初心者でも簡単!バジルの挿し木・水挿しで増殖させる方法を徹底解説
バジルは、その爽快な香りが特徴で、イタリア料理をはじめとした様々な料理に欠かせないハーブとして親しまれています。ご自宅で栽培すれば、いつでも摘みたての新鮮な葉を料理に活用できます。さらに、バジルは摘心や剪定を行った際に出る茎を利用して、「挿し木」や「水挿し」という方法で容易に株を増やすことが可能です。この記事では、初心者の方でも確実にバジルを増やせるように、「挿し木」と「水挿し」の具体的な手順、必要なもの、管理のポイント、そして豊かな収穫を得るためのコツまで、詳細に解説します。この記事を読み終える頃には、バジルの栽培に関する知識が向上し、より多くのバジルを育て、充実したハーブライフを送るための第一歩を踏み出せるでしょう。

1. バジルとは?その魅力と基本的な情報

バジルはシソ科の植物で、その独特の甘く爽やかな香りが世界中で愛されています。特にイタリア料理では重要なハーブとして知られ、トマトとの相性は抜群です。肉や魚料理の香りづけ、サラダのアクセント、パスタやピザのトッピング、さらにはジェノベーゼソースの主要な材料として、幅広く利用されています。収穫したばかりのバジルの葉は、料理に奥深い風味と豊かな香りを与え、食欲をそそります。
バジルの原産地は熱帯アジアやアフリカであり、本来は多年草として扱われる品種も存在します。しかし、寒さに弱いため、日本では一年草として栽培されるのが一般的です。近年、バジルの需要は増加しており、スーパーマーケットなどで手軽に購入できるようになりました。しかし、自宅で栽培すれば、必要な時に必要な分だけ収穫できるため、家庭菜園で非常に人気のあるハーブの一つです。品種も豊富で、一般的なスイートバジルの他に、レモンバジル、シナモンバジル、ホーリーバジルなど、それぞれ異なる風味と香りを持つ品種があり、好みに合わせて選べます。

2. バジルの増やし方:種、挿し木、水挿し、どの方法を選ぶ?

バジルを増やす方法としては、「種まき」、「挿し木」、「水挿し」という3つの主要な方法が存在します。それぞれの特性を理解し、ご自身の環境や目的に合った最適な方法を選択することが、バジル栽培を成功させるための重要なポイントです。

2.1. 種まき:基本的な増やし方

種まきは、バジルを増やすための基本となる方法です。開花後に採取できる種子をまくことで、新たな株を育てます。種から育てる場合、一度に多くの苗を確保できるという利点がありますが、発芽には適切な温度管理が不可欠であり、育苗期間もやや長くなります。また、バジルを含むシソ科の植物は交配しやすい性質があるため、複数の種類のバジルを近くで栽培している場合は、採取した種から育ったバジルが親株と同じ特性を受け継がない可能性があります。純粋な品種の種を確実に手に入れたい場合は、異なる種類のバジルを近くで栽培しないことをお勧めします。

2.2. 挿し木:剪定後の茎を無駄なく利用

挿し木とは、成長したバジルの茎や枝の一部を切り取り、それを「挿し穂」として土に挿して根を生やさせ、新たな株として育成する方法です。この方法の利点は、親株と全く同じ性質を持つ苗を育てられることと、バジルの栽培で不可欠な摘芯や切り戻しで出た茎を再利用できることです。収穫量を増やすための剪定で切り取った茎を挿し穂にすることで、効率的に株を増やせます。水に挿すよりも、土に挿して発根させる方が、根付いた後の成長が安定しやすいと言われています。

2.3. 水挿し:手軽に始められ、発根の様子を観察できる

水挿しは、挿し木と同様にバジルの茎や枝を切り取り、水に浸けて発根を促す方法です。一種の水耕栽培とも言えます。水挿しの最大の魅力は、その手軽さにあります。特別な道具や土は不要で、透明な容器を使用すれば、根が成長する様子を間近で観察でき、育成の過程を楽しめます。土を使わないため、室内でも清潔に育てやすく、おしゃれなインテリアとしても楽しめます。バジルは水を好む植物なので、水挿しでも比較的容易に発根しやすく、初心者でも挑戦しやすい増やし方です。

3. 【詳細解説】挿し木でバジルを増やす方法

挿し木によるバジルの増やし方は、初心者でも取り組みやすく、高い成功率が期待できます。ここでは、挿し木でバジルを増やすための具体的なステップ、成功させるための管理方法、そして失敗を避けるためのポイントを詳しく説明します。

