烏龍茶とは?その名の意味、多彩な種類、産地、そして「青茶」について詳しく解説
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「ウーロン茶」という響きを聞いて、その呼び名の起源や正確な発音、さらには具体的にどのようなお茶を指すのか、一度は疑問に感じることはないでしょうか。その名の由来には諸説があり、豊かな歴史と文化が息づいています。かつて「青茶(せいちゃ)」とも称された烏龍茶は、その製法や発酵の加減によって多種多様な姿を見せ、それぞれの生産地で独自の味わいを育んでいます。本稿では、烏龍茶の基本的な定義から、その名の由来に隠された物語、そして豊富なバリエーションと主要な生産地に至るまで、その魅力を掘り下げていきます。烏龍茶の世界を知り、日々のティータイムを一層豊かなものにする知識を深めていきましょう。

烏龍茶の基本的な特徴と「青茶」の呼称の変遷

烏龍茶は、日本において最も広く知られている中国茶の一つとして親しまれています。その味わいは、緑茶が持つ爽快感と紅茶が持つ華やかな香りを併せ持つと評されることが多く、多くのお茶愛飲家を魅了し続けています。中国語では「烏龍茶(wūlóngchá)」と発音されますが、過去には「青茶(せいちゃ)」という名でも広く知られていました。

半発酵という製法が生み出す烏龍茶の多様性

烏龍茶が持つ大きな個性は、その独自の製造プロセスにあります。茶葉の発酵作用を途中で止める「半発酵」という手法でつくられるため、「半発酵茶」というカテゴリーに分類されます。この発酵の度合いは非常に幅広く、一般的には10%から80%程度と言われており、この多様性が烏龍茶の驚くほど多様な風味や香りを生み出す源泉となっています。発酵の進み具合の違いによって、緑茶のように軽やかで清々しい風味のものから、紅茶のように芳醇で甘みのある香りを持つものまで、実に様々なタイプの烏龍茶を楽しむことが可能です。

「青茶(せいちゃ)」呼称の歴史的背景と現代における「烏龍茶」の定義

以前は、中国茶はその製造プロセスや発酵の度合いに基づき六大分類に区分されており、その中で烏龍茶は「青茶」という名称で位置づけられていました。これは、茶葉が乾燥する過程で青みを帯びる様子に由来するとされています。しかし、近年定められた中国の国家標準『茶葉分類』において、「烏龍茶」は主要な茶種として明確に位置づけられ、現在ではこの呼び名が広く一般的に使われています。この変化の背景には、烏龍茶が単なる発酵度合いによる分類名に留まらない、独自の個性と多様性を有するという認識が浸透したことがあります。烏龍茶は、その深い歴史や地域ごとの明確な特性、そして熟練した職人たちの技術によって多岐にわたる種類と風味を誇ることから、より具体性を帯びた「烏龍茶」という名称が採用されました。

中国語における「烏龍茶」の名称と背景

私たちの身近にある「ウーロン茶」は、中国語で「烏龍茶」と表記されます。この「烏龍(ウーロン)」という言葉には、単なる音訳にとどまらない、お茶の奥深い歴史や文化が凝縮されており、その語源については複数の説が語り継がれています。これらの説に触れることで、日頃楽しむ一杯の烏龍茶が持つ、より豊かな物語を感じ取ることができるでしょう。

「烏龍」という名の語源を巡る諸説

「ウーロン(烏龍)」という名称が具体的にどのような意味合いを持つのかについては、様々な解釈が存在します。中でも最も広く知られ、多くの支持を得ているのは、そのお茶自体の見た目、すなわち形状や色合いに由来するという説です。

姿かたちから生まれた比喩:黒き烏とたおやかな龍

有力な説の一つとして、烏龍茶の茶葉が、乾燥時には烏(カラス)の羽のように黒く、そしてお湯に浸されると龍(リュウ)がうねるように、たおやかに伸びていくその姿から名付けられたというものがあります。特に、丸められた茶葉は黒みがかった色をしており、熱湯を注ぐと次第にその葉がゆっくりと開き、まるで水中で龍が舞うかのような優雅な動きを見せます。この視覚的な特徴が、「烏龍」という神秘的な響きを持つ名の由来となったという考えは、多くの人々に受け入れられています。
古来中国において、龍は極めて神聖で縁起の良い存在として尊ばれてきました。天候を司り、豊かな実りをもたらす力を持つとされ、さらには皇帝の威厳と権力の象徴としても位置づけられていました。したがって、龍の名を冠するお茶は、単なる飲料以上の、極めて価値ある特別な品であることを示唆しています。烏龍茶が「黒い龍」を思わせるその姿によって名付けられたという事実は、そのお茶がいかに優れた品質を持ち、製造にこだわりが込められているかを示しています。

