪化や消化不良による腹部の膨満感を引き起こす原因となることもあります。健康的な食生活のためには、厚生労働省が推奨する豆類の1日摂取量(目安として100g)を考慮し、1日に10〜15粒程度を目安に、様々な食品と組み合わせてバランス良く楽しむことが肝心です。
そら豆のさやも食べられますか?
はい、そら豆は、豆だけでなく、そのさやの一部も美味しく食べることができます。特に、さやの内側に存在するふわふわとした白い部分は、実は甘みが凝縮されており、立派な可食部です。この部分、つまりそら豆の『皮』に近い部分は、加熱することでさらにその甘みととろりとした食感が際立ちます。例えば、さやごとグリルやオーブントースターで焼くと、豆とはまた一味違った、ほくほくとした甘い風味が楽しめ、新しいそら豆の魅力を発見できるでしょう。
新鮮なそら豆を選ぶポイントは何ですか?
店頭でさや付きのそら豆を選ぶ際は、濃い緑色でピンとしたハリがあり、表面にうっすらと産毛が残っているものが理想的です。中の豆がしっかりと成長している証拠として、さやの膨らみが均一でふっくらとしているものを選びましょう。一方、すでにさやから取り出された状態のそら豆を選ぶ場合は、豆の割れ目部分が茶色く変色していないかを確認してください。鮮度の良いそら豆は、この部分がきれいな色を保っています。