3.1. 挿し木が推奨される理由と最適なタイミング

バジルは種からも育てられますが、挿し木での繁殖は特に初心者の方におすすめです。その理由と、挿し木に最適な時期について解説します。

3.1.1. 挿し木をおすすめする理由

バジルの増やし方として挿し木が推奨されるのは、その簡便さと効率の良さからです。種から育てる場合に比べて発芽の心配が少なく、比較的短い期間で新たな株を育てられます。さらに、バジルは収穫量を増やすために摘心や切り戻しといった剪定作業が欠かせません。この剪定で切り取った茎を挿し穂として再利用できるため、剪定と株の増殖を同時に行える点が非常に効率的です。剪定によって元の株の成長を促進しながら、新しい株を増やせるため、継続的に多くのバジルを収穫することが可能になります。

3.1.2. 挿し木に最適な時期と親株の条件

バジルを挿し木で増やすのに適した時期は、生育が活発になる6月から9月頃です。バジルの生育に適した温度は20〜25℃程度であり、この温暖な時期に挿し木を行うことで、発根がスムーズに進みます。時期が早すぎたり遅すぎたりすると、気温が低いために発根がうまくいかないことがあります。
また、挿し穂を採取する親株もある程度の大きさに育っている必要があります。目安としては、親株の高さが20cm以上になった頃が良いでしょう。この程度まで成長していれば、親株も十分に生育しており、摘心や切り戻しを兼ねて、健全で丈夫な挿し穂を確保しやすくなります。一度挿し木が成功すれば、その後も切り戻しを行うたびに挿し穂を作ることができるため、9月頃まで定期的にバジルを増やすことができます。

3.2. 挿し木に必要なもの:準備を万全に

バジルを挿し木で増やすには、基本的な道具と材料を揃える必要があります。しっかりと準備をすることで、挿し木の成功率を向上させることができます。

3.2.1. 挿し穂の選び方と下準備

挿し穂には、親株の先端から10〜15cmほど伸びた、病害虫の被害がなく健康な茎を選びましょう。節が3〜5個程度含まれているものが理想的です。特に、脇芽(葉の付け根から生えている小さな芽)のすぐ上でカットすることで、挿し穂として適切な長さと形になります。摘心を済ませてY字型に育っているバジルであれば、分岐点から2〜3節上の脇芽の上でカットすると良いでしょう。また、先端の茎が太くしっかりしていれば、茎の節ごとかつ、葉を数枚残した状態で切り分けることで複数の挿し穂を作ることも可能です。切り取った挿し穂の下の方にある葉は、土に埋まる部分から2〜3枚取り除きます。そして、水分の蒸発を抑えるために、大きな葉は半分ほどの大きさにカットしておきましょう。

3.2.2. 準備するもの

挿し木を行うには、以下のものを用意しましょう。

  • 切れ味の良いハサミまたはカッターナイフ: 挿し穂の切り口を綺麗にすることが大切です。鋭利で清潔なものを使用し、雑菌の侵入を防ぎましょう。
  • 挿し木専用の土: 無菌で肥料分を含まない土を選びましょう。市販の「挿し木・種まき用土」が手軽でおすすめです。
  • 自作の土の配合: 赤玉土5、鹿沼土3、バーミキュライト2の割合で混ぜ合わせることも可能です。水はけと保水性のバランスが良い状態になります。
  • 育苗ポットまたは育苗トレー: 挿し穂を植えるための容器です。底に水抜き穴があるものを選びましょう。
  • 割り箸のような細い棒: 挿し穂を植えるための穴を事前に開ける際に使用します。
  • 水: 挿し穂を水に浸したり、植え付け後に水やりをする際に使います。
  • 発根促進剤(必要に応じて): 発根を促進したい場合に使用します。粉末タイプは切り口に、液体タイプは水に薄めて使用します。

3.3. バジルの挿し木の手順

バジルの挿し木を成功させるための具体的な方法を説明します。

3.3.1. ステップ1:良質な挿し穂の準備

まずは、元気なバジルの親株から挿し穂を採取します。長さは先端から10~15cm程度、節が3~5個あるものが適切です。清潔なハサミやカッターを使用し、切り口を斜めにカットすることで、吸水面積を広げます。採取した挿し穂の下の方の葉(水に浸かる部分)を2~3枚取り除きます。葉を取り除くことで、余分な水分の蒸発を防ぎ、発根を促進できます。葉が大きい場合は、葉を半分にカットすると、さらに効果的です。挿し穂を採取後、数時間~半日程度、清潔な水に浸けて十分に吸水させてください。この水揚げをしっかりと行うことで、挿し木の成功率が向上します。
発根が不安な場合は、発根促進剤を利用しましょう。粉末タイプは切り口に薄く塗布し、液体タイプは水で希釈して使用します。発根促進剤に含まれる植物ホルモンが、発根をサポートします。