伝承に基づく起源:発見者の名前やゆかりの地名から

上記以外にも、烏龍茶の誕生にまつわるいくつかの伝承が存在します。例えば、ある茶農夫が畑で偶然見つけた、黒く力強い茶の木を「烏龍」と呼び、そこから作られたお茶が「烏龍茶」と呼ばれるようになったという話や、烏龍という名の人物が初めて発見した、あるいは烏龍という特定の地で最初に作られたことが名の由来となったという説などがあります。しかしながら、これらの伝承は地域に根差した物語が多く、広く一般に受け入れられているのは、やはり茶葉の形状や色合いに由来する比喩説の方が多い状況です。

中国茶の深遠な歴史と文化的意義

古来より中国において、お茶は単なる飲料という枠を超え、人々の暮らしに深く根差した不可欠な存在でした。薬としての効能、神聖な儀式における役割、そして社会的な交流を促進する媒介として、その多岐にわたる側面がありました。特に中世以降の国際貿易においては、中国が世界に誇る主要輸出品の一つであり、その影響は世界史や日本史の記述にも色濃く残されています。

皇帝献上茶の伝統と茶文化の醸成

中国の悠久の歴史において、上質なお茶が摘まれると、それを皇帝に献上するという慣例が確立されていました。これは、そのお茶が最高品質であることの証であると同時に、統治者への敬意を示す極めて重要な儀式でした。献上される茶葉には厳格な品質基準が設けられ、その製法には最高の技術と熟練の職人技が惜しみなく注がれました。こうした背景が、中国茶全体の品質向上と、多種多様な製茶技術の進展を大きく後押ししました。
烏龍茶もまた、明代以降、多くの人々の創意工夫と心血が注ぎ込まれ、傑出した銘茶として確立されました。その名の由来に、皇帝や神聖な象徴である「龍」の文字が用いられていることは、烏龍茶が持つ格別の価値と、中国の茶文化において重要な地位を占めていることを示しています。

「烏龍茶」の簡体字表記とその現代中国語における姿

現代中国語には、伝統的な書体である「繁体字」と、より簡略化された「簡体字」が存在します。「烏龍茶」もまた、簡体字で表記するとその形が変化します。

簡体字「乌龙茶」と標準的な発音

具体的に「烏龍茶」は簡体字で「乌龙茶」と記されます。注目すべきは、「烏」が「乌」に、「龍」が「龙」へと簡略化されている点です。発音に関しては詳細を後述しますが、ピンイン表記では「wūlóngchá」となります。

「烏」と「龍」が持つ言葉の深遠な意味

「烏龍」という言葉の背景にある意味を、現代中国語の視点から深く掘り下げます。「烏(乌)」という漢字は、一般的に「カラス」を指しますが、現代中国語で「カラス」を表現する際は、通常「乌鸦(wūyā)」のように「鸦」の文字と組み合わせて使われます。この二文字で一つの意味を成すのが一般的です。しかし、歴史を遡ると「烏」は単独でカラスそのもの、あるいは黒色を象徴する要素として広く用いられてきました。

このことから、「烏龍茶」における「烏」は、その茶葉や水色が持つ漆黒に近い色合い、すなわち「カラスのような深みのある黒」を比喩していると理解できます。「龍(龙)」は、伝説の生き物である龍そのもの、または神聖で尊い存在を象徴します。そして「茶」はお茶そのものを指し示します。総合すると、烏龍茶とは「漆黒の輝きを放ち、龍のように神秘的で価値あるお茶」という、その卓越した特徴と格式を凝縮した命名であると解釈できます。

ウーロン茶(烏龍茶)は略語?正式名称の探求と多様な銘柄

「ウーロン茶」という呼び名が、果たして略語なのか、それともそれが「烏龍茶の正式名称」として認められているのかという疑問は、多くの方が抱くものです。この問いに答えるには、烏龍茶が持つ多様な世界と、お茶の分類体系を理解することが不可欠です。