3.3.2. ステップ2:挿し木用の穴を準備

育苗ポットまたはトレーに挿し木用の土を入れます。土はあらかじめ湿らせておくと作業しやすくなります。割り箸や細い棒を使って、深さ4~5cm程度の植え穴を数箇所開けます。挿し穂同士が触れ合わないように、間隔を空けて植え穴を作り、風通しを良くすることが重要です。挿し穂を直接土に挿すと、切り口を傷つける可能性があるため、事前に植え穴を作っておきましょう。

3.3.3. ステップ3:丁寧に挿し穂を植える

用意した挿し穂を、事前に作った植え穴へ一本ずつ丁寧に植え付けます。挿し穂の根元がしっかりと土中に埋まるように、4~5cm程度の深さを目安に挿し込みましょう。挿し込んだ後は、挿し穂の周囲の土を指で軽く押さえて、ぐらつきがないように固定します。ただし、土を強く押し固めすぎると、土の通気性が悪化し、発根を妨げる要因となるため注意が必要です。

3.3.4. ステップ4:植え付け後の水やりをしっかりと行う

挿し穂を植え付けたら、直ちにたっぷりと水をあげてください。土全体が十分に湿るように、鉢底から水が流れ出るまでしっかりと与えましょう。この最初の水やりは、挿し穂と土を密着させ、余分な空気の層を取り除くことで、発根を促進する上で非常に重要な作業です。

3.4. 挿し木後の管理:発根から鉢上げまで

挿し木後の適切な管理は、発根を促し、元気な新しい株を育てるために必要不可欠です。ここでは、置き場所、水やりの頻度、肥料の与え方、そして鉢上げを行うタイミングについて詳しく解説します。

3.4.1. 発根を促進する置き場所の選定

バジルの挿し木を行った後、根が生えるまでの約1~2週間は、直射日光が当たらない明るい日陰に置くように心がけましょう。強い日差しは挿し穂の水分蒸発を早め、まだ根がない状態では大きな負担となり、枯れる原因となる可能性があります。発根が確認でき、新しい芽が出始めるなど、挿し穂が順調に成長し始めたら、少しずつ日当たりの良い場所へ移動させても構いません。ただし、この時期でも真夏の強い日差しは避け、午前中の穏やかな日差しが当たる場所を選ぶか、遮光ネットなどを利用して日差しを和らげる工夫をすると良いでしょう。風通しの良い場所を選ぶことも大切なポイントです。

3.4.2. 発根を促す水やりのコツ

挿し木後の1~2週間は、土の乾燥に注意し、常に適度な湿り気を保つことが大切です。挿し木用土は水はけが良い反面、乾燥しやすいので、土の表面が乾き始めたら速やかに水を与えましょう。発根期間中は、挿し穂がわずかな動きでもストレスを感じてしまうため、水やりは丁寧に行うか、底面給水がおすすめです。底面給水は、育苗ポットの底から水を吸わせる方法で、土全体が均一に潤い、挿し穂への負担を軽減できます。
発根し、新芽が伸び始めたら、水やりの頻度を徐々に減らしていきます。土の表面が完全に乾いてから水を与えるようにし、過湿にならないように注意しましょう。乾燥と湿潤のサイクルを作ることで、根が健全に成長しやすくなります。

3.4.3. 肥料:与えるタイミングと種類

挿し木直後のバジルには肥料は不要です。まだ根が十分に育っていないため、肥料を与えても吸収できず、逆効果になることがあります。発根後も、しばらくは肥料なしで育てましょう。挿し木用土には肥料分が含まれていないことが多いため、発根して成長が安定してきたら、適切なタイミングで肥料を与えます。
肥料を与えるベストなタイミングは、挿し木苗を「鉢上げ」する時です。野菜用またはハーブ用の培養土(元肥配合)を使用すれば、植え替え後のバジルに必要な栄養を十分に供給できます。元肥の効果が薄れてきたら、バジルの状態を見ながら液体肥料などで追肥することを検討しましょう。

3.4.4. 大きくなったバジルの鉢上げ

挿し木で育ったバジルが十分に成長したら、一回り大きな鉢や庭に「鉢上げ」を行いましょう。鉢上げの目安は、新しい根がしっかりと張り、草丈が20cmを超えた頃です。この頃になると、バジルは新しい環境にも順応しやすくなっています。
鉢上げに適した時期は、バジルの生育期である5~9月です。植え替えには、野菜用またはハーブ用の培養土を使用しましょう。これらの培養土は、バジルの生育に必要な栄養素と、適切な排水性・保水性を兼ね備えています。植え替えの際は、根を傷つけないように丁寧に作業し、植え替え後にはたっぷりと水を与えて、新しい土になじませましょう。

3.5. 挿し木の成功率アップと失敗回避の秘訣

バジルの挿し木に初めて挑戦する方でも、以下のポイントを押さえれば、失敗のリスクを減らし、成功率を大きく向上させることができます。

3.5.1. 切れ味と衛生面が重要なハサミ選び

バジルの挿し穂を作る際、使うハサミの状態は発根の成否を左右する大切な要素です。切れ味が鈍いハサミでは、切り口がつぶれてしまい、導管を傷つける原因となります。傷ついた組織からは水分が蒸発しやすく、また、そこから雑菌が侵入して腐敗することも考えられます。必ず、よく研がれた清潔なハサミを使用し、スパッと滑らかにカットすることで、挿し穂へのダメージを最小限に抑え、順調な発根を促しましょう。

3.5.2. 挿し穂への十分な給水

挿し穂を土に植え付ける前に、たっぷりと水を含ませる作業は、発根率を高めるための重要なポイントです。切り離されたばかりの挿し穂は、まだ根がないため、自分で水分を吸収することができません。そのため、植え付け直後は乾燥しやすく、そのままでは枯れてしまう可能性があります。清潔な水に数時間浸けておくことで、葉や茎から水分を補給させ、乾燥を防ぎます。水揚げをすることで、挿し穂は発根に必要な水分を蓄え、その後の成長をスムーズに進めることができるのです。

3.5.3. 発根促進剤の利用について

「確実に発根させたい」「発根するかどうか不安」という場合は、発根促進剤の使用を検討してみましょう。発根促進剤には、植物の発根を促す効果のある成分が含まれており、挿し穂の発根をサポートしてくれます。使用方法は、粉末タイプであれば切り口に薄く塗布し、液体タイプであれば希釈した液に浸す、または水やりの際に与えます。ただし、使用量を守らないと、かえって発根を阻害する恐れもあります。必ず製品の説明書をよく読み、用法・用量を守って正しく使用しましょう。

4. 水挿しでバジルを増やす方法:徹底解説

水挿しは、挿し木と同様に、バジルを手軽に増やせる方法の一つです。特に、室内で気軽にバジル栽培を楽しみたい方におすすめです。ここでは、水挿しのメリットと具体的な手順について詳しく解説していきます。

4.1. 水挿しの魅力:手軽さとバジルへの親和性

水挿しの最大の利点は、その手軽さにあります。土を用意する手間が省け、清潔な環境でバジルを育てられます。透明な容器を使えば、根が伸びる様子を観察でき、植物の成長を身近に感じられます。リビングやキッチンに飾れば、インテリアとしても楽しめ、空間を彩ります。
バジルは水を好むため、水挿しに適しています。水分を吸収しやすく、比較的早く根が出るため、初心者でも成功しやすいでしょう。土を使わないので、虫の発生を抑えたい方や、手軽に増やしたい方におすすめです。

4.2. 水挿しに必要なもの:シンプルに揃える

バジルの水挿しに必要なものは、とてもシンプルです。特別な道具はほとんど必要ありません。

  • 挿し穂: 親株から切り取った、元気なバジルの茎。
  • ハサミまたはカッター: 挿し穂を切り取る際に使用。清潔なものを選び、切り口をきれいに保ちましょう。
  • 水: 清潔な水道水で十分です。
  • 容器: 挿し穂を水に浸けるための容器。ガラス製のコップや瓶がおすすめです。根の成長を確認しやすく、インテリアとしても楽しめます。

4.3. バジルの水挿しの手順

水挿しは簡単な手順でバジルを増やせる方法です。以下の手順で進めてみましょう。

4.3.1. ステップ1:挿し穂の準備

まず、元気なバジルから、増やしたい茎を切り取ります。先端から10~15cm程度の、しっかりとした部分を選びましょう。切り取る際は、節を残すのが重要です。バジルはこの節から根を出すため、水に浸かる部分に複数の節が含まれるようにします。清潔なハサミで斜めにカットし、水分の吸収を促します。水に浸かる部分の葉は、腐敗を防ぐために全て取り除いてください。