ウーロン茶は略語ではない

結論から申し上げると、「烏龍茶」は略語ではありません。確かに「カラスのような黒いお茶」という意味合いを「烏龍」という言葉に込めているため、「烏」で「カラス」を略していると解釈することも不可能ではありません。しかし、これは特定の言葉を短縮したものではなく、茶葉の形状やその独特の色合い、そしてお茶が持つ高貴なイメージを表現するために選ばれた、固有の名称として確立されています。したがって、日常会話や公的な場面においても「烏龍茶」という名称がそのまま使われ、短縮されることはありません。

「正式名称」としての烏龍茶と個別の銘柄名

では、「烏龍茶」が「正式名称」かと言われると、その答えは少し複雑です。「烏龍茶」は、特定の製法(半発酵)を経て作られるお茶全般を指す「カテゴリー名」や「グループ名」としては、間違いなく正式名称です。しかし、烏龍茶の世界は非常に広範で、栽培される産地、用いられる茶葉の品種、そして独自の製法によって、それぞれ固有の「銘柄名」が与えられています。これらの銘柄名こそが、その烏龍茶のより具体的な、そして真の「正式名称」であると捉えられます。

代表的な烏龍茶の銘柄とその発酵度

烏龍茶の奥深さを知る上で、主要な銘柄とそれぞれの発酵度に着目することは重要です。発酵の度合いが、お茶の色合い、芳香、そして口当たりに顕著な違いをもたらします。

  • 文山包種(ぶんさんほうしゅ):発酵度は極めて低い(約10%)。台湾北部が主な産地で、緑茶を思わせる清涼感あふれる香りと、すっきりと軽快な風味が特徴です。しばしば花々の香りに例えられます。
  • 黄金桂(おうごんけい):発酵度は低め(約30%)。中国福建省の安渓地域で育まれ、金木犀を思わせる甘美で芳醇な香りが特徴的です。淹れたお茶は鮮やかな黄金色を帯びます。
  • 水仙(すいせん):発酵度は中程度(約60%)。中国福建省や台湾など広範囲で栽培される烏龍茶です。なめらかで豊かなコクと、奥深い風味を兼ね備えています。武夷岩茶の系統に分類されることもあり、特徴的な「岩韻」を感じさせるものも存在します。
  • 東方美人茶(とうほうびじんちゃ):発酵度は高め(約80%)。台湾特有の烏龍茶であり、ウンカによる吸汁が独特の芳香を生み出します。マスカットや完熟した果実を思わせるフルーティな香りと、とろけるような蜜の甘さが際立ち、高発酵ゆえに水色も濃厚です。最近では小売店でも目にすることが増え、その知名度と人気は上昇傾向にあります。

発酵度と茶の色味・風味の関係

一般的に、烏龍茶はその発酵度が高まるにつれて、抽出されるお茶の色合い(水色)が深まり、味わいも一層ふくよかになります。この現象は、茶葉中のカテキンが酸化酵素の作用により酸化し、赤褐色を呈するテアフラビンやテアルビジンといった色素成分へと変化することに起因します。一例として、高発酵の東方美人茶は、紅茶にも似た深みのある琥珀色となります。しかし、色が濃いからといって、必ずしも苦みが強いとは限りません。東方美人茶が「マスカットのようなフルーティな香り」と表現されるように、高発酵でありながらも穏やかで多層的な風味を持つお茶も数多く存在します。

烏龍茶の主な産地とその特徴

烏龍茶は極めて多岐にわたる種類が存在するため、その栽培地域も広範囲に広がっています。各産地特有の気候条件、土壌の性質、そして代々受け継がれる製茶技術が、烏龍茶の個性あふれる風味の源となっています。

中国本土の主要産地:福建省と広東省

中国本土は、烏龍茶の起源とされる地であり、中でも福建省(ふっけんしょう)と広東省(かんとんしょう)は、主要な生産地としてその名を馳せています。

  • 福建省:烏龍茶の歴史において、福建省は極めて重要な役割を担ってきました。特に以下の二つの地域が知られています。 閩北(びんほく)地域:武夷山(ぶいさん)一帯が著名で、ここで作られる武夷岩茶(ぶいがんちゃ)は、「岩韻(がんいん)」と称される独特の鉱物感と芳醇な香りが特徴です。大紅袍(だいこうほう)がその代表格です。 閩南(びんなん)地域:安渓(あんけい)地域が有名で、鉄観音(てっかんのん)や黄金桂(おうごんけい)など、花を思わせるアロマが特徴の烏龍茶が作られています。澄んだ香りと上品な甘みが人々を魅了します。
  • 広東省:広東省の潮州(ちょうしゅう)地域で栽培される鳳凰単叢(ほうおうたんそう)は、単一品種の茶樹から多様な果実や花の香りを引き出す、その独自の製法に特色があります。「蜜蘭香(みつらんこう)」や「杏仁香(あんにんこう)」のように、その香りの種類によって詳細に区別されています。