4.3.2. ステップ2:清潔な容器に水と挿し穂をセット

用意したバジルの挿し穂は、きれいなコップや空き瓶などに入れましょう。この際、挿し穂の切り口が水中にしっかりと浸るように、水位を調整することが大切です。葉が水に浸ってしまうと、そこから腐ってしまう可能性があるため、水面から出すように注意してください。複数の挿し穂を同じ容器に入れる際は、葉同士が重なり合わないように、少し間隔を空けてあげると良いでしょう。透明なガラス容器を使うと、根が生えてくる様子を観察できるのでおすすめです。

4.3.3. ステップ3:こまめな水替えと発根チェック

水挿し中は、水が汚れないように、毎日か一日おきに水を交換し、常に清潔な状態を維持することが重要です。水が濁っていたり、ヌメリがある状態だと、雑菌が繁殖して挿し穂が腐る原因になります。こまめな水替えで、発根しやすい環境を保ちましょう。通常、1週間から2週間程度で、挿し穂の切り口あたりから白い根が伸びてくるのが確認できます。例えば、爽やかな香りが特徴のレモンバジルでも、同じように根を出すことができます。

4.3.4. ステップ4:根が出たら土に植え替え

十分に根が伸びてきたら、いよいよ土への植え替えです。根の長さが2~3cm程度になり、本数も増えてきたら植え替えのタイミングです。育苗ポットに培養土(野菜用またはハーブ用)を入れ、根を傷つけないようにそっと植え付けます。植え付け直後は、株の負担を減らすために、新芽が出ている節よりも上の部分の茎や葉をカットすると良いでしょう。植え付け後は、たっぷりと水を与えて、土と根を馴染ませます。

4.3.5. ステップ5:植え付け後のケア

土に植え替えたばかりのバジルは、環境の変化に敏感です。しばらくの間は、風通しの良い、直射日光の当たらない場所で管理し、環境に慣れさせましょう。新しい葉が育ってきたら、挿し木が成功したサインです。その後は、日当たりの良い場所に移動させ、通常のバジル栽培と同じように育てていきましょう。土の表面が乾いたら水を与え、定期的に肥料を与えることで、より大きく健康なバジルに育てることができます。

5. バジルをたくさん収穫するための栽培管理のコツ

バジルは、適切な手入れをすることで、春の終わりから秋にかけて長い間、たくさんの収穫を期待できます。特に、香りを維持しながら収穫量を最大限にするには、開花させない工夫と、こまめな剪定が大切です。

5.1. 花摘み:風味を守り、長く収穫するためのポイント

バジルは、花が咲くと、そのためにエネルギーが使われ、葉が硬くなり、香りが弱まる傾向があります(一部の新しい品種は除きます)。そのため、葉を収穫したい場合は、開花を抑えることがとても大切です。株の先に花の芽が見え始めたら、早めに摘み取る「花摘み(摘花)」を行いましょう。こうすることで、植物のエネルギーが葉の成長に集中し、やわらかく香り高い葉をより長く収穫できます。定期的に花の芽をチェックし、見つけたらすぐに摘むことが、バジルを豊かに収穫する秘訣です。

5.2. 摘芯・切り戻しを活用:収穫量アップと挿し穂の確保

バジルの収穫量を増やすためには、「摘芯」と「切り戻し」という剪定のテクニックを積極的に使うと効果的です。摘芯とは、株の先にある成長点を取り除くことで、脇芽の成長を促し、枝の数を増やす方法です。これによって、株が横に広がり、たくさんの葉をつけるようになります。また、株が大きくなりすぎた場合は、全体のバランスを見て少し強めに切り戻すことで、株をリフレッシュさせ、下の方の葉の風通しを良くし、病害虫の発生を抑えることも期待できます。
摘芯や切り戻しで切った茎は、そのまま捨てるのではなく、この記事で説明した「挿し木」や「水挿し」の挿し穂として利用できます。親株の成長を促しながら、同時に新しいバジルを効率的に増やせるので、一石二鳥の方法と言えるでしょう。定期的に剪定と増殖を繰り返すことで、自宅で一年を通して新鮮なバジルを楽しむことが可能です。

まとめ

バジルは、その豊かな香りと料理での使いやすさから、家庭菜園でも人気のハーブです。種から育てるだけでなく、「挿し木」や「水挿し」といった簡単な方法で気軽に増やすことができ、初心者でも気軽に挑戦できます。摘芯や切り戻しで出た茎を有効に使えるので、効率的にたくさんのバジルを育てることが可能です。挿し木も水挿しも、適切な時期に元気な挿し穂を用意し、正しい手順で植え付け、根が出るまでは日陰で管理し、土や水を清潔に保つことが成功のポイントです。また、花の芽を早めに摘み、定期的に摘芯・切り戻しをすることで、香り高い葉を長く収穫し続けることができます。この記事でご紹介した方法を参考に、ぜひあなたも自宅でバジルを増やし、新鮮なハーブを思う存分楽しむ豊かな生活を送ってください。


Q1. バジルの挿し木、水やり頻度はどれくらいが適切ですか?

A1. バジルの挿し木では、根が出るまでの最初の1~2週間は、土が乾かないように注意し、常に潤った状態を保つことが大切です。挿し木に使う土は水はけが良いものが多いので、表面の土が乾き始めたらすぐに水をあげてください。この期間は、挿し穂への負担を減らすために、底面から吸水させる方法がおすすめです。根が出て新しい芽が伸び始めたら、土の表面が完全に乾いてから水を与えるように、水やりの頻度を少しずつ減らしていきましょう。水の与えすぎは根腐れの原因となるので注意が必要です。

Q2. 挿し木で増やしたバジルは、いつ、どのくらいの大きさになったら植え替えるのが良いですか?

A2. 挿し木で増やしたバジルに行う植え替えは、「鉢上げ」と呼ばれます。目安としては、挿し穂から新しい根が十分に伸び、株の高さが20cmを超えるくらいになった頃が適しています。時期としては、バジルの成長期である5月から9月の間であれば、いつでも問題ありません。植え替えには、野菜用またはハーブ用の培養土を使用し、根を傷つけないように丁寧に植え替えましょう。植え替え後は、たっぷりと水を与え、新しい環境に馴染むように促してください。

Q3. 挿し木と水挿し、初心者が挑戦しやすいのはどちらですか?

A3. どちらの方法も初心者の方におすすめできますが、それぞれに長所があります。水挿しは、土を用意する必要がなく、水の中で根が伸びていく様子を観察できるので、植物の成長を身近に感じたい方や、手軽さや清潔さを重視する方には特におすすめです。バジルは水を好む性質があるため、水挿しでも比較的簡単に根が出ます。挿し木は、最初から土に植えるため、根が出た後に水挿しから土に植え替えるよりも、生育が安定しやすいというメリットがあります。ご自身の好みや環境に合わせて選んでみてください。

Q4. バジルの挿し木がなかなか根付かない場合、何が原因として考えられますか?

A4. バジルの挿し木がなかなか発根しない場合、主な原因として以下の点が考えられます。 

時期: バジルの生育に適した温度(20~25℃)から外れた、寒い時期に行っている。 
水: 水不足、または水の与えすぎによる根腐れ。 
挿し穂: 元気のない茎や、切り口がつぶれてしまっている挿し穂を使っている。 
日当たり: 直射日光が強すぎる場所や、日陰すぎる場所に置いている。
水揚げ: 挿し穂を切った後、十分に水を吸わせていない。

これらの点を見直し、適切な管理を行うことで、成功率を高めることができます。発根促進剤を使用することも効果的です。

Q5. 摘芯や切り戻しを行った際に出るバジルの茎は、挿し木に使えますか?

A5. おっしゃる通り、摘芯や切り戻しで出たバジルの茎は、挿し木や水挿しに利用できます。むしろ、収穫を増やしながら株を増やせるため、とても効率的な方法と言えるでしょう。元気そうな茎を選び、適度な長さにカットして挿し穂として活用してください。親株の成長を促しながら、たくさんのバジルを育てられます。

Q6. 挿し木や水挿しで増やしたバジルには、肥料は必要でしょうか?

A6. 発根したばかりのバジルに、すぐに肥料は不要です。根がまだ十分に育っていないため、肥料を与えても上手く吸収できず、逆効果になることもあります。挿し木(または水挿し後の植え付け)で育ったバジルを、大きめの鉢に植え替える際に、元肥入りの培養土を使用するのがおすすめです。その後は、生育状況を見ながら、液体肥料などを適宜与えてください。

バジルバジル 増やし方