台湾の主要産地:高山烏龍の故郷

台湾は、長年にわたり独自の烏龍茶文化を培ってきました。とりわけ、標高の高い山岳地帯で育まれる高山烏龍茶(こうざんウーロンちゃ)は広く知られています。昼夜の大きな寒暖差と頻繁に発生する霧が特徴のこの高地環境は、茶葉の生育を緩やかにし、唯一無二の甘みと澄み切った香りを醸成します。

  • 凍頂(とうちょう)烏龍茶:台湾を代表する銘茶の一つで、その華やかな香りと奥深い甘み、そしてなめらかな口当たりが特長です。
  • 阿里山(ありさん)烏龍茶:阿里山地方で生産され、爽やかな香りと洗練された甘みが魅力です。
  • 梨山(りざん)烏龍茶:台湾烏龍茶の最高級品として名高く、極めて高地で育つことから、他に類を見ない冷涼な芳香と透明感のある味わいを放ちます。

新たな生産地の動向

近年、中国の湖南省(こなんしょう)や四川省(しせんしょう)といった地域でも、実験的に少量ながら烏龍茶の生産が開始されており、その栽培範囲は着実に拡大しています。これらの新興産地からも、今後個性豊かな風味を持つ烏龍茶が市場に現れることが期待されます。烏龍茶の世界は、絶えず進化と新しい発見に溢れています。

緑茶・ウーロン茶・紅茶の分類と発酵度の違い

「緑茶、烏龍茶、紅茶は、その起源を同じくする!」これは茶業界では広く認知された事実です。これら全てのお茶は、「カメリアシネンシス(Camelia sinensis)」というツバキ科に属する単一の茶樹の葉から生まれます。

同じ茶葉から生まれる多様な茶

もし同一の茶葉から製造されているのであれば、なぜこれほどまでに多様な風味や色合いが生じるのでしょうか。その疑問への答えは、「発酵度」の違いに集約されます。茶葉が摘み取られた後に行われる加工工程、とりわけ「発酵」として知られる酸化プロセスの進み具合こそが、お茶の種類を決定する最も重要な要因となります。

発酵度による分類:不発酵、半発酵、完全発酵

お茶は、その製法における茶葉の発酵度合いに応じて、大きく分けて次の3つの種類に分類されます。

  • 緑茶は、発酵をさせない不発酵茶です。摘み取られたばかりの茶葉は、すぐに蒸したり炒ったりする熱処理が施され、茶葉内部の酸化酵素の活動が停止させられます。これにより、茶葉本来の鮮やかな緑色と、清々しい香り、そして心地よい渋みが際立つ風味となります。
  • ウーロン茶は、部分的に発酵させた半発酵茶です。茶葉を一定時間発酵させた後、加熱によって発酵を止めます。この発酵の度合いは非常に幅広く、軽やかな低発酵からしっかりとした高発酵まで多岐にわたるため、バラエティ豊かな香りと味わいのウーロン茶が存在します。しばしば緑茶と紅茶の中間的な風味特性を持つと評されます。
  • 紅茶は、茶葉を完全に発酵させた完全発酵茶です。茶葉が持つ酵素によってカテキンが十分に酸化されることで、水色は美しい赤色を呈し、豊かで甘い香りと、奥行きのあるまろやかな味わいが特徴となります。

このように、たとえ同じ種類の茶葉から作られたとしても、発酵という精緻な加工プロセスの調整によって、それぞれが独自の個性を放つお茶が生まれます。この発酵の仕組みを理解することで、日々のティータイムをより一層豊かなものにすることでしょう。

ウーロン茶以外の主要な中国茶の種類

中国は、烏龍茶だけでなく、実に多種多様なお茶の宝庫です。それぞれが独自の歴史的背景と伝統的な製法、そして個性的な風味を育んできました。ここでは、特に人気が高く代表的な中国茶の一部をご紹介します。

代表的な花茶:茉莉花茶(ジャスミン茶)

「茉莉花茶」(mòlìhuāchá)は、日本でも広く親しまれているジャスミン茶のことです。ベースとなる緑茶や烏龍茶の茶葉に、ジャスミンの可憐な花を何度も重ねて香りを吸着させる「窨花(いんか)」という工程を経て作られます。淹れた瞬間に、優雅で心安らぐジャスミンの芳香が広がり、穏やかな気持ちにさせてくれます。食後の口直しや、気分を切り替えたい時に最適です。

発酵茶の代表:普洱茶(プーアル茶)

「普洱茶」(pǔěrchá)は、中国の雲南省が主な産地として知られるプーアル茶を指します。微生物の作用を活用し、積み重ねて発酵を促進させる「渥堆(あくたい)」と呼ばれる独特な製法で作られる「黒茶」の一種です。熟成された特有の香りと濃厚で奥深い風味が特徴で、適切な条件下で長期保存することで、味わいがさらに複雑になり、その価値が増すと言われています。油分の多い料理との相性が良く、古くから健康維持に役立つとも伝えられています。

中国を代表する緑茶:龍井茶(ロンジン茶)

中国浙江省杭州市近郊で育まれる「龍井茶」(lóngjǐngchá)は、中国を代表する名高い緑茶の一種です。この不発酵茶は、その平らで端正な茶葉の形状が特徴的で、淹れた際には、すがすがしい香りとまろやかな甘みが口いっぱいに広がり、後味は驚くほど軽やかです。国内では「国茶」の尊称で呼ばれることもあり、その品格の高さから広く愛されています。

中国茶の主要な六大分類とその多様性

中国茶は、製造工程における発酵の進み具合によって、大きく六つの主要なカテゴリーに分類されます。その中でも、代表的な「烏龍茶」(青茶)は、特に広く知られた存在の一つです。この分類法は、それぞれの茶が持つ独自の風味や香りを理解する上で不可欠です。

緑茶(不発酵茶)

摘み取られた茶葉を直ちに加熱処理することで発酵を完全に停止させ、茶葉本来の鮮やかな緑色と清涼感あふれる風味を保持したお茶です。日本の緑茶も同じ不発酵茶ですが、その製造工程は異なります。代表的な銘柄としては、龍井茶や碧螺春などが挙げられます。この茶種は、そのみずみずしい香りと爽快な口当たりが魅力であり、中国茶の中でも最も多く生産されています。

白茶(弱発酵茶)

摘採された茶葉を、ほぼ手を加えずに自然な萎凋(しおらせる過程)と乾燥のみで仕上げた、ごくわずかな発酵を伴うお茶です。このシンプルな製法により、繊細で奥深い甘みと、清らかで上品な香りが生まれます。特に新芽や若葉を用いることが多く、白い産毛が特徴として残るものが見られます。代表的な銘柄には、白毫銀針や白牡丹があります。

黄茶(弱後発酵茶)

白茶と同様に軽めの発酵段階を経ますが、黄茶特有の「悶黄(もんおう)」という工程が大きな特徴です。これは、蒸した茶葉を布で包み加湿することで、ゆっくりと茶葉を黄色く変化させる特殊な製法。この工程により、角がとれたような円やかな口当たりと、ほんのりとした甘みが引き出されます。君山銀針(くんざんぎんしん)や蒙頂黄芽(もんちょうこうが)が代表的で、その生産量の少なさから非常に高い希少価値を持つお茶として知られています。

烏龍茶(半発酵茶)

私たちが今回注目する烏龍茶は、発酵度が10%から80%と非常に幅広い「半発酵茶」に分類されます。この多様な発酵度こそが、緑茶の爽やかさと紅茶の芳醇さを併せ持つ、複雑で奥深い風味と香りの世界を生み出す秘訣です。優雅な花を思わせる「花香」、フレッシュな果実のような「果香」、あるいはとろけるような「蜜香」など、驚くほど多彩な香りのバリエーションが存在します。代表的な銘柄としては、華やかな香りの鉄観音や、清々しい風味が特徴の凍頂烏龍茶などが挙げられます。

紅茶(完全発酵茶)

茶葉を最大限に発酵させる「完全発酵」の工程を経ることで、紅茶特有の深く美しい赤色の水色と、芳醇で濃厚な香り、そしてコクのある味わいが生まれます。世界中で最も愛飲されているお茶の種類であり、中国においても祁門紅茶(キーマンこうちゃ)や滇紅(てんこう)といった高品質な銘柄が名を馳せています。ストレートでその豊かな風味を堪能するもよし、ミルクを加えてまろやかなミルクティーとして楽しむのもおすすめです。

黒茶(後発酵茶)

黒茶は、一般的な発酵とは異なり、微生物の力を借りて発酵を進める「渥堆(あくたい)」という独特の「後発酵」工程を経て作られます。この製法により、他のお茶にはない深みのある熟成香と、まろやかで奥行きのある味わいが生まれます。時間を経るごとに風味が円熟し、その価値を高めていくのが特徴です。代表格である普洱茶(プーアルちゃ)は、長期保存によって味が深まることから、「飲む骨董品」と称され、愛好家から珍重されています。

まとめ

ウーロン茶は、単なる日常の飲み物という枠を超え、その深い歴史と豊かな文化、そして多岐にわたる魅力を持つお茶であることをご理解いただけたことでしょう。中国語では「烏龍茶(乌龙茶)」と表記され、「烏のように黒く、龍のように神々しいお茶」という意味が込められていると言われています。かつては「青茶(せいちゃ)」とも称され、その独自の半発酵プロセスにより、緑茶の持つ清涼感と紅茶の華やかな香りを兼ね備えた、比類のない味わいを生み出します。文山包種茶や東方美人茶といった著名な銘柄は、それぞれ独自の製法と風味が特徴で、中国の福建省や広東省、そして台湾といった主要な地域で大切に栽培されています。この度得た知識をぜひ活用し、日々のティータイムを一層豊かなものにする知識として役立ててください。一杯の烏龍茶が、あなたの毎日に彩りと新たな発見をもたらすことを願っています。


烏龍茶はなぜ「青茶」と呼ばれていたのですか?

かつて烏龍茶は、中国茶の六大分類において「青茶(せいちゃ)」という名で位置づけられていました。これは、茶葉が発酵の過程でわずかに青みがかった色合いを帯びることに由来するとされています。しかし、2014年に定められた中国国家標準『茶葉分類』において、「烏龍茶」がその正式名称として定義され、現在ではこの呼び方が広く一般に浸透しています。

烏龍茶の「烏龍」という名前にはどんな意味がありますか?

「烏龍」という名称の由来については諸説ありますが、最も有力とされるのは、茶葉の見た目と抽出時の変化に由来するというものです。乾燥した茶葉が「烏(カラス)」の羽のように黒く、熱いお湯を注ぐと茶葉がゆっくりと開き、あたかも神聖な「龍(リュウ)」が水中で舞い踊るかのように見えることから名付けられたと言われています。中国において龍は、皇帝や聖なる存在の象徴であり、この茶が最高級品であることを示唆しています。

ウーロン茶と緑茶、紅茶の最大の違いは何ですか?

ウーロン茶、緑茶、紅茶は全て「カメリアシネンシス」という同一の植物から採れる茶葉を原料としていますが、その最も大きな相違点は「発酵度合い」にあります。緑茶は「不発酵茶」と分類され、発酵工程をほとんど行いません。一方、紅茶は「完全発酵茶」であり、茶葉を完全に発酵させます。これに対し、ウーロン茶はその中間に位置する「半発酵茶」であり、発酵を途中で止める独自の製法によって、緑茶の持つ爽やかさと紅茶の芳醇さを併せ持つ、多様で複雑な風味を生み出しているのです。

烏龍茶にはどんな種類がありますか?それぞれの特徴は?

烏龍茶はその発酵度合いや産地、製法によって多種多様な銘柄が存在します。代表的なものとしては、軽発酵で蘭や花の香りを思わせる「文山包種茶」や「黄金桂」が挙げられます。中程度の発酵を経た烏龍茶には、深い味わいと豊かな香りが特徴の「水仙」などがあり、特にそのコクが愛されています。また、高発酵の烏龍茶の代表格は、マスカットや蜜のような甘くフルーティな香りが際立つ「東方美人茶」です。この他にも、中国福建省の「武夷岩茶」や、台湾の「凍頂烏龍茶」、「阿里山烏龍茶」といった高山烏龍茶など、世界中で愛される銘茶が多く、それぞれの土地の風土と職人の技が織りなす個性豊かな味わいを堪能できます。

烏龍茶はどの国で主に生産されていますか?

烏龍茶の主要な生産地は、中国本土と台湾が双璧をなしています。中国においては、福建省が「武夷岩茶」や「鉄観音」などの名高い銘柄を輩出する一大産地であり、広東省も「鳳凰単叢」で知られる重要な地域です。一方、台湾からは「凍頂烏龍茶」や「高山烏龍茶」に代表される、澄み切った香りと上品な甘みが特徴の烏龍茶が世界中の愛好家から高く評価されています。加えて近年では、中国の湖南省や四川省でも、新たな烏龍茶の試作や限定的な生産が始まっており、その動向が注目されています。

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